インタビュー
「百英雄伝」メインスタッフインタビュー。遊びの幅が広い“JRPG”らしさを目指して制作が進む新作RPGの現在地を聞く
2022年9月12日に実施されたメディア向けイベント「ROUTE 505」で,開発に携わるコアスタッフ4人――村山吉隆氏(ゲームデザイン/メインシナリオ),河野純子氏(キャラクターイラスト),村上純一氏(プロデューサー/アートディレクション),小牟田 修氏(ディレクター)に合同インタビューを行う機会を得たので,その模様をお届けする。
※インタビューは2022年9月12日に収録
「百英雄伝」公式サイト
――本日はよろしくお願いします。直近ですと,gamescomで公開されたトレイラーが大きなトピックだったと思いますが,反響はいかがでしたか。
村山吉隆氏(以下,村山氏):
かなり好感触です。ぼく宛てに直接,好意的な意見も来ましたし,面白そうといった内容の意見が多かったんですけど,「幻想水滸伝」のファンからは「ちょっと涙ぐんじゃいました」という話もありました。ちょっとあざとい感じのあるPVではありましたね(笑)。
村上純一氏(以下,村上氏):
今回のPVで初めて,開発がスタートしているということを知った人も多かったみたいです。いただいた意見は95%くらいは肯定的な内容で,「百英雄伝」のようなタイトルを望んでいるユーザーがたくさんいることを知れたのはすごくよかったです。
小牟田 修氏(以下,小牟田氏):
Kickstarterから画面をお見せできていなかったので,ようやく見せられるところまで来れたのがよかったですね。2023年のリリースに向けて開発は順調に進んでいます。
――最新映像では戦闘シーン,とくに最後の方で映る「一騎打ち」のシーンが印象的でした。一騎打ちはゲームシステムとして採用されるものですか。それともイベントの1カットという扱いなのでしょうか。
村山氏:
一騎打ちはゲームのシステムとして組み込んでいます。どういうシステムなのかまではまだ発表できませんが,ゲーム内のひとつの遊びとして,楽しんでいただけるものです。
――公式サイトなどを見ると「戦争」がストーリーに大きく関わっている印象を受けます。一度に味方が何十人も参加するような集団戦もあったりするのでしょうか。
村山氏:
あります。「百英雄伝」ではお話とゲームシステムを融合させた戦闘をいくつか用意しています。通常のRPGとしての戦闘,たとえばフィールドやダンジョンを移動している際に起こる戦いは,6人でのバトルになり,ここでは数多く用意されるキャラクターの中から自分の好きなキャラクターを選んで,育てて楽しんでいくという遊びができます。
それとは別にお話の中で戦争を扱っていて,そこにも多くのキャラクターを参加させることができる,戦争というものを表す別のバトル――戦争用のバトルシステムが存在します。一騎打ちや集団戦は,その戦争用のシステムの一部としてお話と融合している感じです。
――ストーリーを盛り上げるためにいろいろな戦闘を用意していると。
小牟田氏:
戦争は大勢の兵士がかなり派手に動きますね。お見せできるのはもう少し先になりそうですが。
――100人以上のキャラクターが登場するとなると,個性を与える工程が重要になると思います。設定面とビジュアル面,それぞれで意識していること,重視していることを教えてください。
河野純子氏(以下,河野氏):
本作では,それぞれのキャラクターが百英雄伝の世界においてはどういう人物なのか,どういう人間関係を形作っているのか,どういう出で立ちなのか,どういう生まれなのか,といった情報をできる限り,先に用意しています。その情報をどう表現するかの部分に注力して,かなり忠実に描き起こしたつもりではいます。
村山氏:
設定を考える側としては,多数のキャラクターが登場する中で,いかに個性を出していくかには気をつけました。ぼくの中で意識したのは,各キャラクターが大事にしている“価値観”がどこにあるのかといった部分ですね。そこにいろいろなものを持たせて,違いを見せたいと思っています。仲間の中には一番大事にしていることが「正義」である人もいるし,それとは別に「家庭」だったり,「より平穏な暮らし」を求める人もいます。
ほかには,本作ではなるべく亜人や動物,獣人のキャラクターなど,人間以外のバラエティ豊かな種族を作っていきたいと考えていまして,そこはデザインやグラフィックスの面をがんばってもらいました。
小牟田氏:
ゲーム的には設定とイラスト,両面から考えています。バトルに参加するキャラでいうと,この設定と見た目であれば,攻撃方法はこういうものになるだろうという話を初期段階から村上と詰めていきました。今回はドットのアニメーションでキャラクターを作っているので,作る前からアニメーションパターンを考えて描いていかないと,リテイクが何度も起こってしまうんですよ。だから最初の打ち合わせは綿密にやりましたね。
村上氏:
描き方をフォーマット化せずに,ドット絵でもキャラクターの個性がちゃんと出るように作っています。
――確かにドット絵の場合,3Dで作ったモデルとは違って,モーションを使い回せないですよね。
村上氏:
昔は解像度が低かったので,多少アニメのコマを飛ばしても許されたんですけど,今みたいな高い解像度でコマ数を減らすと,ぎこちなく見えてしまうからできないんですよね。だから攻撃回数の多いキャラを作るときはすごく大変なんです。
小牟田氏:
戦闘に参加するキャラクターごとに攻撃回数が設定されているんです。その回数や持っている武器の属性などで,作るドットのアニメーションの数が必然的に変わってくると。
――攻撃のモーションにバリエーションがある感じなんですね。例えば1段目が剣で斬り下ろすモーションだったら,次は横になぎ払ったり,下から斬り上げるみたいな。
小牟田氏:
そうですね。そのあたりはすべて違います。たとえば同じ槍を使うにしても,キャラクターによって全然違う動きのアニメーションを作っています。「これとこれ使い回せません?」っていう相談がたまに来たりするんですけど(笑)。
村上氏:
最終的には全部作っているという。構えとかも全部変えてね。
――仲間になる100人の中には,戦闘に参加しないタイプのキャラクターもいるんでしょうか。
村山氏:
はい。システム的に戦うキャラクターだけじゃなくて,群像劇として例えば人を癒したり,物を作ったりする人たちも英雄として扱うというのが,「百英雄伝」のテーマになっています。それをゲームシステム的にもサポートする作りですね。たとえば道具屋さんを仲間にすれば,道具屋が使えるようになるみたいな形で,システムとして戦闘以外で貢献するキャラクターにも,それぞれ役割を持たせています。
――今回のインタビューはTGSの開催中に公開されますが,発表する情報で見てほしいポイントはどこになりますか。
村山氏:
今回お見せする予定の動画はゲームの空気感やどのようなイメージのゲームになっていくかがわかる内容になっています。そこから「百英雄伝」の世界観を垣間見てもらえればと思っています。
小牟田氏:
シーンごとに出てくるキャラクターが違うので,かなり多くのキャラクターが見られるトレイラーになっています。
河野氏:
ほかにはキャラクターに音声がついています。そこからさらにイメージを膨らませていただけるとうれしいですね。
――あらためての話となりますが,百英雄伝で表現しようとしている「JRPGらしさ」を紹介いただけますか。
村山氏:
JRPGはいろいろな楽しみをひとつのゲームの中に内包したゲームスタイルだと思っていて,戦うだけだけでも,ストーリーを追うだけでもない,いろいろな遊びが含まれていたからこそ,多くの人に支持を受けたジャンルだと考えています。
「百英雄伝」ならではの楽しさのひとつに,自分好みのキャラクターを見つけ出すというものがありますが,それ以外にもさまざまなコンテンツを入れ込んでいますので,好きなところを食べて,楽しんでもらいたいですね。その分スタッフにはかなり苦労してもらっていますが(笑)。
小牟田氏:
とにかく要素が多いんですよ。戦闘に関するシステムでも,通常のバトル,一騎打ち,戦争と,作る側としては割とお腹いっぱいです。そのうえでお店ごとにもいろいろ違うシステムがあったり,ミニゲーム的な遊びも用意しています。
村山氏:
その,いろいろなものが入っている感覚がJRPGで,そこが楽しさにつながると考えています。幕の内弁当みたいな感じですね。
小牟田氏:
わかります。どこから食べてもいいですよっていう。
――定期的にアナウンスをされていますが,ファンやバッカーに向けてあらためて伝えたいことがあればお願いします。
村上氏:
今回は発売前からファンやバッカーの方に,常に新しい情報を届けながら開発を進めているので,皆さんの生の声がよく聞こえてきて,前に進んでいくうえでの力になっています。ボリュームがすごく多いゲームなのでお待たせしていますが,そのぶん皆さんの期待に応えられるようなものを作っています。楽しみにしていてください。
小牟田氏:
何もできてない状態から皆さんの声を聞き,見られていることを実感しながら物を作っていくというのは初めての体験なので,かなりプレッシャーは感じています。
ただ村上が言うように,ものすごいエネルギーをもらっており,それを原動力にここまで進めてきました。今回のTGSで進捗をお見せできるのはよかったと感じています。満足できるものを作るのでもうしばらくお待ちください!
河野氏:
だいたい言うことは同じになってしまうんですけど,もう少しお待ちください。割と自分の中では優等生的なスケジューリングで進んでいると思っているんですが,それでもすでに2年も経ってしまっているので。
――やってもやっても終わらない感じがありますか。
河野氏:
やっても終わらないですし,みなさんに「出します。がんばります」って言ってから2年も経っているのにまだ終わっていないことに多少恐怖を感じています。でもオンタイムのスケジュールで作れているので,このまま順調にいけば満足できるタイトルが出せると思っています。あらためて,もうしばらくお待ちください。
村山氏:
ぼくらで何かを作るという話になって,KickStarterでファンに支援をお願いして,その支援が実際に形になって戻ってきた。これが「百英雄伝」への信用にもつながっていて,今とてもいい開発環境が得られています。あらためてになりますが,みなさん期待してお待ちください!
「百英雄伝」公式サイト
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