プレイレポート
病院経営シム「ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション」プレイレポート。オリジナリティ病院を作って,キテレツな病気を治療しまくる!?
本作には,ゲーム本編に加え,拡張DLC4つと追加アイテム2パックがあらかじめ収録されており,日本語版を心待ちにしていたプレイヤーにも,新規プレイヤーにも嬉しい仕様になっている。簡単に内容を説明すると「病院を経営するシミュレーションゲーム」ということになるが,その内容はかなりユニークだ。本稿では,Nintendo Switch版を先行プレイし,気になる内容についてレポートしていく。
「ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション」公式サイト
ヘンテコな病院のオーナーになって,自由な病院づくり!?
ビッグフットが住む雪国から熱帯気候の島まで,多くの個性を持った広大な土地を保有するツーポイント州。本作の目的は,そんなツーポイント州にはびこる架空の病気を治療する病院を立ち上げ,建設・運営をしながら利益を上げ三ツ星病院へと発展させていくことだ。
経営者として気配りをしなくてはならないのは,患者の治療に関してだけではない。院内の衛生環境も整えなくてはならないし,病院で働くスタッフの心身のケア,診察を待つ患者への娯楽の提供も必要だ。とにかく気配りとサービス精神が肝要なのだ。
目まぐるしく状況の変わる院内を上手く回していくためには,さまざまな経営のノウハウが必要に感じるかもしれないが,操作自体は非常に簡単でとっつきやすい。基本的には,受付,総合診療室,薬局などの必要なオブジェクトや部屋を院内に用意し,勤務する医師や看護師,事務員などを雇用し,適した場所に配置するだけでいい。
病気のなかには専用の設備を使わないと治療できないものがあるので,新たな症状の患者が現れたら用意する必要があるが,画面下部に現れるガイドが親切にそのタイミングを教えてくれる。また,導線が滞っている箇所や増設したほうがいい施設などのアナウンスもあり,かなりありがたい。慣れてくれば,ガイドに頼らなくともスムーズにプレイできるようになってくるはずだ。
院内には治療に関する機器を置く部屋だけでなく,トイレやスタッフの休憩所なども必要となる。トイレが作られていないと部屋の中に糞尿がまき散らされ,院内の衛生状態が悪くなるし,休憩所がないと休むことのできないスタッフに不満が溜まり,勤務に大きな影響が出てしまう。
ストレスが溜まるのはスタッフだけでなく患者も同じだ。ただでさえ具合が悪いのに,長すぎる病院の待ち時間はさらに憂鬱な気分にさせられる。診察室や薬局をいくつも用意し,何人ものスタッフを待機させておけば患者の待ち時間は減るだろうが,待機スタッフに経費をかけすぎるわけにもいかない。そんなとき,院内に娯楽設備を置いておけば,患者の気がまぎれストレスが軽減するというわけだ。雑誌棚や変わったモニュメントなどだけでなく,トランポリンやハンマーマシンなど,病人の娯楽としては少々荒っぽいものまで,かなりの種類が用意されているので自由に配置してみよう。
娯楽設備だけでなく,装飾品,キオスク,食べ物の自動販売機など,院内における設備はなんと450種類以上もある。それらを好みに合わせて配置し,楽しい院内を作っていこう。およそ病院にありそうなものとはかけ離れたラインナップなので,これらを積極的に取り入れるほど「病院とは……?」というハチャメチャさになってしまうのだが,そのクレイジーな箱庭感を味わえるのが,本作の面白いところだ。もう常識は一切捨てて楽しんでしまおう。
ツーポイント州のマップにはたくさんの病院や大学などが点在していて,経営のキャリアを積んでいくとプレイできる区画が増えていく。エリアごとに病院の敷地面積や流行っている病気が異なるので,エリアに合わせた院内の構成を考えることもやりがいのひとつだろう。
180種類も存在する架空の病気は,頭が電球になってしまう“白熱頭症”,自分をロックスターだと思い込んでしまう“ロックでなし病”,頭に鍋を被ったまま張り付いてしまう“病みなべ症”など,どれもヘンテコなものばかりだ。頭が白熱灯になってしまった患者やロックスターの衣装をしっかり着込んだ患者がつぎつぎに来院する様子はコミカルで可愛らしく,つい画面を寄せて観察してしまう。治療を終えてスッキリした顔で帰っていく患者の姿を見るのは嬉しいものだ。
初めから自由に病院を経営していくのも面白いのだが,院内設備を充実させたり,スタッフのリクエストを叶えたりして“目標”を達成すると,得られる報酬が増え,ツーポイント保健省という機関からの評価が上昇し,使える設備がさらに増えたりなどの良いことがある。まずは積極的に目標を達成するようプレイを進めていくことをお勧めする。
来院する患者のすべてが適切な治療を受け,元気になって帰宅してもらうことが理想ではあるが,もちろん予期せぬアクシデントも起こる。例えば,混雑で治療が受けられなかった患者は怒って帰ってしまうし,治療に失敗した患者は院内で死亡するだけでなく,なんとオバケになってしまうこともあるのだ。幽霊は院内を徘徊し人々を怯えさせてしまうので,放っておくわけにはいかない。オバケ退治のスキルを持った管理員を雇用し,掃除機で捕獲しよう。
病院の規模が大きくなると,広い院内で起こっていることすべてをリアルタイムに把握するのはとても難しい。順調に発展しているか,見えにくい問題を抱えてはいないか。そういったデータはメニューの概要欄から確認可能だ。財務状況,スタッフの勤務状況や満足度,患者の統計データ,来院者や診断内容などのイベントログなども確認できる。
効率的に病院を発展させるために参照できるデータはたくさんあるが,実際は厳密に管理しなくても問題なくプレイできるだろう。トラブルが起こっても丁寧に対処すれば,院内がすぐに壊滅するということはほとんどない。特に序盤の難度設定は低めと言えるだろう。また,段階的にプレイ方法を習得できるので,気負わずカジュアルに遊べ,効率を追い求めるプレイを望むような上級者だけでなく,シミュレーションゲーム初心者も安心して取り組める。それぞれ違った個性を持った拠点が用意されていることも,飽きを感じさせにくい要素だろう。
治療のための設備だけでなく,病院ごとで内装をガラッと変えてみてもいいし,わざと治療を第一に考えないような尖った病院にして,阿鼻叫喚の地獄絵図を味わってみるというのも面白い。
実験的なプレイに興味があるのなら,メニューから選択できる“サンドボックス”というフリープレイモードをおすすめする。最初の所持金,新しいオブジェクトを開放できる勲章ポイント,収益倍率や患者到着率だけでなく,病気の種類や災害の有無など詳細な設定を任意でカスタムできるので,自分好みのプレイ環境を作り出せるのだ。ひと通りプレイに慣れたら,ぜひチャレンジしてみてほしい。ちなみに,難度設定ができるのもこのサンドボックスモードだけだ。
本作は,病院経営という重くなりがちなテーマながら,少し気の抜けるような症状の病気ばかりが登場することにより,終始あっけらかんとしたムードでプレイが進行し,独特の面白みを醸している。ひょうきんなキャラクターたちの動きは可愛らしく,観察しているだけでも楽しい。箱庭づくりとシミュレーションゲームが好きな人におすすめしたい一作だ。
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ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション
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