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「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及
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印刷2021/04/26 22:00

インタビュー

「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及

 スクウェア・エニックスは,アクションRPG「新すばらしきこのせかい」PS4/Switch)を2021年7月27日に発売する(PC版は2021年夏発売予定)。

画像集#001のサムネイル/「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及

 2007年にニンテンドーDSにて発売された「すばらしきこのせかい」の続編となる本作では,トゥーンシェーダーによるコミックテイストの表現で構築された世界を背景に,新たな主人公「リンドウ」と,彼をリーダーとしたチーム「ツイスターズ」が,生死をかけた「死神のゲーム」に挑む物語が展開する。
 見た目だけでなく,装備する「バッジ」によってバトルのアクションが変わるという独自のゲームシステムを備えていることが明らかになっているが,まだ非公開の要素も多く,新情報を待っているファンも多いだろう。
 今回,本作の開発スタッフへのインタビューの機会が設けられたので,気になる部分を聞いてみた。

インタビュイー
  • プロデューサー 平野智彦氏
  • シリーズディレクター 神藤辰也氏
  • ディレクター 伊藤寿恭氏

「すばせか」ならではの「新しい体験」を,続編となる本作でも追求


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。この4月のアニメ放映に続き,ファン待望の続編となる本作ですが,企画の経緯からお聞かせください。

平野智彦氏(以下,平野氏):
 2007年のニンテンドーDS版の発売以降,ユーザーの皆様,とくに海外のファンの方から,続編を熱望する声を多数いただいていました。弊社としても,何度か続編の企画は検討していたんですが,前作の「すばらしきこのせかい」がかなり尖った作品でしたから,ほかのプロジェクトと並行して開発することが困難だったんです。
 集中して開発に取りかかることができる環境を整えるために時間が必要で,ようやくそれが叶い,この7月に皆様にお届けできることになりました。

神藤辰也氏(以下,神藤氏):
 これまでも,続編の企画が立ち上がっては消えるという流れの繰り返しだったんです。以前,スマホ移植版のエンディングに,今回登場しているキャラクターの1枚絵を入れていて,そのあたりから構想はありました。

伊藤寿恭氏(以下,伊藤氏):
 今回,ようやく企画が動いて,PC内の古いフォルダをあさったら,いろんなバージョンの企画書が出てきたんですが,そのときの最新プラットフォームに合わせて企画を考えていたので,内容がそれぞれ違っていました。

4Gamer:
 それはハード的な仕様の違いですか?

伊藤氏:
 そうです。

4Gamer:
 前作は2Dグラフィックスで,タッチスクリーンを使った操作が変わった操作が印象的でした。今回は3Dとなって,システム的にはどんな感じになっているんでしょうか。

伊藤氏:
 確かに前作は,「ニンテンドーDSならでは」という仕組みがたくさんあって,ユーザーさんにもそこを評価いただきました。このときに生まれた「すばせか」ならではの「新しい体験」は,続編でも必ず必要なものだと認識しています。
 その体験として本作で取り入れたのが,パーティのキャラクター全員をリアルタイムで操作できるアクションシステムです。これが今まで体験したことのない,自由でスピード感のある操作になっていて,なおかつそれをゲームがうまくない人でも楽しめるという設計になっています。

神藤氏:
 前作は,ニンテンドーDSの機能をフル活用して作るという点がウリの1つで,上下2画面同時にバトルが進行する尖ったシステムでしたが,ライトに遊ぶ方にはハードルが高かったという反省もありました。
 スマートフォン版を出したときに,2画面を1画面にして,2人のキャラクターを同時に操作するという操作系にしたことがあって,これをさらに発展させれば,もっと大人数に持って行けるのではないかというのが,今回のバトルシステムのとっかかりです。

4Gamer:
 「キングダム ハーツ」シリーズの開発陣が手がけているということで,PVを拝見した限りでは,そのアクションを踏襲しているようにも見えたのですが,そこはいかがでしょうか?

伊藤氏:
 「キングダム ハーツ」は,アクションがあまり得意でなくてもボタンを押しているだけで派手な立ち振る舞いができる設計でしたので,そういう意味では近しいです。
 今作のバトルは,1ボタンに1キャラクターの攻撃が対応していて,そのボタンの連打や長押し,ためて離すといった操作によって,対応キャラクターがいろいろな攻撃をするという仕組みです。複数のボタンを同時に押せば複数のキャラクターが同時に攻撃するという,直感的な操作なんですが,これが意外になかったシステムで,新しい体験につながっていると思います。

画像集#002のサムネイル/「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及

神藤氏:
 ボタンごとに操作キャラが違うのが,本作の特色です。

4Gamer:
 つまり,複数のキャラクターを動かすにあたり,キャラ選択みたいな操作を挟まずに,リアルタイムで行動させられるということですよね。

伊藤氏:
 はい。さらにそのボタンに関しても,バッジに紐づいているという変わった仕組みを採用しています。例えば「ボタン連打すると剣で斬る」という効果のバッジを装備すると,その操作で対応する攻撃ができます。

4Gamer:
 となると,同じボタン操作のバッジは,同時に複数キャラクターには装備できないとか?

伊藤氏:
 いえ,実は同時に装備することも可能で,その場合は1ボタンで2人のキャラクターを動かせます。突き詰めていくと「すばせか」らしい尖った操作を楽しめるようになると思います。

平野氏:
 ゲームを進めると徐々にそのあたりの機能が解放されていくようになっています。とっかかりは簡単で,遊べば遊ぶほど深みのあるゲームシステムに変わっていきますよ。


渋谷の街にいる人々との交流が,プレイヤーに力をもたらしていく


4Gamer:
 操作系以外に,本作でこだわった点はどこでしょうか。

神藤氏:
 前作の背景は,パースを歪めた特徴的な風景を2Dで描いていましたが,今回はその特徴を3Dに落とし込みました。実際の渋谷を改めてロケハンして,すばせからしさを保ちながら最新の渋谷を再現しています。

画像集#003のサムネイル/「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及

伊藤氏:
 CGの頂点をいじりつつ,カメラも特殊な角度に置いたりして,だまし絵のような空間が歪んだ雰囲気を3Dで表現しました。

4Gamer:
 あの空間を歩けるのはちょっと楽しみですね。PVを見ると,渋谷の街並みは今の地理が採用されていて,再現度が高く感じましたが,どのぐらいまで作り込んでいるのでしょうか。

伊藤氏:
 渋谷の狭い区域に閉じ込められる設定なので,いわゆるオープンワールドのような設計ではありませんが,前作よりも細かなところに行けるようになっています。

神藤氏:
 前作は渋谷駅の東側にはあまり行けなかったんですが,今回はそちら側を中心にマップを広げています。ほかにも原宿方面に行けますね。

4Gamer:
 確かに竹下通りのようなところを移動するシーンもありました。

神藤氏:
 それと渋谷という街を表現するポイントとして,登場人物たちの相関図を用いた面白いシステムがあります。

伊藤氏:
 本編には大きく関わってこないものの,ショップの店員など,渋谷にはいろんな人がいて,彼らが主人公のリンドウと関係を持つと,人物相関図ができあがっていくんです。その相関図がスキルマップになり,特定の人物との関係を深めていくとさまざまなリワードを得られるシステムになっています。
 例えばショップの店員なら,そこでたくさん買い物をすると店員と仲良くなれて,スキルマップ拡充していくという感じですね。プレイヤーの行動が強さにも紐付いていきます。

4Gamer:
 個々の人物に対して「仲良し度」的なものがあるということですか?

伊藤氏:
 はい,それに該当するパラメータが内部に設定されています。どうすると上がるかは,人によって条件が違うんですけど。

神藤氏:
 会うだけだと人物相関図に顔が出るだけなんですが,その人物に関連する行動をすることでパラメータが上がってリワードを得られるんです。例えばエンカウント時のチェイン(連戦)可能回数が増えるとか,ゲームに有用な機能もこのスキルボードで解放されていくので,街を探索するモチベーション向上につながっています。

4Gamer:
 店員以外はどんな条件があるんでしょう?

神藤氏:
 ストーリーの進行や,会話時に発生するサブクエストのクリアなどが条件になっています。

4Gamer:
 人物はたくさんいるんですか?

伊藤氏:
 はい。やり込むことで完成する人物相関図の全貌は,脳のシナプスみたいな感じで,かなり複雑なものとなります。

4Gamer:
 もう1つ街に関してうかがいたいんですが,タワーレコードやPARCOなど,実在する店舗が見られました。実在する企業とのコラボは多いのでしょうか。

平野氏:
 渋谷のランドマーク的な企業さんには,正式に許諾をいただいてゲームの中に組み込んでいます。前作では名称をもじったりして作っていましたが,今回は要所は実在するスポットとなって,よりリアルな渋谷を舞台に楽しめます。

神藤氏:
 ただ「109」に関しては,東急さんに許諾をいただいているんですが,ゲームのランドマークとしては「104」としてフィーチャーされているので,そこはそのまま残しています。

画像集#004のサムネイル/「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及

4Gamer:
 アニメや前作と本作のつながりはどうなっているのでしょうか。

神藤氏:
 基本的にアニメは前作の内容を踏襲した世界観と内容でして,本作はNintendo Switchの「すばらしきこのせかい -Final Remix-」で追加した「A NEW DAY」を踏まえての続編となります。
 ただストーリーはつながっているものの,今作からプレイしても問題はありません。タイトルが「2」や「続」ではなく,「新」となっているのにも,そういう意味が含まれていて,新しい主人公のリンドウとチーム「ツイスターズ」が,死神のゲームにどう挑んでいくかが描かれます。
 もちろん前作を遊んでいただいた方がより楽しんでいただけるよう,ファンサービスも盛り込んでいます。

4Gamer:
 本作のキャラクターデザインについてのこだわりなども教えてください。

画像集#005のサムネイル/「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及
平野氏:
 主人公のリンドウは,マスクを着けているキャラクターなんですが,自分の内に秘めた言葉を口に出さないというところをマスクで表現しています。前作の主人公ネクが,ヘッドホンを付けて外界との関わりを遮断していたのと同じ感じです。
 マスクをつけるのは,コロナ禍によって当たり前になってしまいましたけども。

4Gamer:
 デザイン面では,バッジは技ごとに違う見た目のものが用意されていますが,こちらは今回新たに作ったものなんですか?

伊藤氏:
 はい。チュートリアルでは前作のデザインのものを出していますが,300以上のバッジは今回新たにデザインしたものです。実は多方面で活躍されているデザイナーさんが手がけたりもしています。

画像集#006のサムネイル/「新すばらしきこのせかい」開発者インタビュー。斬新なビジュアルやシステムなど,“すばせか”らしい新しい体験を続編でも追及

4Gamer:
 ゲームのボリュームはどのぐらいになるのでしょうか。

伊藤氏:
 今回は前作よりもかなりボリュームアップしました。エンディングに到達するだけでも,50時間程度は楽しんでいただけると思います。

神藤氏:
 やり込めば3桁時間は確実だと思います。人物相関図やバッジなど,収集要素をたくさん用意していますし,歯応えのあるバトルもありますから。さらにゲーム内でさまざまな条件を満たすと,ステッカーのようなグラフィティが手に入っていき,それを宇田川町路地裏の壁に貼れるという要素もあります。

4Gamer:
 最後に発売に向け,メッセージをお願いします。

神藤氏:
 では私が代表しまして,今作から遊ばれる方も前作をプレイされた方も,皆さんに十分に楽しんでいただけるような,やり応えのある面白いゲームに仕上がっていると思います。とくにバトルが楽しいです。我々も,バトルを遊びすぎて,他の仕事がなかなか進まないなんて状況になりました(笑)。ぜひご期待ください!
 あと限定版の「新すばらしきこのせかい NEO: The World Ends with Bag」がめちゃくちゃ豪華な仕様になっています。制作中のアートブックも盛りだくさんな内容ですので,ぜひお買い求めいただけると嬉しいです。

4Gamer:
 発売を楽しみにしています。ありがとうございました。

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