プレイレポート
“仮面パワー”でコルテックスの野望を打ち破れ。「クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース」体験版インプレッション
上記3作品はクラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!」として現行ハードでリメイクされており,満を持してこのたび完全新作が登場する,という流れになっている。
今回は,本作の中盤2ステージのみをプレイできる体験版(PS4)を試す機会を得られたので,そのインプレッションをお届けしたい。体験版は英語版のもので,さらに製品版とは仕様が異なる開発中のものだが,クラッシュやコルテックスのボイスなどはすでに入っており,また大きな不具合に遭遇することもなかったので,今の時点でも完成度は十分高い。
なお日本では,2001年に「4」の数字を冠する「クラッシュ・バンディクー4 さくれつ!魔神パワー」が発売されているが,本作はこのリメイクやリブートではない。元々国外ではナンバーが振られていなかった(英語版のタイトルは「Crash Bandicoot: The Wrath of Cortex」)のだが,国内でローカライズされた時にナンバーが付与された関係で,図らずも重複してしまった……という形だ。そのため少々分かりにくいが,本作は「新しい(あるいは本来の)4作目」と覚えておくといいだろう。
そんな本作は,一本道のステージをひたすら先へ先へと進んでいく,3Dアクションゲームだ。プレイヤーは主人公の「クラッシュ」を操作し,敵を倒したり,リンゴを集めたり,穴や断崖絶壁を避けたりしながら,用意されたゴールを目指す。シリーズの特徴である「奥スクロールアクション」は本作にも採用されており,「クラッシュ・バンディクー」ならではのフィールド探索が楽しめる。
クラッシュの基本操作はスティックによる移動と,[×]ボタンのジャンプ,[□]ボタンのスピンアタックといった初代からの伝統的なアクションに加え,[○]ボタンと組み合わせて発動するスライディングや飛び込み(プレス),さらにジャンプ中にもう1回[×]ボタンを押すと発動できる2段ジャンプなどが主なものだ。
それぞれをうまく組み合わせて,山あり谷あり……どころか,溶岩あり爆弾ありクリーチャーありといったステージを進んでいくことになる。
体験版のステージは狭い足場が多かったので,手前や奥に移動するときにジャンプの落下地点が分かりづらく,影を見ながら(可能なら)微調整するのが重要と感じた。
とはいえ,道中にある落とし穴や敵キャラ,火薬箱(TNT)などは,落ちたり触ったりすればどれも一発アウトなので,操作に慣れても簡単にはゴールできない。平たく言えば“クラッシュは非常にあっさりとよく死ぬ”ため,ステージの作りはレトロゲーム的な「死んで覚えろ」という雰囲気が強く,(シリーズを経るごとにマイルドになっていったものの)その歯ごたえも初期シリーズのテイストに近いかもしれない。
また本作で新たに追加された要素として,「仮面パワー」がある。フィールド上に現れる仮面を取得すると姿が変わり,特定エリアでは[△]ボタンか[R2]ボタンを押すと特殊なパワーが発動できるのだ。体験版では「SLOW TIME」と「PHASE WORLD」の2つを利用でき,前者は発動すると自分の移動速度はそのままで時間の流れを急激に遅くし,後者は半透明の箱や障害物を消したり実体化させたりする。
例えばSLOW TIMEを使えば,足場の落下速度を遅くして安全に渡れるし,隙が少ない敵の動きを鈍くして倒したりできる。一方のPHASE WORLDは,強制スクロールの場面で障害物を消したり,リンゴが入った木箱を出現させたりなど,こちらも有用になるタイミングを見極めていくことが重要になる。
全体的な印象として,この仮面パワーは純粋なパワーアップというわけではなく,むしろ“能力を使用しないと進めない”というシチュエーションで用意され,基本的にはフィールドのパズル要素の一部として機能しているようだ。
とはいえ新たなギミックでプレイに変化が生まれるのは確かで,作中では計4種類のマスクが登場することが公表されている。例として別の「重力のマスク」では“ステージを上下逆さにする”など,それぞれ毛色の違った能力が発揮できるようなので,製品版ではさらにバリエーション豊かなステージをプレイできそうだ。
バリエーションという点では,プレイヤーキャラも複数用意され,前述のクラッシュ以外では,ライバルでもある「ネオ・コルテックス」でのプレイも体験版では可能だった。
こちらは移動やジャンプといった基本操作は同じだが,[○]ボタンはダッシュとなっており,その場や空中で大きく水平に進むことが可能だ。また,[□]ボタンは光線銃で攻撃を当てた敵をブロックにして足場にしたり,もう1回当てるとジャンプ台に変化させたりと,クラッシュとは毛色の違ったプレイを楽しめる。
体験版では使うことができなかったが,クラッシュのステージは妹である「ココ」でもプレイ可能とのことなので,キャラクターを変えれば,また違ったアクションを見られるはずだ。
冒頭でも少し触れたように,プレイ可能だったマップは2種類。1954年のゾンビが溢れる冬の港町「こごえる みなとまち」と,紀元前8800万年前の恐竜パラダイス「きょうりゅう だいぼうそう!」だ。
前者はツルツル滑る床を上手く飛び越えたり,高速で落下してくる氷塊を前述の仮面パワーで足場にしたりと,タイミングや細かい操作を要求されるテクニカルなコース。後者はジャンプアクションが重要なのは変わらないが,ツタのような植物を滑り降りたり,巨大な肉食恐竜に前方から追いかけ回され逃げるのがメインとなるなど,時代が大きく違えばステージの特徴も大きく異なっているのが印象的だ。
どちらのステージも中盤であり難度は少々高めといった感じだが,道中死んでもとくにデメリットなくチェックポイントから何度もやり直せるので,根気よく続けていればいつかクリアできる。
ただこれは,デフォルトとなっている「モダンモード」での話。オプションで切り替えられる「レトロモード」では,文字通り懐かしの“残機制”となるため,やられまくっているとあっさりとゲームオーバーになってしまう。道中に配置されているリンゴも,モダンモードではクリアの達成度を上げるためだけの要素に近い感じだが,レトロモードでは集めて残機を増やすためのアイテムに戻っているため,クリア優先でも完全に無視するのは難しいだろう。
前述のように,少なくとも今回プレイできたステージは,難度的にもかなりの歯ごたえを感じるもので,筆者の初プレイ時は何度もやられつつステージの特徴を掴んで,何とかクリアできたという感じだった。最初からレトロモード選ぶと「ステージの最初から何度もやり直しになり,先に進めない」といった展開になりかねないので,やはりある程度ステージに慣れるまでは,モダンモードでプレイする方が良さそうだ。
全体的にコミカルな作風は従来から変わらず,クラッシュの動きはカートゥーンチックで面白く,またやられた時のモーションも豊富で,現代に甦った“初期3作品の続編”として期待できる作品になりそうな予感だ。グラフィックスやシステムは多少レトロチックに思えるところもあるが,時代に合わせてリファインされ,味のある雰囲となっている。
繰り返しになるが,難度に関しては落下を誘う地形やイジワル気味な敵配置もあり,正直高めの印象が強いが,これは体験版の構成上「ゲーム開始直後から,中盤のステージに挑戦する」という形だったのも要因の一つかと思われる。実際のゲームでは,デフォルトのモダンモードならいくらやられてもデメリットはなく,むしろ死にすぎるとシールドになる「アクアク」が標準装備されるなどの救済措置もあるので,製品版ではまた違った印象になるかもしれない。
日本ではしばらく沈黙を保っていたクラッシュ・バンディクーシリーズの新たな一作だけに,製品版の発売が待ち遠しい。
「クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース」公式サイト
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クラッシュ・バンディクー4 とんでもマルチバース
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(C) 2020 Activision Publishing, Inc. ACTIVISION、CRASH、CRASH BANDICOOTは株式会社Activisionの登録商標です。その他全ての商標や商品名はその所有者に帰属します。
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