プレイレポート
[プレイレポ]「コンバージェンス:リーグ・オブ・レジェンズ ストーリー」は,時間を戻せるのにメチャクチャ難しい! 頭を使う巻き戻しアクション
そんなLoLだが,プレイヤーが操作するキャラクターである「チャンピオン」たちには,それぞれに膨大なストーリーや設定が詰め込まれている。しかもチャンピオンは,2023年5月時点で162体もいる。「この膨大な設定のチャンピオンたちでゲームを作れば,さらに世界観が広がって絶対面白いよね?」という目的で設立されたのが,ライアットゲームズのパブリッシングレーベル“Riot Forge”だ。
今回はRiot Forgeが制作している「リーグ・オブ・レジェンド ストーリー」のシリーズから,5月24日にリリースされたばかりの新作2Dアクションゲーム「コンバージェンス」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One / Nintendo Switch)を紹介しよう。
本作は,LoLのチャンピオン“エコー”が主役で,独特なアートスタイルと,エコーというチャンピオンの面白さを詰め込んだユニークなゲーム性が特徴の作品だ。時間を操る装置を持つ若き発明家であるエコーを操作して,壮大な都市ゾウンを探索し,知られざる真実を明らかにしていく。
ゲームを始めて最初に行うのは難度選択からだ。バランス,ヒーロー,レジェンドの3種類が用意されており,順に難度が上がっていく。今回のプレイでは,標準と思われるヒーローを選択した。難度は,ゲーム開始後に設定メニューからいつでも変更できる親切設計だ。
ゲームはストーリーを交えながら進行していくのだが,なんと日本語のフルボイスという豪華仕様だ。ストーリーの会話の頻度はそれなりに多く,フルボイスのリッチさを感じられるが,会話ごとのテキスト量は少ないので,アクションをメインに楽しみたい人でもストーリーを鬱陶しく感じることはないだろう。
本作は探索型2Dアクションゲームであり,いわゆるメトロイドヴァニアに分類される。エコーは,スタート時点ではバットで殴るしか攻撃手段がなく,回避以外に特殊な移動もないので,せいぜいちょっと運動神経のいい少年だ。ただ,ゲームを進めていくと,エコーはメカを使ったアビリティを習得していき,超スゴい発明家としての側面を見せるようになる。以下に,いくつか習得するアビリティを紹介していこう。
最初に習得するアビリティは,本作を特徴づけるアクションでもある,時間を巻き戻してダメージを取り消す「リワインド」だ。リワインドチャージというゲージを消費して使用するので,無限に使えるわけではない。用途はさまざまで,敵の攻撃に当たったとき,当たる前に戻って敵の攻撃を回避するほか,マップ外に落ちてしまったときに使えば復帰できるし,移動系アクションに失敗したときにも使える。また,体力が0になったあとにリワインドを発動する猶予時間が設けられている。つまり,リワインドチャージがある限りは死なないし,ゲームプレイの難度が大幅に下がるというわけだ。
ただ,本作が簡単なゲームかといえば,まったくそんなことはない。まず雑魚戦は敵の数が多く,ボスは行動パターンが多く攻撃が素早い。移動系アクションは速度が速く,集中していても頻繁に失敗してしまう。つまり,本作のアクションは,“リワインド前提”で調整されているのだ。
高難度なアクションゲームをプレイしたことがある人は,順調に進行していたのに1つのミスで死んでしまい,かなり前のチェックポイントに戻される,なんて体験をしたことがあるだろう。そんなときは,「ちょっとだけ巻き戻してくれ〜!」なんて思うわけだが,本作ではそれができる,とイメージしてもらえればいい。
次に習得するのが「クロノブレイク」で,エコーが過去の位置に戻り,戻った場所で爆発を起こして大ダメージを与えるアビリティだ。クロノブレイクゲージが満タンのときのみ使用でき,敵にダメージを与えることでゲージを溜められる。過去の位置は残像で表示されるので,残像と敵が重なったときに使うのがコツだ。
ちなみに,LoLだとアルティメットスキルに該当する,いわゆる必殺技なのだが,当てるのが難しいスキルとして有名だったりする。ただ,本作では攻撃範囲が広いうえ,外れたらリワインドで時間を戻してもう一度使えるので,比較的簡単に当てられる。
次のアビリティは,遠距離攻撃手段の「タイムワインダー」だ。エコーが円盤を投げて命中した敵にダメージを与え,少し時間が経つと円盤が戻ってくる。戻ってくるまでは再使用できずダメージ自体は低いのだが,近寄らなくてもいいぶんリスクが低いので,2Dアクションが苦手な筆者はかなりお世話になった。ちなみに,こちらはLoLだとエコーのQスキルだ。
次に習得するのは,「パラレルトラップ」というアビリティだ。パラレルトラップという円形のフィールドを生成し,その中に入った敵や飛翔物をスロウ状態にする。ボス戦では必須のアビリティで,例えばそのままでは避けられない3段構えの弾幕が来たとき,上の2つの弾にパラレルトラップでスロウをかけつつ,下の弾を避けるといった工夫が必要になってくる。難しく感じるかもしれないが,リワインドもあるのでミスはカバーできるし,何より「色々使ってカッコよく避けてます」という感じがして楽しい。こちらは,LoLだとエコーのWスキルだ。
次のアビリティは「フェイズダイブ」で,ターゲットに一瞬でテレポートして攻撃をする。これを覚えてからは戦闘中の機動力が上がり,上手く使えば飛翔物を正面から避けられるようになるので,戦闘が大きく変化する。LoLでは,エコーのEスキルに該当する。
ここまでは戦闘で使えるアビリティを紹介してきたが,戦闘と同じぐらい楽しいのが移動アビリティを使ったハイスピードな移動系アクションだ。レールをグラインドしたり,特殊な壁を走ったりといったスタイリッシュな移動が楽しめる。マップ上には移動アクションを使いこなして,時間制限内にゴールに辿り着くレース的な要素もある。
そして,成長要素はアビリティだけではない。まずは通貨である“コグ”を消費して行える“スキル・トレーニング”だ。スキルはエコーの攻撃やアビリティに新しい機能を追加するもので,例えば回避にパリィが付いたり,落下攻撃ができるようになったりする。
そしてもう1つの成長要素が“ガジェット”で,こちらはコグと“レアパーツ”を使って作業台で作成できる。スキルと同じく,攻撃やアビリティを強化するものなのだが,装備しないと効果がなく,コストの上限を超えるガジェットは付けられないという制約がある。
これらの成長要素もなかなかやり込みが必要だが,本作にはコレクション要素もある。内容としては,「機械仕掛けのチャンピオン」というフィギュア収集のようなものと,エコーのスキンやゼロ・ドライブのモデル変更の収集だ。一部のスキンはDLCを購入する必要があるが,基本的にはどれも探索で入手できる。
ここまでアクションや成長の部分について触れてきたが,アート部分もかなり気合が入っていて,特に背景が素晴らしい。治安の悪いスラム街のゾウンを上手く表現した,細部までチェックしたくなるできで,LoLの世界観をしっかりと拡張する作品になっている。しかも,マップがめちゃくちゃ広いので,ゾウンの世界観をたっぷり味わえるのだ。
そして,本作で一番やりごたえがあるボス戦についても語りたい。本作のボス戦はすべてのアビリティを上手く使うことを前提として作られており,頭を使う必要があるのだ。ここは本作が他の2Dアクションゲームと明確に違う点で,反射神経や操作技術よりも,「次に来る攻撃をどうすれば避けられるか」という,謎解きのような戦い方が求められる。
攻撃を見てからリワインドで時間を巻き戻し,パラレルトラップで敵の飛翔物にスロウをかけ,小ジャンプや回避で攻撃を避けつつ位置を調整しながら,フェイズダイブですり抜ける……このように思考を連続させて,敵の攻撃を避けながら戦うのは,他にない本作だけの楽しさだろう。
本作はメトロイドヴァニアという親しみやすいゲームシステムでありながら,変わり者な発明家であるエコーというチャンピオンを主役に置くことで,2Dアクションとしては珍しく頭をフルに使うというゲーム体験が味わえる。
LoLの世界観から生まれたゲームなので,「LoLやArcaneを知っていないと楽しめないんじゃ?」と思われてしまいそうだが,そんなことはまったくなく,独自性のあるアビリティを使った戦闘や移動アクション,次に進む意欲を掻き立てる成長要素,寄り道したくなるマップデザイン,素晴らしい2Dアートなど,単体として見ても十二分に楽しい作品に仕上がっている。もちろん,プレイして世界観が気に入ったなら,この作品のあとに他の作品を観るなり,プレイするなりしてもいいだろう。筆者は,本作がとても面白かったので,Arcaneを全話再視聴しようと思う。
「コンバージェンス:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー」公式サイト
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コンバージェンス:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー
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- ライター:つきひ
(C)2019 Riot Games, Inc. League of Legends, and all related logos,characters, names and distinctive likenesses thereof are the exclusive property of Riot Games,Inc. All rights reserved.
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