プレイレポート
RTS「Northgard(ノースガード)」プレイレポート。厳しい自然に抗いつつ,敵クランを葬り去れ!
中世暗黒時代,ヨーロッパ中を荒らしまわったバイキングたちの世界観をベースにしている本作。プレイヤーは,バイキングのクラン(氏族)を率いて未開の土地を切り開き,民や戦士団を養いながら敵クランの打倒を目指すことになる。
その最大の特徴は,戦闘だけでなく“厳しい条件下での開拓”に重点が置かれた内容であることだ。一般的なリアルタイムストラテジーのように“素早く戦力を整えて攻め込む”ことだけを考えていると,敵と戦う以前に大自然の脅威に打ち負かされかねない。
本稿では,そんな本作の少し独特なプレイ感をレポートしていこう。
ゲームの舞台となる「ノースガード」は,中世の北欧をイメージさせる土地柄で,その生活環境はとても厳しい。バイキングたちがヨーロッパ各地で略奪せざるをえなかったといわれているのも,彼らの暮らす土地が貧しく,増加した人口を養いきれなかったといった事情があったからだろう。そんな事情を反映したかのように,作中でも土地,物資,人のやりくりがなかなかにシビアなのである。
本作では,木材や食料を得るための施設がいくらでも建てられるわけではなく,1つの地域につき建てられる施設数が制限されている(地域開発を行えば1つ増やせる)。また,地域ごとに食料が得られる,木材が得られるなどの特性が決まっており,その条件に沿った開拓を行う必要があるのだ。
より多くの物資を得るためには,いくつもの地域に「入植」するか,今ある施設をアップグレードする必要があるが,入植には多くの資源(具体的には食料)や防衛のための戦力,アップグレードにはレアな資源が必要になるため,話はそう簡単ではない。
勢力を拡大するために,さらなる物資を得ようとするも土地が足らず,それならと新たな地域を確保しようとするが今度は食料が足りず,さらに地域を占領している敵を排除するための戦力も足りず……という具合に,あらゆるところで行き詰まってしまいがちなのである。
また,さまざまな要因で人々の「幸福度」が下がると,人口が増えなくなるため,戦力を回復することも難しくなる(まるで現代の日本のようだ)。
さらには,厳しい冬の存在が開拓をより難しいものにしている。冬を越すためには大量の食料と木材を備蓄する必要があり,これは当然,その前後の開拓スピードにも大きな影響を及ぼしてくる。
概要は以上だが,この手のゲームは実際に遊んだ流れをお伝えしたほうが,どんなゲームなのかが伝わりやすいだろう。ここからは,筆者によるプレイ例(失敗例)をお伝えしよう。
繁栄を阻む悪条件を乗り越えていく
ゲームが始まったら,まずは周囲の様子を知るために「斥候」を送り出すのが定石だ。さっそく「斥候訓練所」を作り,そこに村人を“割り当て”ることで,斥候に変化させることができる。割り当てとは,要するにジョブチェンジのようなもので,斥候を「伐採所」に割り当てれば,今度は木材を集めてくれるという仕組みだ。
斥候が見つけた土地には遺跡と岩場があった。しかし,狼の姿もちらほら見える。地域に狼やドラウグルといった敵がいる場合は,入植する前に「戦士」などの軍事ユニットを送って倒す必要がある。初期では戦士に割り当てる村人が足りないので,最初からいる「英雄」を送って倒しておく。
さらにその隣の土地には,魚のいる湖があった。さっそく「漁師小屋」を作って魚を捕ることにした。魚は食料事情の厳しい冬の間でも影響を受けずに取れる食料なので,見逃す手はない。
そうこうしているうちに,領内の人口が頭打ちになってしまったので,人が住む「家」を作りたくなった。家は,伐採所,採石場,漁師小屋などとは異なり,資源のない地域にも建てることができる。
地域に建てられる施設の数は限られているので,なるべくほかに利用価値のない場所に建てていくといいだろう。
家が完成すると,人口の上限が初期の6人から11人に増加した。順調に人口が増えていけば,生産にあたる人口も約2倍になるので,さらなる領土の拡大を目指していけそうだ。
と思ったのも束の間。家が完成したばかりの地域に,近隣から狼に侵入されてしまう。放置していると地域を失ってしまうので,英雄を送って倒すことにした。このように,ほかのクランとの戦いが始まる前にも,領土の維持のために最低限の戦力は必要になる。初期は維持できる戦力も少ないので,戦力を領土の中心地に置いて,必要な場所に派遣できるような体制を整えておくといいだろう。
ちなみに地域で戦いが起こると,そこで働いている人たちも戦闘に加わってくれる。これが無視できない戦力になるのだが,死なせてしまうと地域を守る意義が半減する。彼らの体力が減ってきたらその地域から引き上げさせ,あとは英雄や戦士といった戦いのプロたちに任せたほうが良い。
その後,3つ目の地域を領土に加えたあたりで,ついに冬がやってきた。前述したとおり,冬季は食料や木材を備蓄して乗り切る必要がある。今回のプレイでは,漁師小屋や新たに作った「狩猟小屋」で食料をまかなえていたが,これ以上施設を作ると春までに木材が不足しそうだ。そのため無理せずに,じっと春を待つことにする。
特定の資源だけが余っているときは,その生産に割り当てた人員を村人に戻し,別の施設を作って割り当て直してもいいだろう。例えば,食料が充分ならば新たに伐採所を作り,そこに人を割り当てるといった具合だ。
ただ,施設を作れる数に限りがあるため,実際のプレイではそれがなかなかに難しい。とはいえ,その絶妙な“やりくり感”が本作の醍醐味でもある。
そして待望の春が訪れる。冬の間に人口が上限に達していたので,さらなる入植と開拓に励むことにしたが,開拓一辺倒ではクランの発展は望めない。そのためには幸福度を上げる「娯楽」も必要なのである。
そこで備蓄していた食料を使って「祝祭」を開催し,幸福度と領内の生産性を上げてみた。
祝祭の効果は高いが,開催するごとに消費する食料が増えていくので,むやみに開催するのは悪手だろう。また祝祭以外にも,「醸造所」や「吟遊詩人の集会所」に人を割り当てることでも幸福度を上げることが可能だ。人はパンのみにて生くるにあらず,である。
■いつ開拓から戦いに切り替えるべきか?
すでに経営が軌道に乗り始めた地域への侵入を防ぐため,さらに東の地域に入植してみると,別のクランと遭遇した。残念ながら敵対的なクランだったため,ここからはいずれ始まる戦争をにらんで戦力を整えていくことにする。
ほかのクランとの遭遇で一瞬緊張が高まったものの,結局,2年目,3年目は大規模な戦闘は発生しなかった。冬までに十分な物資を溜め,翌年にその余剰を使って開発を進めるという繰り返しで領土を発展させ,4年目の春を迎えた時点で人口は23人にまで増加していた。
そして,その頃から敵クランとの小競り合いが増え始める。こちらから侵攻を行うにはまだ戦力が足りないように感じたので,さらなる人口を養うため,食料を求めて領土を南方へと拡大していく。
しかし,この南下政策は裏目となり,敵クランと境を接した東側の守りが手薄になってしまった。二正面で戦えるほどの戦力がないため,戦士たちは2つの戦場を行き来することになる。また,体力を回復するための時間も不足しはじめる。
また間が悪いことに地震が発生し,各地で火災が起こってしまう。生産が滞るだけでなく,消火のために村人を送る必要もあるので,経済へのダメージは計り知れない。普段からぎりぎりの人員と物資でやりくりしていたため,立て直しに大変苦労するハメになった(まるで現代の日本のようだ)。
そうこうしている間に4年目,5年目は過ぎていった。一応,南方での戦いには進展があったものの,東方は一進一退の膠着状態に。食料,木材ともに余裕のある状況ではあったが,翌年以降に展開に不安がよぎる……。
そして不安は現実のものとなった。6年目にはクランの本拠地に敵のバイキング船が上陸。前線から戦士団を戻すまでの間,民間人が防衛することになってしまう。この戦いが終わるころには,戦士と民間人の多くを失っていた。
さらにここにきて,村人を戦士に割り当てるためのお金(クラウン)が足りないことが判明する。ここまでは戦士を極力温存しつつ進めてきたために表面化していなかったが,物資の生産に比べて商業の発展が遅れていたのだ。
その後,7年目と8年目は戦力の回復に手間取り続け,一時は30人に迫った人口もじりじりと減少していく。こちらは戦力不足で広がった領土を守るのに精一杯なのに対し,敵は海からこちらの生産拠点を叩いてくる。こちらも敵地を荒らして敵経済にダメージを与えたいが,その余力がない。
そして9年目,敵の波状攻撃に耐えきれなくなり,ついに我がクランは東方の地域を3つも失ってしまう。敵の戦士団は依然健在で,もはやなす術はなかった……。
以上のように,単発のシングルプレイやストーリーモードでも,なかなかに手ごわい開拓と戦いを楽しめる本作。ちなみに2度目のプレイでは,今回の失敗を踏まえ,領土開拓はほどほどに留める方針で挑戦し,物資が溜まった段階で人口の多くを戦士に割り当て,さっさと相手の領土に侵攻して荒らすことで,7年目には敵を圧倒できたことを付け加えておこう。
本作は,生産力で相手を圧倒するのではなく,相手の生産拠点を荒らす“バイキングらしい”戦い方を心がけると有利に戦えるようだ。ただ,途中で戦力が足りなくなったり,物資が無くなったりすると当然苦しい状況となるので,開拓から戦闘に切り替えるタイミングの見極めは重要である。
ちなみにプレイするクランによって,ゲーム展開が大きく変わるのも本作の特徴。今回のプレイでは敵側だった,船を使って敵地を荒らせる「鴉」のクランや,戦うほどに人口や食料が増える(!)「狼」のクランなど,さまざまなタイプがある。クランごとの違いは,ストーリーモードで把握できるようになっているので,本作をプレイする際はぜひ試してほしい。
さらにネットワークを利用した対戦も可能で,3人対3人の対戦や,3チームによる三つ巴の戦いなど,最大6人で遊ぶことができる。今回は6人対戦は試せなかったが,フレンドなどを誘えば長く楽しめるゲームであることは間違いないだろう。
「Northgard」公式サイト
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(C)2016-2020 Shiro Games. The Shiro Games name and logo and the Northgard name and logo are trademarks of Shiro Games and may be registered trademarks in certain countries. All rights reserved. Licensed to and published in Japan by Oizumi Amuzio Inc.
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