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ゲーマー向けCPUの大本命「Ryzen 7 7800X3D」をテスト。Core i9-13900Kを上回るゲーム性能と低消費電力を両立する[レビュー]
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印刷2023/04/05 22:00

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ゲーマー向けCPUの大本命「Ryzen 7 7800X3D」をテスト。Core i9-13900Kを上回るゲーム性能と低消費電力を両立する[レビュー]

 Zen 4アーキテクチャベースのデスクトップPC向けCPU「Ryzen Desktop 7000」シリーズに,AMD独自のキャッシュメモリ積層技術「AMD 3D V-Cache Technology」(以下,3D V-Cache)を組み合わせたミドルハイクラスのCPU「Ryzen 7 7800X3D」のベンチマーク情報が解禁となった。

Ryzen 7 7800X3D
メーカー:AMD
税込メーカー想定売価:7万1800円前後(※2023年4月5日現在)
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 3D V-Cacheを採用したRyzen 7000シリーズとしては,2022年3月にRyzen 9シリーズの2製品が発売済みだ。とくに,16コア版「Ryzen 9 7950X3D」の高いゲーム性能は,4Gamerで報じたとおりである。
 今回評価するRyzen 7 7800X3Dは,ある意味ではゲーマーにとって本命の3D V-Cache採用CPUとも言える。そのゲーム性能を確認してみよう。


種もしかけもない8コア版3D V-Cache搭載Ryzen


 おさらいになるが,3D V-Cacheとは,容量64MBの高速SRAMキャッシュを集積したシリコンダイを,CPUを集積した「CPU Complex Die」(CCD)の上に積層することで,L3キャッシュメモリを大容量化する技術だ(関連記事)。
 2022年4月に登場したZen 3世代の「Ryzen 7 5800X3D」で初めて採用され,とくに,その高いゲーム性能が注目を集めた。本稿で評価するRyzen 7 7800X3Dは,そのRyzen 7 5800X3Dの直接的な後継モデルといっていいだろう。同じ8コアのCPUで,AMDは,3D V-Cacheの技術面で大きなアップデートはないと述べているためだ。

Ryzen 7 7800X3Dの表(左)と裏(右)。Zen 4世代Ryzen 7000の外観そのままだ
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Ryzen 7 7800X3Dの主な仕様。キャッシュメモリ容量の「104MB」は,L2キャッシュ,L3キャッシュ,3D V-Cacheの合計値だ
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 Ryzen 9 7950X3Dや「Ryzen 9 7900X3D」は,CPUコアを集積したCCDを2基搭載している。しかし,3D V-Cacheを搭載するCCDは,2基のうち1基だけという非対称な構成をしており,ゲーム実行時には3D V-Cacheを搭載していない側のCPUコアを,ドライバソフトウェアで停止させるという少々強引な方法で3D V-Cacheの低レイテンシとマルチコア性能を両立させていた。つまり,16コア版のRyzen 9 7950X3Dの場合,ゲーム実行中は8コアCPUとして動いていたわけだ。
 そうなると,8コア版のRyzen 7 7800X3Dでも,ゲームに限ればRyzen 9 7950X3Dに近い性能が得られそうである。ゲーム中に実況配信やCPUを使ったビデオエンコードといった作業をあまり行わないゲーマーにとって,Ryzen 7 7800X3Dは「本命」になり得るわけだ。

CPU-Zで確認したRyzen 7 7800X3Dの主な仕様。L3キャッシュが96MBになっている
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 もっとも,Ryzen 9 7950X3DとRyzen 7 7800X3Dにはコア数以外にも,公称の動作クロックに違いがある。定格クロックは双方とも4.2GHzだが,ブースト時の最大クロックは,Ryzen 9 7950X3Dが5.7GHzに対して,Ryzen 7 7800X3Dは5GHzと700MHzも低いのだ。
 ただ,Ryzen 9 7950X3Dのレビューで検証したとおり,3D V-Cacheを搭載する側のCCDは,動作クロックが抑えられている。AMDは,Ryzen 9 7950X3Dの3D V-Cache側CCDの最大クロックを公表していない。なので,公称スペックほどの差はないと見るのが妥当だろう。

 Ryzen 7 7800X3Dは,CCDが1基しかないので,上位2モデルのような利用にあたっての注意点は多くない。AMDによると,Ryzen 7 7800X3Dを利用するには,「AGESA」(※BIOSに含まれるAMD製ファームウェア)のバージョンを「1.0.0.5C」以降にする必要があるとのこと。ざっと調べてみたところ,3月中にはマザーボードメーカー各社が主要な製品に対してバージョン1.0.0.5Cや同1.0.0.6を含むBIOSの提供を始めているので,Socket AM5対応マザーボードの多くで,利用できるようになっていると理解していい。
 またドライバソフトウェアは,「AMD Chipset Driver 52.19.2221」以降が必要とのこと。こちらも3月の時点でダウンロード可能となっている。

 ちなみに,Ryzen 7 7800X3Dにチップセットドライバをインストールしようとすると,インストーラが「3D V-Cache Performance Driver」と「PPM Provisioning File Driver」の2つをインストール候補に入れてくる。だが,AMDに確認したところ,Ryzen 7 7800X3Dでは,これらのソフトウェアは不要とのことだった。
 Ryzen 9 7950X3Dのレビューで述べたとおり,これらは非対称な2基のCCDをWindows上で効率的に運用する機能を持っている。よって,CCDが1基しかないRyzen 7 7800X3Dに不要なのは当然だ。今後,インストーラが改善されて候補に出なくなるかもしれないが,チップセットドライバインストール時に,この2つは除外したほうがいいだろう。


ゲームを中心に上位モデルや前モデルと性能を比較


 それでは,Ryzen 7 7800X3Dのテストを進めていこう。
 Ryzen 7 7800X3Dのターゲットはもちろんゲーマーで,ゲーマーの興味は上位クラスのCPUに匹敵するか凌駕するゲーム性能を持つかどうかに絞られるはずだ。そのため,今回はゲーム以外のテストを「PCMark 10」のみに絞り,4Gamerベンチマークレギュレーション26.1に準拠したゲームのベンチマークテストを中心に実施した。

 比較対象としては,まず競合Intel製のCPUで最高クラスのゲーム性能を持つ「Core i9-13900K」を用意した。格上のCPUに思えるが,AMDがRyzen 7 7800X3Dの比較対象として,Core i9-13900Kを引き合いに出していることも考慮しての選択だ。
 また,同じZen 4アーキテクチャで3D V-Cacheを搭載しないRyzenの代表として12コアの「Ryzen 9 7900X」を用いる。さらに,直接的な前世代となるRyzen 7 5800X3Dも比較対象としよう。前世代と比較することで,世代間の性能差がはっきりするだろう。各CPUの主な仕様は表1のとおり。

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 マザーボードは,Socket AM5プラットフォームにASRock製「X670E Taichi」を,LGA1700にはASRock「Z790 Taichi」を使用した。どちらもASRock製のハイエンドゲーマー向けマザーボードである。

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X670E Taichi
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Z790 Taichi

 同じクラスだけにスペックもよく似ていて,どちらも24+2+1フェーズという強力な電源部を搭載しているのが特徴だ。また,8層の基板を使って信号の損失を低減させ,安定した動作を実現しているという。

 一方,前世代にあたるSocket AM4プラットフォームには,ASUSTeK Computer製の「ROG Crosshair VIII HERO (WI-FI)」を使用している。

 そのほかの機材は表2のとおりだ。現行世代のメモリモジュールやメモリ設定は,EXPOプロファイルのDDR5-6000設定で揃えている。また,前世代のSocket AM4も,現行世代に合わせてオーバークロック設定となるDDR4-3600設定を使用した。

※クリックすると詳細版を表示します
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 CPUクーラーには,ASUSTeK Computer製の大型液冷クーラー「ROG RYUJIN II 360」を使用した。ファンおよびポンプの設定は,アグレッシブに冷却を行う代わりに騒音も大きい「ターボ」プリセットを使用している。

 実行するテストにおけるゲームの解像度は,3840×2160,2560×1440,1920×1080ドットの3種類だ。グラフィックス品質の設定は,すべて高負荷寄りとするが,ゲーム側のバージョンアップがあったため今回は「モンスターハンターライズ:サンブレイク」(以下,モンハンライズ サンブレイク)と「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)以外の5タイトルで,NVIDIA独自の超解像技術「DLSS」が利用できた。
 そこで,DLSSを使えるタイトルでは使用してGPUの描画負荷を下げることで,高負荷寄りの画質設定でもCPUの性能差が出やすいようにしている。設定の詳細は各タイトルのテスト部分で触れる。


期待どおりのゲーム性能を見せるRyzen 7 7800X3D


 まずは3DMark(version 2.25.8056)の結果から見ていこう。グラフ1は,3DMarkのDirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアである。

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 4K解像度相当のFire Strike Ultraは,Ryzen 7 7800X3DとRyzen 7 5800X3DがほかのCPUよりわずかに低く,Fire Strike ExtremeではRyzen 7 5800X3DがほかのCPUよりやや低い。最も描画不可が軽いFire Strikeでは,Ryzen 7 7800X3Dが期待どおりトップという結果になった。このような結果になった理由を個別スコアから調べてみよう。

 グラフ2は,Fire StrikeのGPUテストである「Graphics test」のスコアである。

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 GPU性能を見るGraphics testでは,CPUの差が出にくいものだが,Fire Strike Extreme以下では似た傾向が現れた。主役のRyzen 7 7800X3Dは,すべての解像度で良好なスコアを残す。一方で,Core i9-13900Kはやや振るわない。前世代のRyzen 7 5800X3Dも,Graphics testのスコアは良好だ。
 Graphics testの結果は,総合スコアに反映される割合が大きいので,Core i9-13900Kの総合スコアがやや低かったのは,この結果によるものだろう。とくに無印Fire Strikeでは,Core i9-13900KのスコアがRyzen 7 7800X3Dの約76%にとどまっている。とくに無印のFire Strikeは,描画負荷が極めて軽いので,Core i9-13900KとGPU間のどこかに,ボトルネックがあるのだろうと推測できそうだ。

 次のグラフ3は,Fire StrikeのCPU性能テストとなる「Physics test」の結果である。

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 CPUコア数が多いCore i9-13900Kがトップになるのは当然のテストなので,Ryzen 7 7800X3Dは,前世代に対してどの程度のスコア差を付けたかがポイントになる。Ryzen 7 7800X3Dのスコアは,Ryzen 7 5800X3Dに対して約1.1倍で,前世代に対しておおむね1割程度の向上を示したわけだ。
 また,同じZen 4世代のRyzen 9 7900Xと比べた場合,Ryzen 7 7800X3Dは,約81%のスコアとなっている。動作周波数の違いとコア数比を考慮しても,Ryzen 7 7800X3Dのスコアは高いといえるので,Physics testでも3D V-Cacheがある程度は効いているようだ。
 とはいえ,8コアCPUの粋を出ないスコアであることは確かで,この結果が総合スコアに影響を与えていることは間違いないだろう。

 CPUとGPUの双方に負荷をかける「Combined test」の結果がグラフ4となる。

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 4K解像度相当のFire Strike Ultraは横並びに近いが,Fire Strike Extreme以下では,Ryzen 7 7800X3DがほかのCPUよりも有意に高いスコアを残した。前世代のRyzen 7 5800X3Dもまずまず優秀だが,Ryzen 7 7800X3Dはそれに対して1.12倍も高いスコアを残している。

 続いて,3DMarkのDirectX 12テストとなるTime Spyの総合スコア(グラフ5)を見てみよう。

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 Fire Strikeとは打って変わって,Core i9-13900Kがトップで次点がRyzen 9 7900Xという具合に,コア数が大きいCPUほど高スコアという結果になった。なぜこうなったのかを個別スコアで見てみよう。

 グラフ6は,Time SpyのGPUテストとなるGraphics test,グラフ7が,Time SpyのCPUベンチマークとなるCPU testのスコアである。

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 Fire StrikeのGraphics testとは異なり,Time SpyのGraphics testは,ほとんど横並びと言っていいほどの違いしかない。一方でCPU testは,コア数順になっている。Graphics testで差がつかないために,CPU testの結果が総合スコアに出たわけだ。8コアのRyzen 7 7800X3Dは,分が悪い。

 3DMarkの結果を見ると,Ryzen 7 7800X3Dの成績は悪くないものの,飛び抜けてはいないといったところか。しかし,これまでのレビューでは,3D V-Cacheの実力はゲームで発揮されることが分かっている。ゲームのテスト結果を見ていくことにしよう。

 まずは,「Marvel's Spider-Man Miles Morales」(以下,Spider-Man MM)の結果をグラフ8〜10に示す。Spider-Man MMでは高負荷寄りの画質設定にしたうえで,DLSSを有効化している。ただ,GeForce RTX 4090で利用できる「DLSSフレーム生成」は無効とした。

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 平均フレームレートを見ると,3840×2160ドットではRyzen 7 7800X3DとRyzen 9 7900Xがおおむね横並びとなった。2560×1440ドットでは前世代のRyzen 7 5800X3Dがトップで次点がCore i9-13900K。1920×1080ドットではRyzen 7 5800X3Dが優位な差をつけてトップとなり,Core i9-13900KとRyzen 7 7800X3Dが横並びだ。
 Ryzen 7 5800X3Dが,どの解像度でもわずかながら良好な平均フレームレートを残すのが面白い点だろう。Spider-Man MMは,テストにプレイヤーの操作が必要なので若干のブレがあるが,どの解像度でも共通の傾向ならば,ブレとは言い切れなくなる。一方,Ryzen 7 5800X3Dは既存のCPUなので,それなりに最適化できているのかもしれない。
 Ryzen 7 7800X3Dは,おおむねCore i9-13900Kと同等程度のフレームレートが得られているようだ。競合と並ぶ程度と見れば,悪くない結果だろう。

 グラフ11〜13は,モンハンライズ サンブレイクをグラフィックス品質「高」でテストした結果である。

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 3840×2160ドットでは,Core i9-13900Kがトップで次点がRyzen 9 7900Xと,コア数が多いCPUのフレームレートが良好だ。それ以下の解像度だと,Ryzen 7 7800X3Dが最高の平均フレームレートを記録した。ただ,次点のCore i9-13900Kとは差が小さい。モンハンライズ サンブレイクはテスト時にプレイヤーの操作が必要なので,多少はブレが生じるものの,2つの解像度でRyzen 7 7800X3Dが上回ったことから,ブレではなさそうと見ていいだろう。低解像度ならば,Ryzen 7 7800X3Dが優秀というわけだ。

 次の「Call of Duty: Modern Warfare II」(以下,CoD MW2)では,DLSSが利用できるようになったので,グラフィックス品質を「極限」としつつ「アップスケール/シャープニング」でDLSSを選択したうえで,「NVIDIA DLSSプリセット」設定を「パフォーマンス」としてテストを実行した。

テストで用いたCoD MW2のグラフィックス品質設定
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 結果はグラフ14〜16のとおり。

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 CoD MW2は,DLSSを利用しないテストだとCPU性能差が出にくいタイトルだが,今回は,CPUによる違いがごくわずかに見えている。3840×2160ドットと2560×1440ドットでは,Ryzen 7 7800X3DとRyzen 7 5800X3Dが平均フレームレートで並んでトップ,1920×1080ドットではRyzen 7 7800X3Dがトップとなり,次点がRyzen 7 5800X3Dだった。CoD MW2は3D V-Cacheに効果があり,そのうえ世代の新しいRyzen 7 7800X3Dが優位と言っていいだろう。

 「Fortnite」は,「Unreal Engine 5」への切り替えや大局照明システム「Lumen」(関連記事)の導入といった大きな変更が続いたため,設定項目や選択肢が安定していなかったが,ようやくDLSSが問題なく利用できるようになった。
 そこで今回は,グラフィックス品質を最高としたうえで,DirectXは「DirectX 12」を選んでDLSSを有効化。DLSSのプリセットには「パフォーマンス」を選択してテストを実行した。

Fortniteの設定例
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 結果はグラフ17〜19のとおり。

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 どの解像度でもRyzen 7 7800X3Dが文句なしのトップとなった。次点のCore i9-13900Kに対しても平均フレームレートで有意な差をつけており,最小フレームレートも高い。
 一方,Ryzen 7 5800X3Dのフレームレートが振るわないが,新しくなったゲームエンジンにおいてCPUの世代差が出たのではないだろうか。

 グラフ20〜22は,「God of War」(以下,GoW)における平均および最小フレームレートである。GoWではグラフィックス品質を「ウルトラ」としたうえで,DLSSを有効化してテストを行った。

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 GoWもテスト時にプレイヤーの操作が必要で,ブレが生じやすい。それを考慮すると,どの解像度もRyzen 7 7800X3DとRyzen 7 5800X3Dが平均フレームレートで並んでトップとなったと見ていい。Ryzen 7 5800X3Dも良好なフレームレートを記録することから,GoWは,3D V-Cacheが効果的なタイトルのようだ。Ryzen 7 7800X3Dのほうが,Core i9-13900Kよりも平均,最小フレームレートともに好成績を残したことも特筆できるだろう。

 次のグラフ23は,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチの総合スコアである。

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 どの解像度でもRyzen 7 7800X3Dがトップとなったが,次点のRyzen 7 5800X3Dとの差は,2〜3%程度しかないのが気になる。
 ちなみにRyzen 9 7950X3Dは,1920×1080ドット時に総合スコア「45000」を超える記録的なスコアを叩き出していた。Ryzen 7 7800X3Dの41000台は高スコアだが,Ryzen 9 7950X3Dに比較すると物足らない。Ryzen 7 7800X3Dもゲーム実行時には8コアになるので,ここまで大きな差がついた理由は動作クロック程度しか考えられないが,先述のとおり動作クロックにも大きな差はないという仮定が正しければ,若干の謎が残る結果だ。
 とはいえ,競合のCore i9-13900Kのスコアに対しては十分に有意な差をつけてトップをとっているので,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおいては,競合を上回る性能を有すると言えるだろう。

 FFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均および最小フレームレートを,グラフ24〜26にまとめた。Ryzen 7 7800X3Dは最小フレームレートも優秀なので,快適にプレイできるだろう。

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 ゲームテストの最後となる「F1 22」の結果が,グラフ27〜29となる。F1 22でも,グラフィックス品質を「超高」にしたうえで,DLSSを有効化してテストを実行した。

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 見てのとおり,Ryzen 7 7800X3Dは,どの解像度でも圧倒的な平均フレームレートを記録した。Ryzen 7 5800X3DのフレームレートもCore i9-13900Kを上回ることから,F1 22は,3D V-Cacheが有効に機能する典型的なタイトルと言っていいだろう。

 以上,ゲーム性能を見てきたが,Ryzen 7 7800X3Dは,IntelのハイエンドCPUであるCore i9-13900Kを,ほとんどのタイトルで上回るゲーム性能を示した。並んだのはSpider-Man MM程度と考えれば,Ryzen 7 7800X3Dの圧勝である。
 このような結果は,ある意味で想定どおりだが,ゲーム重視のPCユーザーなら,Ryzen 7 7800X3Dは入手して損のないCPUであると断言していい。


驚異の電力性能を持つRyzen 7 7800X3D


 消費電力を見る前に,PCMark 10(Version 2.1.2600)の結果を簡単に見ておきたい。グラフ30は,PCMark 10をレギュレーション26.1に従って実行したうえで,Gaming以外のスコアをまとめたものだ。カスタム実行となるので総合スコアは計測されない。

画像集 No.043のサムネイル画像 / ゲーマー向けCPUの大本命「Ryzen 7 7800X3D」をテスト。Core i9-13900Kを上回るゲーム性能と低消費電力を両立する[レビュー]

 動作クロックが高くコア数も多いCore i9-13900KやRyzen 9 7900Xに及ばないという結果だが,Windowsの快適さを示すEssentialsで11000を超えたことは,特筆できる。10コア超のハイエンドCPUと変わらない快適さが得られるだろう。
 前世代のRyzen 7 5800X3Dと比べた場合,Essentialsで約9%,Productivity」で約15%,Digital Content Creationで約16%の向上をはたしている。Ryzen 7 5800X3Dよりも,一般アプリの性能が確実に上がっていることが確認できた。

 では,レギュレーション26.1に準拠した方法で,Ryzen 7 7800X3Dの消費電力を見てみよう。アプリケーション実行中におけるCPU単体の最大消費電力をグラフ31にまとめた。

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 Ryzen 7 7800X3Dのゲームにおける最大消費電力は,GoWで記録した約76.3Wだった。同じ8コアの前世代であるRyzen 7 5800X3Dは,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ実行時に約114Wを記録するなど軒並み100Wを超えているので,前世代と比べて大幅に電力性能が向上しているのは印象的だ。
 Ryzen 9 7900XがCoD実行時に約137.9W,Core i9-13900Kにいたっては,GoW実行時に約230.4Wをたたき出しているのに比べれば,実におとなしいCPUである。マザーボードの電源部に対するストレスも,圧倒的に小さいだろう。

 今回は作業時間の都合で,動画エンコードのようなCPUに高い負荷をかけるテストは実行していないが,3DMarkやPCMark 10には短時間ながらCPU全体に高負荷をかけるテストが含まれる。それらのテストにおいても,Ryzen 7 7800X3Dの最大消費電力は,余裕で100Wを切っている。CPU全体に高負荷をかけても,消費電力はその程度と見ることができるだろう。

 アイドル時の消費電力は,Windows 11 22H2以降,高くなりがちになっていたが,最近のアップデートで多少ましになったようで,Ryzen 7 7800X3Dでは10Wを切る成績を残している。ただ,ほかのCPUだと10Wを超えてしまっており,いまだWindows 11のアイドル時消費電力が安定したと言い切れない。そう考えると,Ryzen 7 7800X3Dはアイドル時消費電力も安定して低いと判断はできないだろう。

 次のグラフ32は,アプリケーション実行中の典型的な消費電力を示す消費電力中央値である。

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 Ryzen 7 7800X3Dのゲーム実行時における中央値で最も高かったのは,Spider-Man MMの約57.6Wだった。それでいて,160W前後の中央値を記録するCore i9-13900Kと同等以上のゲーム性能を持つのだから,Ryzen 7 7800X3Dの電力性能は極めて優秀と言わざるをえない。さらに,前世代比でも1割以上の低消費電力化に成功しているのも特筆できる点である。
 電力料金高騰のおり,ゲーマーが選ぶべき見本のようなCPUと言えるのではなかろうか。

 参考までに,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,各テストの実行時におけるシステムの最大消費電力をグラフ33にまとめておこう。

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 システム全体では,GeForce RTX 4090の消費電力が支配的になるが,Ryzen 7 7800X3Dの消費電力は,ほかのCPUに比べて有意に低い。アイドル時の消費電力も優秀だったので,電力コストを抑えたいゲーマーに嬉しいCPUということが言えるかと思う。


Ryzen 7 7800X3Dは,ゲーマーの第一候補となるCPU


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 Ryzen 7 7800X3Dのゲーム性能を中心に見てきたが,期待どおりの高いゲーム性能を持ち,なおかつ消費電力は抑えめという,ゲーマー基準では文句のつけようがない製品と言えよう。
 今回のテストに使用したGeForce RTX 4090のように,今どきのハイエンドGPUは極めてスループットが高いために,CPUの性能が表面化しやすい。かといって,ハイエンドGPUを使うために消費電力が高くて価格も高いハイエンドCPUを用意しなくてはならないとなると,導入コストや運用コスト面で少々きついというのが本音だろう。
 その点,Ryzen 7 7800X3DはハイエンドGPUの性能をフルに発揮させることができ,なおかつ価格や消費電力が常識的な範囲に収まるのが大きな魅力だ。

 悩ましい点があるとすれば価格だろうか。税込で7万1800円というメーカー想定売価は,Core i9-13900Kの実勢価格に比べて1万円ほど安価なだけだ。また,本稿で取り上げたRyzen 9 7900Xは,すでに価格がこなれていて6万円代前半で購入できる。言うまでもなく,マルチコア性能はこれらのほうが高い。つまり,ゲームがメインだが,高いCPUパワーを必要とする用途にも使いたいという人なら,Ryzen 7 7800X3Dは適切な候補ではない。

 Ryzen 7 7800X3DはゲーマーがゲームPC向けのCPUを選ぶときに,第一の候補となるCPUである,とまとめておきたい。

AMDのRyzen 7 7800X3D製品情報ページ

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    Ryzen(Zen 4)

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