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「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV
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印刷2022/03/25 17:17

プレイレポート

「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV

 Bethesda Softworksから本日(2022年3月25日)発売された「Ghostwire: Tokyo」PC / PS5)は,未知の現象に襲われた東京の街を舞台に,元素の力を操る主人公の活躍を描いた,主観視点のアクションアドベンチャーだ。

画像集#015のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV

 開発は,「バイオハザード」の生みの親であり,「サイコブレイク」シリーズを手掛けた三上真司氏が率いるTango Gameworks。怪談や都市伝説といったジャパニーズオカルトの世界を題材に,さらに斜め上を行く魅力を盛り込んだアドベンチャーに仕上げられている。
 本稿では,PS5版を中盤までプレイして感じた驚きを,大きなネタバレはなしでお伝えするので,ぜひご一読いただければと思う。

画像集#028のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV 画像集#027のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV

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「Ghostwire: Tokyo」公式サイト



無人となった東京を縦横無尽に駆け巡り,

妹と謎の男を追いかける


 突如,謎の霧に包まれた東京の街。その超常現象によって人々は消え失せ,霊や妖怪などが跋扈する世界となってしまう。そんな中,プレイヤーである主人公の暁人(あきと)は,KKと名乗る謎の霊体に憑依され,強大な力を得る。そして,東京に起きた謎の解明や,般若の面を被った男に連れ去られた妹を助けるための戦いに身を投じることになる。

 なお,本作の前日譚が,ビジュアルノベル「GHOSTWIRE: TOKYO - PRELUDE」として無料配信されている。本編のプレイに必須ではないが,より深く世界観を知ることができるので,気になる人はこちらもチェックしておくといいだろう。

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現代の一般的な若者,といった風貌の暁人。この東京でひとり生き残り,この世のものでない存在と戦うことになろうとは……

 妹を助けるため,般若の男を追う暁人だが,その行く手には謎の霧が立ちはだかっている。霧の中に入るとダメージを受けるため,長く留まることができない。まずはマップのあちこちにある“鳥居”を浄化して,霧を晴らしていくことになる。
 鳥居は,神社やビルの屋上,建物と建物の間など,さまざまな場所にあり,浄化することでその周辺の霧が消える。それを繰り返していくと,徐々に行動できる範囲が広がり,さらなる探索を続けられるのだ。

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ビルの上に鳥居が!?

画像集#003のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV
最初はマップのほとんどが霧に包まれている

 本作のマップは広大とは言えないが,建物が多いため高低差に富んでいる。暁人は身体能力が高く,ちょっとした塀や柵なら乗り越えられ,マップに点在する妖怪“天狗”を利用すれば,グラップルで高いビルの上にひとっ飛び,という芸当も可能だ。
 地上だけでなくビルの上にも世界が広がっているので,フィールドマップ以上の広さが感じられる。パルクール感覚で渋谷の街を飛び回るのは非常に爽快で,高いビルの上から変貌した東京の街並みを見下ろしていると,その不気味な美しさに,つい目的を忘れてしまうこともある。

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周辺の敵やアイテムを探知できる“霊視”は探索に欠かせない能力だ

画像集#005のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV
街のあちこちにある地蔵は,主人公が持つ霊力と同じ種類の色をしている。手を合わせると,対応した霊力の最大値が増えるので,積極的に探しておきたい

 また,マップのあらゆるところにインタラクトできる要素が用意されている。それは道に落ちている消費アイテムを拾う,という単純なものだけでなく,箱に入った魂を狙う敵を次々倒していく突発のイベントだったり,道を塞ぐように広がっているタール状の穢れを祓い,中の魂を救うことだったり,この世に未練を残した魂の依頼を受けるサイドミッションだったりとさまざま。
 そのおかげで,長距離移動の手間を省くファストトラベルのシステムを使う機会もあまりなかったりする。

画像集#006のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV
妖怪を捕まえて吸収すれば,技の強化アイテムが手に入る。河童,一反木綿,鎌鼬(かまいたち),鬼など,いずれも不気味さのなかにコミカルな可愛らしさがあって,なんだか憎めない

 なお,救った人間の魂はマップに点在する公衆電話から転送することで,経験値に変えられる。戦闘以外に経験値を得る方法が用意されていることで,レベル上げのためにわざわざ敵を見つけて戦闘するという“作業”はあまり必要がない。
 鳥居を浄化するときに敵の邪魔が入るなど,戦闘が必須な場面もあるが,道を塞ぐように陣取っている敵がいた時などは,迂回したり,しゃがんで草むらなどに身を隠してやり過ごしたり,遠くから弓で射抜き直接交戦を避けたりするなど,多くの選択肢が思い浮かぶ。
 もちろん,敵を見つけたら即戦闘というスタイルで突き進む道もアリ。戦闘と探索をどういうバランスで楽しむかは,ある程度プレイヤーの裁量で決められるのだ。

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パカッと公衆電話が開き,魂転送装置が現れる。そこに霊を吸収した形代(かたしろ)をタッチすると魂が仲間のもとへ送られる。ロマンが溢れている!

画像集#008のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV
敵に気づかれないくらい遠くから弓で倒す。矢は消費アイテムかつ大量に所持できないので,使いどころを見極める必要はあるが,これもまた楽しい

 猫又が店主を務めるお店では,貴重なアイテムを集めてくるという依頼を受けられる。納品すれば報酬が得られるし,アイテム集めのためにマップをうろついていると,新たなイベントや隠された地蔵を発見することも。お店では,矢などのアイテムも売られているが,購入に必要な冥貨もそこらに落ちているので簡単に貯まる。気が付くと数十万ほど持っていたりして,やりくりを気にする必要もあまりない。おしるこドリンクや焼き鳥などの回復アイテムも買い放題で,キモチイイ!

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猫又の可愛さは半端ない。ぜひ動いているところを見てほしい

 霧を祓いながら追うメインミッションとオカルトネタ満載のサイドミッション,そして探索に戦闘。これらの繰り返しで物語は進む。だが決して単調に感じない。コンテンツが豊富なので行く先々に驚きがあり,ひとつの状況に対するアプローチを次々と選び取りながらフレキシブルにゲームの主導権を握っていけることが,大きく関係しているのではないだろうか。
 特にサイドミッションは,ひとつひとつが短めでテンポもよく,“お使い感”を感じにくい。純粋にこの世ならざるものの世界にハマり,臨場感たっぷりに楽しめるのだ。


自分こそが能力者だ!

祓って,祓って,どんどん霊を救いまくる快感


 戦闘は,主に風・火・水の三属性を持った“エーテルショット”と,敵を足止めするなどの戦闘補助的な効果を持った“札”や“弓”を使い分けて行う。いちおう素手で近接攻撃もできるが,威力は弱め。
 照準を合わせるのが苦手な人でも,強力で使いやすいエイムアシストや範囲攻撃できるエーテルショットを駆使すれば,充分戦える。

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敵に気づかれず背後に回り,背中に札を張り付け一撃で払う“即浄”は非常に強力。ステルス重視のプレイでなくても取り入れていきたい。ただし,一部の敵には即浄一発で沈まないものもいる

 エーテルショットは,各属性に弾数制限がある。回復には,街中にある特定のオブジェクトを壊したり,敵を倒したりすることで出現する“エーテル結晶体”が必要だ。これらはどんな状況下でもある程度豊富に得られるので,エーテルショットがまったく撃てなくなって八方ふさがり……という状況にはなりにくいはず。

 敵にエーテルショットを当てることで,弱点とも言えるコアが露出。そのコアを引き抜けば,トドメをさせる。コアを引き抜かずに倒すこともできるが,自身の体力回復など,ボーナスが得られないので注意したい。
 また,コアの引き抜きや即浄を使用することで,自身のゲージが溜まっていく。これを開放することで,一定時間敵のコアが出やすくなる“絶対共鳴”が発動できるので,強敵や敵の数が多い場所ではこちらも狙っていきたい。
 ダメージを軽減する“ガード”も,タイミングよく使用すれば,攻撃をはじき相手をよろめかせることができる“ジャストガード”になるので,弱い敵で練習しておくといいだろう。

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敵のコアを引き抜く瞬間は文句なしにカッコイイ

 ただこのエーテルショットは,KKが憑依している状態だからこそ使える技。物語中は何度か,KKと暁人が離れてしまう場面があり,そのときは残された弓と札で切り抜けなければならないのだ。それまではエーテルショットで,いわばお祓い無双状態だったところから,一気に心細くなるのだが,プレイに緩急がついて非常に面白い。超常の力,この世ならざる者たちの力がいかに強大であるかも実感できた。

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暁人とKKが力を合わせるからこそ,多くの敵とも正面から戦える。次第にバディのようになっていくふたりの関係も興味深い

 選ぶ難度(4段階)にもよると思うが,戦闘は難しい操作の達成感よりも,能力者としてのエキサイティングな体験を重視しているように思われる。
 今回は,下から2番目の難度ノーマルでプレイしたが,レベル上げはフィールドの探索だけで事足り,戦闘はカッコイイ除霊アクションを楽しむことに集中できた。もちろん,歯ごたえるあるバトルを味わいたい人は,高い難度で挑戦するのもいいだろう。


リアルな渋谷の街,癒しの動物……

イカすディテールを見逃すな


 発売前に公開されたトレイラーから感じられた,その世界の怪しさ。日常の中にある違和感や見慣れた風景が徐々におかしくなっていく様子は,プレイをしていると,想像以上に鮮烈な体験となって襲ってきた。
 不安な空気感は恐ろしいながらも美しく,グイグイ惹きこまれる強い力がある。特に,歩くたびにどんどん建物の造形が作り替えられていく演出には興奮し,息を飲んだ。


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序盤の気に入っている風景を何枚か。不気味なのに,つい先が見たくなって足を進めてしまう

 やけに力が入っている犬と猫の描写にも注目だ。人が消失した東京の街に,彼らは生き残っていて,霊視することで考えていることを教えてもらえる。
 犬にアイテムの“ドッグフード”を与えると,さらに有用な情報やアイテムをくれることも。彼らを撫で,かわいがることもできるのだが,撫でることでゲームが有利になるような効果はまったくない。
 しかし,単純に可愛く,うれしくなるので,意味なく“かわいがる”を選んでしまうプレイヤーは筆者だけではないはず。写実的で愛嬌のあるこだわりのモーションや,マップの広さに対しやけに多い犬猫の数からみても,制作陣の動物に対する愛がヒシヒシと感じられるのだ。

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可愛いの権化である猫。基本的にはマイペースでしゃべっているが,周辺の事件に関し,ヒントになりそうなことを話すことも

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愛嬌の塊である犬。だいたいが元気で無邪気。地面を掘って冥貨を探し出してくれることもあるが,そのためにあげたドッグフード代を差し引くと,正直得をしている感じはない。でも,可愛ければヨシなのだ

 ちなみに,暁人が犬にエサを与えるときのセリフ「ほら,お食べ」が恐ろしくイケボなので,筆者は大量にドッグフードを買い込んでは見つけた犬すべてに与え,何度もボイスを聞きまくっている。
 動機が動機なので大きな声では言えないが,犬にも私にもうれしいお得な行為なので問題はないはず(ただしゲームプレイにおける得もない)。皆様も犬にドッグフードを与える際は,暁人の美声に注目していただきたい。

 細部に込められたこだわりは,まだまだたくさんある。作中に登場する商品のパッケージや広告なども,ひとつひとつに遊び心がありながら,実際に存在していそうなデザインに仕上がっているのだ。

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小型スーパーの店先に置かれた商品ラック。大きく印刷された値札,無造作に積まれたダンボール。左隣は薬局だ。この小さい空間だけみても,リアルな生活感が伝わる

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コンビニの雑誌売り場。付録付きの雑誌,少年誌,女性ファッション誌などが並ぶ。どれも非常にそれっぽい

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左下のウーマチップス,なんと“つちのこ味”と“チュパカブラ味”だ。我々の世界においては企画がまず通らないであろう攻めたフレーバーだが,どこの店でもわりと見かけるので,ここではきっと人気商品なのだろう。どんな味なのかが気になる

画像集#025のサムネイル/「Ghostwire: Tokyo」プレイレポート。ジャパニーズオカルトの世界に没頭,超常の力を駆使して祓いまくるアクションADV
無料案内所に貼られたポスターの数々。文言にもさりげない妙味がある

 細かく見ていくと,スマホゲーのキャラクターらしきものがメディアミックス展開されていたり,実際にある製品のパロディにさりげなくオカルトネタが盛り込まれていたりと,かなり芸が細かい。これらを見物して歩くだけでも,相当の時間を要するほど種類も豊富だ。これらは見て楽しいだけでなく,リアルな東京の街を演出し説得力を増す重要な要素となっているのだ。

 地形はアレンジされているものの,渋谷駅ハチ公前のスクランブル交差点やヒカリエ周辺など,渋谷を中心にリアルな東京の街を感じさせるマップ。その中を,実際歩いているような臨場感をもってオカルトの世界にドップリ浸かり,楽しめるのが「Ghostwire: Tokyo」だ。
 身の毛もよだつ恐怖を感じるシーンはさほど多くないが,それが幅広いファンを獲得するポイントにもなりそうな,絶妙としか言いようのない押し引きのバランスにも感服する。

 探索も戦闘もプレイヤーの裁量で組み立て,プレイヤーに合ったスピード感でテンション高く楽しんでいける作品なので,皆さんにもぜひプレイしてみてほしい。

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