レビュー
RTX 2080 Tiに劣らない性能で消費電力と価格は低い優れたGPU
GeForce RTX 3070 Founders Edition
Turing世代のハイエンド製品だった「GeForce RTX 2080 Ti」(以下,RTX 2080 Ti)の性能を凌駕するAmpere世代の「GeForce RTX 3080」(以下,RTX 3080)は,インパクトがかなり大きかった。しかし,いくら高い性能を発揮するとはいえ,10万円前後という価格のグラフィックスカードには,おいそれとは手が出ない人は多いだろう。
そんなゲーマーが待ち望んでいるのは,Ampere世代のミドルハイクラスとなる「GeForce RTX 3070」(以下,RTX 3070)ではないだろうか。
2020年10月27日22:00,そのRTX 3070のNVIDIA純正カードであるFounders Editionに関するレビューが解禁となった。そこで本稿では,RTX 3070 Founders Editionの性能をテストにより探ってみたい。とくに,RTX 20シリーズとの力関係がどうなるのかには注目してみよう。
GPUコアには新しいGA104を採用
一方のメモリ周りは前世代から据え置き
まずは,RTX 3070がどのようなGPUなのか軽くおさらいしておこう(※詳報はこちらを参照)。
RTX 3070は,型番どおりRTX 3080の下位となるAmpereアーキテクチャを採用したGPUだ。GPUコアは,RTX 3080などの「GA102」とは異なり,「GA104」を採用している。Samsung ElectronicsがNVIDIA向けにカスタムした8nmプロセス技術を用いて製造される点は,GA104もGA102と同じだ。ただ,ダイサイズは392mm2と,GA102の628mm2と比べて約62%の規模となり,トランジスタ数も約174億個とGA102の280億個から大きく抑えられている。
一方,前世代の「GeForce RTX 2080 SUPER」(以下,RTX 2080 SUPER)や「GeForce RTX 2070 SUPER」の「TU104」と比較した場合,GA104のダイサイズはTU104の約72%まで小さくなっているが,トランジスタ数は約28%増を実現している。プロセルルール縮小の効果が分かりやすく表れていると言えよう。
実際のRTX 3070は,歩留まりの都合もあってか,GA104のフルスペックから2基分のSMが無効になっている。そのため,RTX 3070のSM数は46基となり,CUDA Coreの総数は5888基となる。これはRTX 3080と比べて68%程度の規模ではあるが,CUDA Core数だけならRTX 2080 SUPERの約1.9倍,RTX 2070 SUPERの2.3倍にもなる。
なお,GPCのうち1基から2基分のSMを無効化しているのか,それとも2基のGPCから1基ずつのSMを無効化しているのかは明らかになっていないのだが,これまでの製品を考えると性能に差異はないであろう。
GA102がそうであったように,GA104ベースのRTX 3070でも,1基のSMに対してリアルタイムレイトレーシング向け演算ユニット「RT Core」を1基組み合わせているので,RT Coreの総数は46基となる。もちろんRTX 3080と同様に,RT Coreは第2世代へと進化しており,NVIDIAの説明では,RTX 3070のRT Coreのスループットは39.7 RT-TFLOPSを実現するという。これはRTX 3080比で約68%だが,RTX 2080 SUPERの34 RT-TFLOPを上回っている。
一方,AI推論エンジンアクセラレータである「Tensor Core」は,1基のSMに対して4基分を組み合わせているので,総数は184基となる。RTX 2070 SUPERの320基から大きく減少しているが,Tensor Core自体が第3世代へと進化しており,スループットは162.6 Tensor TFLOPSと,RTX 2080 Tiの114 Tensor TFLOPSの約1.4倍にあたる性能を有するそうだ。
一方,ブーストクロックは1725MHzで,こちらもRTX 3080から15MHz高いものの,RTX 2080 SUPERの1815MHzやRTX 2070 SUPERの1770MHzと比べれば若干抑え気味だ。なお,テスト中のコアクロックをGPU-Zで追ってみたところ,1950MHzまで上がっていることを確認した。
RTX 3070に組み合わせるグラフィックスメモリは,GDDR6Xを採用したRTX 3080とは異なり,従来と同じGDDR6を8GB分搭載している。メモリインタフェースは256bit,メモリクロックは14GHz相当なので,メモリバス帯域幅は448GB/sとなり,これはRTX 2080 TiやRTX 2070 SUPERと変わらない。
なお,RTX 3080と同様に,RTX 3070もPCI Express(以下,PCIe) 4.0に対応している。
そんなRTX 3070の主なスペックを,上位モデルのRTX 3070,Turing世代のRTX 2080 Ti,RTX 2080 SUPER,RTX 2070 SUPERとともにまとめたものが表1となる。
RTX 3080 Founders Editionをコンパクトにした外観
カード長は実測で約241mmと短め
それでは,RTX 3070のFounders Editionについて詳しく見ていこう。
外観は放熱フィンがむき出しの黒色を基調に,ガンメタリックの側面やラインがアクセントとなったもので,RTX 3080 Founders Editionを踏襲したデザインだ。
カード長は,実測で約241mm(※突起部除く)で,RTX 3080 Founders Editionが同287mmだったのに比べると,46mmも短い計算となる。ちなみに,RTX 2070 SUPER Founders Editionが約267mmなので,それよりもカードは短い。
一方の重量は,実測で約1038gと,RTX 3080 Founders Editionの約1351gより300g以上も軽いことになる。カードをよく見ると,基板自体は166mmほどしかなく,メーカーによっては短尺カードが登場する可能性があるかもしれない。
GPUクーラーは2スロット占有タイプで,90mm角相当のファンを2基搭載する。RTX 3080 Founders Editionではカード裏面にもファンを配置する構造を採っていたが,このRTX 3070 Founders Editionは2基とも表側に実装されている。ただし,先ほども述べたとおり基板自体は短いため,後方のファンはエアーがそのまま基板裏側へと抜ける構造となっている。
補助電源コネクタは,RTX 3080 Founders Editionと同様に12ピンを1基搭載していた。ただ,8ピンを12ピンに変換するアダプターが付属しているので,定格出力を満たしていれば,従来の電源ユニットをそのまま使用可能だ。8ピンが1基で済むなら,わざわざ12ピンを備える必要もなかったのではないかとも思うが,実装面積の縮小やRTX 3080 Founders Editionと部品の共通化を図るといった理由があるのだろう。
ドライバにはGeForce 456.96 Driverを使用
RTX 20シリーズとの実力差を確認する
それでは,テスト環境の構築に話を移そう。
今回のテストでは,先ほど名前を挙げたRTX 3080,RTX 2080 Ti,RTX 2080 SUPER,RTX 2070 SUPERの各Founders Editionを比較対象として用意した。RTX 3080との差を確認するとともに,RTX 20シリーズとの力の差をハッキリさせようというわけである。とくに,NVIDIAが主張するように,RTX 2080 Tiを超える性能を持っているかどうかは,かなり気になるポイントだろう。
グラフィックスドライバには,NVIDIAが全世界のRTX 3070のレビュワー向けに配布した「GeForce 456.96 Driver」を使用した。テスト時におけるNVIDIA公式最新版ドライバソフトがバージョン456.71なので,同じRelease 456世代のRTX 3070対応版という位置付けだと思われる。
また,前述のとおり,RTX 3070はPCIe 4.0をサポートしている都合上,CPUにはAMDの「Ryzen 9 3900XT」を,マザーボードにはAMD X570チップセット搭載の「X570 AORUS MASTER」を用いている。そのほかのテスト環境は表2のとおり。
テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション23.2に準拠している。RTX 3070でもRTX 3080と同じくリアルタイムレイトレーシングやDLSSの性能を確かめることに加えて,PCIe 4.0をサポートしていることから,「3DMark」(Version 2.14.7042)において,「Port Royal」と「NVIDIA DLSS feature test」,それに「PCI Express feature test」のテストを追加した。なお,NVIDIA DLSS feature testにおいては,DLSS2を選択し,品質モードは「Quality」に設定している。
さらに,「Fortnite」に関しては,グラフィックスAPIをDirectX 12に変更したうえで,DLSSとレイトレーシングを有効にし,レイトレーシングの設定に関しては負荷が最大となるように変更している。なお,テスト方法自体はレギュレーションから変わりない。
解像度は,NVIDIAがRTX 3070に関して,4Kおよび1440pでのゲームプレイを想定しているため,3840×2160ドットと2560×1440ドット,それに1920×1080ドットの3つを選択した。
RTX 3080の8割前後の性能
RTX 2080 Tiとはいい勝負を演じる
それでは,3DMarkの結果から順に見て行こう。グラフ1は「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。
RTX 3070は,RTX 3080の78〜88%程度の性能といったところか。Fire Strike“無印”で差がつまっているのは,CPUのボトルネックによるものだろう。RTX 20シリーズとの比較では,RTX 3070は,RTX 2080 TiにFire Strike“無印”とFire Strike Extremeで届いていないものの,Fire Strike Ultraで逆転を果たしている。一方,RTX 2080 SUPERには,安定して11〜22%程度の差を付けており,RTX 2070 SUPER比では最大で37%もの開きを見せ付けている。
続いてグラフ2は,Fire Strikeの総合スコアから「Graphics score」を抜き出したものとなる。
ここではCPU性能の影響を受けないため,RTX 3070はRTX 3080の77〜80%程度のスコアとなった。一方,総合スコアと同様に,RTX 2080 Tiに対してはFire Strike Ultraで約4%の差を,RTX 2080 SUPERには20%前後,RTX 2070 SUPERには31〜40%程度もの大差を付けており,RTX 3070の有するポテンシャルの高さがうかがえる。
グラフ3は,Fire Strikeからソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したものだ。今回はすべてのテストにおいてCPUを統一しているため,スコアもキレイに横並びとなっている。
GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果をまとめたものがグラフ4だ。
とくにCPU性能が大きく影響するFire Strike“無印”では,9600前後でスコアが頭打ちとなっている。多少ブレはあるものの,これは誤差範囲と言っていい。一方,Fire Strike ExtremeやFire Strike Ultraになると,RTX 3070はRTX 3080の74〜88%程度のスコアといったところ。RTX 2080 Ti比でも96〜99%程度と届かなかったが,差は小さい。
では,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果に移ろう。グラフ5は総合スコアをまとめたものだ
RTX 3070とRTX 3080の差は2割前後といったところ。また,RTX 2080 Tiとはいい勝負を演じており,横並びに近い性能を発揮している。さらにRTX 2080 SUPERに対しては14〜21%程度の差を付け,RTX 2070 SUPERとはまるで勝負にならないほどの性能差を見せつけた。
続くグラフ6はTime SpyのGPUテスト結果,グラフ7はCPUテストの結果となる。
GPUテストの結果では,RTX 3070はRTX 3080の75〜76%程度のスコアと,これまでよりも若干差が広がった。また,RTX 2080 Ti比では,Time Spy“無印”で後塵を拝したものの,Time Spy Extremeでは逆転を果たしており,ほぼ横並びと言っていいレベルだ。さらに,RTX 2080 SUPERとの差は18〜25%程度,RTX 2070 SUPER比では33〜41%もの大差が付いている。
一方のCPUテストの結果は,Fire Strikeと同様に,CPUが同一なためスコアも並んでいる。
リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ8だ。
RTX 3070はRTX 3080比で約70%のスコアで,RT Core数の差が32%ほどあることを考慮すると順当な結果と言えそうだ。ただ,RTX 2080 Tiには約9%ほど離される結果となり,第2世代RT Coreでも差を埋めきることはできていない。なお,RTX 2080 SUPERとの差は約16%,RTX 2070 SUPERとの差は約34%と,格の違いは明白だ。
続いて,DLSSの性能を見るNVIDIA DLSS feature testの結果がグラフ9である。
DLSS 2.0が有効になったときのフレームレートは,RTX 3080の72〜78%程度といったところ。Tensor Core数の違いもあり,両GPUの差はFire StrikeやTime Spyよりも広がっている。一方,RTX 2080 Tiには若干届いていない。逆にRTX 2070 SUPER比では,3840×2160ドットのDLSS 2.0有効時に倍近い差を叩き出している点は驚きだ。
グラフ10は,PCI Express feature testの結果だが,スペックどおり,RTX 3070はRTX 3080と同等の転送レートを発揮した。RTX 3070は,RTX 2080 Tiなどの1.7倍近い結果を残しており,PCIe 4.0とPCIe 3.0との差異がしっかりと転送レートとして表れている。
では,実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ11〜13は「Far Cry New Dawn」の結果となる。
Far Cry New Dawnでは,CPU性能の影響が大きいためか,2560×1440ドット以下の解像度ではあまり差が付いていない。そこで3840×2160ドットを見ていくと,RTX 3070は,平均フレームレートでRTX 3080の約83%という結果を残した。ただ,ここでもRTX 2080 Tiには約8%ほど引き離されている。
RTX 2080 SUPERやRTX 2070 SUPERに対しては安定して上回り,まったく寄せ付けていない。
続いて,「バイオハザード RE:3」の結果がグラフ14〜16となる。
1920×1080ドットではCPUのボトルネックにより,スコアが丸まりつつある。そこで,それ以外の解像度に注目すると,RTX 3070とRTX 3080の平均フレームレート差は33〜45%程度もあり,3840×2160ドットにおける違いが顕著となった。これはGPUコアの性能差に加えて,メモリバス帯域幅の影響も大きいのではないだろうか。それを踏まえると,RTX 3070は2560×1440ドットでのゲームプレイを想定したほうがよさそうだ。また,ここでもRTX 2080 Tiには届いていないが,かなりその差を詰めている。
「Call of Duty: Warzone」(※グラフ内ではCoD Warzone)の結果がグラフ17〜19だ。
ここでも1920×1080ドットはCPUが足かせになっているようで,RTX 3080とRTX 3070では,平均フレームレートでの差は約6%しか生じていない。2560×1440ドット以上の解像度になると,RTX 3070はRTX 3080に19〜38%程度の差を付けられており,両GPUの性能差が明白に表れている。また,ここでもRTX 3070はRTX 2080 Tiに迫ってはいるものの,あと一歩届いていない。
RTX 2080 SUPER以下には,はっきりとした差を付けて引き離している。
「Fortnite」の結果をグラフ20〜22に示す。
今回はDLSSやレイトレーシングを有効にしているため,RTX 3080をもってしても1920×1080ドットで平均フレームレートが60fpsを超えるのがやっとというように,フレームレートは全体的に低めだ。そんな状態だが,RTX 3070はRTX 3080の74〜81%程度のスコアを発揮しており,RTX 2080 Tiとも肩を並べる結果を残している。
しかし,1920×1080ドットでも平均フレームレートは60fpsを割っており,Fortniteですべてのレイトレーシング設定を最大限に反映させるには,まだ力不足の感は否めない。
グラフ23〜25が「Borderlands 3」の結果だ。ここでも,やはり1920×1080ドットではCPUのボトルネックが発生してしまっている。
2560×1440ドット以上になると,RTX 3070は,平均フレームレートでRTX 3080の72〜84%程度というスコアを発揮した。RTX 2080 Tiとはほぼ横並びの結果となり,いい勝負を演じている。RTX 2070 SUPERは,まったく寄せ付けておらず,世代の差は明確だ。
グラフ26は「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。
同ベンチマークはCPU性能の影響も大きく,CPUのボトルネックが発生しやすい。それゆえ,2560×1440ドットでも,RTX 3070とRTX 3080では約6%の差しか出ていない。そこで,3840×2160ドットに目を向けると,RTX 3070はRTX 3080比で約79%のスコアを発揮していた。RTX 2080 Tiには若干の差を付けられているが,その差は最大で約7%ほどだ。
RTX 2080 SUPERやRTX 2070 SUPERが,3480×2160ドットで1万を割っているのに対して,RTX 3070はそれを優に超えており,ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズに関しては,3840×2160ドットでも十分快適にプレイできそうだ。
そんなFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ27〜29だ。
平均フレームレートは,基本的に総合スコアを踏襲したものとなっているが,RTX 3070は3840×2160ドットでも平均70fpsを超えている点は立派だ。一方の最小フレームレートは,CPU性能の影響が色濃く反映されるため,GPUの違いによる差はあまり見られない。
グラフ30〜32には,「PROJECT CARS 2」の結果をまとめている。
ここでもCPUのボトルネックは顕著に表れており,2560×1440ドット以下の解像度ではRTX 3070とRTX 3080の差はあまり開いていない。また,RTX 2080 Tiに迫ってはいるものの,あと一歩届かなかった。
なお,RTX 2080 SUPERとの差は,3840×2160ドットの平均フレームレートで約15%である。レギュレーションでは,最小フレームレートが40fps以上を合格点としているが,RTX 3070は3840×2160ドットでそれを満たせなかった。その点から考えても,やはり,RTX 3070は,2560×1440ドットの解像度でゲームをプレイするのがよさそうだ。
消費電力はRTX 2070 SUPERと変わらず抑えめ
それにともない温度も低め
さて,RTX 3070のTGP(Total Graphics Power,グラフィックスカードの消費電力)は220Wと,RTX 3080の320Wより大幅に低い。これは,RTX 2080 Ti Founders EditionやRTX 2080 SUPERなどよりも低い値で,実際の消費電力はその通りなのかは気になるところだ。
なお今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いたシステム全体の最大消費電力のみを計測している。
テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果がグラフ33だ。
RTX 3070は,RTX 3080から107〜149W程度も低い結果で,消費電力がかなり抑えられている。RTX 2080 Tiよりも低い値であるだけでなく,RTX 2080 SUPERをも下回っている点は評価できよう。プロセスルールの微細化により,消費電力の低減が実現したと言ってよさそうだ。RTX 3080はかなり電力喰いだったのに対して,RTX 3070はしっかり消費電力を抑えられている印象だ。
最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。それを踏まえた結果はグラフ34となる。
RTX 3070は,高負荷時でも70℃台前半で済んでいる点は評価できる。スペックからすればコンパクトなサイズのGPUクーラーだが,冷却は問題なさそうだ。
なお,筆者の主観であることを断ったうで,RTX 3070 Founders Editionの動作音について述べると,十分静かな印象受けた。もちろん,静音性に優れているというわけではないものの,ケースの中に入れてしまえば聞こえてこなくなるほどだ。
高い性能に加えて低めの消費電力は魅力的
価格が落ち着けば鉄板モデルになる可能性も
以上のテスト結果を踏まえると,RTX 3070の性能はRTX 3080の8割弱で,RTX 2080 Tiと同等か,若干届かない程度とまとめることができるだろう。それ以上に注目したいのは,RTX 3080が電力喰いだった一方で,このRTX 3070は,かなり消費電力を抑えている点だ。GPUコアであるGA104のダイサイズが小さいことに加えて,グラフィックスメモリに従来型のGDDR6を採用している点が,奏功しているのではないだろうか。そのため,GPUクーラーにも大かがりなものを必要とせず,カード長が短くなっている点も,賞賛できるポイントであろう。
注目を集める新製品の価格は高くなりがちだが,ある程度落ち着いてくれば,このRTX 3070はかなり人気を博すモデルになるのではないだろうか。
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