プレイレポート
[プレイレポ]PvPやPvE,ローグライトにハックアンドスラッシュも。「SYNCED」はさまざまな楽しさを持つよくばりセットなTPSだ
本稿では,そんな「SYNCED」のプレイレポートをお届けする。
Steamの「SYNCED」ストアページ
ナノコンパニオンとランナーを組み合わせ,多彩な戦術で戦え
本作の舞台は,ナノマシンの暴走で壊滅した世界で,富裕層は天上の都市に逃れ,地上には人を襲う異形のナノマシン「ナノ」が溢れかえっている。そんな世界で戦い続けるのが,プレイヤーが操作することになるランナーたちだ。さまざまな「ランナースキル」を使いこなすだけでなく,倒したナノと「シンクロ」して,味方となる「ナノコンパニオン」を呼び出すことができる。ランナーとナノコンパニオンは,互いに助け合いながらミッションに挑んでいく。
本作のシステムは,ルーターシューターやシューター系アクションRPGなどのジャンルの作法に忠実で,慣れている人であればすぐにランナーを自在に動かせるようになるだろう。ランナーたちは,常時発動する「パーク」と,時間経過で解禁される大技「ランナースキル」を持っており,さまざまな特性がある。例えば,「デッドカット」というランナーは,ランナースキル「ファイアグレネード」を持ち,着弾点を燃やせるため攻撃向きだ。「グローリー」の持つ「スモークボム」は毒の煙で視界を奪いつつダメージを与え,「Dr.ストーン」が使う「ヒーラーズオーラ」は周囲の味方を回復し,「ラーニャ」の「レイディアントアイ」は,壁越しに敵を見つけられる。このように,ランナースキルで役割と立ち回りが変化するのが面白い。
本作ならではの要素となるのが,プレイヤーの味方となるナノコンパニオンだ。自由に呼び出したり引っ込めたりできる守護霊のような存在で,拳で近接攻撃する「クラッシャー」,遠距離射撃が得意な「サプレッサー」,盾で防御する「ガーディアン」,探知能力を持つ「シアー」が存在する。どのランナーでも全ナノコンパニオン使えるので,組み合わせを工夫するのが本作の面白さの一つだ。
例えば,グローリーはスナイパーライフルを使用するため,正面切っての撃ち合いが苦手だし,つねに敵の視界外から狙撃できるわけでもない。ここにガーディアンを組み合わせれば,エイム中にシールドを展開するナノ・アーム能力や,シールドをその場に設置するデプロイメントで弱点をカバーできる。ほかにも,シアーならナノ・アーム能力の敵感知で索敵面が充実するし,クラッシャーを囮にして別の位置から狙撃するなんてこともできる。シナジーを考えてランナーとナノコンパニオンを組み合わせていくのはとても楽しい。
このように便利なナノコンパニオンだが,ミッションの開始時から使えるわけではなく,少し手ごわい「ナノ・プライム」という敵を倒してシンクロを行うと,予め設定しておいたナノコンパニオンが出現するという仕組みだ。初心者だと「なんで倒したナノ・プライムと違う種類のナノコンパニオンが出てくるんだ?」と戸惑うかも知れないが,あくまで自分が予め設定しておいたものが呼び出されるので,その点は覚えておこう。なお,プレイ中に「コア」というアイテムを拾うと,設定した以外のナノコンパニオンも呼び出せる。
ナノコンパニオンには,呼び出し/呼び戻しの2つの命令を出すことができる。
呼び出しは,場所を指定する「デプロイメント」と,敵を狙って呼び出す「ロックオン」の2つの挙動があり,ただ呼び出すだけでも周囲のナノと勝手に戦ってくれるのだが,デプロイメントとロックオンの特性を理解して使いこなすと戦略の幅が広がる。例えば,ガーディアンはロックオンだと敵と戦い,デプロイメントなら周囲にシールドを張り巡らせる。仲間がダウンした際や,危険な攻撃が迫った時などは,一度呼び戻してからデプロイメントすれば,シールドで安全を確保できるというわけだ。
一方で呼び戻しは,ナノコンパニオンを腕に装着し「ナノ・アーム」状態にできる。この状態では,ナノコンパニオンの体力が徐々に回復していくのに加え,特殊能力が自動発動する。クラッシャーなら移動速度と近接攻撃の速度がアップし,シアーなら敵ランナーを探知,ガーディアンはエイム中にシールドを張るといったように,それぞれ特性が異なる。ナノコンパニオンは出しっぱなしにするのではなく,状況に応じて呼び戻すことも大切だ。
PvEとPvP,2つのモードで幅広く楽しめる
本作にはPvEの「デッド・セクター」とPvPの「ナーヴァ・ラン」という2つのモードがあり,どちらもソロプレイとチームプレイで楽しめる。
デッド・セクターにはストーリーが用意されているほか,危険地帯でのボスとの戦いを楽しめる。マップのあちこちにはナノの群れがいたり,銃器やアーマーが落ちていたりするので,適宜対処してパワーアップしていこう。ステージ中は時間の経過と共に「サージ濃度」が上昇し,高いほどナノが凶暴化。100%に達すると何もしていなくてもダメージを受け続けるようになるため,迅速な行動が重要だ。
また,ナノコンパニオンとシンクロしてから使用できる「ナノリープ」を使えば,ナノコンパニオンをサーフボードやウイングスーツのように変形させて高速移動できる。敵の後方へ回り込んだり,脱出したりと色々な使い方ができるので,覚えておいて損はない。
ナノとの戦いでは,弱点である結晶のような部分を狙うのがポイント。その位置はナノの種類によって頭だったり腕だったりとさまざまなので,よく観察しよう。
ナノコンパニオンとのコンビネーションも大切だ。背後の敵を任せてもいいし,囮になってもらって自分は弱点を狙い撃つのもいい。呼び出しっ放しにしておくよりは,こまめに呼び戻すほうが,より柔軟な対応が可能だ。チームプレイだと,やられてしまっても他のプレイヤーに蘇生してもらえる。蘇生中の仲間がいるならフォローしてあげれば,Co-opの醍醐味を味わえるだろう。
なお,ダウンさせられた際も,移動したりナノコンパニオンを呼び出したりは可能だ。ガーディアンのデプロイメントでシールドを張ったり,ロックオンで周囲のナノを片付けたりして,最後まで諦めずに戦おう。
本作の大きな魅力と言えるのが,「MODチップ」によるローグライト要素だ。ナノの撃破時や,フィールドで入手できるピンク色の粒「レイディア」は,あちこちにある卵形のポッド「エクスチェンジャー」で使用できる。エクスチェンジャーは自販機のようなもので“その出撃の間だけ効果を発揮する”MODチップを買うことが可能だ。
どのMODチップが売っているかはランダムだが,その効果は強烈。「弾を撃ちきってリロードするたびに自動でグレネードを投げる」「ナノの弱点を攻撃するとスタンさせる」「エイミング中に攻撃する球体を呼び出す」「近接攻撃に状態異常を付与する」などなど,実に多彩なものが用意されている。中にはサブ武器のハンドガンでのみ効果を発揮するような変わり種もあり,即興でビルドを組んでいくのがローグライト的で楽しい。
ここで重要なのが,MODチップはナノコンパニオンの特殊技を解放できるということだ。例えばクラッシャー用の「クラッシャーフィスト」を取ると,ナノ・アーム状態から拳を飛ばすフライングフィストが使えるようになり,レベルを上げると近接攻撃がクラッシャーの腕でブン殴るものになる。ランナー自身パワーアップさせるか,ナノコンパニオンを強化するか迷うところだが,どのMODチップが買えるかはランダム。うまく噛み合わないMODチップばかり出ることもあるだろう。それだけに,運良く強力なビルドが組めたときは,よりいっそう爽快感を味わえるのだ。レイディアはその時限りの使い切り通貨で,1回の出撃が終わるとすべて消えてしまう。惜しみなく使って,パワフルなビルドを目指していこう。
PvPモードとなるナーヴァ・ランでは,複数のプレイヤーたちがナノのたむろするマップに放り込まれ,一定時間ごとに投下される機械「ハーベスター」を奪い合う。勝敗はハーベスターやナノから得られる「ナーヴァ」の量で決まるため,逃げ隠れするだけではない積極的なプレイが求められる。
基本的な進行とセオリーはデッド・セクターと変わらない。マップ内には装備が落ちていたり,ナノの群れがたむろしていたりするため,しっかり探索して戦力を充実させよう。できるだけ早くナノコンパニオンとのシンクロを済ませつつ,レイディアも稼いでMODチップを買い漁りたいところだが,交戦時の銃声は意外と遠くまで響く。自分がナノと戦っているところを,他のプレイヤーから奇襲されてしまうようなことも起こるため,時にはナノを無視するのも戦略となる。
ハーベスターが投下される場所はランダムだが,これを「占有」できると大量のナーヴァを獲得できる。もちろん他のプレイヤーもハーベスターを狙ってくる。占有するためにはハーベスターの近くに留まりつつ,近寄ってきたプレイヤーを倒さなければならない。ハーベスターの周囲には建物や障害物があることが多いため,いつ襲われるのかとスリル満点だ。奇襲のテクニックや,探知能力など,デッド・セクターと違った部分が重要になるのも面白いところだ。
デッド・セクターやナーヴァ・ランをプレイすると,「ランナーMOD」というアイテムが手に入る。これはランナーをパワーアップできるもので,使い捨てのMODチップとは違い,ずっと持っておける装備品のような扱いだ。リロード速度や体力向上といった基礎能力の底上げから,特定条件下でのダメージ無効化や回復など,多彩な能力がある。ランナーMOD自体を強化することで,特殊なオプションを付与することも可能なため,ハックアンドスラッシュ的な楽しさもある。なお,ランナーMODはPvE用とPvP用に分かれているので,バランスが崩れにくくなっているのがありがたい。
無数の敵を相手に弾丸をばらまく派手な戦いができるPvEと,奇襲や迎撃といった駆け引きが重要になるPvP,「SYNCED」はその両方を楽しめるのがとても面白かった。また,MODチップによるローグライト要素や,ランナーMODを集めて強化するハックアンドスラッシュ要素も用意されており,シューターの面白さがてんこ盛りといった印象だ。
中でもナノコンパニオン関連のシステムが独特で,1人でも協力プレイをしているような雰囲気を楽しめる。現時点では5人のランナーと4種のナノコンパニオンが登場しているが,今後のアップデートでどんな新顔が追加されるかが楽しみなところだ。本作のコンセプトや制作秘話,運営スタンスについては5月にインタビューを行っている(関連記事)ので,興味のある人はチェックしてみよう。
Steamの「SYNCED」ストアページ
キーワード
(C)2023 Proxima Beta. All Rights Reserved
(C)2023 Proxima Beta. All Rights Reserved
(C)2023 Proxima Beta. All Rights Reserved