［TGS 2021］「パワプロクンポケットR」新モードや戦争編を先行体験。新モードは協力プレイ，戦争編はオリジナルと変わらない攻めた内容が魅力

　本日開幕した東京ゲームショウ2021 オンライン（TGS 2021）のKONAMIブースに，11月25日に発売予定のSwitch用ソフト「パワプロクンポケットR」が試遊出展されていた。


　本作は，同社の野球ゲームシリーズ「パワフルプロ野球」の“姉妹タイトル”であり，サクセスモードをメインとした独創的なシナリオやその世界観によって熱狂的なファンを持つ「パワポケ」の10年ぶりとなる新作だ。初代と2作目のサクセスをベースとしたシナリオやミニゲーム，育成した選手で編成したチームを使って楽しめる，最大4人での野球の対戦と協力プレイなど，1人でも複数人でも個性的なパワポケの世界に浸れるのが特徴となっている。

　今回，最大4人でゲームに挑戦して選手を育成できる新要素「サイバーバル」，オリジナル版（パワプロクンポケット2）の登場時「野球ゲームにこんなモードが!?」と強烈なインパクトを残した異色のサクセスモード「戦争編」，そのほかミニゲームのいくつかを時間の許す限り体験してきたので，そのレポートをお届けしよう。

単体のゲームとしても楽しめる協力プレイが特徴の「サイバーバル」

　サイバーバルは，見下ろし視点のシューティングゲームで，戦闘車両を操作し，ステージ内に登場する敵を倒してさらに次のステージへと進み，選手能力をUPさせるパーツや特殊能力を集めていくという選手育成モードだ。いきなり野球ゲームっぽくないシステム説明となっているが，野球バラエティことパワポケは，“野球をしないこともパワポケらしさ”だったりするので，シリーズファンなら「なるほど」と，すんなり受け入れられるだろう。

今回の試遊では4人プレイにチャレンジ。なぜか筆者は“縛りプレイ”ということで，両腕にリストウエイトを巻いてゲームすることに

　最初に，プレイ人数を選んでエリアを選択。今回の試遊ではエリア1の全10ステージのうち1-6から1-10まで挑戦できた。続く車両の選択には，4種類の中から自身の使用する車両を選ぶだけではなく，さらにマシンガンやレーザーといった武器のカスタムやアビリティ（体当たりなどの特殊アクション），必殺技（SPスキル）を設定する項目があった。プレイ時間の都合で今回は細かく確認できなかったが，このあたりのカスタマイズ要素もなかなかの本気度だ。


　車両の選択が終わるとバトル開始だ。勝利条件は，ステージにいる敵を全部倒すこと。ほかにも「〇〇時間内にクリア」といったチャレンジがあり，これを達成することで（サクセス選手の）特殊能力がゲットできる。


　基本操作は，Lスティックが移動，Yボタンが車両選択で選んだ武器での射撃（通常攻撃）とやられた仲間の回復，BボタンとAボタンがそれぞれ特殊アクションとSPスキル発動だ。マシンガンなら一発で与えられるダメージは低いがボタン押しっぱなしで連射でき，レーザー砲なら連射は効かないが高威力の一発を放てるといったように，選択した武器によってその特徴と操作感が異なる。


　ステージが進むと敵の数が増え，攻撃もアグレッシブになっていった。あまり考えずに動いていると気がついたら囲まれているなんてこともあったので，ステージの形状を意識した戦い方が重要となりそうだ。
　ここぞというときに使いたいのがSPスキル。敵を倒していくと溜まるSPゲージが光ると使える必殺技で，通常攻撃よりも強力なビームを放ったり，広範囲を爆撃したりと戦況が一変する威力がある。一度に複数人で放つとさらに威力が上がるので，タイミングを合わせて使うとより効果的だ。


　エリアの最終ステージではボス戦が待っていた。ボス「ネジの壊れた大型鉄人」は一体で登場したが，これが今までのステージの敵たちと比べてとても硬く，そして一撃で受けるダメージも大きい。弾幕シューティングのボスキャラのように広範囲に放つネジをかわし，体当たりの気配があれば距離を取りつつ攻撃するがなかなかHPが減らない。SPスキルでもあまりダメージを与えられず，かなりの苦戦を強いられることに。


　それだけに，倒したときの達成感はなかなかのものだった。今回はエリア1をクリアで終了となり，集めたパーツでどのように選手を作成するかまでは確認できなかったが，協力プレイ自体が，それ単体でたっぷり楽しめるモードだった。
　選手育成のために仲間に手伝ってもらうというのはもちろん，みんなで協力プレイを楽しむことをメインにして，ついでに選手育成もする……なんて楽しみ方もアリだと思う。

「戦争編」は“あのころ”と変わらず攻めた内容。ミニゲームはなかなかの難度に

　ドリルモグラーズ所属の野球選手パワプロクン（プレイヤーが育成する選手）は，あるとき目を覚ますと見知らぬ世界にいた。「景色が古臭い気がする」と思っていると，そこはなんと戦争中の世界。タイムスリップでもしたのか，パワプロクンは軍の補給部隊に所属する兵隊で，チームメイト……ではなく同じ補給部隊に所属する凡田二等兵らとともに，過酷な戦場へと送られることになる。


　野球の練習をしない。野球の試合をしない。そもそも野球チームではない。そんな衝撃のサクセスモード「戦争編」の目標となるのが，北部戦線や南部線戦といった戦地に赴き，生き延びて帰ってくること。一定のターン（週）を生き延びると選手を登録できるようになるが，一定のターンを超えても死んだら一発アウトだ。


　体力とツキというゲージがあり，いくら体力が残っていても，ツキが低いとさまざまな災難に巻き込まれやすくなって生存率が下がる。しかしツキが高いからといって必ずしも生還できるとは限らない。基本的に「安全」「普通」「危険」のどれかの任務を選び，その結果を見届けるという運任せなモードのため，いつどの選択がどんな結果をもたらすかはツキ次第なのだ。

こちらは戦争編名物（？）の，ピクロスのようなルールで地雷原を突破するミニゲーム

　新たに生まれ変わった「パワプロクンポケットR」版の「戦争編」も，基本的なゲームの進め方や“運任せ”な部分は変わらない。気になっていたのが，戦争の厳しさや悲哀を描く物語の部分。オリジナルは相当攻めていた内容だったため，「いまの時代では難しい」みたいな理由でテキストが変更されていないかだ。


　試遊時間的に細かいところまでは見られず，またオリジナル版をプレイしたのがなにぶん昔のことなので覚えていない部分も多かったが，基本的な世界観や状況描写，登場人物たちのセリフといった部分はあのころ（オリジナル版）と変わらない雰囲気があった。ギリギリを攻める姿勢（？）はそのままだと感じられ，一安心だ。


　何より印象的だったのが，それらの“濃厚”な世界観と物語を描き出すグラフィックスだ。キャラクターモデルはもちろん，任務に向かう際に表示されるマップ，戦地によって異なる背景，場面展開時のカットインといったイラストが，「気合い入りすぎ！」というくらい高いクオリティとなっていたのだ。


　パワプロシリーズらしいコミカルさのある演出と，戦場の過酷さが伝わる物語の展開や背景とのギャップがなんとも言えない雰囲気を生んでいるところは，オリジナルとはまた違った本作の大きな魅力の1つだろう。今回は試遊時間の都合上，あえて無理な任務に挑んだ結果「生還セズ」となってしまったが，早く製品版でじっくりと楽しみたいものである。


　残りの数分だが，ミニゲームもいくつかプレイしてみた。基本的にオリジナル版（1と2）に収録されているもののリメイク版だが，グラフィックスや演出が向上したことで，どれも新鮮な気持ちで楽しめた。
　4段階ある難度はけっこう高めに設定されている印象で，今回は下から2番目の「ふつう」でプレイしたのだが，判定がなかなかシビアで，一度のプレイではクリアできなかったものもあった。発売後のアップデートで複数人プレイが可能になるとのことで，こちらも気になるところだ。


　戦争編やミニゲームの攻めたところや尖ったところは基本そのままにパワーアップした印象で，当時オリジナル版にハマったという人も，新モードと同じく新しいゲームとして新鮮な気持ちで楽しめるのではないだろうか。“野球ゲームだけど野球ゲームじゃない”独特のゲーム性が特徴となっているゲームなので，シリーズファンとしてはこの機会に野球を知らない人にも挑戦してほしい。

「パワプロクンポケットR」公式サイト

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