プレイレポート
PC用「CLEARWORLD -クリアワールド-」を紹介。特殊な力を持つ主人公が仲間とともに海中都市で真実を探る近未来SFアドベンチャーゲーム
本作は,理想郷とされる海中都市「クリアワールド」を舞台にした近未来SFアドベンチャーゲームだ。
叔父の探偵事務所で探偵助手として働く主人公の祇園寺緑道(CV:今井文也)は,自殺した父親の死の真相を探るべく,クリアワールドを訪れ,そこで知り合った仲間達とともに海中都市に隠された秘密を探ることになる。
今回は,不思議な能力を持つ主人公が未知の世界へと足を踏み入れ,学園生活をおくったり,危ない目にあったりしながら,やがてクリアワールドの真実に迫っていくという本作の物語を紹介する。
不思議な能力を持つ主人公が,突然の出来事から未知の海底都市へと向かうことに
ある日,主人公(祇園寺緑道)の叔父である祇園寺 椿(CV:間宮康弘)の探偵事務所に「夫を探してほしい」という女性からの依頼が持ち込まれる。何も情報がないらしく,ほかの探偵事務所にも断られ続けているらしいのだが,この「祇園寺探偵事務所」は“普通の探偵社ではない”から,と椿はその依頼を引き受ける。
ただし,主人公が過去を視られるのは,懐中電灯で何かを照らしたときだけ。照らした時,その場所やもの,人の記憶に残った残像のようなものが視えるらしい。
今回も主人公は,過去を視ることで探している人物の情報を得たのだが,その結果,彼が「クリアワールド鳴浜」と呼ばれている場所に行こうとしているのだと,2人は察した。
クリアワールド鳴浜というのは,世間では未来の楽園と呼ばれている海中都市。理想的な場所のように語られているが「行ったら最後。戻ってはこれない」というなにやら意味深な話も……。
クリアワールドについて話していると,その場に依頼主である女の夫が現れた。ところが声をかけたところ,あっさり逃げられてしまい,主人公と椿は慌てて追いかけた。
少女とは気の抜けたような会話しかできず,結局,最後に彼女は小さな包みと「みかげ」という言葉を残して,消えてしまったのだ。
事務所に帰り,主人公はその出来事について椿に語り,少女から受け取った包みを渡したのだが,それを開封した途端,椿の様子が変わった。そして,その場でクビを宣告され,クリアワールドに行くように告げられるのだった。
そこで主人公は,遠い親戚で,父親の友人でもある椿の子供として,名前を変え,これまで探偵事務所の手伝いをしながら生活していた。
しかし,主人公は父親が自殺したという話が信じられない。その気持ちは椿も同じなようで,父親の死の真相を探るべく,椿は主人公へクリアワールドに向かうように促したのだ。
クリアワールドが作られるに至ったきっかけ「クリアワールド計画」は,世界一の巨大企業「ベンスレム」がハワイ諸島沖で新エネルギー「ネオ・フォトン」を発掘したことから始まった。ネオ・フォトンを発掘したことで巨万の富を得たベンスレムが,海中都市を築き,そこに選別された人間だけを住まわせるという計画を立てたのだ。
批判の声もあったが,その頃の世界はエネルギー不足に陥ったことで,人々がエネルギー供給を優先された都市部に移り住む事態になっており,都市部の人口の軽減を目的に計画は実行された。
結果として,鳴浜をあわせて計11の都市にクリアワールドが生まれたのだった。
不思議な力を持った仲間と出会い,クリアワールドに隠された謎に迫る
椿に見送られながらたどり着いたクリアワールドで,主人公は「鳴浜高等学園」に通うことになる。クリアワールドの内部は,近未来的な見た目ではあるが,普通の街のようで,海底のなかであるということを忘れそうだ。
教室に入る前,廊下で姫原 毬(CV:井上ほの花)と笹目開都(CV:中村純也)の2人と出会う。3年生の開都は生徒会の一員で,主人公と同じクラスの毬は成績優秀。そのため2人とも「クリア勲章」をいつもらってもおかしくないと言われている。
教室では,転校生ということで挨拶をすることになるのだが,遅刻してきた2人に邪魔される。1人目は不良風の男子生徒,2人目は教室を間違えたと言い出す女子生徒だったのだが……その生徒こそ,主人公が地上で見失った少女・御影真空(CV:大西亜玖璃)だったのだ。
真空にいろいろと聞きたい主人公だったが,彼女はいつの間にか教室からいなくなっていて,捕まえることができず,結局1日目の授業は終わってしまった。
生徒のほとんどは寮に暮らしているということで,主人公も寮で暮らすことになる。寮は基本,2人1部屋なのだが,主人公のルームメイトは挨拶のときに現れた不良のような男子生徒・剱 航太朗(CV:大野海夏太)だった。
思わず止めに入る主人公だったが,地上で会ったことを伝えても,なかなか思い出してくれない。主人公がちょっと不憫。
なんとか思い出してもらえた主人公は,そこで真空の能力のことを聞くのだが,協力し合うことを提案したら,なんだか妙な誤解をされてしまう結果に。結局,誤解を解くために数日を費やしたが,おかげで真空に顔を覚えてもらえたようだ。
以前,真空がこういう話をした際は楽しそうに聞いてくれたという毬だが,なぜか今回に限っては「噂を広めるのは良くない」と乗り気ではないようだ。
それでも真空は,噂の真相を探るべく,主人公を誘い「ドッペルゲンガー捜査作戦」を開始する。
主人公と真空以外,誰も参加してくれなかったので2人だけで探索するのだが,なんだかデートみたいに。それを伝えると真空は照れたり,慌てたり……。会話をするのが大変そうと思うくらい,ぶっ飛んだ発言が多い真空だが,こういうところは普通の女の子だ。かわいい。
そんなちょっとドキドキした雰囲気のなか,主人公は航太朗の姿を見つける。できればこのまま青春の1ページを楽しみたいと思っていた主人公だったが,真空も航太朗の姿を見つけ,すぐに声をかけてしまった。残念。
ところが,主人公はある点から目の前にいる航太朗が本物の航太朗ではないと気付く。つまり,目の前にいる航太朗こそが主人公達が探していたドッペルゲンガーなのだ。
攻撃的になったドッペルゲンガーに対し,主人公ははったりで対抗するも効果はなし。逃げられない……となったところで,航太朗の助けが入る。
航太朗も主人公達と同様,不思議な能力を持っていたのだ。航太朗の能力は,なにやら光を放つ拳に関するもののようで,主人公と真空の能力とは異なり,攻撃ができる。
運動神経が良い航太朗は,ドッペルゲンガーになんなく勝つのだが,戦いが終わったあと,航太朗の足元に倒れていたのは,なんと毬で……。
クリアワールドに来たばかりの頃は,人との付き合いがなかなか上手くいかないという印象だったが,さまざまな出来事を経験していくうちに,それぞれ不器用なところがある主人公,真空,毬,航太朗の仲が深まっていく。その過程を見ていると,ほっこりとした気持ちになる。
4人はやがて,クリアワールドに隠された真実を探るべく,大きな敵と戦うことになる。後半はバトルシーンが多く,熱い展開もたくさん用意されているほか,思っていた以上に切ない展開も待ち受けている。
だが,日々忙しくなかなか長時間のゲームプレイができない人や,近年の動画コンテンツに親しんでいる若者への適性を考えると,熱くて切ない物語を丁度いいくらいの時間で楽しめた感覚もあった。
理想郷とまで言われている海中都市に隠された壮大な秘密,そしてちょっと変わった仲間達との絆が描かれた本作。
パッケージ通常版で2800円(税別)という手軽な価格で遊べるのも魅力の1つなので,気になった人はぜひ手にとって欲しい。
「CLEARWORLD -クリアワールド-」公式サイト
- 関連タイトル:
CLEARWORLD -クリアワールド-
- この記事のURL:
(C)クリアワールド・プロジェクト