インタビュー
「ソフィーのアトリエ2〜不思議な夢の錬金術士〜」インタビュー。シリーズ25周年を迎え,人気キャラクターの物語を再び描く
同社がガストブランドで展開している「アトリエ」シリーズ最新作は,2015年に発売された「ソフィーのアトリエ 〜不思議な本の錬金術士〜」の続編となるタイトルだ。「ソフィーのアトリエ」は,2015〜2017年に展開した「不思議」シリーズの1作目であり,このシリーズ自体は完結しているが,今回,新たに主人公が続投する形式での続編が登場することになる。一度は幕を閉じた物語が改めて描かれることとなった理由やその狙いについて,本作のプロデューサーを務める細井順三氏に聞いた。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。主人公が続投する「アトリエ」は,「ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜」でありましたが,次がソフィーということに驚いている人も多いのではないでしょうか。
細井順三氏(以下,細井氏):
「アトリエ」シリーズが25周年を迎えるにあたって,それにふさわしいタイトルは何かというのはずっと考えていたんです。そんな中で,「ライザのアトリエ」で行った同一主人公の続投という新たな試みと,ファンの皆様にずっと応援していただいた主人公を組み合わせてみたいと思ったんです。ソフィーは,2018年に行われた20周年人気投票で1位になった人気キャラクターですから,続投を受け入れてくださるのではないかと。
4Gamer:
今後は一区切りがついたシリーズもこのような形で新作が作られるのでしょうか?
細井氏:
今回のような既存シリーズの主人公が続投する新作と,いつものように時間が経った世界で新主人公が登場するシリーズ,どちらのケースもあると思います。
4Gamer:
今回の時系列はどの辺りになるのでしょう?
細井氏:
「不思議」シリーズ1作目「ソフィーのアトリエ 〜不思議な本の錬金術士〜」と,2作目「フィリスのアトリエ 〜不思議な旅の錬金術士〜」の間の話です。
「不思議」シリーズは3作目の「リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵画の錬金術士〜」でキッチリと終わっているので,今作を作るにあたって,新たに描くべき物語が必要でした。そこで思いついたのが,2人の起点となる「エピソード・ゼロ」的なストーリーです。加えて,シリーズのテーマである「継承の物語」という部分に焦点を当て,ソフィーとプラフタがどのように錬金術を継承していったかを主軸にしています。
4Gamer:
3部作として,良いフィナーレを迎えたことは意識したうえでの続編なわけですね。
細井氏:
そうです。「ソフィーが錬金術士を目指したきっかけ」「ソフィーが能力の高い錬金術士になったきっかけ」といった部分を描いていきます。そのため,「不思議」シリーズを初めて遊ぶ方にも楽しんでいただけると思いますし,本作の後に1作目を遊ぶといろいろな発見があると思います。もちろん,ファンの方であればとある人物の名前など,驚きがあるのではないでしょうか。
4Gamer:
キャラクターデザインにおける苦労はありましたか?
細井氏:
プラフタを担当されているゆーげんさんは,独自の世界観やアイデアをお持ちで,今回のデザインもスムーズに進みました。
一方,ソフィーのNOCOさんは,完成したデザインに変更を加えることを相当悩まれていました。同じキャラクターでも,再度,主人公として登板するとなると,イラストレーターさんにかかるプレッシャーもまったく違っていて,どこまで変えていいものかも含めて,答えを探すのに時間をかけていただきました。
4Gamer:
確かに,3部作でのデザインがすでにあるうえで,今回はもう一度主人公ですからね。落としどころが難しそうです。
細井氏:
今回のデザインは,少し変わっただけのように見えるかもしれませんが,ここにたどり着くまでに大きな苦労がありました。本当に難産でしたが,ソフィーの新しい魅力を感じていただけるデザインになったと思います。
4Gamer:
ゲーム的な見どころについても教えてください。
開発中のバージョンをプレイさせていただきましたが,ソフィーがものすごく可愛くなっていますよね。
細井氏:
はい。これまでの「不思議」シリーズよりも,グラフィックスのクオリティが大幅に向上していて,とくにキャラクターの表現には力を入れています。ちょっとした表情や仕草の可愛らしさには,ぜひ注目していただきたいです。
4Gamer:
イラストが画面内で動いているような表現ですよね。魔法陣などの光の表現も美しいですし,フィールド表現も綺麗でした。
細井氏:
フィールドのライティングは,「ライザのアトリエ」が夏の物語だったので,コントラストの強いピーキーな表現でした。ただ,これは日本の夏らしい表現であって,一般的にファンタジー世界と聞いて想像するものとは違っています。そこで今回は,直球のファンタジーにしました。言い換えれば,みんなが考える「アトリエ」像を実現したかったんです。「世界名作劇場」や童話のような世界観を感じられる「優しい世界」,ファンタジーであるからこその暖かみを表現しています。
4Gamer:
バトルシステムはどういったものを目指しているのでしょうか。
細井氏:
今回は,「ライザのアトリエ」のようなリアルタイム制ではなく,正統派なターン制にしています。
4Gamer:
ここしばらくのガストブランドタイトルは,リアルタイム制のバトルを追及していた感がありましたが,今回はどういった意図なのでしょう?
細井氏:
リアルタイムとターン制については,単純にどちらかが上というものではないと思っています。リアルタイム制には手に汗握るバトルがあり,ターン制には詰め将棋的な面白さがある。
今回はターン制の面白さを追求して,「火力を出すタイミングを自分で決められる」ことをポイントに置きました。例えば,フィールドで杖をスイングして敵に当てると,前後列交代攻撃「ツインアクション」用のゲージが溜まった状態からスタートします。さらに,攻撃や防御といった通常コマンドで「ツインアクション」のゲージを溜めていき,ツインアクションを使うことで,大火力の「デュアルトリガー」のゲージが溜められます。これらの流れは,理解すれば一気に火力を引き上げられるようになっていて,「自分の戦術により,バトルの状況を掌握して支配下に置いている」感覚を得られるように調整しているんです。
4Gamer:
実際,プレイしていて,ゲージ管理の流れは分かりやすくまとまっていると感じましたね。
加えて本作は,フィールドからバトルへの移行がシームレスに行われるので,テンポ良く楽しめました。
細井氏:
ターン制バトルにするのなら,フィールドとのシームレス化は必須だと考えました。実現できないなら,ターン制バトル自体をやらないくらいの気持ちです。
また,「アトリエ」シリーズのフィールドは素材を採取するために行くところですから,どうしても戦闘を避けがちです。でもシームレスにバトルが始まるなら,「サクサク倒していこう!」という気持ちになれますから,探索をより楽しんでいただくためにも必要でした。
さらにバトルの速度を1.5倍や2倍にする高速モードも実装していますので,テンポは良いですよ。
4Gamer:
スピードを上げてもプレイヤー側にデメリットがないのは,ターン制バトルならではの良い部分ですね。
錬金術のシステムは,盤面にさまざまな形の材料をパズルのように配置していくことでアイテムを調合する,これまでの「不思議」シリーズを踏襲したものになっています。
細井氏:
はい。もともとの仕組みを踏襲しつつ,「ライザのアトリエ」のグラフィカルな分かりやすさも取り入れています。強力なアイテムを作れる高難度のパネルの「リバースパネル」も用意しているので,やり込み派の方にも楽しんでいただけると思います。
4Gamer:
続編ということで,全体的に前作から正統進化という印象を受けますね。
細井氏:
時間が空いてからの続編ということで,どうしてもスピンオフだと思われる方もいらっしゃるので強調しておきたいのですが,「ソフィーのアトリエ2」はナンバリング,「アトリエ」シリーズの新作です。ゲームのボリュームもほかの作品と同じぐらいありますし,手掛けているのも「アトリエ」シリーズのメインチームですから,安心して進化した新たなソフィーの物語を楽しんでいただければと思います。
ゲーム内に前作のあらすじをまとめた映像も入れていますので,本作から「不思議」シリーズに入っていただいても大丈夫です。2022年2月24日の発売日(PC版は25日)と,「アトリエ」シリーズ25周年となる1年間を楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
- 関連タイトル:
ソフィーのアトリエ2 〜不思議な夢の錬金術士〜
- 関連タイトル:
ソフィーのアトリエ2 〜不思議な夢の錬金術士〜
- 関連タイトル:
ソフィーのアトリエ2 〜不思議な夢の錬金術士〜
- この記事のURL:
キーワード
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
- 【PS4】ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~ (早期購入特典(ソフィー専用衣装「お気に入りの普段着」ダウンロードシリアル)、パッケージ版封入特典(「エクストラサウンドコレクション」ダウンロードシリアル) 同梱)
- ビデオゲーム
- 発売日:2022/02/24
- 価格:¥3,680円(Amazon) / 4206円(Yahoo)