プレイレポート
本日発売となったPS4版「Maneater」のプレイレポートを掲載。サメとなって人も魚も食いまくる,オープンワールドRPG
本作は広大な海洋を舞台に,サメと人間との戦いを描くオープンワールド形式のアクションRPGだ。プレイヤーは母を殺された子ザメとなり,その復讐のために強くなることを志し,突然変異によって奇怪な能力を手に入れていく。海の捕食者として大成するために,さまざまな試練をくぐり抜けていくのである。
なおPC版はコンシューマに先んじて5月に発売が行われており,そのユニークな設定が話題となったのは記憶に新しい。今回はパッケージ化されて手に取りやすくなったPlayStation 4版をベースに,この唯一無二な“サメゲー”のプレイレポートをお届けしたい。ただし本作には,サメが魚を捕食する描写や,これに伴う流血や欠損表現が含まれる。テレビで見るドキュメンタリー程度ではあるが,苦手な方は注意してほしい。
「Maneater」公式サイト
サメになって,食って食われて。弱肉強食の掟を体感
本作の主人公は,母をサメハンターのスケイリー・ピートに殺された子ザメだ。物語は生まれる前に母体から無理矢理に引きずり出されるというショッキングな出来事からスタートするが,主人公は辛くも生き延び,ピートへの復讐を誓うこととなる。
ゲームは主人公が「赤ちゃん」の状態からスタートし,クエストをクリアすることで「子供」から「大人」へ,そして「長老」へと成長していく。成長に伴い行動できる範囲も広がっていくので,当面はクエストをクリアしていくのが目標となる。クエストをこなすには,周囲にいる魚を食べて経験値を稼ぎ,レベルを上げなくてはならない。要するに「食って食って食いまくる」ことが重要だ。
ではどうやって食べるかというと,対象の目の前で[R2]を押して噛みけばいい。成功すれば敵のHPを減らすことができ,ゼロにしてから再度[R2]を押せば,捕食完了となる。敵を食べればHPが回復し,経験値が入り,後述する「進化」のアップグレードに使う素材も手に入れられる。攻撃と捕食が同じボタンなあたり,手も足もないサメらしい仕様と言える。ボタン一押しとはいえ,食いつくのは“あの”鋭いサメの歯なのだ。甲羅が硬いカメであっても,一方的に食べてしまえるし,ボートのような人工物にさえダメージを与えられる。サメってすごい。
そこで頭をよぎるのは,食物連鎖の厳しさだ。弱い敵は餌にでしかない。それは主人公も例外ではなく,強い敵に負ければ食われてしまう。ナマズやハタなどの大人しい魚なら,大した抵抗もなく食べてしまえるし,それは“戦い”というよりは,“回復アイテムを拾う”程度の感覚でしかない。「これが食物連鎖で上に立つということか……」と,ある種の無情感すら感じてしまう。なにせ,気まぐれに押すボタン一つで食べてしまえるのだから。
一方で,凶暴な敵と戦う時は命を賭けなければならない。アリゲーター,バラクーダ,そしてライバルのサメといった相手は,こちらを容赦なく攻撃してくるし,負けて食われたらゲームオーバーだ。セーブしたところから再スタートできるとはいえ,ゾッっとする体験だ。
[L1]を押して尾で叩いたり,[R1]で攻撃を回避するなどして,とにかく死なないように立ち回る。とても敵わないと悟ったら,全速力で逃げてしまおう。本作では,レベルが強さの尺度になっており,その差が大きいとなすすべもない。同等かそれ以下の相手を探してレベル上げに励むのは,まさに食物連鎖そのものだ。
敵の中でも,とくに気を付けなければならないのが人間だ。人間には観光客とハンターの2種類がいて,観光客は無防備だが,ハンターはこちらを狩りに来る。サメはある程度の時間なら水から出ても大丈夫なので,無抵抗な観光客は魚よりイージーな捕食対象だ。相手が浜辺からそれほど離れていないなら,自ら陸に上がってパクリとやってしまえる。サメがビチビチと暴れながら人間に食いつく様は,まさにパニック映画のようである。
しかし,調子に乗って観光客を食いまくっていると「脅威ゲージ」が上昇。これが一定値を越えると武装したハンターどもが投入され,こちらを追い回してくることに。ヤツらが乗っている船はサメといえども簡単には破壊できない。また銃も使ってくるので,油断しているとあっという間にハチの巣になってしまう。ハンターの数が増えれば,四方八方から銃で狙われるのでなおさらだ。
だが接近戦となれば,そこはサメの独壇場だ。船を壊して水中に引きずり込むなり,[×]のジャンプで船に飛び乗って噛みつくなり,思うがままである。必死に避けながら間合いを詰め,1人1人仕留めていく戦いは,シビアだが面白い。戦いが続けば海中はサメと人間の血で真っ赤に染まっていき,「ジョーズ」に代表されるサメ映画さながらのシーンが展開される。
ただしハンターどもは,魚とは違い次々と増援を投入してくるので,戦いを長引かせるのは得策ではない。人間を食えばHPが回復するとはいえ,ある程度のところで身を隠し,脅威ゲージが下がるまでほとぼりを冷ますのが賢明だ。この辺りは「グランド・セフト・オート」の「手配度」に似ているので,同作をプレイした人ならすぐに勘が掴めるはずだ。
人間どもは恐ろしいとはいえ,関わらないわけにはいかない相手でもある。人間を食いまくれば「悪名レベル」が上がり,有名ハンターが投入される。彼らを殺し続けることが,母の仇に辿り着く唯一の手段なのだ。
ちなみに有名ハンター達にはそれぞれにバックグラウンドがあり,名声を求めてハンターになった者,慢心から実力を示したいと考えている者,ボートレースの世界で行き詰まって転身した者と,さまざまな人間模様が描かれる。そんな彼らであっても,ひとたび食いつけば,あっという間にケリがついてしまう。弱肉強食の掟に相手の事情などなにも関係しない。ここでもまた,哀愁を感じられる。
コミカルなパワーアップと,リアルなウンチク
こうしてさまざまなクエストをクリアしていくと,いよいよ成長が行える。身体が大きく,力も強くなり,それまで苦戦していた敵も簡単に倒せるようになるのである。この辺りはまさにRPGといったプレイ感だ。加えて,大きなパワーアップが望める「進化」も用意されている。進化というと永続的な変化に思えるが,本作においてはいわゆる装備品,あるいはパッシブスキルのようなものと考えるといいだろう。進化は「内臓」「ひれ」「あご」「ボディ」「ヘッド」「尻尾」に適用でき,その効果もさまざまだ。中には相手に噛みつくと電気が流れたり,毒を放出したりなど,およそサメとは思えない派手なものも存在している。次はどんな進化が待っているのかと,プレイのモチベーションにもつながる要素となっている。
進化には荒唐無稽な要素があるものの,海や魚についてのウンチクが充実しているのも,本作の面白いポイントだ。例えば日本に食卓に並ぶことも多いハタが実際は凶暴な性質を持っていることは,筆者は本作で初めて知った。
本作はサメの生態や有名ハンターをレポートするテレビ番組という体裁が取られており,色々な解説がナレーションで流れるのだが,そこに皮肉なユーモアが効いているところに,海外作品らしさが感じられる。中でも印象的なのが,マップの中にある「ランドマーク」を発見したときの,自然破壊に関するメッセージだ。ランドマークはマップに散らばる名所的なポイントなのだが,それらは大抵,海底に遺棄されたゴミや車といった廃棄物なのだ。教育的なコンテンツなら,声高に人間を責め立て,自然破壊を嘆くのが常だが,本作のナレーションはひねりが聞いている。むしろ余計にグサりとくるシニカルさがあるので,ぜひプレイして体験してほしい。水中の描写は力が入っており,汚い海は本当に汚いので,なおさらに心が痛むこと間違いなしだ。
サメを主人公とした復讐譚を描きながら,食物連鎖や環境汚染などのリアルなテーマを,どこかおふざけ感漂うコミカルなRPGにまとめ上げた本作。こうしたキーワードに惹かれるのは,きっと筆者と同じく,個性派ゲームが好みの読者に違いない。個人的には,サメになって大暴れできるところはもちろん,その奥に潜むメッセージに大きく惹かれたところがある。サメへの興味が抑えられない人は,ぜひプレイしてみてほしい。きっと楽しめるはずだ。
スクリーンショット
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