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[プレイレポ]あのパンドラを思う存分探索し,RDAの魔の手から星を取り戻せ! オープンワールドアクション「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」
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印刷2023/12/25 19:15

プレイレポート

[プレイレポ]あのパンドラを思う存分探索し,RDAの魔の手から星を取り戻せ! オープンワールドアクション「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」

 Ubisoft Entertainmentが2023年12月7日に発売した「アバター:フロンティア・オブ・パンドラ」PC / PS5 / Xbox Series X|S)は,日本を含め世界中でメガヒットを飛ばし数多くの映画の記録を塗り替えた,ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」を原作とするアクションアドベンチャーゲームだ。
 プレイヤーは,原作で物語の舞台となった自然豊かな星「パンドラ」の先住民であるナヴィを操作し,オープンワールドで構築された広大な世界を探索しながら,人類の開発公社であるRDAの魔の手によって迫る危機に立ち向かっていくことになる。

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 2022年には続編映画も公開され,さらなるシリーズ作も発表されているなど,十年以上の時を経て一気に熱を帯びているアバターワールド。最新作を見て続編を待ちきれない人はもちろん,当時初代アバターに熱狂した記憶が甦ってきた人も少なくないことだろう。
 そこで今回は,最新技術を引っさげビデオゲームというフィールドに戻ってきた「アバター」のプレイレポートをお届けしたい。なお,今回のプレイにはPS5版を使用している。


人として育てられたナヴィ族の若者による,パンドラ“再発見”の物語が今始まる


 冒頭で触れたように,本作の舞台は映画のアバターにも登場した,アルファ・ケンタウリ星系にあるガス惑星の衛星「パンドラ」だ。大気こそ人類に有害であるものの,豊かな水と広大な自然,そして多種多様な生き物を育む環境はある意味地球以上に美しく,ナヴィと呼ばれる長身で肌の青い知的生命体による文明まで存在している。22世紀の人類は遠く離れたこの星に駐屯し,自然環境の調査研究,先住民との文化交流,そして資源開発などをおこなっていた。

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 事態が大きく動いたのは2154年。パンドラの開発を担っていたRDA社(資源開発公社)が鉱物資源のためナヴィの集落を武力で破壊し,全面的な紛争に陥ってしまう。ここに至り,ナヴィと人類のDNAを掛け合わせた遠隔操作型の生命体「アバター」の操縦者として,ナヴィの集落に潜入していた元軍人のジェイク・サリーは,パンドラのためにナヴィと共に立ち上がることを決意。激しい戦いの末に勝利し,RDAはパンドラの開発から手を引くことになる……というのが,映画アバターの大まかなあらすじだ。

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 プレイヤーの分身で本作の主人公でもある若者は,RDAの現地融和策の一環として作られた“人間として育てられたナヴィ”のひとりだ。部族から引き離された彼らは,いずれ先住民との橋渡し役であるアンバサダー(大使)となるべく,人間とほぼ同じ教育を受けて成長していった。だが,前述の“ジェイクの反乱”によりプログラムは途中で強制的に終了し,間一髪で“処分”される前に長期の冷凍睡眠につく。

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 次に目が覚めたのはなんと15年後,再びRDAがパンドラへの侵攻を開始し始めたときだ。アバターを操る恩師に助けられ自由の身になるが,同時にこのパンドラ自体が大きな危機に瀕していることと,RDAへの抵抗勢力であるレジスタンスの活動も決して上手くいっていないことを知る。
 こうして“ナヴィでありながら精神的には人間に近い”という,実に奇妙なルーツを持った若者の“未知の世界パンドラ”での冒険が始まることになる。

 本作のジャンルは,オープンワールドで構築されたパンドラの各地を冒険していく,アクションアドベンチャーだ。プレイヤーは上述のナヴィの若者を操作し,映画でも描かれた一面の大自然と険しい地形が広がるフィールドを自由に駆け巡っていく。

 各種のクエストはミッション形式になっており,映画さながらのドラマチックな演出が楽しめるメインストーリーに加え,サブクエストも用意されているし,フィールドの各地に隠されたロケーションやアイテムを探すことに集中してもいい。序盤こそチュートリアルを兼ねたRDA施設からの脱出と,レジスタンスの加入まで一本道のような展開になっていくが,それ以降は基本的に何から進めるのも自由だ。

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 本作の一番の見どころはすでに何度か触れているが,文字通りの「自由に探索できるパンドラ」だ。プレイヤーは徒歩はもちろん,物語が進めば騎乗動物を駆使して,美しいグラフィックスで描かれた驚異の異世界を堪能できる。映画内では地球のジャングルをベースにしたような雰囲気ながら,動いたり光ったりする不思議な植物や,凶暴ながら個性的な動物たち,そして天を突くような巨木など印象に残る要素が各所にあったが,それが“ほぼそのまま”の形で再現されている。これだけでも,ファンならたまらないはずだ。

 またこれらの動植物にはそれぞれ「狩りの手引き書」という名前の図鑑が用意されていて,ゲーム的な弱点などはもちろんのこと,原作映画を見るだけでは知りようがなかった設定なども読むことができる。コアなファンには垂涎ものだろうし,昔映画を鑑賞して見覚えがある……といった程度の知識でも,「これってこういうものだったのか!」といった感じの発見がある。

時間や場所,そして天候によって大きく姿を変えるパンドラ。さまざまな場所を巡ってみよう
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 動きや演出そのものも原作映画が強く意識されており,身体能力が高いナヴィは少々の高さの崖なら簡単に上り下りできるし,ダッシュにも特にスタミナなどの制限はなく,高い木の枝を走り回り,葉っぱをクッションにして足がすくむような崖からも無傷で降りる……なんて芸当も簡単だ。武器は最初期こそ弓しか使えないが,映画と同じく人間の兵器も使うことができるし,単純に身長が高い(3m程度)こともあり,人間と並ぶと相手が随分頼りなく見えてしまう。
 一人称視点なので自らの姿こそ見えないが,プレイを進めれば自然と,自分がナヴィに思えてくるだろう。

「狩りの手引き書」は,本作の読み応えがあるコンテンツの一つ。眺めるだけでは知ることができない情報がしっかりと書かれている
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 なお本作の主人公は,前述の出自こそ決められているが,それ以外はキャラクターメイキングで作成する形であるため,姿形や性別などは自由に設定できる。生まれそのものはナヴィなので,原作のように“アバター”にすることはできないが,顔の造形や身体の模様など,かなり細かく調節することが可能。せっかくの異世界なので,こだわって作り上げたナヴィでプレイするのもいいだろう。

キャラメイキングで,自分の分身(アバター)を作りだそう。プリセットを使うも良し,自分で細かくカスタマイズするも良しだ
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スキルを身につけ,装備を整え,腹を満たし危険な冒険に出かけよう。世界は素材で満ちている


 原作でのナヴィたちは,自然を活用した伝統に則る原始的な生活をしており,一度は強大で先進的なRDAの傭兵に敗北している。それは映画から十数年経過した本作でも変わらず,RDAは一般兵でもライフルを装備しているだけでなく,各所でパワードスーツであるAMPスーツを活用し,ガンシップで増援を送ってくる。要するに不用意に真っ正面から戦うのは下策に近く,立ち向かうには能力を上げたり,装備を充実させたり,前述の図鑑で敵の弱点を探しておいたり……といった工夫が必要になる。単に撃ち合うだけでは,あっと言う間にこちらが蜂の巣になってしまうからだ。

AMPスーツは強力な機動兵器だが,正面のガラス張りのコックピットが弱点。実は背面の放熱部も弱点であり,意外と狙える場所は多い
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 一番確実な自らの強化方法は,各種のスキルを取得することだ。プレイヤーには生存を司る「サバイバー」,戦闘力を強化する「ウォリアー」,ステルスや狩り能力に影響する「ハンター」など計5種類のスキルツリーが用意されており,クエストのクリアや探索で得られたポイントを取得することで,直接能力を高められる。

スキルツリーはシンプルだが,後半の有用なスキルほど消費ポイントが大きくなる仕組み。各地を回ってスキルポイントをためよう
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 またそれとは別に「先祖の技」という固有のスキル群も用意されており,こちらはパンドラの各地に隠されている特殊なオブジェクトを探し出すことによって,利用できるようになる。内容は2段ジャンプをおこなったり,落下ダメージを大幅に低減させたりと,ジャンルを問わずさまざまな能力があるのが特徴だ。
 こちらは取得するときに追加のスキルポイントも入手でき,見つけると一石二鳥で嬉しい。

各地にある「タースユー」という花のようなものから,惑星ネットワークである「エイワ」という存在に“繋がる”ことによって,新たなスキルを得られる
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 装備に関しては武器と防具があるが,単体でそのまま入手できることもあるし,いわゆる“レシピ”だけ手に入ってクラフトする必要があるものも存在する。各種の装備は攻撃力や防御力に直結し,戦闘の難度に非常に大きな影響を与える印象だ。クリアできないクエストがあるなら,まずはここの強化を目指すべきだろう。

 全体としては本作ではクラフトが重視されていることもあり,新たなレシピを買ったりもらったりした場合は,フィールドの至る所に点在している素材を集めるため,色々な地形を行脚して回ることになるはず。アイテム売買も金銭という概念が基本的にはないようで,物々交換か,部族への信頼度を支払いの代わりにするなど,世界観に合わせたものになっている。
 また素材の入手にも一工夫があり,ミニゲームをミスなくこなしたり,取得時の天候を確認したりすることで,より品質が高いものが手に入る。素材の品質は完成品のグレードに影響するのだが,このミニゲームは素材の回収を繰り返すうちに自然と上手くなっていく……という感じで,経験を積んだナヴィになっていくようでちょっと面白い。

レシピを入手し,それに合わせて素材を設定していく。手持ちに素材がない場合はタグ付けすることもできるので,情報を元に探しに行くこともできる
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素材の入手はミニゲーム仕立て。スティックとトリガーボタンを使用するが,対象によって必要な動作は異なってくる
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 なお装備と同等か,ある意味でそれ以上に重要なのが,食料の調達だ。本作ではプレイを続けるだけで自然とエネルギーが減っていき,ゼロになると体力が自然回復しなくなるという,空腹度のようなシステムが採用されている。エネルギーが尽きても死ぬことはないが,携行できる回復薬は多くないため,体力が自然回復しないことは生死にかなり影響するのだ。

 狩りや採集などで入手した食材は,そのまま生で食べることもできるが,拠点などで調理することによって大幅に効果が高められる。仕組みは単純に主食材と副食材の2つを組み合わせるだけで,例えば果実と果実で果実のサラダ,狩猟した肉と卵で溶き卵を塗ったローストなど,地球の我々の食欲をそそるものに仕上がっているのも興味深い。

料理を作り,腹を満たそう。こちらはレシピは必要なく,手持ちの食材を組み合わせるだけで簡単に仕上がる
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 こういった料理には前述のエネルギーを補給する機能以外に,食材ごとに用意されている攻撃力アップや炎に強くなるなどのバフ効果も付与されており,実用性もなかなかのものだ。腹が減っては戦ができぬという言葉があるように,厳しい戦いに望むときは事前に腹を満たしておくと,勝利も近くなることだろう。


原作でもお馴染みの“大空の旅”は,ゲームでも健在。現代のテクノロジーで体験できる“自由に遊び回れるパンドラ”を満喫しよう


 前半で少しだけ触れたが,ロケーションの探索,クラフト素材の収集,そして敵陣への襲撃など,どの行動を取るにしても有用なのが,移動手段の確保。本作にはファストトラベルが用意されているが,初見の場所へは移動できないし,何よりフィールドはとてつもなく広い。そこで頼りになるが,原作でも大活躍した飛行生物の「イクラン」だ。

自由に飛び回ってこそアバター! という人も多いだろう。陸上でも俊敏に動けるナヴィだが,当然飛行する速度には敵わない
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 本作でもメインストーリーをある程度進めるだけで入手でき,餌やりの必要こそあるものの,いつでも呼び出して自由自在にパンドラの地を飛行して回れる。ナヴィの走る速度は決して遅くないが,山あり谷ありのフィールドでは,その移動効率は段違い。何より美しい世界を空中から堪能できるのが,楽しいのだ。

イクランにもカスタマイズ要素が存在する。身体の模様などはあとから変更できるが,名前だけは変えられないので,しっかりと選ぼう
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 飛行モードでは視点が三人称になるので,視野がグッと広がって見やすさが向上するし,騎乗したまま戦闘をおこなうこともできる。撫でて愛でることもできるほか,前述のスキルによって強化することも可能。ナヴィとイクランの絆は映画でも描かれていた要素だが,これは本作でも継承されており,入手時は名前をつけることにもなる。
 パンドラでの旅はイクランを入手してから本番,と言えるかもしれない。

 タイトルを見ればわかるように本作の原作は映画のアバターだが,実は映画そのものをゲーム化したものではないので,“パンドラという地”を除けば映画の要素そのものはあまり多くない。ジェイクなどの登場人物の名前こそ出てくることはあるが,直接操作できるわけではないし,そもそも地域自体も異なるという設定だ。熱心な原作ファンには,ちょっと残念かもしれない。

「ナヴィの感覚」を発動すれば敵はもちろん,さまざまなオブジェクトやクエストの目的地を表示できる。積極的に活用したい
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 その一方,フィールドとしてのパンドラの作り込みは非常に力が入っており,お馴染みの熱帯雨林を始め,それ以外の(原作ではあまり出番がなかった)草原や水辺,色々な部族の集落などの多様なバイオーム(生態系)が用意されている。それらを自由に探索できるのは非常に面白いし,実際に体験すると「少し懐かしくも新しい」という印象で,原作の世界観に惚れた人にはたまらないだろう。

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 気になったポイントとしては,オプションで調整は可能であるものの多勢に無勢が基本となる戦闘の難度が思ったより少し高めであることと,立体的な地形が多いせいで迷ってしまうことが結構多いことが挙げられる。
 クエストマーカーは表示できるのだが,ルート自体は自分で探すしかないので,特に目的地が高所で崖登りが必要になる場所は「今通っているルートが正しいのか,間違っていて行き止まりなのか」が判然としないところも多く,意味なくウロウロしてしまうこともしばしばだった。これはイクランの入手で緩和されるのだが,特に右や左もわからない序盤で迷わされるのは無用なストレスの原因になりがちなので,可能ならば改善を期待したい。

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 まとめると本作はアバターが原作ではあるが,前述のとおりに映画のゲーム化というより,「パンドラシミュレーター」という側面が強いように感じた。それだけに,物語面での映画の続編や補完的なものを期待すると少々肩すかしを食らってしまうかもしれない。
 だが,逆に言えばストーリーをほとんど覚えてないような人でも十分に楽しめるだろうし,世界観さえ気に入ればゲームから先にアバターの世界に入ることもできる仕上がりであるということだ。何より“パンドラで生活している”という感覚は,他の作品では代替できないものだし,何より映画を鑑賞しているだけではまず得られないものだ。厳しくも美しい本作のパンドラに魅了されたら,ぜひ本作を手にとってプレイしてみてほしいと思う。

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