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WemadeのCEO ヘンリー・チャン氏によるセッション「ブロックチェーンゲームの挑戦:ゲーム業界の障壁を突破するか」をレポート
ブロックチェーン技術とトークノミクスが打ち破ろうとしている3つの障壁
2017年後半から2018年1月にかけて,世界的に暗号通貨のビットコインの価値が初めて大きく上昇したが,ヘンリー氏は当時の話題はビットコインに集中していたと話す。その一方で,「それは正当なものだろうか」「暗号通貨は無価値で詐欺的である」と懐疑的な意見を持つ人も少なくはなく,実際に価値が下がり始めたときには,「暗号通貨は死である」という疑念を多くの人が持つことになったという。
そんな中,ヘンリー氏は「暗号通貨をどこで使い,実力をつけることができるのか」という疑問に対する回答を,映画「レディ・プレイヤー1」をキッカケにして見つけたそうだ。映画では,ゲーム内の所有物をリアルワールド(現実世界)で取引できる。現代の(ややこしいが我々の)社会では,それを暗号通貨で実現しているのだという。つまり,どこで暗号通貨を活用すべきなのかという答えは“ゲーム”であるというのだ。
そして,その暗号通貨がゲーム業界の障壁を破壊するとヘンリー氏は述べる。ゲーム業界がこれを達成することでゲームのパラダイムが変容し,暗号通貨の知見を変えてくれるに違いないとした。
2つ目の障壁として,ヘンリー氏はゲームの経済的な制約を挙げた。ほとんどのゲームは,ゲーム内で独自の経済を持っているが,ゲームとしての成功にはプレイの楽しさに加えて,持続可能なゲーム内経済システムが必要だ。
ただ,この経済システムは技術的にも,法的にも,そして経済的にもゲーム内で閉じている。この閉ざされた経済を現実へと開放し,真の経済的価値を付与する技術がブロックチェーンなのだとヘンリー氏は述べた。
そして,ブロックチェーンゲームの成功は,いかに効率的にトークノミクス(トークンを利用した経済の仕組み)を魅力的なゲームに取り入れるかにかかっているという。
3つ目の障壁は,ゲーム間の境界だ。これまでゲームは,孤島のように独立して存在してきた。ゲーム資産や経済におけるゲームプレイの結果は,当たり前だが基本的に個々のゲーム内に限定されている。ブロックチェーン技術は,こうした資産などが特定のゲームに縛られるだけではなく,すべてのゲームをつなぐ基盤技術として機能するとヘンリー氏は主張する。
例えば,ブロックチェーンをゲームに組み込むことで,あるゲームの資産を現実世界の経済に持ち込んだり,別のゲームに移動させたりできるというわけだ。
その一例として,同社のMMORPG「MIR4」(PC / iOS / Android)のゲームトークンやNFTは,MIR4に属するものではなく,技術的にも経済的にもゲームプレイヤーに属するのだという。そのため,MIR4のゲームトークンやNFTを使った新しいゲームは,技術的にも,法律的にも,開発者の許可なく誰でも作ることができるそうだ。
実際に,Wemadeでは「MIR M: Vanguard & Vagabond」(PC / iOS / Android),つまりMIRフランチャイズの新しいゲームをローンチしており,MIR M独自のトークノミクスはもちろん,一歩進んでMIR4ともトークノミクスでつながっているそうだ。ただ,フランチャイズゲームの続編が発売されると,通常は前作の人気やユーザー数,売り上げが低下するものだ。しかし,MIR4では逆にユーザー数と売り上げが伸びているのだという。そして,これはMIR4に限られる現象ではないだろうと話していた。
最後にヘンリー氏は,「暗号通貨は無価値」だと断言するナシム・ニコラス・タレブ氏の著書や主張のほとんどに同意しているとしたうえで,彼の著書である“ブラックスワン”(あり得ない,予測できない出来事が起こる現象を指す)を引用し,「ブロックチェーンと暗号通貨がポジティブなブラックスワンとなると確信している。その応用の頂点はゲームで示されるだろう。ブラックスワンを実証しよう」と述べて,セッションを締めくくった。
「WebX」公式サイト
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