インタビュー
[TGS2022]「超探偵事件簿 レインコード」のキーマン,小高和剛氏にインタビュー。“2020年代のエポックメイキングな推理ADV”を目指す新作について聞いた
東京ゲームショウ2022の会期に,そんな話題のレインコードについて小高氏にインタビューをする機会を得たので,その内容をお届けしよう。
4Gamer:
レインコードは,トゥーキョーゲームス立ち上げの発表時点でコンセプトアートが発表されていましたが,企画としてはいつごろから動いていたんでしょうか?
小高氏:
企画自体はスパイク・チュンソフト在籍時からありましたね。
2000年代の「逆転裁判」,2010年代のダンガンロンパじゃないですけど,時代ごとに推理アドベンチャーのエポックメイキングな作品ってあると思っているんですが,2020年代のそういった作品を作りたいなと。
それで企画をスパイク・チュンソフトに出して,僕はトゥーキョーゲームスとしてまた新しい形で制作を始めました。
4Gamer:
世界観について聞かせてください。トレイラーを観て,ゲームの舞台となる街がとても印象的でした。ダンガンロンパよりも,もう少し現実寄りになっているというか。
小高氏:
時代的な部分だと現実と同じ2020年くらいの設定ですが,日本でもなければほかの国でもないイメージです。なので,現実寄りかと言われるとちょっとそれはどうかな? っていう感じです。でも,3Dになったぶん,そういう印象は強くなったのかなとは思いますね。
4Gamer:
ネオンきらめく街並み,超巨大企業の支配にあるという背景を持つサイバーパンク的にディストピアな街も興味深いのですが,先日の発表で気になったのが“雨”が強調されていたことです。タイトル名にもあるように,雨はやはり作品の重要なキーワードになるんでしょうか。
小高氏:
もちろん設定的な部分でもキーになるものではありますが,それよりまず“探偵モノだったから”っていうのが大きいですね。
探偵モノってどんなイメージだろう。探偵って何が似合うだろうと考えたとき,霧がかったロンドンのようなダークな雰囲気の街を背景に,雨の降る中でレインコートを着て立っている……というのがやっぱり絵になるなというのがあって。
4Gamer:
とてもよく分かります。すぐにイメージできますね。
小高氏:
ですよね。それで,その雨が降り続けるダークな雰囲気の街に,さらにオリジナリティを出していきたいと考えたとき,雨に濡れた路面にネオンの光が反射するサイバーパンク的な絵がいいなと。あと,雨が降り続ける街だから,道路には排水溝がたくさんあるんですよ。
4Gamer:
そういった細かい部分も,街並みでは表現されているんですか。
小高氏:
ええ。街はどんな文化圏にあって,そこに暮らす住民たちはどんな生活をしてるんだろう。どんな通貨を使っているんだろう。街にはいくつかエリアがあるけど,スラム街に金融街といったように行き交う人やその街並みは全然変わるよね……みたいに。
3Dでその街並みを作るわけだから,イメージボードも膨大になって,非常に時間がかかりました。
4Gamer:
物語的なところではなく,街の背景にあるストーリーも気になりますね。
小高氏:
とはいえ,がちがちに設定しちゃうと重くなっちゃうので,そこは気をつけました。
「この世界はどうなっているのか?」とかはふんわりと,気になる人は調べてたり,考察したりして楽しめるけど,じっくり読み解かなくてもゲームは進められるよう,ゲームの世界への入りやすさ,みたいなところは心掛けていました。
4Gamer:
推理アクションアドベンチャーとありますが,アクション性はどれくらいなんでしょうか。
小高氏:
いえ,アクションっぽくなっているかといったらそうでもなく,アクションが難しくてクリアできないことはないです。
そもそもレインコードは,ビジュアルノベルゲームの面白さをそのままに,それを3Dゲームでやるっていうコンセプトで,それができてこそ次世代の推理アドベンチャーになると思って制作しているタイトルですから。
4Gamer:
では基本的に,ダンガンロンパのように会話で進む場面も多いんですか?
小高氏:
ええ,その辺りは変わらないですね。ダンガンロンパと同じく話が長いというか(笑)。
ダンガンロンパはそれを立ち絵の表情でやってきたけど,レインコードは3Dだからもっとキャラクターのお芝居というか動きがあって,あまりビジュアルノベルゲームをしない人でも視覚的に楽しみやすくなっていると思います。
4Gamer:
基本的なゲーム進行は?
小高氏:
それもダンガンロンパに近いと思ってもらって大丈夫です。大きなストーリーが進む中で,一つ一つの事件が章仕立てのような形で発生し,それを捜査してダンガンロンパの学級裁判みたいな感じで「謎迷宮」で謎を解き,事件が解決したらまた次の話に進むという。
4Gamer:
謎迷宮が気になっていました。これはどういったもので,どんなコンセプトを持って生まれたんでしょう。
小高氏:
これが言葉だと全然伝わらないというか,開発スタッフに話しても通じないくらいなんですよ(笑)。なので,今後の情報展開をお待ちいただきたいところではあるんですが,コンセプトの話で言うと,先ほどの2020年代のエポックメイキングな作品を目指しているという話につながります。
4Gamer:
詳しく知りたいです。
小高氏:
逆転裁判の法廷バトル,ダンガンロンパの学級裁判のような謎解きのメインのようなものなんですが,それをアクションゲームのステージやRPGのダンジョンのような表現にしてみたというか。
アクションやRPGって,ステージの奥に進むと背景が変わっていくし,立ちはだかる敵やトラップも変わりますよね。謎迷宮は“謎を具現化したダンジョン”みたいなところで,謎を解くことで場面が変わり,立ちはだかる謎も変化していく。そんな場所なんです。
4Gamer:
それはダンジョンである謎の数だけ雰囲気も変わるでしょうし,それが変化していくと考えるとビジュアル面はかなりのボリュームでになりそうです。
小高氏:
そうですね。ビジュアルは凝っていて,謎によってその具現化の仕方が違うし,それだけに使い回しが効かないワンオフのものになっているので,おっしゃるとおりものすごい物量です。
一通りできているんですが,それをワンシーンごとにブラッシュアップしていかなければならないので,これも相当大変だったりします(笑)。
4Gamer:
キャラクターも見た目からして個性的で。
小高氏:
主人公のユーマはトレイラーの印象通りかなと。探偵見習いで,記憶をなくしたオドオド少年です。
超探偵たちは,未解決事件撲滅を目指す特別な組織みたいなもので,各々に二つ名があり,捜査に特化した特殊能力を持っています。
4Gamer:
そのあたりは,「超高校級の」に近いイメージですね。
小高氏:
そのような感じです。で,主人公は見習いだから,超探偵のような特殊能力はないんですね。そこで,能力の代わりじゃないですけど死に神ちゃんと共に行動し,時に超探偵と協力して事件に挑むと。
4Gamer:
その死に神ちゃんのことも聞きたかったです。トレイラーを観てとても可愛いくて,彼女のことをもっと知りたいと。読者にも多いと思います。
小高氏:
そうなんですよ。かわいいんです。そしてエロチックなところもまた魅力的で。
死に神ちゃんは,“マスコットとバディとヒロインをひとまとめ”というコンセプトがあります。
ダンガンロンパのモノクマって敵だったけど,ああいうふうに人をおちょくるようなマスコットがバディにいると楽しいなと。それで普段は人魂なんだけど,謎迷宮に入るときはヒロインとしてかわいい女の子になるというキャラクターができました。
4Gamer:
いいですね。女の子姿は言わずもがなですが,人魂姿もマスコットとしてかわいいなと。死に神ちゃんがどんな存在なのかさらに興味が湧きました。
小高氏:
死に神ちゃんは探偵に取り憑いて何百年も生きている存在で,「ユーマを立派な探偵にしてやる」とか言っていろいろやるんですが,人間の常識にとらわれず無茶苦茶なことをしてしまう。いわゆるトラブルメーカーで。それにユーマが振り回されるというのが見どころです。
4Gamer:
あのビジュアルを見て,振り回されたいなって思いました。
もっと掘り下げたいところですが,話題を変えて。ゲーム全体のボリュームとしてはどれくらいなんですか?
小高氏:
そうですね。プレイ時間で言うと40時間から50時間くらい……かな。
メインストーリーもボリュームたくさんあるし,サブクエストみたいな要素もあります。あと,全部じゃないけどほぼほぼフルボイスで,ドラマの部分もしっかり作っているので,ボイス込みでそれを楽しんでほしいと思うとそれくらいになると思います。
4Gamer:
おお,サブクエストもあるんですね。
小高氏:
そうなんですが,ただ,遊んでくれるのかなあとは思います。僕たちの作品って,ゆっくりじっくり進むっていうより,急かされるようなゲームの作りになっているから(笑)。
「メインストーリーが気になってサブができない」ってくらいメインの物語に夢中になってくれることは嬉しいですけどね。
4Gamer:
最後にゲームファンにメッセージをお願いします。
小高氏:
作っている人が一緒なんだから,無理にダンガンロンパじゃないものにしようとすることはないと思っていて。それがファンが安心して遊べる部分になっていると思います。そこに3Dになって変わったことや,新しい世界の物語やシステムがあるので,コアなファンでも新鮮な体験があるから,それに期待してほしいですね。
ダンガンロンパが持っている毒々しさや恐さは内包しつつ,それを多方面から遊べるような間口の広さや遊びやすさがあるので,謎解きに興味がある人,キャラクターや雰囲気が気になったという人は怖がらずに手に取ってほしいです。そういった情報もこれから出していくので,ぜひ追いかけてほしいですね。
このゲームで2020年代の推理アドベンチャーのビッグウェーブを起こしたいと思っているので、期待してください。
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