プレイレポート
「くにおくんの三国志だよ全員集合!」プレイレポート。熱血硬派でお馴染みのくにおたちが三国志の武将になって大暴れ!
「くにおくんの三国志だよ全員集合!」公式サイト
今年で35周年を迎えた,正義の不良・くにおがケンカやスポーツに大活躍する「熱血硬派くにおくん」シリーズ。本作「くにおくんの三国志だよ全員集合!」は,35周年を記念したプロジェクトの1つで,その名の通り,三国志演義をモチーフにした作品だ。描かれるのは三国志演義の始まりである“黄巾の乱”から,最初のクライマックスである“赤壁の戦い”まで。くにおたちはそれぞれ有名武将に扮しているので,誰がどの武将になっているかも見どころのひとつだ。
もともとくにおくんシリーズは高校ごとに分かれて争うことが多かったが,その世界観はそれぞれの勢力に分かれて争う三国志と意外にもマッチする。忠義と武勇を併せ持つ関羽に扮するのは,義理人情に篤いくにお。蛇矛を持てば天下無敵の張飛は,原作で棒術使いと恐れられたごだい。義の人である劉備は,正義感の強いごうだ。そして,あまりの強さに手が付けられない呂布は,原作でも怪物的な強さを誇るみすずになっている。こうしたキャスティングも面白い。
成長要素のある「ストーリーモード」は,関羽と周倉による最大2人プレイが可能だ。周倉のレベルや装備している技は関羽と同じものになるため,育成の手間なく気軽に楽しめる。一方で「三国英雄録 〜赤壁ノ章〜」は成長要素のないゲームモード。こちらは最大12体のキャラクターが使用可能となる。
ストーリーモードのゲームシステムは「ダウンタウン熱血物語」の系譜を受け継いでおり,敵を倒してお金を稼ぎ,レベルアップや装備品で強くなっていく。回復はお店に売っている食べ物を使うが,「肉まん」「ギョウザ」「ジャージャー麺」「ラム串焼き」「揚げパン」といった主食系,「ナシ」「ブドウ」といったデザート系など種類も多く,ちょっとしたグルメ気分になれる。いかにも熱血物語っぽくて楽しいところだ。
また,食べ物の中には一定時間パワーアップ効果を発揮するものが存在し,攻撃力を上げたり,敵から手に入るお金をアップしてくれたりするものもあるので,うまく使っていきたい。また,マップの中には隠しショップもあるのでいろいろと探索するといいだろう。
バトルのキモである乱闘アクションはパンチやキック,武器といったおなじみの攻撃方法で構成されている。また,強力な攻撃を繰り出せる「必殺技」は町のお店で購入できる書物から習得でき,「パンチ」「キック」「投げ」「ジャンプパンチ」「ジャンプキック」「パンチ+キック同時押し」などの13個のスロットにそれぞれセットできる。必殺技はケンカ殺法から格闘技までさまざまなものが用意されており,組み合わせることでオリジナルのコンビネーションを組み上げられる。
一部の必殺技を紹介すると,すばやく攻撃する「マッハキック」「マッハパンチ」は最後までヒットすれば敵を浮かせられ,氣を放つ「オーラパンチ」は中間間合いから一方的に攻撃できる。きりもみ旋回しつつ敵の脳天を地面に叩きつける投げ技「スクリューパイル」は周囲の敵も巻き込めるため,敵の群れを吹き飛ばせる。地面に攻撃する「ジャンプエルボー」や「ジャンプギロチン」があれば,ダウンした敵への追い討ちがより効率的になるだろう。
必殺技はそれぞれに異なる特性を持っており,その数が多くなるほど戦法の幅が広がる。新たな町を訪れる度に「どんな必殺技を売っているんだろう?」とお店を巡るのが楽しみになり,「あの必殺技があれば,どういう戦い方ができるのかな?」とお金を貯めるモチベーションも上がる。豊富な必殺技があるくにおくんシリーズならではの楽しい要素の1つに感じられた。
本作の敵は雑魚であっても頭がよく,かなり手ごわい。たとえダウンさせても,移動起き上がりやその場起き上がりを使い分けて反撃してくる。また,敵の起き上がりにも無敵時間があるため,攻撃を重ねておいても無敵時間でかわされ,逆に殴られることになる。つまり,“敵を画面端に追いやって一方的に攻撃する”ベルトスクロールアクションゲームの必勝法は使えないわけだ。
加えて,敵同士の連携も巧みである。敵のコンビネーションを食らって浮かされたところに,別の敵に打撃で追い討ちされ,倒れたところをまた別の敵に持ち上げられて投げ飛ばされるなんてことが当たり前に起こる。慣れていないうちは,移動起き上がりで背後を取られて囲まれ,タコ殴りにされてしまうことも。
なお,体力が0になると一定額のお金を失ったうえで,拠点からやり直しとなってしまう。そうならないためにも,敵に囲まれないように心がけつつ,ダウンさせたら移動起き上がりとその場起き上がりのどちらを出すか注視。移動起き上がりであれば背後に回り込まれないように動き,その場から動かないようなら,起き上がって無敵になる前にオーラパンチやジャンプエルボーといった倒れた相手に当たる必殺技で追い討ちする。このような状況に応じた動きを選択していくのが大切だ。
激しい戦いのなかで切り札となるのが「熱血乱舞」「超必殺技」「計略」である。熱血乱舞は,発動時に周囲の時間が遅くなるアクションで,敵の攻撃を食らっていても使えるため,攻めにも守りにも重宝する。また,熱血乱舞中は偃月刀による広範囲攻撃が可能になるので,強力な連係を叩きこもう。
超必殺技は,蹴りを繰り出しつつ突進する「超・無影脚」,パンチを高速連打する「オーラガトリング」など派手なものばかり。発動中は無敵が付与されるため,なかなかに頼りがいがある。超必殺技は特定の組み合わせの必殺技を装備した状態で戦うことで習得できるので,いろいろ試してみよう。
計略は名前からも分かるように,いかにも三国志らしい新要素だ。例えば「火計」は無数の弓兵が火矢を放ち,フィールドが炎に包まれる。広範囲を攻撃してくれるので実に頼りがいのあるアクションだ。
マップのあちこちでは,さまざまな任務を受けられる。最初は名もない雑兵として軽んじられていた劉備たちが,手柄をあげて認められていき,やがては一国一城の主となる……という,三国志演義の中でも心躍るパートをくにおたちのキャラクターで体験できるのだ。
本筋以外のイベントもなかなかに濃く,三国志演義への思い入れが感じられる。“截天夜叉”を名乗って増長する武将・何曼を,本来なら接点がないはずの関羽が懲らしめたり,関羽が黄巾党や李傕,郭汜といった(三国志演義における)小悪党たちにスカウトされるといったディープ過ぎるif展開にはファンもビックリするだろう。
また,本作には三国志演義を知らない人向けに人物や歴史のデータベースも用意されているため,本作から三国志演義の世界に足を踏み入れるのも面白い。
ストーリーモードを2人で遊べるのは前述した通りだが,オフラインで3人以上友達が集まるなら三国英雄録 〜赤壁ノ章〜を試してみるのもいいだろう。こちらは成長要素がないベルトスクロールアクションで,劉備や張飛といったキャラクターを使ってプレイできる。ストーリーモードの合間に気分を変える意味で遊んでも楽しいだろう。
必殺技の収集,RPG的な成長にステータス割り振り,広大なマップのあちこちに散りばめられたイベント,頼りになる計略といったゲームシステムを,劉備たち三兄弟の成り上がり物語が彩る本作。くにおくんシリーズ好きや,三国志演義好きなら楽しめるゲームと言えるだろう。
ただ,戦闘における敵の強さや,序盤の金銭バランス,UIといった部分では好みが分かれるかもしれない。敵は前述の通りかなり賢く,まるで対戦ゲームのように立ち回ってくる。セオリーを理解していない序盤だと,移動起き上がりや敵同士の連携,起き上がる際の無敵時間といった本作独自の要素に苦労するだろう。
加えて,序盤は必殺技が揃っていないうえにステータスも低いため,どうしても戦闘が長引きがちだ。必殺技は欲しいがなかなかお金が貯まらず,回復アイテムである食料やファストトラベルが序盤の収入と比較すると結構高いため,道中で力尽きてしまうといったパターンも多かった。
その一方,必殺技が揃い,計略ゲージを複数ストックできるようになってからは,ある程度スムーズにゲームが進むようになった。それでも,どの町にどの施設があるかは表示されないため,しっかりとメモを取るなりしておかないと,膨らんだ財布を抱えたまま,装備屋や必殺技屋を探してウロウロすることになってしまう。
本作は赤壁の戦いまでを描いているが,個人的には三国志ものとしての続編はもちろん,「水滸伝」や戦国時代,幕末を題材にした新作も見てみたくなった。今年で35周年を迎えたくにおくんシリーズだが,40周年,45周年と続き,新たな境地を見せ続けてくれることにも期待したい。
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