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印刷2023/11/22 08:00

プレイレポート

[プレイレポ]「DYSCHRONIA: Chronos Alternate - Definitive Edition」では,世界を俯瞰し,隅々まで味わい尽くす体験が楽しめる

 シネマティック捜査アドベンチャーゲームを謳う,Nintendo Switch用ソフト「DYSCHRONIA: Chronos Alternate - Definitive Edition」が,本日(2023年11月22日)にイザナギゲームズから発売された。

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 本作は,VR用タイトルとしてリリースされた「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」(Meta Quest 2 / PS5)の非VR版だ。VR版で順次リリースされていた3部作がひとつにまとめられ,さらにNintendo Switch限定シナリオが追加されている。

 開発は,VR版及びNintendo Switch版ともに,MyDearestとイザナギゲームズの2社が担当。MyDearest代表である岸上健人氏と,イザナギゲームズの代表で,コン梅田こと梅田慎介氏の2名が総合プロデューサーを務めている。

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 MyDearestのVR捜査ゲーム「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」の“Episode III”がいよいよ2023年7月14日にリリースされる。今回4Gamerでは,本作の総合プロデューサー,岸上健人氏と,Switch版のプロデューサーを務めるイザナギゲームズの梅田慎介氏にインタビューを行う機会を得た。

[2023/07/14 12:00]

 発売に先駆け,ビルド版をプレイする機会を得たので,本作の魅力を紹介する。

※ネタバレを避けるため,公式サイトで発表されているストーリー以上の筋書きについてはなるべく触れないようにしている。ただ,実際にプレイするまでまったく情報を入れたくないという人は,読み進めるタイミングにご注意願いたい


真実に辿りつくため,過去を変えながら進んでいく壮絶なドラマ


 本作の舞台は,人類が文明を失ってから200年後の世界にある,海上の都市「アストラム・クローズ」だ。そこは,起こりうる犯罪を“夢”によって事前に防いでおり,犯罪発生率がわずか0.001%という楽園のような世界となっている。
 しかし,そのアストラム・クローズで,起こるはずのない事件が発生した。都市の創設者であるアルバート・ラムファード博士(CV:速水 奨)が殺害されたのだ。

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博士は誰にどうして殺されてしまったのか……


 物語の主人公は,ラムファード博士が3年前に行った“とある実験の被検体”であり,市民の夢の集合体である“拡張夢”を守る特別監察官のハル・サイオン(CV:千葉翔也)。プレイヤーは彼となり,過去を書き換える力「メモリーダイブ」で事件を追い,さらに自身の隠された過去を暴き,真実に近づいていく。

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メモリーダイブで過去の記憶を見る

 プレイは,基本的にハル(=プレイヤー)の一人称視点で進む。VR版では自分の頭を動かせば視点を変えられるが,本作は,[Rスティック]でカメラの移動,[Rボタン]と[Lボタン]で左右を覗き込む操作となっている。
 VR版より若干見渡せる範囲が狭いのだが,不便を感じるほどではない。ただ少しでもハルとのシンクロ度を高めたいのであれば,Joy-Conを取り外して左右の手に持ち,TVモードでプレイするのもありだろう。

 主人公の能力である「メモリーダイブ」は,持ち主の記憶を追体験できるだけでなく,運命が変わる瞬間や行動に干渉し,その後の展開を変えられる。発動できるタイミングは限られているが,“プレイヤー自身が具体的な操作をすることで過去を変える”という実感を得られる。

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最悪の結果を防ぐ行動へと導くには,どう過去を変えればいいのか。じっくり考えよう

 ハルが監察官として行動していると,事件に関係するさまざまなものや出来事と遭遇する。それらは“操作ログ”に自動で記録され,進行度にあわせ随時更新もされていく。情報はツリー形式で追えるが,手元の空間にパネルを出現させて操作するVR版とは異なり,方向ボタンで操作ログを出す形式となっている。

 捜査アドベンチャーということもあり,事件に関係する情報はかなり多い。複数の人物の行動と,それらの繋がりを把握することが,事件を解決するカギとなるだろう。しかし出来事や人間関係の複雑な交わりを,頭のなかだけで整理することは難しい。謎を解き真実を見出すため,こまめにログで状況を確認しつつ,推理を進めていこう。

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トピックを選択すると,それと関連した情報に繋がっていく

 捜査の途中で,犯人を追い詰める「審問」のパートに入ることがある。それまでに集めた情報を総動員して挑んでいこう。審問の進行は,楽園都市の最高権力であるAIのユースティスや,ハルの上官であるエレイン・コーディア(CV:石川由依)など,ほかのキャラクターも主体的に発言してくる。プレイヤーは,会話中のポイントになるタイミングで,キーとなる証拠を提出していくのだ。

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 審問中は,ホログラムで再現された事件現場を歩き回りながら,事件を再現する必要もある。自分が犯人の視点に立ち,殺人事件を実演していくという過程は,なかなか味わえない体験だ。
 最終的な判断は,ユースティスが行う。今まで見聞きしたことを思い出し,確かな裏付けをもって真実を証明していこう。

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しっかり事件を再現できればユースティスに認められ,告発が受理される

 各エピソードが終わると,そのエピソードのエンディングが開放される。VR版は,間をおいて各エピソードが配信されたため,毎回スタッフロールが流れる。本作では,そのまま次のエピソードに進むのでテンポが損なわれない。ちなみに,各エピソードのエンディングは,クリア後であればメニュー画面からいつでも確認できる。


メンタリング,パズル,ステルスなど,さまざまなミニゲーム要素も


 本作に登場する“拡張夢”の世界は,とにかく美しい。光る魚の姿をした市民(の意識)が泳ぐ幻想的な空間は,VR版での臨場感には及ばないものの,ずっと見ていたくなる美しさだ。

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人間たちの意識が統合された美しい夢の世界。だが,それは果たして“幸せ”なことなのだろうか……

 そんな拡張夢の中にいる市民を,メンタル汚染から回復させるのがミニゲームの“メンタリング”システムである。VR版では,空間の中に現れるポイントを覚えたあと,それをなぞって再現する形だったが,本作では,流れてくるボタンをタイミングよく押していく音ゲーのような形式になっている。メンタリングの機会は複数あり,後半になるほど難度が高くなっていく。

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最初のほうは,対応するボタンが左側の線が交わったときに押すだけと簡単。使用するボタンも少なくわかりやすいが,エピソードが進むと複雑になるので気が抜けない

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 メンタリングのほかにも,監視の目を潜り抜けながら目的地まで進むステルス行動,ギミックを動かすためのパズルなどがミニゲーム的に楽しめる。難度はそれほど高くないが,エピソードによって,ステルスパートが多かったり,パズルが次々に現れたりと,常に意外性を感じつつプレイを進められた。
 エンディングは複数存在し,条件によって結末は変わる。さらに本作は,ゲーム内で特定条件を満たせば,追加シナリオも体験できる。これは外伝的な物語ではなく,本編に関わってくる内容だ。VR版でも,いずれ追加ストーリーが追加されることに期待したい。

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数字合わせのほかにも,ダイヤルを回して回路を繋げたり,正しい位置に特定のオブジェクトを置くパズルなどがある

 断片的な情報を繋ぎ合わせて推理する楽しさ,LAM氏の描く美しく印象的なキャラクターたち,幻想的ながら恐ろしさも感じる「アストラム・クローズ」の世界設定が魅力の「DYSCHRONIA: Chronos Alternate - Definitive Edition」。プレイを進めれば,複雑に絡み合う謎と,それを解き明かした先にある驚きと感動のストーリーを味わえるだろう。

 本作の醍醐味は,世界への没入感の高さにあるが,クロノスシリーズと呼ばれる過去作「東京クロノス」「ALTDEUS: Beyond Chronos」の小ネタが各所に散りばめられている。シリーズのファンにとってはうれしい遊び心と言えるだろう。

 ただ正直に言ってしまうと,各種パートの演出やハルの能力「メモリーダイブ」はVR環境に適したギミックで,それゆえに,Nintendo Switchで遊んだときに,VR版ほど魅力を生かしきれていないと感じる部分もあったのは確かだ。
 しかし,非VR版には,より物語を俯瞰し,推理の楽しさに没頭できる良さがある。また画面の中の物語として全体を見渡せることは,コンパクトに持ち運べるNintendo Switchならではのメリットである。

 VR版は,ハルの視点で,より没入感の高い体験ができ,Nintendo Switch版では,物語の隅々までを味わい尽くす体験ができる。秋の夜長,この時間を超えた壮大なドラマに没頭してみてはいかがだろう。

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筆者が最も愛するキャラクターは,ナビゲーターロボットであるリリィ(CV:鬼頭明里)だ。ぜひゲーム内で彼女の魅力に触れてほしい!

「DYSCHRONIA: Chronos Alternate - Definitive Edition」公式サイト

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AD(最終更新日:2023/12/27)
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