企画記事
NHK「ゲームゲノム」第8回「天穂のサクナヒメ」視聴レポート。“ふるさとの作り方”をテーマに,稲作シムだけでは終わらない魅力が語られた
番組にはお馴染みMCの三浦大知さんに加え,ゲストとして山里亮太さん(南海キャンディーズ)と本作のプログラミングを担当したなるさん,グラフィックス&シナリオを担当したこいちさんが迎えられ,「ふるさとの作り方」をテーマに本作の魅力が紐解かれた。
「天穂のサクナヒメ」(2020年11月12日)
「天穂のサクナヒメ」は,えーでるわいすが開発しマーベラスより発売されたアクションRPGだ。対応プラットフォームは,PC(Steam,Epic Games),PlayStation4,Nintendo Switchで世界累計出荷本数100万本を達成している。
プレイヤーが操るのは豊穣を司る神様であるサクナヒメ(サクナ)。格の高い上級神という立場にあぐらをかき,自堕落な日々を送っていたが,ある日,神の世界・頂の世へ迷い込んできた人間たちと出会ったことで大きな災難に巻き込まれ,鬼がはびこるヒノエ島へと追放されてしまう。神の世界に戻るため,サクナは人間と協力して,鬼退治をすることになる。
鬼退治をするアクションパートと,米づくりに勤しむシミュレーションパートが用意されているのが本作の大きな特徴。サクナは米を作ることでパラメータが強化されていくので,いい米を作ってサクナを強化,アクションパートをクリアしてストーリーを進めていく,という流れが本作の基本的なサイクルとなっている。
米づくりとともにサクナもパワーアップ!
確かな実りと成長
番組で柱として提示されたテーマは「ふるさとの作り方」。いくつかのキーワードが明示され,そのテーマが紐解かれていく。
1つめのキーワードは,「確かな実りと成長」。本作でもっとも重要となる要素はもちろん「米づくり」となる。いい米を作ることでサクナも成長していくため,物語の進行にも密接に関わってくる重要な要素だ。ただし,本作の米づくりはよくあるミニゲームのような内容ではない。1年を通じて農家が行う作業を細かく体験できるものとなっており,どうすれば良質な米が作れるかという議論は,実際の農家の人たちも加わり,熱く盛り上がった。
本作のコンセプトについて,「はじめはダッシュ村からインスピレーションを得た」と話すなるさん。しかし村づくりをすべてやるとなると大変すぎるということで,「みんな知っているけど実はよく知らない“米づくり”」にフィーチャーしたと言う。なお,なるさんとこいちさんも最初は稲作の工程を知っているわけではなかったそうで,取材をしたり,論文を読み漁ったりして,イチから本作を作り上げていったそうだ。
サクナを手伝う仲間は曲者ぞろい!?
仲間との時間
2つめに明示されたキーワードは,「仲間との時間」。鬼が住む島に追放されたのはサクナだけではない。神の国に迷い込んでしまった5人の人間たちもいる。彼らの存在が,ワガママし放題だったサクナの心に,そして米づくりに大きな影響を与えていく。
バラバラだった6人が1つの家族のようになっていく,何かたたき台となるモデルを用意しようと考えたときに出てきたのが「サザエさん」だったというこいちさん。「サクナは大黒柱なので浪平です」との発言に山里さんは,「語尾の『〜じゃ!』が浪平っぽい」と驚きと納得が入り混じったような感想を述べていた。
三浦さんに「6人が苦楽を共にし距離を縮めていく,そのなかで大切にした描写は?」と聞かれるとこいちさんは,「最初は嫌なところも持っているけれど,生活を共にしていく上でいいところも見えてくる。そんなクセもチャームポイントに見えてくるんですよ」と話す。また,「お腹が膨れてくると優しく見られるようになる」のもポイントの1つと語っていた。
すべてを失っても何度でもやり直せる!
試練 そして再生へ
番組で紹介された最後のキーワードは,「試練 そして再生へ」。本作の最終章で鬼を束ねるボス,石丸を撃破したサクナだったが,その直後,ヒノエ島の火山が噴火し,真のラスボスである大龍(オオミズチ)が出現する。
その噴火の影響で,家や田んぼがめちゃくちゃになり,すべてを失ってしまう6人だったが,これまで培ってきた米づくりの経験は裏切らない。仲間たちと共にこの土地で再び米づくりに勤しむのだった。
本作のストーリーにおいて,象徴的かつ印象に残るエピソードであるが,これはこいちさんが経験した東日本大震災から影響を受けているという。当時,東京に住んでいたこいちさんは,原発事故のこともあり,何が起こるか分からない怖さを感じていたという。
もしも暮らす場所が被災したら自分は離れる決断をすると話すこいちさん。しかし,当然その土地に残る決断をする人もいるわけで,その人たちが何を背負うことになるのか。自分が残りたいと思えるエピソードはどんなものかと考えた結果,生み出されたものだという。
この話を受けて山里さんは,新型コロナの影響で観光業が成り立たなくなってしまった高知の友人のエピソードを語った。高知の良さを伝える方法を考え,野菜づくりに着手した山里さんの友人だが,今度は台風や大雨による被害で,畑がダメになってしまったという。
友人を心配する山里さんだったが,その友人は「目の前に土と水さえあれば何度でもやり直せる」と力強く答えたそうで,これこそが大きな災害にあったときに,その土地に居続ける考えに近いのかなと語った。
ゲームなので気楽に触っていただき,田んぼの見え方が変わってくれたらうれしい(なるさん)
会話のきっかけだったり,何か始めようとか,もう1日がんばってみようと思ってもらえたらうれしい(こいちさん)
番組の冒頭で,「今この番組に出ていることがよく分からない」「運が良かった。死ぬ前に夢を見ているんじゃないか」と語った2人だが,山里さんはゲームを通して,2人からのメッセージはしっかりと受け取ったと話していた。
メインストリームではない,どちらかと言えばニッチなゲーム内容が受け入れられたのは,制作陣の熱く力強い想いがゲームに込められており,それが多くのプレイヤーの琴線に触れたからだろう。筆者も本作をプレイすると,あらためて農業関係者への感謝の気持ちと食への興味が湧いてくる。
「サクナヒメ? 稲作が話題になったゲームでしょ?」で止まってしまうのは非常にもったいない。多くのプラットフォームで展開されているので,番組や本記事を見て興味が湧いた人はぜひ遊んでみてほしい。日々食べるお米のおいしさもより感じられるようになるかも。
2022年10月5日 放送開始(全10回)
毎週水曜日 23:00〜23:29/NHK 総合(予定)
※「NHK プラス」で同時配信・1週間見逃し配信あり
※ NHK オンデマンド配信あり
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(C)2020 Edelweiss. / Marvelous Inc. / XSEED Games
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