インタビュー
チームRWBYをいかにしてメトロイドヴァニアに落とし込んだのか。「RWBY アロウフェル」開発メールインタビュー
本作は,アニメシリーズ「RWBY」をモチーフにした2Dアクションゲーム。アニメシリーズのシーズン7の世界を舞台に,原作を補完するストーリーが展開される。
今回,原作アニメーションを手がけるRooster TeethのGeoff Yetter氏,開発を担当したWayForwardのMatt Bozon氏とPR担当のChris Hoffman氏にメールインタビューを行った。ゲームを制作するうえでのこだわりやコンセプトなどを聞いたので,ぜひ確認してほしい。
「RWBY アロウフェル」公式サイト
4Gamer:
「RWBY」をゲーム化するにあたり,ジャンルとしてメトロイドヴァニアを選んだのはなぜでしょうか。
Geoff Yetter氏:
弊社メンバーの多くはWayForwardの「Shantae」シリーズはもちろん,「悪魔城ドラキュラX」「月下の夜想曲」「スーパーメトロイド」「Hollow Knight」などの大ファンなんです。次に作る「RWBY」のゲームをどうするかと考えた時に,候補として「RWBY」の世界を舞台にするメトロイドヴァニアがすぐに浮かびました。
そしてメトロイドヴァニアを作るのであれば,同ジャンルで名高いWayForwardさんだろうとオファーしたところ,とてもラッキーなことに,WayForwardさんも「RWBY」のファンであることが分かり,本企画がスタートしたんです。
4Gamer:
本作を制作するうえでどのようなコンセプトを掲げていましたか。
Geoff Yetter氏:
前提として,WayForwardさんに「RWBY」を自由に創作してもらうという部分が本企画の核でした。イメージとしては,「Shantae」と「RWBY」が完璧に混ざり合った楽しいゲームフローの実現でしたが,彼らの作品にあこがれがあったので,基本的には安心してゲーム作りを任せていました。
4Gamer:
アークシステムワークスの「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」など,RWBYキャラが登場するアクションゲームはいくつかあります。それらとの差別化などは考えましたか。
Geoff Yetter氏:
マルチプレイヤー3Dアクションの「RWBY: Grimm Eclipse」やタワーディフェンスゲームの「RWBY: Amity Arena」などこれまでいくつかのタイトルを製作してきました。「BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE」でのすばらしいパートナーシップもその1つですね。
そのなかで,「RWBY アロウフェル」の企画は少し違う方向性を取ったのは確かです。「RWBY」とWayForwardさん両方のアート的な個性を生かし,原作3Dアニメの正式ストーリーの一環として,新しい物語を導入することも企画当初からはっきりとしていました。
また,こだわりとして,ゲームの難度を高くしすぎないように心掛けました。もちろん,プレイするうえでのやり応えは必要ですが,「RWBY」ファンでアクションが苦手な方,「RWBY」ファンはなくアクションゲームが好きな方といったようにいろいろな方にアプローチしやすいゲームを目指しました。
そして,WayForwardさんが持っているすばらしいユーモアセンスも本ゲームに含めることが必要不可欠でした。
4Gamer:
原作はスタイリッシュなアクションシーンが特徴ですが,ゲーム化にあたって,どのようにその要素を落とし込みましたか。
Geoff Yetter氏:
原作のアクション要素については調整にとても苦労しました。もともと「RWBY」はダンスのようなシンクロしたアクションの印象強いですが,これはメトロイドヴァニアというジャンルとはあまり相性がよくありません。
以前に,原作のアクションを再現するゲームは開発したことがあったので,今回は大きく意識せず,メトロイドヴァニアの要素に集中しました。WayForwardさんはメトロイドヴァニアの基本的な戦闘スタイルに,センブランスやオーラなど「RWBY」独自の要素を融合してくれました。
そして,「チームRWBY」メンバーの切り替えを生かした戦闘とパズルという天才的な発想もあって,さらにユニークで楽しいシステムになりました。
4Gamer:
アクション面での本作の見どころを聞かせてください。
Matt Bozon氏:
操作キャラクターをいつでも切り替えられる自由度の高さに加え,キャラクターごとに接近戦,遠距離戦,ギミック解除に対して適性を用意しています。敵には特定の攻撃属性に弱みがあったりするので,さまざまな場面でキャラクターを切り替えることをオススメします。
ほかに好きなキャラクターを成長させられるシステムも備わっていますが,1人を重点的に強化したり,チーム全体の性能を底上げしたりと,プレイヤーの好みを反映させられる柔軟性があります。
4Gamer:
本作のストーリーは,原作のシーズン7を補完するとのことですが,原作ファンに向けたストーリー上の見どころを教えてください。
Chris Hoffman氏:
本作では,シーズン7で「チームRWBY」がプロのハンター資格を取得したあとの話が描かれます。この期間に何が起きたのか,そしてプロのハンターとしての初ミッションをどのように遂行するのか。ゲームオリジナルの新キャラクターやシチュエーション,グリムと出会いながら,新しい役割を得た「チームRWBY」の成長をお楽しみください。
4Gamer:
アートワークについて,原作を意識しつつ組み立てていると思いますが,とくにこだわったポイントなどを聞かせてください。
Matt Bozon氏:
「RWBY」とWayForwardの2Dプラットフォームゲームの個性を合わせつつ,視認性の高いキャラクター作りと,ヒットボックスなどの判定を分かりやすいようにする方向性でアートを進めました。そういう意味でも,表情豊かな顔や鮮やかな色づかいを意識しました。
全体的に「RWBY」ファンの方に馴染みがあるように,原作に近いビジュアルとしながら,2Dプラットフォームゲームに考慮したレベル設計をし,3Dにした時に綺麗なビジュアルになるよう,ダイナミックライティング,シェーダーや影作りなどにこだわりました。
そのほか,本作のビジュアルテーマである雪国を探索するという部分をより印象的にしたかったので,柔らかく優しくきらめく積もった雪を演出するために,特殊な技術を利用しました。
4Gamer:
BGMのこだわりはいかがでしょうか。
Matt Bozon氏:
BGMは数々の弊社作品を担当していただいたDale North氏が作曲しています。本作において,原作のユニークな雰囲気を再現するため,アクションが高まるシーンに向けて複数のボーカル入り楽曲を制作しています。
そのほかにもおだやかな街の風景を描く優しいBGMやレベル探索における冒険を表すオーケストラ系の楽曲もあります。原作BGMを担当したJeff Lee Williams氏とCasey Lee Williams氏による完全新規の楽曲「Everstrong」も含まれていますので,ぜひ聞いてみてください。
4Gamer:
ゲームオリジナルキャラクターの「チームBRIR」について,キャラクターデザインやバトルスタイルの見どころを教えてください。
Chris Hoffman氏:
「チームBRIR」は,かっこいいビジュアルでありながら,ちゃんと「RWBY」の世界観に馴染むキャラクターにするよう意識しました。そして,今まで彼女たちに寄せられた「RWBY」ファンの皆さんからのメッセージを見る限り,目的通りの出来になったかと思います。
チーム名もそうですし,チーム共通の茨のタトゥー,ルダのモグリ能力やアイビーの茨鞭を含めて,全体的に神秘性のある「秘められた部隊感」と,ソリタスの地に根深い存在として特徴付けました。
彼女たちの性格はある意味「チームRWBY」のダークな鏡写しのようなもので,能力や戦い方にも主人公たちに似てる部分があります。ただ,「チームRWBY」よりもチーム歴が長く,完璧に息の合う部隊になっているため,プレイヤーも「チームRWBY」をスキルアップさせないといけないという流れになっています。
4Gamer:
原作にはチームRWBY以外にも魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。これらのキャラクターが登場する続編などの構想はありますか。
Chris Hoffman氏:
今のところ続編の予定はありませんが,もしあればという仮の話なら,やはり「チームRWBY」が主役になると思います。ただ,ファンの方からは「チームORNJ」の登場希望も多いですし,「チームBRIR」も再登場させたいですね。
4Gamer:
最後にプレイヤーやファンにメッセージをお願いします。
Chris Hoffman氏:
私たちWayForwardも「RWBY」の大ファンですので,本作を通じてこの熱意が伝わればと思います。ルビー,ワイス,ブレイク,ヤンにインタラクティブな形で命を吹き込めたこと,ソリタスの探索,新しいキャラクターとの出会いなど,プロのハンターとしての初ミッションを遂行させる物語を作らせていただいたこと,どちらも光栄に感じています。本作に興味を持って遊んでいただいた方に感謝を伝えると共に,これからも応援いただければと思います。
「RWBY アロウフェル」公式サイト
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(C)2022 Wayforward Technologies, Inc / ARC SYSTEM WORKS / Rooster Teeth Productions, LLC.
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