このゲームの読者の評価
- 読者レビューについて
- 4Gamer読者レビューは,読者の皆さんがご自身の判断で書いたレビューを掲載するためのコーナーです。掲載前には編集部で主に公序良俗面のチェックを行っていますが,掲載されている情報について,4Gamer.netが正確さの保証を行うものではありません。掲載情報のご利用は,読者の皆様自身の判断と責任で行ってください。
なお,ゲームの評価を表す「GamerScore」は,投稿されたレビューの平均点を表示したものではありません。投稿の傾向を分析・考慮し,補正を加えることで,有用と思われるスコアを目指した形となっております。詳しくは「こちら」をご参照ください。
- 前のページ
- 次のページ
- Pages: 1
-
いい意味でベタ移植 75 - 投稿者:ビタミン男爵(男性/30代)
- 投稿日:2021/05/07
- 良い点
- ・忠実に再現されたオリジナル版の雰囲気
本作は様々な要素が全体として評価されている作品であり、安易にグレードアップしてしまうと、オリジナル版がもっていたゲーム体験が損なわれてしまう恐れがあり、リマスターしにくそうな作品なのですが、結果としては見事にオリジナル版そのままにリマスターされています。過剰にグラフィックを良くしたり、ゲームシステムを改善したりはせず、あくまでも磨き上げのみにとどめています。
・快適な動作
PS3のゲームをほぼそのまま移植したのですから当然ではあるのですが、本作の動作はすこぶる快適です。フレーム落ちはまったくなく、60FPSで極めてなめらかに動作します。
・ロックオンの実装
オリジナル版にはロックオンがなく、魔法にしろ近接攻撃にしろ狙いをつける必要がありましたが、本作ではロックオンが実装されました。これにより、一部のボスがかなり倒しやすくなっています。
なお、ロックオンが実装されたことで、ただでさえ簡単だった本作の難易度はさらに低難易度化していますが、本作は低難易度(というよりも主人公の強さと狂気)であることこそが正しいゲーム体験であるため、低難易度化は問題ではありません。
・当時の設定資料から持ち込まれた追加シナリオ
当時の設定資料に掲載されていたボツシナリオが、今回改めて実装されました。本シナリオは本作の雰囲気となんら違和感がないもので、追加要素であることを感じさせない優れたシナリオです。
・その他追加演出
いくつかのテキストに修正がある他、会話シーンが追加されています。いずれもオリジナル版で中途半端だった部分をうまく補完したものであり、納得の修正です。
・カイネに表現規制なし
常時ほぼ半裸という得意な服装のキャラクターであるため、昨今の雰囲気から服装が変えられてしまう可能性が危惧されていましたが、オリジナル版通りに実装されました。
・音楽
神
- 悪い点
- ・あくまでもベタ移植
本作は(タイトルでバージョンアップ版とうたっているように)あくまでもベタ移植であり、オリジナル版のゲームとしての欠陥が改善されているわけではありません。むしろ欠陥すらも忠実に残すような移植となっています。(※なお、本作の場合、ゲームとしての欠陥すら本作のゲーム体験としては欠かせないものであるため、移植の姿勢としては正しいと言えます。)
本作は、オリジナル版の当時ですら、ゲームとしての単純なクオリティでは微妙と言われていた作品であり、それをベタ移植したものを現代にプレイするのですから、純粋なゲームクオリティには期待するべきではありません。(※雑に言えば、オートマタを期待するべきではありません)
・追加エンドの雰囲気
端的に言って、オートマタに寄せ過ぎだと感じました。もっとオリジナルの雰囲気そのままでやってほしかったところです。
・15 Nightmares のプレイが必須
オリジナル版とは異なり、エンディングを見るためには 15 Nightmares のプレイが必須となっています。これは本作の世界観からは外れた、雑魚を虐殺するだけの(※まあ本編もその点は大差ないのですが)単調なコンテンツであり、これを必須にする必要性はなかったと思います。 - 総評
- おおむねファンが期待している通りの移植に仕上がっていると評価できます。下手にアップグレードしすぎてしまうと、オリジナル版のゲーム体験を壊してしまうため、これ以上のアップグレードはできないとも言えますが。
私はオリジナル版(PS3版)はオートマタの後に購入してプレイしたため、体験したのは比較的最近になります。そのため比較的オリジナル版の記憶が残っている状態でプレイしましたが、オリジナル版の雰囲気をそのまま再現することに成功していると感じました。
しかし、評価してみて改めて思うことですが、本作ほど得点をつけて評価することに虚しさを感じる作品もありません。単純にゲームとしてのクオリティで評価したら、結構低評価をつけざるを得ません。本作の要素を点数で評価した場合に、圧倒的な高評価を与えられるのは音楽くらいのものでしょう。現代のフルプライス作品に期待される水準にはいささか劣るため、スコアは低めにならざるをえません。
一般にはストーリーが素晴らしいと評価されている本作ですが、個々のエピソードは独立していて、全体としての一体感がありません。かつ悲劇のために悲劇を用意しているような雑さもありますし、設定資料集なしでは置いてきぼりになるほど説明不足でもあります。ストーリーに高評価は与えられても、最高の評価までは与えられないというのが正直なところです。
ゲーム性に至っては破綻しており、移植でもその点は全く修正されていません。使い分ける必要が全くないのに種類だけはある武器と魔法、武器と魔法を振り回すだけでほとんど楽勝できるバランス、異様に狭っ苦しいワールド、さらに周回(やりこみ要素でもなんでもない、エンディングを見るために必要な通常のプレイの範疇内の周回)によって過剰に強くなっていき、ボスですら即死となっていく成長システム、いずれもそのままです。
しかし、本作のゲーム体験としては(開発者がどこまで意図していたのかはともかく)
これで正解なのです。
わけもわからず、やたらと狭い世界で、狂気性をそなえたやたらと強い主人公を操って、延々とマモノたちを虐殺することを強制されてこそ、本作の世界を体験したことになるのです。
個々の要素を評価すると微妙であるにも関わらず、プレイ体験全体として妙にプレイヤーの記憶に残り続け、奇妙な存在感を放ち続けるのが本作であり、その存在感は見事に移植されています。一方で、ゲーム性の欠陥をも含めてのゲーム体験が本作である以上、現代的なゲーム性(※というかオートマタ並のクオリティ)は期待するべきではありません。 - プレイ時間
- 40〜60時間
グラフィックス サウンド 快適さ/運営 熱中度/ストーリー ボリューム 4 5 5 4 3
- 前のページ
- 次のページ
- Pages: 1
4Gamer読者レビューは,皆さんがプレイしたゲームを評価するという読者参加型のコンテンツです。投稿されたレビューは,4Gamer.netに掲載されるほか,「読者の皆さんの評価」である「GameScore」の算出に利用されます。