「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」発売直前イベントレポート。手足を使ったインタラクションで，VRゲームの新たな捜査と審問を表現する

　MyDearestは2022年9月21日，VR捜査ゲーム「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」発売直前イベントを，東京都港区のRED° TOKYO TOWER SKY STADIUMにて開催した。ハル・サイオン役の千葉翔也さん，同幼少期役の奥野香耶さんが出演し，YuNiさんによるエンディングの披露も行われた，イベント生配信の様子をお伝えしていこう。

「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」発売直前イベント 出演者一覧

上段左から，岸上健人氏（MyDearest 総合プロデューサー），末岡 青氏（MyDearest ディレクター），梅田慎介氏（イザナギゲームズ 総合プロデューサー）。下段左から，吉田尚記さん（ニッポン放送・司会），千葉翔也さん（ハル・サイオン役），奥野香耶さん（ハル・サイオン幼少期役）

自分の手足を使ったインタラクションで，新たな捜査と審問を表現する

　「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」は，2022年9月23日にEpisode1のVR版が発売されるアドベンチャーゲームだ。人類が一度文明を失って200年経った遙か未来，あらゆる犯罪が予防されるはずの海上都市「アストラム・クローズ」で殺人事件が発生してしまう。プレイヤーは，過去を書き換える「メモリーダイブ」の能力を持つ特別監察官「ハル・サイオン」となり，この「起こるはずのなかった殺人事件」の謎に迫っていく。ハルのメモリーダイブは，特定の品物に触れることで，持ち主の過去の記憶を追体験できるという能力で，そこから過去に干渉して現在に影響を及ぼすことが可能となっている。



　VR版は全3エピソード構成で，Episode2は2022年冬以降，Episode3が2023年春以降の発売を予定している。そして，Switch用のNON-VR版は3エピソードをまとめたものが，2023年春以降に発売予定だ。
　ゲームには，事件を探る捜査パート，隠れながら行動するステルスパート，海上都市を管理するAIと対決する審問パートが存在するという。

　捜査パートでは，メモリーダイブの能力を用いて，VR空間を見回して捜査したり，品物を手に取ってパズルを解いたりして，証拠を集めていく。ステルスパートでは，ハルを探す相手から見つからないよう，身をかがめて隠れたり，物を投げて相手の注意を逸らしたりといった，ステルスゲームを楽しめる。
　そして，ユニークなのが審問パートだ。ハルがメモリーダイブで過去を体験できるといっても，あくまで主観的なもので，AIと対決する審問の証拠としては使えない。このパートでは，捜査パートで集めた証拠を元に，手足を使ったインタラクションを用いて事件を再現し，AIや審問を見守る聴衆を納得させなければならないという。

　末岡氏は「VR機器を使うのだから，手足を使って推理を披露させたい」とコンセプトを解説。また，岸上氏は「これまでのゲームでボタン操作プレイしいていたところを，このゲームでは動作を用いている。裁判ゲームとしてはかなり革命的ではないか」と自信満々に語った。

捜査パートでは，VR空間で手足を使ったインタラクションで手がかりを集める

ステルスパートは，実際に身をかがめて隠れるなどして危機を脱する

審問パートは，捜査パートで集めた情報や証拠で事件を再現（左写真）。都市AIと対決し，聴衆の支持を得ていく（右写真）

　VR版をMyDearest，NON-VRのSwitch版をイザナギゲームズが開発するという特殊な形態を取る本作だが，岸上氏によると，当初「（VR版とNON-VR版の）両方が存在することで，中途半端になるのではないか」という声も寄せられたという。しかし，梅田氏はその開発体制について「中途半端にならないよう意識している」と強調した。なお，SwitchのNON-VR版については，「Switchならではのコンテンツ」が用意されるそうで，こちらも楽しみだ。

ハルと行動を共にするナビゲーターロボット「リリィ」。VRならではの実在感があり，プレイヤーの行動に対する隠し反応が用意されているなど，作り込まれているという

　続いては，現在のハルと幼少期のハルを演じる，千葉さんと奥野さんが登場。この日のために脚本が書き下ろされたという朗読劇を披露した。現在のハルは記憶を失っていることもあり，なんとも意味深な内容。ゲームをプレイした後に聞くと，また違った感慨があるのではないだろうか。また，YuNiさんがEpisode1テーマ曲をフルで初公開している。

現在のハルを演じる千葉さんと，幼少期のハルを演じる奥野さんが，書き下ろし脚本による朗読劇を披露

YuNiさんがEpisode1テーマ曲をフルで初公開

　番組では収録秘話も明かされた。千葉さんはVRゲームに参加するのは初めてで，ハルの心情を細かく確認しつつ収録を進めていったという。作中では，プレイヤーがハルのモノローグを自身の声として認識することになるため，通常のアニメなら声を張るところも，リアルさを重視してそこまで大きな声を出さないようにするなど，VRゲームならではの工夫もしたそうだ。
　一方，奥野さんはMyDearestの前作「ALTDEUS: Beyond Chronos」でもコーコ役として登場しており，VRゲームならではの繊細な音の撮り方はやはり印象的で，そこにキャラクターがいるかのような実在感を表現する演技を心がけたとのこと。

　このほか，いくつかの新情報も公開されている。2022年9月26日には公式オンラインショップにてTシャツ，クリアファイル，アクリルキーホルダーといったグッズの販売がスタート。また，9月30日から4コママンガ「DYSCHRONIA: B-Side」が，Discordコミュニティ「クロノスアジト」限定で公開される。「ALTDEUS: Beyond Chronos」の「ゆるっとChronos」同様に，カネコマサル氏が執筆を担当し，シリアスな本編とはひと味違ったキャラクターたちによる，可愛く癒される内容になるそうだ。


　また，「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」には，Episode1クリア後に楽しめる無料ミニアップデートコンテンツが実装されるという。“都市の住民が持つ謎を解き明かせ”がテーマだそうで，具体的な情報については今後公開されるそうだ。そして，9月23日〜10月7日の期間中は，キャラクターデザインを担当したLAM氏描き下ろしイラストのアクリルパネルやMeta Quest2などが抽選で当たるTwitterキャンペーンも行われるとのこと。これらの詳細は，公式サイトなどに記載されている。


　最後に岸上氏は「とにかく妥協なく，クオリティにこだわってゲームを作っていきました。Episode3までプレイまでプレイすると，ひっくり返ってしまうような物語になっています。ぜひ最後まで楽しみにしていてください」と語り，イベントを締めくくった。

「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」公式サイト