紹介記事
任天堂の遊び心が詰まった「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」を紹介。ゲーム作りを楽しく学べるプログラミングソフト
本作をリリース前に先行して体験できたので,本稿で基本の遊び方やその楽しさをお伝えしよう。丁寧なナビゲーションに従いながら個性豊かなキャラクターたちを使い,楽しみながらゲーム制作が学べる,任天堂らしい遊び心が詰まった作品だ。
「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」公式サイト
ゲーム制作を楽しく学び,その“喜び”も知れる
任天堂の開発部から生まれたプログラミングソフト
本作には,ナビに従って7種類のゲームを作っていく「ナビつきレッスン」と,自分で一から自由にゲームを制作できる「フリープログラミング」が用意されている。プログラミングの知識や心得がある人なら「フリープログラミング」から始めてもいいが,まずは本作自体に慣れるという意味でも「ナビつきレッスン」を先に体験しておくのがオススメだ。
「ナビつきレッスン」では,いくつかのレッスンが用意されており,さまざまなジャンルのゲームを制作することでプログラミングの基礎となる考え方やテクニックが学べる。
各レッスンは基本的にいくつかのステップに分かれており,各ステップで“プログラミングをする→実際どのように動作するかゲーム画面で確認する”を行うという流れで進めていく。「ヒト(プレイヤーキャラクター)をスティックで歩けるようにする」「ボタンを押してジャンプできるようにする」といったひとつひとつの工程が,個性的なキャラクターたち「ノードン」をつなぐという形で丁寧に説明されるので,まったくプログラミングを知らない子どもでも,ひとつのレッスンを終えるころには基本となる部分を理解できるだろう。
このスモールステップの流れがとてもよくできており,各工程をこなすたび,達成感とともに「次に進みたい!」という前向きな気持ちにさせてくれる。レッスンで作るゲームは,簡単なアクションから始まり,Switchならではの傾きを使ったアクション,横スクロールシューティング,謎解きゲームにレースゲームなど,実にさまざまなジャンルがあるので,「こんなゲームまで作れるのか!」という興味をかきたてられるだろう。
1つのゲームが完成するまでの目安の時間はレッスンによって異なり,また個人差もある部分ではあるが,短いもので40分,長いものだと90分となっていた。90分と聞くと大変そうに思う人もいるかもしれないが,前述のとおり,どんどん次の工程に挑みたいという気持ちにさせられる内容となっているので,長いと感じることはなかった。各工程は細かく分かれているため,自分のタイミングで中断もできるので,じっくり時間をかけて挑戦することも可能だ。
本作で重要な役割を果たすのが「ノードン」だ。ここであらためて,ノードンについて詳しく説明しよう。
ノードンはプログラムの機能がキャラクター化されたもので,ゲームで操作するキャラクターだったり,定数だったり,数字をゲーム画面に表示する機能だったりと,それぞれの役割がある。それらのノードンを組み合わせてつなぐことで,ゲームを作り上げていくのだ。
ノードンは,以下の4種類に分類されている。種類が多いため,最初から全部を覚えるのは大変だが,「ナビつきレッスン」でいろいろなノードンを使っていくうちに,段々と「あ,ここでは出力ノードンかな?」と,どの工程でどんなノードンを使うかが分かっていくだろう。
入力ノードン SwitchのJoy-conのボタンやスティック,タッチスクリーンの設定などができるノードン |
中間ノードン 計算したり,2つの数値を比べたり,時間を計ったりなど,いわば裏方的な役割をする。ゲーム画面には映らないけれど,とっても大事なノードン |
出力ノードン 音やBGMを鳴らしたり,振動させたりできるほか,ゲームを終わらす,モノの重力をなくすといった変化もつけられる |
モノノードン キャラクターや,背景になる立体,センサーやワープなど,ゲームの中の要素となるものが多い。色や大きさを変えて使ったり,2つのモノを連結させたり,自分で絵を描いて貼り付けることもできる |
ここからは,実際に「ナビつきレッスン」でのプログラミングの一部を紹介しよう。
レッスン1の「二人対戦!おにごっこバトル」は,ヒトのキャラクターを操作して上から落ちてくる玉をよけつつ,鬼から逃げるというゲームだ。プレイヤーと鬼の2つのキャラクターを,2人でそれぞれ操作する対戦ゲームも,ノードンの組み合わせで簡単に作ることができる。
レッスン1は全7ステップ。キャラクターの操作設定に始まり,ステージづくり,ゲームをおもしろくする仕掛けづくり,ゲームオーバーのリトライまでを,ナビに従って作成していく。
最初に挑戦するのが,プレイヤーが動かすキャラクターだ。「ヒト」のノードンを置いただけでは動かすことができないので,入力にある「スティック」ノードンと組み合わせて,「スティックを左右にすると,ヒトが左右に動く」というプログラムを作る。
次にプログラミングするのは,アクションゲームのステージとなる床と壁だ。ゲームの世界には現実と同じ重力があり,床をつくらないと,ヒトが落ちてしまう。そのためには,モノノードンで床を作り,落ちない設定にする必要がある。
こうしてひとつひとつのステップを進めていき,ゲームが完成! すべてを作り終わったら,最後の仕上げとして,自分の好きなようにヒトや床の色を変えてみよう。
ゲームを完成させた後には,作成したゲームをもとにフル改造ができるようになるのだが,実は,この改造がめちゃくちゃ楽しい! キャラクターを自分で描いた絵に入れ替えたり,すごく難しくしてみたり……と,アイデア次第で思うがままにゲームの仕上がりを変えられる。
うっかり間違えてしまっても,「戻る」ボタンでやり直しがきくうえ,オリジナルを残したままコピーしたものをアレンジできるので安心だ。オリジナルをベースに,友だちや家族にアレンジしてもらえば,人によってまったく違うゲームが生まれて楽しいかもしれない。
ひと通り1つのゲームを作り上げれば,ゲームの裏側でノードンたちがどんなことをしているのかを見ることで,「ゲームってこうやってできているんだな」という基本の部分が学べるだろう。
「プログラミングをする」「実際にゲームの世界でどのように反映されているかを確認する」「うまくいかない部分のプログラミングを再度確認して改良する」というゲーム作りの一連の流れが理解できるところも面白い。実際にゲーム制作に使用する際のプログラミングはもっと複雑だが,ノードン(キャラクター)をつなぐという仕組みは,プログラミングをしたことがない人にとって,その基本となる考え方を知るのに最適なのではないだろうか。
レッスンをこなして本作のゲーム作りの方法を学んだら,「フリープログラミング」に挑戦してみよう。自分の好きなように一からゲームを作り込める「フリープログラミング」は,それぞれの趣味やセンス,何よりも「どんなゲームを作りたいのか」という情熱がものを言いそう。筆者の創作意欲もメラメラと湧いてきたため,製品版購入後にプログラミング好きの子どもと一緒にゲーム作りに挑戦するつもりだ。
できたゲームは,インターネット上で公開したり,近くの友だちにゲームを送ったりしてシェアできる。ナビつきとはいえ,自分ですべてプログラミングをしたゲームが見事完成し,それを自分で遊んだり,友だちや家族にも楽しんでもらえるという体験は格別だ。プログラミングの仕組みとともに,ゲーム作りの喜びも知れる点は本作の大きな魅力だろう。ゲーム作りの基本と“楽しさ”が分かる,「プログラミングは分からないけど,自分でゲームを作ってみたい!」という人にオススメのソフトだ。
「ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング」公式サイト
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