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【PR】「ドルフロ ニューラルクラウド」正直レビュー。前作と続編の間に挟まるローグライクなスピンオフになんの意味が?
戦場と銃弾と硝煙と少女を模した戦術人形。
日本における擬人化ブームの潮流とはまた違い,シリアスでダークでどうしようもない世界観を引っさげて現れた「ドールズフロントライン」は登場以降,ゲーム業界に“終末嗜好”という名の打撃を与えた。
厳密には「ドルフロの影響ではない。俺はもとからだ」と宣言できる人は多いだろうし,ポストアポカリプスもの自体,古今東西のエンタメコンテンツでは手垢のついたものと言える。国や地域によっては「これが一番カドが立たない設計」という理知的な機能もあると聞くが。
それでも主にスマホゲーム界隈で右を見ても左を見ても終末世界ゲームばかりな情勢が続いてきた裏には,少なくともトレンドの立役者,もとい元凶,あるいは功罪を背負っているドルフロからの波及があったはずだ。その影響を受けなかったなどと言える人は少ないに違いない。
つまりこう,こういう感じでこう,わりとスゴいのだ。
そんなドルフロの新作で,サイバーな世界で過去の大事件を探るスピンオフ「ドールズフロントライン ニューラルクラウド」(iOS / Android。以下,ニューラルクラウド)が2022年11月24日に配信される。
ゲームジャンルは,じっくりと考えて進める育成ストラテジーな方向性から一転。気軽に一喜一憂してサクサク進めるローグライクシミュレーションにシフトする……らしい。端的には“よりカジュアルに”だ。
最も大きな違いは,銃器のモチーフを捨てたことだろう。
正しくは,銃を模した戦術人形ないし銃撃要素もなくはない。だが多くの人形はその名残を捨てて,1人の個人として生きている。
攻撃手段も銃撃以外の斬撃や打撃が大半だ。
前作最大のフックをすげ替えた大胆な転換。現在開発中の「少女前線2:追放」もその流れにあるが,正統続編がポジショニングするなか,人形が叩いて殴ってをする本作は,ちゃんとドルフロなのか?
それを言うなら前作と続編の間に挟まる,お気楽ローグライクの立ち位置もだ。これが生き別れの姉妹のように愛深き存在になるならいいが,場合によってはシリーズの忌み子にもなり得る。
そんな前例はイヤというほど見てきた。
だから今回はファンの利益のため,配信元の案件提供を受けつつも,慈悲なく,忖度なく,正直にレビューする。
★わしゃがなTVでも紹介! 気軽に知りたい人におすすめ!
「ニューラルクラウド」公式サイト
「ニューラルクラウド」ダウンロードページ
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※本稿ではα版=クローズドβテスト版相当のプレイ環境を使用しており,ゲーム画面もすべて開発中のものとなります。
ニューラルクラウドの世界はなんなんだ?
まずはゲームスタートの流れと並行して,世界観をひも解こう。
■シリーズ未経験者向けの必修事項!
○人形(にんぎょう)
人を模した命なき鉄の塊。自律人形。少し先(ドルフロ)では,素体に銃の概念を烙印して戦争道具にしてやろうぜな「戦術人形」が普遍的になるが,昔は「メンタル人形」として,人々の社会生活を手助けするお役立ちロボットも多くいた。
○指揮官(しきかん)
あなただ。人形を管理・運用する現場監督。立場は低め。
○教授(きょうじゅ)
これもあなただ。ゲームを開始すると呼び名が変わる。
○42Labと16Lab
すごい研究所。ペルシカというケモミミのリケジョが顔役。
2057年,最先端の研究機構「42Lab」がスーパークラウド「マグラシア」を用いた「ニューラルクラウド計画」,つまり人間や人形の意識をデータ化することで電子世界に生きよう計画が開始された。
近年,メタバースに恋い焦がれる我々にも身近で憧憬な概念だ。
2060年,42Labが計画を実行。主導者「教授」とともに参加した人形たちはメンタル(いわば魂)をアップロードするが,事故が発生。それらの意識は電子の海に流され,帰らぬものとなった。
以降,臭いものに蓋をされ,現実は紛争地獄に明け暮れる。
2063年,「ペルシカ」博士が2057年に設立した研究機構「16Lab」の調査により,マグラシア内のデータ異常が発覚。彼女は友人であった教授や人形たちを救助するべく,「指揮官」にマグラシアでの全権限を与えて,新たな教授としてニューラルクラウド計画の真相を探るよう頼む。
なお,マグラシアに入ったら最後。現実世界との連絡はいっさい通じなくなる。そのうえで囚われの者たちを救い,導き,電子世界のどこかにある“現実に戻る手段”を見つけ出さなければならない。
帰り道は保証しないが,帰りの切符は自前で用意しろ。でも長い旅になるからどうにかなるだろう。グッドラック指揮官,いや教授。
か〜ら〜の〜,意識がマグラシアに移された直後,説明もなしに戦闘チュートリアルがはじまる点は「分かるか? 1と2の行間を読め」とばかりに空気を読む力が求められるが,それはさておき。
ファン目線なら,シリーズとの関連性は「ここマグラシアだから。このころ現実で暴れてるグリフィンとか鉄血とか関係ないから」ですべて済むため,この先なにが起こっても違和感はないだろう。
関連情報をリセットしてゼロベースではじめる作中舞台として,あとはピザのトッピングのように後付けのうま味を期待するだけだ。
一方,シリーズ未経験者に「ほかとの関連性はないから安心して遊べるよ」とお決まりのセールス文句を伝えるのは気が進まないが,少なくとも前作をまるで気にせず遊べる下地はちゃんと整っている。
だから安心して遊ぼう,などとお決まりのシュートはしておく。
端的にまとめると「メタバース頓挫で残された人形とかヤバい状況かもだから,意識飛ばしてがんばって助けてきて! もう連絡できないし帰れないかもだけど!」といったサイバーサバイバルである。
マグラシア内では,所在不明であった人形たちがちゃんと生きていた。しかし,女性型も男性型も含めた人形たちに残された最後の故郷,マグラシアにおける唯一の基地「オアシス」は戦火にあった。
この世界は「セクター」と呼ばれるエリアで区分けされ,各セクターは現状,独立した仮想都市国家のような性格で形成されている。
それらを守護するのがウイルス対策プログラム「浄化者」であり,彼らはマグラシアのセキュリティを担っている……はずであったが。
浄化者「浄化!」
浄化者「浄化,浄化!」
浄化者「浄化,浄化,浄化!」
自らのアイデンティティを呼称してくれる,メカメカしい姿形の浄化者らは下位・中位・上位の厳格な組織体系を敷き,上位浄化者は「リバベルタワー」に陣取って,過去の命令を遵守している。
そうして,この世にイレギュラーに居座る人形たちを狩っていた。
長らくマグラシアに取り残されていた人形たちは,ここで生きるため,我々で言う粒子的な,電子世界を形作る物質「オペランド」を確保して,武具や損傷した身体を直している。オペランドがなくなれば生存も難しいというから,ある意味,人形たちのほうもサバイバルだ。
物語を導くのは,人たるペルシカ博士が自らの姿形をモデルに開発したAI研究用人形「ペルシカ」。博士は自嘲気味に「性格は全然違う」とおっしゃるが,よく見比べると形状も似ていないところがある。
そのほか,中二病の引きこもりオタク……コホン。戦艦やロボが大好きなメカニックで,体より大きなイージスの盾で仲間を守る「クロック」,大型刀という,それだけで笑みがこぼれてしまいそうな近接武器を振るう,元気はつらつなお姉さん「ソル」が脇を固める。
マグラシアの現状はシリアスだが,雰囲気は和気あいあいだ。
そうじゃいられなくなるときも多いが。
■「ペルシカ」
■「クロック」
■「ソル」
補足として,教授こと指揮官(男女アバターあり)はグリフィン&クルーガー所属で,ペルシカいわく“経験豊富な人材”とのこと。
ドルフロのメインストーリーのスタート地点が2062年であることを踏まえても,かの新任指揮官と同一人物かは不明だ。
人格があり,台詞もあるが,どんな理由があって生きて帰れるのかも分からないマグラシアに飛び込んだのかはまだ謎だ。
物語開始の時間軸は“ドルフロ第一戦役の中盤あたり(関係者談)”とされるため,現実で最悪な地域に割り当てられた指揮官だったり,このへんからはじまるドンチャカ騒ぎでの身の置きどころだったりを考えると,死に場所としては幾分か気が楽か。まあどっちもどっちか。
ちなみに,ゲーム進行を丸々体験する20分〜30分ほどのチュートリアルの長さ,ひいてはリセマラの鈍重さは人によっては難点だ。
一期一会で割り切れない人は,相応の持久走を覚悟しよう。
※2022年11月21日19時頃,記事初出時の一部表記を修正いたしました。
ニューラルクラウドのバトルはなんなんだ?
続いては,ニューラルクラウドのバトルに迫る。
本作の戦闘は“人形の編成がキモで,あとは自動戦闘を眺める”といったものである。概念的にはドルフロと大して変わらないが,形状的には大きく変化しており,3DモデルのSDキャラたちがワチャワチャ戦うさまを,クォータービュー(見下ろし視点)で見ていく。
ステージの進め方はあとで説明するとして,探索(ミッション)中はHPなどの状態を引き継ぎ,何戦も出力端末(戦闘)する形式だ。
人形には「ファイター(攻撃)」「ガード(守備)」「シューター(牽制)」「ユニーク(補助)」「メディック(回復)」の種別が存在し,それぞれ名称に即した挙動で戦ってくれる。
また戦闘開始前,教授は一部隊の計8人形から“5体だけ”を盤面に配置していく。なお,控え人形は戦闘には参加しないし,サブ枠もゲーム進行に応じて開放されるため,序盤は気にしないでいい。
そして最後に戦闘開始ボタンを押したら,戦いを眺めるだけだ。
人形は戦闘中にやられても“手持ちのユニットをロストしない”。次の戦闘前にわずかにHPを回復して復活までしてくれる。ドルフロの鋭すぎる仕様は置いてきたようなので,安心して戦闘不能にしていい。
ちなみに設定では,人形たちのメンタルはオアシスにバックアップしておけば,頭や体を失っても復活できるという。ただバックアップ時は初期状態にリセットされ,記憶や経験のいっさいを失うらしい。
それが死となにが違うのかは,賢明な思想家の頭脳に委ねよう。
戦闘中に考慮すべき点は,以下の項目である。
・「HP」:なくなれば戦闘不能/ロストなしで次戦闘時に復活
・「エネルギー」:人形ごとのオートスキルゲージ/自動充填
・「戦術ポイント」:戦術スキルの発動時に消費/自動充填
・「オペランド」:部隊共有の必殺ゲージ/攻撃・被撃で充填
・「効果グリッド」:初期配置すると恩恵があるマス
人形たちは移動&通常攻撃をはじめ,エネルギーが満タンになると勝手に攻撃・回復スキルまでも行ってくれるため,戦闘はかわいらしい人形の姿を見守っていれば終わる。ゲームを進めると「倍速」「AUTO」機能も開放されるので,たしかにカジュアル寄りな設計だ。
また,オペランドを消費する必殺技は“全キャラクターに個別のアニメーション演出”が用意され,テンポを損なわないようにか尺は短めだが,ぽてぽてと歩くSDキャラがいきなり等身大になってクールな必殺技を放つ,変身モノの変身バンクのような愉快さがある。
このように。本作は分かりやすく,誰でも手放しで遊べるバトルになっている……とするのは美辞麗句だけにしておこう。
システムの羅列だけだとお気軽に見える自動戦闘だが,チュートリアルをちょっとでも遊べば,ゲームに慣れた者はすぐに感じ取れる。
戦闘中の要素を分解すると,ニューラルクラウドはカジュアルなんてものではなく,むしろドルフロより操作が忙しい代物だ。
事前に考えるのは初期配置だけ。
敵味方は完全自動で動いてくれる。
あとはジーッと眺めてれば試合終了。
というのも決して間違いではない。間違いではないが,これはあくまで「ほらほら! このゲームは誰でも遊べますよー!」と,導入部分だけ切り取って親切そうに呼び込むためのキャッチセールスである。
こう強弁する理由は「戦術スキル」と「必殺技(オペランド)」の2点にある。言ってしまえば,半自動戦闘で手動スキルをポチポチするだけなのだが,それだけのことが恐ろしいことになっている。
もう一度言う。ドルフロなどに慣れた者なら,チュートリアルの時点で「あっ,これ,難度あがったらヤバいやつだ」とすぐに気付く。見ていればいいだけのハイテンポな自動戦闘はそのうち一転して。
「こっちの人形やられちゃうから戦術スキルで逃がして! いやでもそうするとこっちの子がタコ殴りになるし! やーでも敵の遠距離射撃は潰したいし! もう0.5秒ごとに一時停止しないと間に合わないし!」
みたいな。秒刻みの操作をリアルタイムで練り直しまくるプレイが将来的にやってくるであろうことを,チュートリアルでの優しい優しいバトルの時点で,大半の人が想像できてしまう親切設計だ。
実際,ストーリーをちょっと進めるとそのとおりになる。
戦闘中はまあまあな速度でたまる,初期上限20の戦術ポイントを使って戦術スキルを操る。なに,イタズラ好きな妖精のようなものだ。
序盤は,人形1体を任意の位置に飛ばす「ワープ」(8戦術P),敵味方1体を3秒間だけ行動不能にさせる「上昇気流」(10戦術P),人形1体のエネルギーを満タンにしてスキルを即時使用させる「チャージ」(15戦術P)が開放され,3種とも自由に使用できる。
なお,ゲームが進むとワープやチャージに付加効果を与える戦術スキルツリー「機動戦略」のほか,直接攻撃やターゲット(人形たちは自動で動くので戦術スキルじゃないとフォーカスできない)など,より攻撃的なアクションを行使できるツリー「武装強襲」が開放される。
1戦闘に持ち込めるツリーは1種のみで,使える戦術スキルもそれぞれ3つまでだが,選択の悩ましさはなかなか。といってもしばらくは「〜〜のほう使ってね!」と言わんばかりのマップが続くので心配はいらない。それを読み取れずに選び間違えてもボロ負けするだけで済む。
これのなにが大変かと言うと,通常攻略では見ているだけの軽快で爽快なバトルが,窮地では一転。「操作も思考も追いつかねえ!」と追い立ててくる恐ろしきライブ感を生み出し,動画をコマ送りで見るような対応で,一瞬一瞬の操作を要求させられる。そうしないと負けるのだ。
戦術スキルはAUTO使用も可能だが,ギリギリの1戦では最適解をなぞってはくれず,このときばかりはワチャワチャ動いて捉えきれない人形たちが,駄々をこねて暴れる子供のように見えてくる。
今回のα版でも,序盤からサクサク快勝超快感! なんてことはない雲行きの怪しい難度を体験できたため,絶対に,確実に,難しい。
本作がカジュアルに見えるのは,しょせんはウリのためのガワだけで,進めば進むほど,息を止める戦いに臨むことになる。
■戦術スキルその1「機動戦略」
■戦術スキルその2「武装強襲」
それとオペランド。これもまた悩ませてくる。
こちらもいわば“誰の必殺技を放つかどうか”でしかないのだが,面白いのが「必殺エネルギーは部隊共有」というところ。
オペランドゲージは攻撃・被撃を通じて充填されていき,2回発動分までストックできるが,序盤は特殊バトルでもなければ「1回の探索で2回放てるかどうか」くらいだ。1戦ではない。何戦もあるなかで2回程度。ゲージ自体,満タンにするのがわりと一苦労なのである。
そしてほかのゲームのように,キャラA→キャラB→キャラCの順に連続発動するなどして形勢逆転を狙いたいが,本作では。
「このボス戦で撃てるの,5人中2人までかあ……」
「ここは単発必殺技で……いや範囲必殺技で……」
「ああでも回復しないと,もう死ぬかもだし……」
「あとでもう一回ゲージ,たまんないよねえ……」
冷たい取捨選択。どう考えても気楽に専用アニメを見せる気などない。見たいがために投じれば戦況の解釈次第でお陀仏。その瞬間,誰のどの必殺技を放つべきか,たったそれだけのことで悩ませてくる。
といっても,ゲーム最序盤に限ってはどこで誰の必殺技を発動しようと致命的なことはなく,専用アニメで目を潤せばよいのだが。
そのうち,死地の窮地で,取捨選択のジレンマに襲われる。
間違っても問題はない。ボロ負けするだけで済む。
一般的なゲームなら,大したことのない手動スキルの操作。
普通に遊んでいると,快感でしかない高速自動戦闘の爽快感。
それらが逆に牙をむいてくるこのバランス感。恐ろしい。
このあたりは“意図的に調整されたゲームバランス”だろう。
事実,戦術スキルやオペランドの選択中は「ゲームスピードが反転してスローモーション」になる。つまるところ,ヤバいときはスローしまくりでがんばってねという,速さは殺せとのお達しなのだ。
さらに戦闘時間の経過に応じて「戦闘オーバーロード」が段階的に発生する。これは盤面の全敵味方の攻撃力を上昇させ,HPを守るシールド効果は低下し,決着が無理やり加速させられるものだ。
よくよく見れば,ボス名称のうえに敵スキルのクールタイムが表示されていたり,多くのスキルに確率や時間の制約が書かれていたりと,それこそドルフロさながらな細かさがある。そういうのを気にしないでいられるヒナ鳥の時期をすぎたら,真剣な顔で綿密な計算と向き合う。
今一度。それでいて本作は見ているだけの自動戦闘で,サクサク進めたり集めたり育てたり楽しい! できたりすると言っておくが。
すでに指揮官な者は,最初から“いつものやつ”をイメージしておき,ギリギリまで攻めてくる限界戦線にメンタルを備えるほかない。
探索とか人形とか小言とかはなんなんだ?
ニューラルクラウドの「探索」,すなわちミッションは“ローグライク系の探索マップ”で取捨と乱数に惑わされる。
要は,ランダム要素に振り回されるすごろくと思ってほしい。
探索マップには,戦闘が起こる「衝突エリア(初級・中級・上級)」,ランダムイベントが発生する「異常エリア」,部隊を回復できる「修復エリア」,下記の関数を手に入れられる「関数ライブラリ」「交易エリア」などがある。進む先は分岐しているため計画性も重要だ。
また進行具合に応じて,探索全体の「敵レベル」が上昇し,遭遇する敵キャラクターの能力値がアップしたりもする。
このうれしくないプレゼントの考案者は誰だ。出てこい。
キーとなるのは,バフ効果「関数」だ。これは戦闘勝利や関数ライブラリでの確定入手,交易での購入やイベントマスでランダムに確保でき,人形の種別ごとにさまざまな追加効果がもたらされる。
どっちを取る? どっちかだけだよ。
ファイターの攻撃力 or シューターのクリティカル率。
ガードの反撃威力 or ユニークの回避性能。
メディックのスキル加速 or ユニット戦闘不能時のバフ。
こういった二者択一を重ねていき,最終的に関数連鎖(バフのコンボ)を狙うか,効果の深さより適用人形の多さを狙うか,一度使うとなくなるが強力なアクティブ関数をそろえるか,そもそも欲しいもんが一個も出てこなかったなどなど。進むたびに一喜一憂させられる。
簡単なTIPSを挙げると,下記のようになる。
■関数の一覧
■関数の一例
「青」関数(1段階目):ファイターの攻撃力10%UP
「紫」関数(2段階目):ファイターの攻撃力20%UP
「橙」関数(最終段階):ファイターの攻撃力40%UP
■関数の入手方法
・関数は向上バフ。アクティブ関数は消費アクション
・基本は青関数ばかり。候補の種類や枠色はランダム
・青関数は「衝突エリア(初級)」から入手
・紫関数は「衝突エリア(中級)」から確率入手
・橙関数は「衝突エリア(上級)」から確率入手
・同一の青関数を取得すると,紫関数に昇格
・同一の紫関数を取得すると,橙関数に昇格
・所持可能な関数は「10種類まで」など数制限あり
※2つの関数で昇格した関数は「1種」で計算
→できるだけ,紫 or 橙への昇格目指して重ねる
→でも運次第だから,多種多様な青ばかりもよくある
探索では関数以外にも,人形のHP状況によって回復優先としたり,関数とは別のバフ・デバフ「プロトコル」で泣かされたり,ストーリーボス専用の進め方があったりと,こまかな判断がとにかく多い。
ルート選びによっては,戦闘1回でボス戦に行けたり,計8戦のボロボロ状態でボス戦に入ったりとこちらもさまざま。
ただ,戦闘をさけすぎると関数が集まらず,戦術ポイントやオペランドのゲージためもできないので,考える点はいっぱいだ。
とはいえ,これらはあくまで“サクサク5分でクリアできる1探索中のランダム要素”でしかない。関数がまったくなくても部隊が強ければ問題ないことすらあるので,事細かに覚えるより,まずはなんとなくの体験を積み重ね,自分なりのスタイルを見つけるのが最良に思えた。
そのうえで難癖をつけるならば,ストーリー3章にもなると回りくどい効果の関数やグリッドの種類がどんどん増えていって,それらの説明文を読んでも意味が分からなくなってきて,結局「よぐわがんねえがら,人形の暴力で解決すりゅ!」と思考停止させられたことだ。
まあ,RPG的な育成戦略でごり押しできる道筋もある探索システムは,良くも悪くも“濃いめの味付けな面白要素”といったもの。そのうち,最適な関数を重ねないと全滅必至で,乱数に泣かされるステージも出てきそうだが,当面はすごろくを楽しむだけでよさそう。
ちなみにスタミナ相当の「キー」は探索挑戦時は1消費などで済むが,探索報酬をもらうとき“持ち帰るアイテム量に応じてキーを消費する”。入場料は最低限,お土産が欲しけりゃ払いな,というわけだ。
周回も気軽にできる作りで,探索中の進行ルートを事前に設定できる「計画モード」もあるものの,どうせならキー消費倍で周回控えめな遊びができると楽なのだが……周回は文化。ドルフロの周回は文化。軟弱なワンプレイの奇跡に頼らず,周回強度を高めろという啓示だ。
さて,ホーム画面にもコンテンツが盛りだくさんである。
探索以外ではまず「オアシス」がある。これは“基地の箱庭作り”のようなもので,敷地内に施設を建てて,レベルアップさせていくことで,さまざまなリソースを時間経過で回収できる。
詳しい追求は遊び尽くしたあとにやればよさそう,くらいの温度感なので,ゆっくりちょこちょこ手をかければ問題ない気がする。
なお,ホーム画面やオアシス画面の背景には「天候シミュレーター」が適用され,リアルの世界地図で思い思いの場所をスポットすると,現地の時間・天気をゲーム内に適用することができる。
日本に設定し,朝遊べばゲーム内も朝だし,雨の日なら天候も悪いし,ほかの地域に合わせれば朝に夕方の雰囲気で遊べたりもする。
しかしスポットに気付かず,普段ゲームを夜しか遊ばない人だと「僕のニューラルクラウド,ずっと夜なんですよね……」などと,サンボーンジャパン関係者のような状況になるはずなので注意しよう。
人形に関しては,ドルフロと違って一般的なガチャシステムが採用されており,「人形検索」の名で,マグラシア内でまだ遭難している子たちを探し当てることで入手していく。
人形には「42Lab」「スヴァローグ重工」「最終生命」「サイバーメディア」「UAS」と,それぞれ企業背景を持つブランドが存在し,これらの特色が生かされている……かまでは現状,調べていないので,関連テキストを網羅すると面白いつながりが見えてくる雑学だと思っている。
人形自体のステータスもいろいろあるが,各数値を体感できるほどにまでリアル成長するまでは,それほど気にせずともよい。
攻撃力は物理,演算力は魔法。これだけ把握しておけばOKだ。
持ち前のスキルは「パッシブ」「オート」「必殺技」とあり,だいぶ進んだ先でスキルレベル上げができるようになる。
今回試せなかったほど先の話なので,当面は気にせずともよい。
初期レアリティもそりゃ高いほど強いが,全ステータスや必殺技の開放&必殺レベルを上昇させる「メンタル拡張」は,編制拡大よろしく高レアになるほどツラいため,そこはプレイスタイルと相談だ。
このほか重装部隊的なパズルの組み合わせ強化「算法」,イラスト背景やプロフィールが解禁される「親密度」などもある。
ニューラルクラウドには多数とは言えないが,男性人形も普通にラインナップされているためイケメン人形集めもはかどる。
ちなみに中国版では周年企画で「416」(コードネーム:クルカイ)も登場しているそうな。できれば今後は「よんいちろくって,だぁれぇ?」と不思議がるシリーズ未経験者にも,下から目線で優しく教示してあげられる,そんな教授になってほしい。
最後にゲーム攻略に関するアドバイスを。リリース時にお祝いでもらえるであろうゲーム内通貨の使い道は,人形に投じるでもいいが,できれば“1-5クリアで開放される補給所の育成素材に当てる”こと。
これ自体はほかのゲームでもよくある序盤攻略の選択肢だし,環境が分からないうちはキャラガチャを重視して,育成面に投じるのは控えめにしたいだろうが。せめて初期メンバーで末永く付き合えそうなペルシカ,クロック,ソル,あるいはご祝儀一発で引き当てた高レアには,1-5のクリア後,経験値素材を買い,最速でレベル10にしてほしい。
楽に進むためではない。「進むため」に必要なのだ。
この理由に関しては,1-5までくると自ずと実感できる。とにかく敵が強いのだ。編成次第ではそうでもないかもしれないが,たとえ高レアオンリー部隊で挑んでも1戦1戦,気が休まらなくなってくる。
人形のレベルは戦闘経験値が存在しない。素材でのみ強化可能であり,最序盤は収集量も渋い。1-5の先に進めば経験値の稼ぎ場を利用できるが,人によっては「そこまでがムリ」な可能性もある。
しかし,最速で経験値つぎ込み殺法を繰り出せば,正しく“(しばらくは)爽快で余裕な自動戦闘”をようやく味わえる。
そこからの短い区間だけが,教授の唯一のオアシスなのだ。
まずは手ごろな「新任パック」などをいくつか買い,部隊内の人形を初期上限のレベル10にしよう。これが最低限。あとはミッションクリアなどで手に入る素材でレベル上限を引き上げ,たんまりと余裕のある経験値素材で一気にレベル20にしていく。なお,レベル30を目指すころには素材も枯渇するので,そこから先は要相談。それでも最善の立ち上がりはおそらく……いや絶対にこれであり,これをしなければ口から苦痛をもらしながら敗北を重ね,土をなめるようにして物語を進めるはめになる。
最初の初期投資は経験値。絶対これ。見えない将来よりも目先の育成に投資して,万全で心健やかなレベルの暴力を完成させよう。
それでも,2章くらいからもう戦闘倍速は封印気味になるが。
■ゲームを楽しく進める鉄則!
・とにかく「経験値」稼ぎ! 経験値は命の水!
・とにかく潜在能力特訓でレベル上限を「突破」!
・とにかく欠片捜索などして「メンタル拡張」!
・「算法」はできるようになってから考えよう!
・1日5回までの「支援人形」に久々に頼ろう!
結論:プレイが軌道に乗るまで,キツいと思ったときの打開策の割合は,育成8:操作2。とにかく育成。筋肉がものを言う。レベルの暴力が通じるまでは育成で押し通し,それができなくなってからニューラルクラウドを味わおう!
そうじゃなくて,そういうことじゃないんだと言いたい人は,どうぞ上記の忠告を無視して挑んでみてほしい。お望みどおり,ゲーム序盤から地獄めいた緊迫感のある戦闘で胸がいっぱいになるはずだ。
ニューラルクラウドはドルフロのスピンオフとして,最も分かりやすい形で異なる舞台を用意し,ファンにも未経験者にも違和感のない新たなストーリーで,さらなるゲーム体験を届けようとしている。
全般的にユーザーインタフェースやヘッドアップディスプレイの操作などで,こまごまと突っかかってしまう不便さはあるが,ストレスにはならない程度。アプリ自体の挙動が軽快ですばらしいものがある。
また,そのうえで重たーい物語に関しても,そう遠くない段階で胸をズシッとさせてくれるため安心してよい。
そしてゲーム内容や設定面などで変わった部分は多いが,そのなかでも変わっていないこと。「ゲームが相変わらず難関でムズい」ということ。いろんなものが変わっているのに,ゲーム難度の苛烈さはまるで変わっていない。まるで丸まっていない。遊びやすく尖ったままだ。
本作は高難度をうたって,ゲームが苦手な人を切り捨てるのではない。涼しい顔して「まー,ちょっと難しいところもあるかもですー」くらいの爽やかさで,無自覚で言ってのけているだけだ。骨身の芯からそういう人たちが,こういう風に作っただけなのがよく分かるはずだ。
ゆえに生まれる戦闘面での刺激的な試行錯誤は,ゲームなればこそ本気になって挑まなければ味わえない感情を与えてくれる。
1戦闘で10回までリトライできる親切なリプレイ性の高さには,できることならお世話になりたくなかったが,戦闘自体が短時間で済むことで,人形の配置や必殺技の有無を手軽に試行錯誤できるため,最強編成で無理だったところを知恵で打ち破れたときの達成感はかなりのもの。
スマートで,スピーディで,誰でもお手軽に遊べる機能面を充実させ,さらにカジュアルさまで醸し出した。けれど,攻略が簡単だとは言っていない。誰でも遊べるが,誰でも楽々だとは言っていない。
表の世界では,AR小隊と鉄血がぶつかりはじめたころ。残りHPミリでどうにか勝ちきらないといけない場面ばかりが襲い来る時代だったが,マグラシアでも似たような過酷なバトルが待ち構えていた。
実際,CBT時点で「おまえら,燃え尽きる気か……?」と言いたくなるほどテッペンまで遊びきっていた人がチラホラいて,教授候補の強火っぷりはすでに疑いようもない。望んだものはもうすぐだ。
ようこそ指揮官。いいや教授。新たな電子の地獄へ。
君たちは昔から,そういうのが好きなんだろ?
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