プレイレポート
「少女前線2(ドルフロ2)」のCBTを遊んだよ。10年後の世界では,グローザが年季の入った相棒系お姉さんヒロインになってたよ
記事の見出しにハッとできた人には説明不要だろうが,少女前線2とはスマホゲーム「ドールズフロントライン」の世界観を踏襲し,約10年後の世界を舞台に物語を進めていく,3Dグラフィックス仕様のスマートフォン / PC向け戦術ストラテジー育成ゲームだ。
ここではプレイヤーは「戦術指揮官」と呼ばれ,銃器をモデルとして作られた少女型の擬体「戦術人形」を指揮し,コーラップス液により汚染されきった世界で,人類のための戦火に身を投じる。
なお,ゲーム内容以前に少女前線2がどのような成り立ちで制作されているのかを知りたい人は,上海散爆 シリーズ総合プロデューサーの羽中氏(ウチュウ氏)へのインタビューを参考にしてほしい。
「少女前線2(ドルフロ2)」は今どんな感じ? 10年後の続編世界や少前シリーズのビジョンなど,上海散爆・羽中氏にインタビュー
少女前線ことドールズフロントラインの続編「少女前線2」が,中国で正式発表されている。とはいえ“10年後の未来でドンパチ”以上の話が漏れ聞こえてこない。そこで上海散爆の羽中氏にインタビューしてみたら,いろいろ出てきたという次第で。
「ドールズフロントライン(旧名:少女前線)」4Gamer内サテライトサイト
※本稿で使用しているゲーム画面はすべて開発中のものです
指揮官めっちゃしゃべるし,グローザめっちゃヒロイン
はじめに,本稿では「少女前線2」と表記しているが,名称は中国語表記で「少前2:追放」,英語表記で「GIRLS' FRONTLINE EXILIUM」とされており,また予想される日本語表記「ドールズフロントライン2」の名はまだ正式には発表されていないと注記しておく。
とはいえ,ドルフロ2と呼んだところで怒る人はいないだろうが。
正確には現地向けの第2回CBTとなった今回は,作中のストーリー1章分,作戦を4章分に加え,そのほかサブコンテンツを体験できた。
ただし,鳴り物入りで実装される,人形と車のなかでイチャコラできるという「休憩室」については未実装であったと先に報告しておく。
また本件は中国向けCBTとあり,ゲーム内言語はすべて中国語である。一方,ボイスだけは日本人声優の日本語仕様とあり,物語は耳で聞き,文章は翻訳カメラをとおしてどうにかこうにかといった状況であったため,いろんなものの細部はまだ見逃してほしい。
少女前線2の舞台,2074年以降の未来では,指揮官が所属する民間軍事会社「グリフィン&クルーガー」がすでに解体されており,新たなけん引役として「ロクサット主義合衆国連盟」が台頭している。
これにより世界はさらなる成長の時代へと突入した一方で,急激な変化に伴う関節痛のように,至るところで大量の事件が発生している。
うわさでは,ロクサットの重要機構「非軍事管理局」が秘密裏に計画している“遺跡関連の医療技術と軍事運用”がとくに怪しいとか。
指揮官たるあなたは,約10年前にG&Kを引退し,珍しくもない汚染地域の掃きだめへと流れ着いて,同じような境遇でいながらも一線を越えてしまった者たちの首を飯のタネとする賞金ハンターに身をやつした。
そうしてあなたは,人員構成に難あり,ついでに万年赤字続きの独自の戦術人形部隊「アモス」を運用し,日々なにで稼ぐか,なにが稼げるのか,情報プラットフォーム「B.R.I.E.F.(ブリーフ)」を頼りに,金,金,金を求める立派な人間として,数少ない人形と暮らしている。
立場的には指揮官のままであるが,これがかつて世界の巨悪と対峙するために正義の組織で志を抱いていた,今の君の姿だ。
この時点で特筆すべきは,少女前線2ではドラマの見せ方がだいぶ変わったというところだ。フルボイス仕様が与える印象もそうだが,とにもかくにも指揮官のセリフ量が多く,めっちゃしゃべる。
指揮官の名称変更は自由で,プレイヤー自身を投影するアバター型の主人公としてのフレームもそのままだが,性別の男・女はいつでも設定で変えられて,男女別の専用ボイスも備えている。いずれも妙齢な声色がよく似合っているが,そのうえで人格が強めに,ダーティに変貌した。
人が住むべきではない汚染地域にやってきてから,約10年。何度も痛い目をみてきたあなたは,今では「自分はもうあのころの指揮官ではないさ」と自嘲しながら皮肉に笑ってみせる,ニヒルでシニカルでハードボイルドな酒浸りの知的主人公――といった印象に塗り替えられた。
主張の強い主人公の人格は,これ一要素で良しあしを決めるものではなく,また前作における主人公と同一人物であるかも定かではないが,周囲の戦術人形たちも工業製品,あるいは戦争兵器然としておらず,おのおのが自身の名を持つ「個人としての人形」となり,同時に登場人形の総数が絞られていることで物語の見せ方や解像度は一変している。
などのしゃらくさいことはどうでもよくて,端的に「みんなキャラ強めでさらにイイ感じの美少女ゲーになった」という感じである。
メインヒロインと呼んでも差し支えない戦術人形「グローザ」の立ち位置は,アモスの副官,かつ年季の入った相棒系のお姉さんである。
2人は前作で語られるのか語られないのかはさておき,約10年前に流れ着いた汚染地域でばったり出くわした。そして彼女はOTs-14という人形モデルとしての無骨な名を捨て,今は“グローザ”を名乗っている。
作中では立ち絵のない指揮官に代わり,だいたいのシーンでグローザがその姿を見せてくれる。性格は冷静沈着,基本は命令に忠実,だけど苦言もていすれば,同僚たちへの隠せない優しさもこぼしてくる。
あまつさえ,指揮官と2人っきりになると昔の賞金ハンターになりたてのころの苦い思い出をしっとり語ってくるなど,まるで幼なじみの所業だ(ほかの人形の前でするわけではないのでマウントではない)。
これはまさに,よりどりみどりの環境下でオレの推し人形はああだこうだと言い合っていた既存のファンコミュニティに対して堂々真正面から殴り込んでくる圧倒的看板ヒロインのインターセプト。おい分かるか? これが少女前線2やぞ? 休憩室できたら夜戦も準備OK? やかましいわ。とばかりに,M4らもすこしは見習うべきと言わざるを得ない正統なメインヒロインとしてのポジションを開幕から盤石なものにしてくる。
人員不足であえぐ指揮官の腹心にはグローザともうひとり,OM 50をモデルとする口数少なめな狙撃系人形「ネメシス」がいる。
彼女は誰かとの対話中,意味深で難解でポエティックな熟語をボソボソとつなげてしゃべるだけで返答とする,いわゆるそういう子だ。
ストーリー1章の後半ではもうひとり,無骨すぎるメカニカルなウサ耳を頭に装着した,近接系人形「キャロリック」が現れる。
彼女の成分は“ツンケンしてイライラしながらも最終的にしょうがないわねっ!”と引き受ける感じのいじられ少女である。
なお,刀剣を扱う戦術人形であるが,モチーフとなる原型はない。
ドルフロにおけるカリーナ枠には,メカニック兼オペレーターの少女「メイリン」がいる。彼女は人形ではなく生身の人間であり,あなたを師と仰いで尊敬しているが,今ではアモスのブラックな酷使によりミーチュウ(中国の米酒)を飲まないとやってられない生活をしている。
イメージにピッタリの情けないわめき声がワルい指揮官の嗜虐心を誘いそうな点から,生き物的にカリンよりも弱そう。
このほかCBTではキャラクターのみの実装として,自分をアイドルだと思い込んでいる「ヴェプリー」(モデル:VEPR-12),どこかトンでそうな医療専門家「コルフェン」(モデル:Taurus Curve),目に映るものを記録しては捨てる「ペリティア」(モデル:PKP-SP)がいた。
また情報公開だけだが,UMP-9は「レナ」を名乗って登場する。この名に覚えがない人は,もうしばらくドルフロをやり込もう。
新登場の人形を除き,彼女らがドルフロの作中人形と同一個体であるかは不明だが,そうでなくとも楽しめる物語になっているのは確かだ。グローザにせよ,もともとメイン格というほどフォーカスされていたわけでもなく,物語の立ち上がりにも前作の事象がほとんど関係なさそうなくらい,10年ぶんの余白で舞台が切り替えられている。
月並みな表現で言うと,前作をやってなくても大丈夫である。
こうした部下たちとともに,あなたは汚染重度に応じて色分けされた危険エリアで,金のかかる空飛ぶ軌道基地と長距離基地トレーラー「エルモ号」を運用し,賞金ハンターとしての日々を生きていた。
E.L.I.D.(広域低放射性感染症候群)化した野生生物を「生骸(いきむくろ)」(※)と言い捨て,ときおり吹き荒れる「コーラップスストーム」を惨めにやりすごし,絵に描いたような荒野の暴虐「ヴァリアーグ」と安い命をかけ合う。
アモス以外の仲間と言えば,頭のネジの外れた商人くらいのもの。
※記事掲載時は「生き袋(いきぶくろ)」と表記していましたが,(現状のローカライズ予定では)ただしくは「生骸(いきむくろ)」とのことなので,ボイスの聞き間違いをここでお詫びいたします
そんなアテのない生活を送っていたころ,あなたのもとに割がよすぎる奇妙な依頼が入ってくる。それから一行は「謎の箱」を確保することになったが,各方面の思惑は交錯し,荒野には銃弾が飛び交う。
そして追っ手を振り払おうと,箱を守っていたグローザに危機が迫ったそのとき,突然光り出した箱から“謎の女性”が現れた。
彼女は一体どのような存在なのか? まあ前述したインタビューで答えを教えてもらっているから,つまりそういうことである。
ドラマ部分は衣装や表情が変わる2Dデザインの立ち絵,スチルイラストの充実,ふんだんな3Dムービーにより,ノベルゲームとしてのクオリティは格段に向上した。視点も原則,主人公の指揮官に固定されていることで,人によってはより物語に没入しやすくなっている。
なお,本稿は開発のチェックをとおしているが,文章は中国語,ボイスは日本語,さすがに正式なローカライズもまだ先のことだろうから用語の誤記もあり得るので,今はほどよくあいまいに受け取ってほしい。
一新された戦闘面は,それでも今までどおり
ここで今一度の注記をしておく。ストーリーは日本語ボイスのためどうにかなったが,以降のシステム面はUIも含めてあやふやな翻訳と体感だけが頼りであったため,とくに用語に関しては信用しないでほしい。
といった前置きを踏まえ,ここからゲームシステムの話である。
少女前線2では,物語と作戦を別個に分けた章仕立てのメインストーリーを進めていく。おかげで前作より読みやすい&遊びやすい。
作戦は普遍的な戦略シミュレーション,ないしストラテジーのシステムだ。マスで区切られた3Dマップを戦場に,自陣・敵陣のターン交代でユニットを移動させ,敵を攻撃し,マップクリアを目指す。
1ユニットの行動は「移動+射撃(あるいは近接攻撃) or スキル」が一手番。マップ上では自陣の全ユニットの行動終了後,敵陣の全ユニットが行動を開始するため,アクティブ順などの概念はない。
またダミーリンクシステムもないので,動かす人形は親機1体だ。
CBTでは解読できなかったものの,攻撃時は大まかな予想ダメージとヒット率(銃弾一発ごとの回避率,もしくは軽減率?)が表示されるので,期待を裏切られる結果もままあるが目測は立てやすいほうだ。
攻撃側のルールで大きいのは,画面左下の「ダメージ指数(仮称)」と「染色指数(仮称)」。戦場では敵味方の1アクションの結果によって,自陣全体で共有している上記二つの値が(敵陣も)上下する。
そして前者が高まると攻撃時のダメージ値が上昇し,後者が高まると“この数値を要求されるスキルが使用可能”になる。例えばグローザのスキル「範囲グレネード(130)」を使うには,敵への攻撃・撃破を繰り返し,染色指数を130までためる必要があるわけだ。
これにより,少女前線2では開幕直後から強力なスキル頼りとはいかず,ロボットが大戦するあれらのテンションシステムのように,殴ってたまるゲージを管理し,満を持して必殺技をぶっ放す流れになる。
とはいえ,人形によっては開戦時の染色指数でスキルを使える者もいる。それがヴェプリーだ。スキルは2回移動。だいぶ世話になった。
次いで,攻撃時は「物理装甲と電子装甲(仮称)」を確認したい。
ユニットは基礎ステータスとして各属性の装甲値を備えており,攻撃時は装備武器に準じて“いずれかの属性ダメージ”を相手に与える。
装甲値は非回復性であり,いずれかの属性で値を削りきるとユニットHPにダメージがとおるようになり,0になると戦闘不能となる。
■装甲値の計算例
○人形A:“物理”攻撃100,電子装甲50,HP100
○人形B:“電子”攻撃100,物理装甲120,HP100
人形Aが攻撃:物理攻撃100−物理装甲120=人形Bの残装甲20,HP100
人形Bが攻撃:電子攻撃100−電子装甲50=人形Aの残装甲0,HP50
※各装甲値は原則,自動回復はしない
いわば「被撃時に属性ごとの予備HPがある」のようなものだ。
いくら物理装甲が強固でも,電子装甲が貧弱なら,電子で畳みかければ攻撃回数を1回も2回も減らして撃破できる。その反面,電子装甲を削りきっても動かせる残りのユニットが物理攻撃オンリーだと,わざわざ物理装甲を削り直すはめになり,ムダな手数が増える。
つまりユニットごとの攻撃属性,対象の装甲属性を見極めて,より簡単にHPを削りきるための攻撃をするのが最善手となる。
しかし,敵がどちらの属性を重視してくるかは作戦ごとに変わるため,最適解はクリア後か攻略Wikiでも見ないことには分からない。
また攻撃側の属性は「属性の異なる武器」を入手・装備するだけで変えられるが,武器強化のコストはなかなかの重さで,人形ごとのメイン武器を最低でも1本鍛えることを考えると,最初のうちは厳しい。
なので当面は,ぶっつけ本番のテクニックを磨くほうが現実的だ。
防御面については「バンカーと高低差」の意識がカギとなる。
マップ内にはバンカー(障害物・遮蔽物)が存在し,ユニットが隣接すると回避ボーナスが発生して,さまざまなダメージを軽減できる。
バンカーは非貫通オブジェクトであり,半身を隠せて移動で飛び越えられるタイプ,射線を切って完全防御できるタイプなど,マップごとの造形物を把握してうまく利用していくのが大切だった。
ただし,付加されるのはあくまで回避ボーナスのため,攻撃自体はとおるし,爆風などの範囲攻撃もさけられない。それに回り込まれるなどし,射線がとおりやすい角度から撃たれればボーナス値も減算される。
さらに,ユニットの立ち位置の高低差も影響が小さくない。
バンカーのあるなしに関わらず,ユニットの攻撃が角度的にとおらない位置なら完全防御となり,バンカーで下方からの射線を切っても完全防御が成立する。単に高所に陣取るだけだと,攻撃手段のデフォルトが射撃とあって蜂の巣にされるが,無敵の要塞を見つけたときは無敵だ。
作戦の鉄則は「隠れられる場所に動いてから撃つ」の徹底である。
しかし,こういったシステムは戦略ゲームとしてオーソドックスな反面,知らない人は最初のうちはけっこう手こずるかもしれない。
例えば「ファイアーエムブレム」で1マスの大切さ,ユニットを自由に動かせるがゆえの手順の大事さを学んだ人や,ほぼ同ルールと見ていい「XCOM」で遮蔽を踏まえる重要さ,考え抜いた戦術を知らない謎ビームで一瞬にして瓦解させられたときの絶望感との向き合い方など,同系統のゲームでノウハウを持っていないと,当初は理不尽な気持ちで全滅させられたりもしそうである。戦闘バランスがシンプルで非情だからだ。
序盤からして,解法を間違えれば一手順で全滅も見えてくる。
一応,人形がやられてもロストすることはないので,(スタミナ的なリソースはあるものの)いくらでも再挑戦は可能だし,ステージ中のリトライであれば無償の無制限でできるため,おびえるほどではない。
とどのつまり,ドルフロでも味わえる「進行ルートを考えなしでやったら盾役のSGが抜かれて,はいリトライ」の精神さえあれば無敵だ。
それに少女前戦2のいいところは,自動戦闘機能「AUTO」である。
これ自体は多くのゲームに搭載されているものなので目新しさはなく,AUTO時のAIも手動を超えるほどの知性はないが,基本的な解法すら理解できていない段階だと,AUTOがめちゃくちゃ頼りになる。
これにより少女前線2では,操作が面倒だからAUTOにしようだけでなく「テキトーにやったらクリアできなさすぎてAIに解法を教えてもらう」といった,序盤のヒント用途としても活用できる。
部隊の人形さえきっちり強化しておけば,基礎的な遮蔽を押さえつつ,ときどき突撃しすぎるけど,力押しの正解を教えてくれることから,ゲーム序盤はAUTO任せでルールを学ぶのがオススメなくらいだ。
とはいえ,難度についてはさすが少女前線(ドルフロ)。
CBTではストーリー1章以降はテキストなしで,戦闘のみを楽しむ仕様であったが,3-7あたりからはもはや手動で詰めないと無理な難度となり,初動で最善手を取っていなければ全滅が確約されて即リトライといった,ずいぶんとなじみのあるプレイ感覚を味わわせてくれた。
また,敵は汚染された生骸,ヴァリアーグのチンピラ,みんな大好き鉄血工造の自律人形のみならず,いかにも悪そうな所属不明の美少女? 美少年? な人形たちもいて,強烈なお出迎えをしてくれる。
システムを大幅に変えながらも,編成と進行手順に思考の大部分を割き,戦闘勝利は結果として受け取るだけ。ストーリー以外の常設コンテンツでも「高難度作戦」を充実させているのもあり,指揮官たちはこれまでどおり,毎度のように攻略の解法に頭を悩ませる。
そういったゲームプレイの手応えは,少女前線2でもそのままだ。
結論としては「やっぱ今回もガッツリおもしろムズい」である。
さすヒロ。グローザめっちゃ強い
続いて,作戦に投入する戦術人形たちの扱いだが。
・(基本は)ガチャ or ゲームプレイで人形などを入手
・人形の強化:レベル・メンタルモデル・スキルレベル
・武器の強化:レベル・アタッチメント・スキルレベル
・妖精の強化:能力上昇装備。レベル・妖精スキルI〜IIIの選別
シンプルではあるが,実際にやってみるとわりと細かい。
CBTの実装人形は計6体。人形には★(青。部隊制服),★★(紫。オリジナル衣装),★★★(黄。ユニーク衣装。CBTでは一部人形のみ)のレアリティが別個体として存在し,衣装や特徴が変化する。
前作と比べると人形の数がだいぶ減ったが,作戦時の出撃数はだいたい「4体まで」が目安となるだけに,物語やゲームシステムに合わせて実装数を絞り,1人形の複数バリエーションで幅を持たせるようだ。
これに伴い人形製造やドロップ人形もなくなり,物語の節目に新人形がデフォルトレアで加入するだけなので,獲得もガチャが主である。
人形と武器のレアリティ差は,ステータスの上限幅もさることながら,スキルの違いや「行動後に小ダメージの追加射撃」などのパッシブが変わったりと,評価がまるっと転じるほどの違いがある。
正直なところ,ルールに精通して人形ごとの特徴も把握し,作戦ごとに使い分けできるような段階になるまでは,一手のミスで最初からやり直してそのうち突破することに快感を見いだせる指揮官でもない限り,高レアの付加価値で攻略を楽するほうがやはり話が早い。
最低でも★★編成。グローザなどもまるで別物と言いたくなるほど有用性が違ったため,前提は★★そろえなところがある。
なお,少女前線2では銃種ではなく,人形ごとにロールが割り当てられている。今回は「ロールの特徴か」「人形の特徴か」が読み解けなかったので詳しい説明はしないが,だいたいイメージどおりの活用法だ。
□CBTの実装人形一覧
■防御「ヴェプリー」
強いというか便利。火力そこそこ,耐久も一撃多めに受けられるくらいだが,戦闘開幕時の染色指数100で発動できるスキルにより「2回移動」が可能。移動→攻撃→追加移動,移動→追加移動→攻撃,ドロップアイテムの取り逃げ,ギミックマス踏みなど,とにかく役に立つ。
こういったシステムにおける2回行動はそれだけで高価値な便利屋で,また自分をアイドルだと思い込んでるがゆえのスキル演出も場違いでかわいらしい。戦力的な意味でスタメンになるかどうかは現状では分からないが,まず間違いなく育てておきたいイチオシ人形であった。
■尖兵「キャロリック」
やわらか装甲で火力もほどほど。しかし近接範囲スキルが優秀なため,敵が群れる死地に一発カマすための鉄砲玉に持ってこい。
それと人形の効果か武器の効果かは判別できていないが,彼女が隣接している敵にほかの人形が攻撃を仕掛けたとき,回数制限なく追撃を加えてくれた。硬い敵の真横に置いておくだけで追撃ダメージを加算してくれるのが頼もしい。でも高難度だとだいたい最初にやられてる。
■支援「コルフェン」
たぶん強い。回復とかできるらしい。あざとい系の美少女に見えるが,ファンらの事前予想では「たぶんヤバイ系」が優勢らしい。
■火力「ペリティア」
火力らしい火力。各人形は持ち前のステータスのほか,武器の影響で攻撃力が大きく変わるが,レベル上限でそろえると意外と横並びで,ペリティアも飛び抜けて火力が出る印象はなかった。それでも彼女だけは人形も武器も★★★でそろえられたことで,たしかに強かった。
(これも人形か武器の効果かは不明だが)ペリティアは移動後や攻撃後,近くの目標に小ダメージの自動制圧射撃をかけてくれる。この効果により,放置しておきたい目の前のドラム缶を勝手に撃ち抜いて自爆したときはメンタルがアップグレードされたが,このほか敵から攻撃を受けたときに反撃してくれるなど,回避ボーナスを高めれば攻勢の軸になる。
■狙撃「ネメシス」
たぶん強い。狙撃は移動後に攻撃できず,移動後はスキル攻撃で位置取り,そこから狙撃ターンといったポジション命の運用が求められるため,すべてが初見ゆえに臨機応変にいきたいCBT期間中はお役御免としていた。火力は出るし,分かればたぶん高い。
■爆破「グローザ」
めっ! っっっっちゃ強い。実装人形のなかではグローザが圧倒的に使いやすく,ヒーローのように強かった。人形も武器も★★止まりであったが,ペリティアと比肩するほどの火力を出す。絶対強い。
とくにスキルによる範囲爆破が万能兵器で,戦術の軸が彼女基準となった。自陣側は終盤戦までに1ユニットでも落ちてしまったら即リトライも視野に入ってくるのに対し,敵方は援軍をわらわら呼び寄せるため,甘えた集団陣形で戦場デビューしてくるうっかりさんたちにグレネードをぶち込むのが,少女前線2において誰もがとおるゲーム体験になる。
そのうえ,彼女は味方が敵から攻撃を受ける直前,該当人形に向けて自動でスモークグレネードを打ち込み,遮蔽があってもなくても追加の緊急回避ボーナスを付与してくれる。煙は範囲も広く,1ターン持続するため,開幕初手に陣取った場所を防御優位な起点として活用できる。
これら攻防一体の魅力により,敵配置や援軍を把握しきれていない初見プレイでも困難をうやむやにしてくれる能力が圧倒的に高いため,★★を確保したらスタメン確定させたいレベルの真ヒロインである。
人形強化の特筆事項は「レベル上限は指揮官レベルと同値まで」くらいだ。メンタルモデルは「チップ(ドロップなど)を使ってステータスアップ」で,妖精も“装備人形にステータスやスキルを上乗せ”といったものになった。そのほかの強化システムは普遍的なものである。
やはりネックとなるのは,レベル上限=指揮官レベルだ。
人形のレベルアップによるステータス上昇はバカにならない恩恵であり,基本的には常に頭打ちにしておきたい。経験値の取得方法は作戦クリア時のEXPが基本だが,ドロップ品の経験値アイテム,それを確保できる模擬作戦を重視すれば“序盤は”問題なさそうだった。
しかし,上限値を定める指揮官レベルはLV10あたりから必要経験値が増大することで,ゲーム序盤はレベルの暴力でどうにかすることがしづらく,シビアで戦略的なバトルに真摯に向き合うことを求められる。
育成のやりすぎでゲーム体験を破綻させないレベルデザインとしてはよく機能しているが,その反面,作戦が難しくなるにつれ,操作や手札で打開できない状況になると,過剰なレベリングやガチャ頼みが求められそうではある。開発側がどれほど「やる気と繰り返しで突破できます」と励まそうが,ひと筋の光明のためにリトライし続けるコストを支払うのはこちら側だ。正直,最初のサービス開始後のボーナス的なガチャでどれだけ手札を充実させられるかで,攻略深度は変わるものかと思われる。
とはいうものの,ようはレベル上げに勤しめばいいだけである。
ドルフロの指揮官たるもの,在りし日の0-2周回でも思い出しながら,額に汗して義務をこなせば問題は解決されているだろう。
それに今回のCBTで仕様やバランスを調整し,まだ見ぬゲーム内機能が課題を解決してくれることもあるだろうから,日本サービスすら発表されていない今から考えることほど無為なこともない。
ついでに今回は未実装であったが,少女前線2はマルチプレイにも力を入れ,対戦も協力も収集も探索もすべてカバーできる仕組みを理想としているらしい。仕様によっては,自分の困難をほかの誰かにどうにかしてもらう,なんてことも期待していいのかもしれない。
最後の余談だが,今回遊んだPC版はそこそこのスペックを自負する環境でも,見た目どおりの高品質さということか,処理が重めであった。
スマホ向けのチューニングの影響や,最適化作業は今後という話なだけかもしれないが,仮にPCで遊ぶ心づもりをしている人がいたら,最高環境で遊ぶには自前のスペックと相談したほうがいい。
少女前線ないしドルフロは今後,過去を描く「少前:雲圖計劃 PROJECT.NEURAL.CLOUD」(英名:GIRLS' FRONTLINE //:_ NEURAL CLOUD。ニューラルクラウド),ドルフロの約30年後を描く「逆コーラップス:パン屋作戦」のほか,現行のドルフロのサービスはもちろん,TVアニメ「ドールズフロントライン」も2022年1月に放送される。
ワンIPから派生した多種多様なコンテンツ展開は,これからさらに加速していくことだろうが,今回あらためて感じさせてもらったことがある。少女前線2の出来は,今後のシリーズのフラッグシップタイトルにするという意志を感じられるほどに,本気の仕上がりを見せている。
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- 関連タイトル:
ドールズフロントライン2:エクシリウム
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ドールズフロントライン2:エクシリウム
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