企画記事
「Apex Legends」,プロゲーマーに聞いたランクアップする戦術論。SCARZ White Rumad選手流の極意とは
本稿ではSCARZ Whiteで活躍するプロゲーマーRumad選手に,プロゲーマー目線での上達のコツを聞いた。基本的な戦術や戦い方に加え,おすすめのレジェンドとその使い方,スクワッド構成の考え方などをじっくりと教えてもらったので,その内容をお伝えしたい。初心者〜中級者から脱したい人はぜひ読んでほしい。
始めたばかりの初心者向けのガイド記事もあるので,そちらもチェックしてみてほしい。
「Apex Legends」初心者ガイド。今日の敗北は明日の勝利! チャンピオンゲットだぜ
エレクトロニック・アーツのバトルロイヤルゲーム「Apex Legends」のSwitch版が本日配信された。そこで今回はAPEXの基本的なルールからレジェンドや武器の情報,チャンピオンになるための心得まで,初心者向けガイドを作成してみた。これから始めようと思っている人はぜひ一読してほしい。
FPS歴13年のベテランプレイヤー。
「コール オブ デューティ」「バトルフィールド」「オーバーウォッチ」「レインボーシックス シージ」「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」「Counter-Strike: Global Offensive」「VALORANT」などなど幅広くプレイしており,いずれもプロレベルで活動していた。
PUBGではキルレーティングアジア1位を数か月に渡り守り続けるなどの過去を持つ。
レインボーシックス シージではプレイを始めて2か月で大会を勝ち上がり,プロリーグに参戦した。
CSGOでは最高階級のGlobal Eliteランクである。
そしてApexLegendsでは,競技シーンを初めてからたった2週間で世界最大の大会ALGSにおいて北アジア2位入賞を果たす。
敵を狙い続けるトラッキングAIMも得意であるが,長年の知識,経験と判断力による頭脳プレイが持ち味である。
Rumad流戦術論
数の有利を作り出せ
Rumad選手が何より強調していたのが「数の有利を生かすこと」だ。3対3で戦うより,3対2で戦うことが有利なのは言うまでもないが,「なぜ有利なのか」をしっかりと理解しているか否かは大きな違いだ。
Rumad選手はそれをしっかりと理論的に「なぜ有利なのか」を説明してくれた。
本作はFPSやTPSといったシューター系のタイトルの中でも,体力が多くダウンしづらいゲームだ。一瞬で相手を倒すという芸当が難しく,相手の装備次第だが,1マガジンで相手を倒しきれないことも珍しくない。つまり,戦闘時間が長くなる傾向にあるわけだ。
そして,戦闘時間が長ければ人数の差が戦闘に影響を与える割合が大きくなる。
例えば1人の火力で相手を倒すのに3秒かかるとする。装備が同じで技術も同等と仮定して同時に撃つと,当然相打ちになる。
ではこれが2対1の状況になるとどうだろうか。2人で同時に射撃した場合,相手を倒すまでにかかる時間は1.5秒になる。そうすると相手が発揮する火力も1.5秒となり,2人側は相手を倒しつつ半分のダメージを受けるだけで済む。
さらに話を進めて3対2の状況だとどうなるか。お互いが1人ずつ集中攻撃していくと,3人側が1人を倒すまでにかかる時間は1秒,2人側は1.5秒かかる。1秒経過時点で3人側の被害は1人の66%体力が削られるが,2人側は1人がダウンする状況となる。1秒経過時点で3対2が,3対1の状況になるわけだ。
そうなると2人側は1人分の火力しか発揮できなくなる。1人側がダウンするまで(1秒間)に与えられるダメージは約33%で3人のうち1人倒せるかどうか,という結果となる。
では3人を1人ずつに分割し,2対1を3回繰り返した場合はどうなるか。結論を言うと両者ともに生存者無しという結果となる。誰も救われない結果だが,プラスαの要素が加わる(途中で回復など,どちら側にも言えることだが)と,2人側が勝利するわけで,3対2で戦うより,はるかに勝利する可能性が高くなる。
実戦でこの通りになることは稀だが,人数差がどれだけの影響を与えるかは理解してもらえたと思う。
特にバトルロイヤルは相手が1チームだけとは限らない。1チーム撃破したとしてもまた別のチームとぶつかるわけで,可能な限り人数を維持して終盤戦に挑むことがベストだ。常に味方との距離を意識し,人数的に有利な状況で戦うことは,手っ取り早く勝利する手段のひとつだろう。
マッチングシステムを利用してプレイする場合(いわゆる野良プレイ)は,連携がとりづらいかもしれないが,なるべく人数を意識して戦うと高順位を取りやすく,ランクアップにもつながるはずだ。
アビリティを効果的に使って戦いの主導権を握れ
Apex Legendsのキャラクターにはそれぞれアビリティが用意されている。それは移動系だったり,防御系だったり,あるいは攻撃系だったりと,さまざまだ。
Rumad選手はそれらのアビリティを「戦闘のために使う」ことが大切だと説明する。
例えばジブラルタルの「プロテクトドーム」は一定範囲内にドーム状のシールドを展開する防御型のアビリティだ。その特性の通り,防御的に使ってしまいがちなアビリティだが,敵の前衛と後衛を分断するなど,発想を転換することで攻撃的にも使える。
絶体絶命な状況を除いて防御的にプロテクトドームを使用すると,その後に取れる手段がひとつ減ってしまう。相手にアビリティを「使わされた」とも言えるのだ。
アビリティを使用するうえで考えるのは「相手に何か行動を強いる」ことであり,その使い方が戦いの主導権を握り,有利に進めることができるというわけだ。
アビリティに関しては「そういう使い方もできる」ということを知っておくだけでも,戦術の幅を広げてくれる。次の項目でRumad選手おすすめレジェンドと共にアビリティの使い方も紹介するので参考にしてほしい。
Rumad流レジェンド選択の極意
Apex Legendsにはそれぞれ特徴を持つ16人のレジェンドがいる。今回はRumad選手に「初心者を抜け出したプレイヤーにおすすめするレジェンド」をピックアップしてもらった。
ジブラルタル
ジブラルタルは前述したアビリティ「プロテクトドーム」の使い勝手がよく,Rumad選手曰く「初心者でもスクアッドにいるだけでも役立つレジェンド」だ。
Rumad選手は「プロテクトドーム」には4つの使い方があるという。
1つめは敵に接近するための「前ドーム」。これは遮蔽物があまりない平原で相手が左に1人,右に2人と別れている状況において,敵に肉薄するための使用法だ。普通に接近すれば遮蔽物がなく,3人から撃たれ放題になってしまうが,プロテクトドームを展開することで遮蔽を作り,安全に距離を詰められる。
1人の側に到達した時点で3対1の状況を作り出せるうえ,孤立した敵を撃破した後も数的有利を維持したまま戦闘ができる。
2つめの「横ドーム」は同様に平原において遮蔽を作り,クロスファイアポジションを作り出す。前ドームと違うのは相手が3人で固まっている状況で,有利なポジションを作り出すために使用するという点だ。
3つめの「囲いドーム」は,敵をドーム内に囲い込む,あるいは敵と敵の間にドームを展開することで,局所的に人数差を作り出す使用法となる。
上記した3つはいわゆる「攻撃的な使用方法」だ。
そして最後が緊急避難的に使用する「自衛ドーム」。これはすでに相手にアドバンテージを取られており,この使い方をする時点でかなり不利な状況にある。可能であればこの使い方をしなくていいようにしたいところだ。
また,アルティメットアビリティの「防衛爆撃」も使い勝手がいい。相手が固まって動いている場合は散開させることが可能だし,相手の進行ルートに予め砲撃を要請しておき,時間稼ぎをして各個撃破することもできる。ダウンしている相手に使用してとどめを刺すといった使い方もいいだろう。
ブラッドハウンド
ブラッドハウンドの最大の特徴はアビリティ「全能の目」で,自分の前方にいる敵を見つけ出すことができる点だろう。Rumad選手から3つの使い方を聞いたので紹介しよう。
1つめはなるべく交戦の直前に使用すること。壁越しでも敵の動きが見えるため,相手が顔を出すタイミングも分かる。戦闘時に敵の位置を把握していることはあらゆる面で有利な状況を作り出せるはずだ。
2つめは敵がいそうな場所で使うこと。足音がしたけど敵の場所が視認できない時や,これから確保したい場所で敵がいるかどうかを探る時など,相手に先手を取られないように使う。状況を把握して,有利なら戦い,不利なら戦いを避けることもできるだろう。
そして3つめは戦闘終了後に使うことだ。戦闘時は周りが見えていない状況になりやすいうえに,戦闘中の相手に対して有利なポジションを取るために,他から不利になる位置取りをしなければならない場面も出てくる。その時に「いられたら怖い場所」に使うことで,不意打ちを避けることができる。
1つめは「戦いに勝つための使い方」,2つめと3つめは「戦いに負けないための使い方」と言える。
逆に使わない方がいい場面は,相手を発見したうえで気づかれていない時だ。ブラッドハウンドの「全能の目」は相手にも探知されたことが分かってしまうため,奇襲をかける場面で使用するのはタブー。また同じような状況で「敵同士がこれから戦いを始める」という場面で使ってしまうと,第三勢力(自分たち)を警戒されてしまう。その結果,敵同士の戦いが起こらないこともあるので,使いどころには注意が必要だ。
ライフライン
ライフラインは「D.O.C ヒールドローン」がダウン中の味方の蘇生に利用できるため,人数差を覆しやすい利点がある。本来であれば1人ダウンされた時点で3対2,さらに蘇生しようとすると1人の時間を取られるので,3対1になり局所的にかなり不利になるが,D.O.C ヒールドローンを使えば戦力を維持したまま蘇生が可能だ。
アルティメットアビリティ「ケアパッケージ」は高品質な防御用装備を積んだドロップポッドを任意の地点に呼び出す。またドロップポッドをそのまま遮蔽物として利用することもできる。
注意点としてはドロップポッドが降下していると非常に目立つので敵に位置がバレやすいということ。その後の移動ルートが限られている場合,待ち伏せの危険がかなり上がるので使いどころには気をつけたい。
ホライゾン
今回,Rumad選手がおすすめしたレジェンドの中で唯一,移動系アビリティを持つのがホライゾンだ。アビリティ「グラビティリフト」は高所に陣取るための移動手段として役に立つ。他にも建造物がない平原でも立体的な戦闘が可能になったり,グラビティリフト自体を高所として利用し,多角的に攻撃したりと,場所を選ばず活躍できる。
またアルティメットアビリティの「ブラックホール」は近くの敵を引き寄せるという能力。敵をひとまとめにして倒すという使い方はもちろん,有利なポジションを取っている敵にブラックホールを避けさせ,強制的に移動させる手段としても使える。
コースティック
コースティックは毒ガスを使いこなすレジェンドとして知られている。アビリティの「Noxガストラップ」はブービートラップとして使用されがちだが,Rumad選手は相手の侵攻を遅らせたり,あるいは孤立させたりする用途で使うという。
代表的な例で言えば,扉の前に設置して扉の開閉をできないようにすること。そこで時間を稼いでいる間に別方面の敵を相手にすることもでき,局所的に有利な状況を作りやすい。
また,相手が攻めてくる場所に先んじて設置し,起動させることで迂回せざるを得なくしたり,攻めてくる方向を限定したりできる。一方で味方はコースティックのガスでダメージを受けないので,迂回した敵の後ろを取ったりと戦術の幅を広げられる。
相手の選択肢をつぶすことで相手に不利な選択を強制させる。そのあたりを意識して使うとよさそうだ。
番外編:新レジェンド「ヒューズ」
シーズン8で登場した新レジェンドのヒューズ。今回はおすすめから外れているが,使い方次第でジブラルタルのアンチになりえる能力を持っているとRumad選手は説明する。
使い方の一例だが,アルティメットアビリティ「マザーロード」でジブラルタルの「プロテクトドーム」を囲い,身動きを取れなくしたうえで,ドームが解けるタイミングで投擲物を投げ込み一網打尽にする。あるいはマザーロードを敵と敵の間に撃ち込み,分断させるといった使い方もできるという。
一方で現在のシーズン8の環境ではホライゾンが比較的人気だ。ディメンションリフトで地面から離れられるので,マザーロードとの相性が悪く,その能力を発揮しづらい一面もある。また,高速で投擲物を投げるパッシブスキルは高所を取っていれば強いが,投擲物が放物線を描かないため,高所に敵がいる場合に対処しづらいといった弱点もある。
Rumad流スクワッド構成の極意
基本となるのは移動系アビリティを持っているレジェンドを最低1人,可能であれば2人入れることだ。
移動系アビリティを持つレジェンド
・レイス
・ホライゾン
・パスファインダー
・オクタン
・ローバ
・ジブラルタル
理由は純粋に移動できる範囲を広く取るためだ。例えばホライゾンやパスファインダーがいなければ高所を取りづらくなるため,不利な状況で戦闘になりやすく,敵を追撃することも難しくなる。逆に移動手段が多ければ有利なポジションを先んじて取ることもできるし,不利な状況から離脱することもできる。
ジブラルタルに関しては直接移動できるアビリティはないが,プロテクトドームをうまく展開することで疑似的に移動系アビリティと同等のことができる。移動系アビリティの目的のひとつを「安全に移動すること」と考えれば,ジブラルタルもその役目を果たせるだろう。
今回は「戦ううえでの考え方」に重きを置いた内容をお伝えした。「そういう考え方で戦っているのか」という参考にしてもらえるのではないだろうか。いきなり実践するのは難しいかもしれないが,頭の片隅において戦場に繰り出してみてほしい。きっと力になるはずだ。
「Apex Legends」公式サイト
- 関連タイトル:
Apex Legends
- 関連タイトル:
Apex Legends
- 関連タイトル:
Apex Legends
- 関連タイトル:
Apex Legends
- この記事のURL:
キーワード
適用されるプラットフォームアカウントおよびプラットフォームのサブスクリプション(別売)が必要となる場合があります。永続的なインターネット接続およびEAアカウントが必要となります。年齢制限が適用されます。ゲーム内購入が含まれています。 条件および制限が適用されます。www.ea.com/ja-jp/legalでご覧ください。
(C)2019 Electronic Arts Inc.
(C)2019 Electronic Arts Inc.
(C)2019 Electronic Arts Inc.