プレイレポート
「Bright Memory: Infinite」プレイレポート。FPSとさまざまなアクション要素が高次元に融合した濃密な体験が楽しめる
本作は,2020年にリリースされた「Bright Memory」(PC/Xbox Series X)をベースに,ストーリーやステージ構成を再構築した完全版とも言える存在で,前作を購入していた人は無料で入手可能だ。
前作は,個人開発ながら高いクオリティを誇ることで話題になったが,本作は果たしてどのような作品に仕上がったのか,本稿でプレイレポートをお届けしよう。
「動かせるアクション映画」とでも言うべき,濃密なゲーム体験。退屈な時間は一切ない!
本作の舞台となるのは2036年の近未来。異常気象を観測した超自然科学研究機構(SRO)は,現地に調査員を派遣する。主人公の女性・シアも調査員の1人で,休暇中に電話で呼び出され,緊急出動することになる。
シアが身支度を整えて部屋を出た次のシーンでは,早くも飛行機のコックピットのような場所に乗り込み,ワープドライブで目的地へと飛ぶ彼女の姿が。ちなみにオープニングイベントにも,いわゆるQTEがあり,突然ボタンを押すことを要求されるので油断がならない。
アクシデントにより乗り物が大破し,シアはすんでのところで脱出するが,前方の空にブラックホールが発生しているのを確認する。シアはその付近に降下するよう指令を受けるが,現地にはリン将軍の先遣部隊とやらがすでに到着しているらしい。先遣部隊の詳しい説明はされないが,状況を聞いていると,どうやらSAIという敵対組織の人間のようだ。
「なるほど,組織同士の小競り合いかな〜」と思って見ていたら,先遣部隊の兵士を見つけ次第,シアはナイフ片手に兵士に襲いかかるし,兵士は当然発砲してくるしで,戦闘が勃発。ここからはFPSのような一人称視点でゲームが進んでいく。
画像から受ける印象はFPSそのものかもしれないが,本作はシューター一辺倒ではなく,「主観視点の3Dアクション」となっている。
主観視点の3Dアクションゲームは,これまでもいろいろとリリースされているわけで,さほど目新しいものでもないのではと思われるかもしれない。しかし,シアのアクションは非常に豊富で,銃はもちろん,剣も振り回し,超能力めいた「電磁パルス」で敵を捕捉して持ち上げ,投げ飛ばす。また,敵の攻撃を回避したり,壁走りしたりもできる。普通のゲームならどれか1つをウリにしそうなところを,「気持ち良いから全部入れちゃいました!」とでも言わんばかりの欲張りセットだ。
しかし,ただただアクションを詰め込んだというわけではなく,高いゲーム性を生むことに成功している。本作には,“近接武器だけを手にこちらへ走ってくる”という,通常のFPSにはあまり見られないタイプの敵が時々現れるのだが,こうした敵には「防御装甲」が設定されており,距離をとって銃を撃ち込んでいるだけではいつまで経っても倒せない。敵の攻撃をジャストなタイミングで弾く「見切り」を成功させたり,こちらの剣攻撃で斬りつけたりすることで,徐々に「防御装甲」を剥がしていくのだ。
剣による斬りつけ攻撃は爽快感抜群で,思わず剣攻撃の連打をしてしまうが,一定回数斬りつけた段階で「攻撃をすると充電が加速」と表示され,剣を振れなくなってしまう。こうなったら,後方へ回避して距離をとり,銃で攻撃し,剣攻撃の回復を図る。剣による近接攻撃と,銃による遠距離攻撃を巧みに駆使しながら戦う必要があるというわけだ。
またゲームを進めていると,時々時空の歪みのようなものが現れ,先程まで戦っていた「銃を持った現代の兵士」ではなく,「剣と盾を装備した古代の兵士」が相手になることもある。
古代兵は銃を持たないので,基本的に近接攻撃なのだが,攻撃の威力が現代兵士の比ではない。しかも,積極的に接近してくるため,銃での対処が難しい。剣での受けと攻撃を駆使しないと切り抜けるのは難しいだろう。
敵を倒していくと「舎利」という青い光が出現し,これが10個集まると「玉璽(ぎょくじ)」となり,これを使ってスキルのアンロックや強化が行えるようになっている。「玉璽」は舎利を10個集める以外に,道中に落ちていることがあり,普通に進めているだけでもそれなりの数が拾える。たまに,ちょっと分かりづらい場所に置かれていることもある。いろいろと探索してみよう。
戦闘をひととおり体験し,プレイヤーが一人称のアクションに慣れてきたあたりで,電磁波の影響で一時的に銃器類を使用できなくなるというイベントが発生。ここから鉈を片手に敵を暗殺して進んでいくステルスゲームが始まる。
このステルスパートでは,敵の視界に入ると警戒ゲージが上昇し,一定値を超えると「発見」状態となり,敵から集中砲火をくらうことになってしまう。
逆に,警戒ゲージが多少上昇しても,「発見」までいかなければ,意外と安全だ。敵の目の前にバッと出てしまって「しまった……!」と思っても,すぐに後退して敵の視界外に隠れれば,警戒ゲージが少し上がるだけで,見つからないことも。ただし,目の前の敵だけに気を取られていると,別の敵に気づかず挟み撃ちを食らうこともあるので,慎重に行きたい。
ステルス要素まで入れてきたか……と,プレイヤーを飽きさせない工夫に感心していたら,ゲーム後半では,戦闘車両に乗り込んで疾走するレースゲームのようなシーンもある。ボンネットにはミサイルが搭載されていて,これで邪魔をする敵を蹴散らしながら進むことになる。
銃撃戦,剣を使った攻防,ステルス,カーバトル等,似たような戦闘シーンが続かないように工夫がされており,非常に好感触だった。アクション映画の魅力的な要素をいいとこ取りしたうえで,それらすべてを自分で動かせる。まさに「自分で動かせるアクション映画」とでも言うべき濃さが,本作の魅力だ。
ハイクオリティな映像と,斬新なアクションスタイル。飽きの来ない濃密な時間が楽しめる快作
オリジナル版の「Bright Memory」には,ちょっとした謎解き要素もあったのだが,それらを排してアクションに徹したことで,ゲーム進行におけるスピード感は増している。イベントシーンもダラダラした場面は一切なく,バトルも進行もハイスピードだ。
ただ,ゲーム内に登場する組織間の関係性や,登場人物の思惑といった部分はやや説明不足に感じる。とはいえ,アクションが主体のゲームなので,些細なことかもしれない。
ボリュームは少なめで,低難度であれば初見であっても2時間半ほどでクリアできる。しかし,それを欠点と感じさせない濃密なゲーム体験があるため,個人的には,このボリュームはむしろ好印象だった。せっかくの濃厚さを水で薄めるようなことをしていない実直さがある。
スキルのアンロック状況を引き継いでの周回プレイも可能なので,低難度から始めて,徐々に高難度のモードに挑戦していくことを想定しているのだろう。1周が短いので,こうした複数の難度へ挑戦するモチベーションも保てる。Steam実績の完全制覇を狙い始めると,おそらく10時間前後のプレイ時間になるのではないだろうか。
強いて難点を挙げるならば,せっかく主人公が可愛いのに,主観視点なものだから,イベントシーン以外でその姿を拝む機会がほとんどないことだろうか。DLCでコスチュームも配信されているのだが,これらを拝めるのはイベントシーンのみなのだ。
また,ローカライズにも力が入っており,日本語字幕が完璧なのはもちろんだが,日本語音声があることにも驚いた。クールだが可愛さの残るシアのボイス(CV:石川由依)は,とくにキャラクターイメージにピッタリだ。
前作や本作の情報をネットのどこかで見かけて,「なんとなく」でしか知らない人の中には,「とりあえず可愛い女の子を主人公にして釣るゲームかな」と思っている人もいるかもしれない。しかし,そう思っている人ほど,予想以上に骨太でしっかりとしたゲーム性に驚くに違いない。
FPS系に自信のある人でも,難度を少し上げるだけで歯応えのあるゲームプレイが楽しめるはずだ。逆に自信のない人も,最低難度「余暇」にしたうえで,体力は一定時間経過で自然回復することを念頭に置いておけば,なんとかなるだろう。
アップデートも精力的に行われている。配信開始となった12日から,本稿を執筆時の16日まで,少なくとも5日間連続でアップデートがあり,結構な量のバグ修正・バランス調整が実施されている。配信開始日にプレイしてそれっきりという人がいたら,再度チェックしてみてほしい。
とくに配信開始直後は,ステルスパートで発見されると即ゲームオーバー扱いになっていたが,現在では戦闘に移行するようになっている。うまく立ち回れば,そこから敵を倒してステルスに戻れるので,この変更は大きいだろう。価格も1980円と安価なので,おすすめしたい作品だ。
「Bright Memory: Infinite」公式サイト
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