インタビュー
「三國志 覇道」の新シーズン“神謀争覇”インタビュー。選べる軍師の計略がカギを握る,久しぶりの軍団戦
ここ半年の長期イベントは「漢朝争乱」に「九龍相克」と,軍団同士が手を取り合う集団意識が高めなお祭りシーズンが続いた。
その反面,今回の「神謀争覇」は基本ルール「洛陽争奪」にのっとり,軍団単位で頂点を争うオーソドックスなスタイルに立ち返る。
さらに,シーズン中は特種ルールで“軍師”を登用でき,選んだ軍師に応じた計略を用いて,戦場に新風を巻き起こせるという。
今月もこれらの新要素をはじめ,新規UR武将「呂蒙」「周泰」,研究への追加要素などに触れつつ,また6月に大発表された新たな覇道にして義兄弟作「信長の野望 覇道」(iOS / Android)の違いについても,恒例の覇道プロデューサー,伊藤幸紀氏に聞いてきた。
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軍師がキモの軍団戦「神謀争覇」
4Gamer:
毎度ながら,2周年も近くなった今のお気持ちはいかがですか。
伊藤幸紀氏(以下,伊藤氏):
そろそろサービスが2年に達するということで,長く続けられたことに安心するばかりです。
しかし「三國志 覇道」はもっと先を目指しますので,プレイヤーの皆さんにご期待いただけるように,もっと盛り上げていきます。
4Gamer:
アプリストアの人気ランキングでも長らく常連。
こういったMMO型のSLGでは,なによりの信頼になりますかね。
伊藤氏:
すべては多くの方々に支持していただけたからです。
開発・運営ともども,とてもうれしい限りです。
4Gamer:
昨今,開発面でなにか変化はありましたか。
伊藤氏:
開発スタッフの人数でしょうか。サービス開始当時と比べると倍以上に増員していますので,イベントやコンテンツの新規制作,システムや仕様の改修などに,より多くのリソースを割けるようになりました。
4Gamer:
まさに成功の証って感じで。
ではまず,現シーズン「九龍相克」の手応えを教えてください。
伊藤氏:
シーズンの立ち上がり段階では,コンセプト通りに進められそうな手応えを感じていました……が,第一期の勢力合併直前に「上位勢力は下位勢力と合併できない(=プレイヤー数の増員による強化を図れない)」ことで,ランキングを操作する意図で「保有都市を破棄」するなど,一部でネガティブなプレイを促す結果になってしまいました。
また,勢力同士を統合する流れも狙いには沿っていましたが,第三期では三国鼎立のように大勢力同士が均衡し,ゲーム全体に硬直感を生んでしまいました。それと,イベント進行に見合う報酬を用意できていなかったのも反省点としていて,今後は各々のがんばりをより反映できる報酬を用意していこうと開発一同で再検討しています。
4Gamer:
理想は上位勢力と準上位勢力+下位勢力のぶつかり合いだったが,奸計が張り巡らされたと。さすが覇道プレイヤーというべきか。
伊藤氏:
それでも,前回イベントなどで押し進めてきた「他軍団とのコミュニケーション」が発生しやすい,勢力戦ならではの空気感は今回も作れていたのではないかと思っています。
今後もシステム側が向上心のあるプレイングを妨げないよう,プレイヤー同士が自然と前向きにぶつかり合えるよう,「九龍相克」のフィードバックをイベント作りの参考にしていきます。
4Gamer:
そして,ここ半年は「漢朝争乱」「九龍相克」による軍団同士のお祭り感を楽しめましたが,6月16日からはじまる新シーズン「神謀争覇」(しんぼうそうは)は,純粋な軍団戦に再帰するようですね。
伊藤氏:
はい,「神謀争覇」は以前開催した「洛陽争奪」と同じく,それぞれの軍団同士による純粋な頂上決戦となります。
ただし「洛陽争奪」と違い,イベントの勝敗は都市の占拠ポイントで決めるため,従来ともまた違う遊び方になりますね。
4Gamer:
ルールの大きな特徴はなんでしょう。
伊藤氏:
シーズン中,3タームに分かれて「軍師」が現れ,各軍団は“効果の異なる攻城戦用の計略を有する軍師を取捨選択”します。
軍師の計略は通常の戦法と比べて強力ですが,使用後は数時間ほどクールタイムが発生するため,使いどころが肝心です。それに野戦では使えず,都市攻城戦でのみ使用できる要素なので,相手の連戦の隙を狙うなどすればイベントルールにのっとった逆転も狙えますね。
4Gamer:
軍師候補は,三国志のいわゆる有名な知将たちですか。
伊藤氏:
そうなります。諸葛亮や司馬懿,周瑜など全20人の軍師リストがあり,軍団長もしくは副軍団長がどの軍師を登用するか選んでいく形です。
シーズン序盤は法正や荀彧などの数人からしか選べませんが,イベントの進行とともに新たな候補者が開放されていきます。開放順はランダムではなく固定で,基本的に“開放が遅いほど強力な軍師”です。
4Gamer:
例えば,全20人を開放させられる基準はどうでしょう。
「上位軍団でないと全開放は難しい」のか,「シーズン後半になれば自然と全開放できるのか」のか,格差が恩恵になるのかどうか。
伊藤氏:
軍師リストは,シーズン目標の軸となる「占拠ポイントランキング」の順位に応じて開放されるので,原則は選択肢が多くなる上位軍団が有利です。ただ軍師は5人まで選べて,組み合わせ次第で独自の連携を生み出せますので,軍団の戦略次第で流れを変えられます。
4Gamer:
軍師リストの開放により,多少なりとも上位有利な構造になりそうなものの,軍師の使い方次第で戦局もひっくり返せるかもと。
上位を目指すモチベーションになるので,下からの底上げにも期待できそうですね。ちなみに軍師はとっかえひっかえ可能ですか?
伊藤氏:
軍師を変更することは可能ですが,タイミングに制限があります。計5人までの枠を,どの順で選び,誰と誰で組み合わせるか。そこは環境に対しての読みが問われるかもしれません。相手に負のステータス効果を与える軍師が優勢なときに,それらの効果を打ち消す,あるいは回復する軍師を確保できているか,などですね。
転じて,軍師枠が開放されたからと安易に選ぶと,「諸葛亮への解答になる軍師がいない」といった状況に陥る可能性もあるので,シーズン中は軍師選びの読み合いもカギになってきます。
4Gamer:
情報戦を仕掛けて,メタを確保する軍団も出てきたり。
伊藤氏:
環境への読みや使用タイミングが重要になってきますので,軍師の恩恵を最大限に生かせずに負けてしまう,といった元も子もない展開もありえますね。そういった遊びのスパイス加減を楽しんでください。
4Gamer:
ここ半年の手を取り合う勢力戦から一変し,久しぶりの純粋な軍団戦となると,通年で見てもメリハリがあってよさそうですね。
伊藤氏:
環境もだいぶ移り変わってきたことで,皆さんからも「今の環境でガチでやりたい」といった声はたくさん受けていました。
また「神謀争覇」のような軍団戦では,良くも悪くも同盟・不戦協定など,システム外の盤外戦が活発化しやすいです。これまでの勢力戦で周辺軍団との関係もさまざまに変化しているかと思うので,友好でも敵対でも,これからまた新しい関係性を築いてみてほしいです。
自城や都市の防衛面に,新たな強化を
4Gamer:
ここからはアップデートの新要素について。
まずはUR「呂蒙」「周泰」の特徴はいかがでしょう。
伊藤氏:
UR 呂蒙は文武両道の人となりを再現すべく,知力を強化する能力を生かしてダメージを伸ばす,知力編制が有利な状況になってきた環境に即する武将となります。また知力系のUR 歩兵は昨年のUR 諸葛亮以来となるので,新たな使い方も生まれるかもしれません。
UR 周泰のほうは防御面に特化した武将です。自部隊の防御を300%上昇させ,最近増えてきた攻撃無効を計2回,さらに「挑発」で相手のターゲットを集中させるなど,味方への被害を抑える運用ができます。
4Gamer:
いずれも環境に一石を投じそうな。
次いで,覚醒SSR武将「顧雍(コヨウ)」はどうですか。
伊藤氏:
そろそろ覚醒させられるSR武将の数が減ってきたので,今回は顧雍1人だけの実装となりますが,彼はSR版からの純粋強化で,自部隊に武力と知力の上昇,味方3部隊に弱化無効を付与できます。
また,顧雍単体では一線級とまではいかないものの,呂蒙の特性を引き延ばす技能「連慧」によりシナジーが見込めます。呂蒙を育てる人は合わせて顧雍を補佐にすることを検討してみてください。
4Gamer:
そろそろラインナップ的に「顧雍って誰だっけ……?」となってきて,三国志の奥深さを実感する今日この頃です(笑)。
伊藤氏:
「三國志」シリーズだけ取っても,顧雍は政治パラメータに傾倒している,いわば内政武将の立ち位置ですしね。
覇道も内政要員は一度そろえると「戦闘武将と比べてそれほど顔ぶれの更新に熱が入らない」といった構造ですが,短期イベントで特定武将にボーナスを付加させたり,施設関係のトレンドに応じて新たな面子が必要になったりはしますので,その時々で目をかけてみてください。
4Gamer:
続いて,「研究」にも追加要素があるらしく?
伊藤氏:
「研究」は改修して,今後は「歩兵術・騎兵術・弓兵術から一つを選べるカテゴリ」と「都市開発・都市軍備・都市防衛から一つを選べるカテゴリ」から,それぞれ一つずつ専攻を選んでもらう仕組みにします。
実装済みの4項目の効果はそのままですが,新設の「都市軍備」は駐屯部隊を強化するもので,「都市防衛」は自城の耐久面を強化するものです。いずれも昨今問題になっている防衛側のテコ入れとなります。
4Gamer:
けっこう影響はありそうですか。
伊藤氏:
少なくとも,プレイヤーの皆さんが体感できなくては意味がないので,目下調整中なものの,影響が出てくる仕上がりにはします。
4Gamer:
城が30秒で落ちる問題にメスを入れるのが目的かと思いますが,一方で「防衛面のテコ入れはしようと思えば簡単だが,硬くなりすぎて爽快さが損なわれる」といったバランス調整は難しそうですねえ。
伊藤氏:
まさに,そこの塩梅ですね。それでも現状は武将側の能力ばかりが高まってきてしまったので,この状況で,この内容であれば導入しても問題ないだろうと判断し,踏み切ることにしました。
そのうえで,あくまで選べる研究分野の一つですから。どれを重視するのかは引き続きプレイヤーの皆さんに委ねます。
4Gamer:
今回のサーバー動向はいかがでしょう。
伊藤氏:
6月16日の大型アップデートで,初心者限定サーバー「S26」を新設し,初心者歓迎キャンペーンを同時開催します。
そのほか「刺史S01〜新10内を移動可能」「新11〜新12(S24)内を移動可能」とし,S24出身者たちにはゲーム進行上の不利を埋められるよう,建設時間半減・消費資源半減などのボーナスキャンペーンを適用します。新しいサーバーほど進捗が遅れているので,その補填です。
4Gamer:
勢力戦ではなく軍団戦だと,移動の動向にも変化がありそうな。
伊藤氏:
どの軍団がどのサーバーに移動するのかは,おそらくアップデート内容の発表以降,情報戦が活発化しているかもしれませんね。
4Gamer:
このへんで「三國志 覇道」の話からちょっとそれまして。
先日,御社の二大看板のもう一枚より,同じ覇道の名を冠する新作アプリ「信長の野望 覇道」が発表されました。名称だけで義兄弟であるのは明白ですが,こちらについて説明してもらえますか。
伊藤氏:
そちらは名称の通り“信長の野望版の覇道”といった新作タイトルで,ようやく発表にこぎ着けられて我々も安堵しています。
まず私の立ち位置ですが,シブサワ・コウブランドのブランド長として,また「三國志 覇道」のプロデューサーを担当して立ち上げを経験してきたことから,同作にはいわゆるローンチプロデューサーとして携わっています。「三國志 覇道」のスタッフも開発に協力しています。
しかし,我々は今後も「三國志 覇道」に注力しますので,「信長の野望 覇道」に関しては,私ではない別の開発プロデューサーが陣頭に立ち,タイトルをけん引していく予定です。
4Gamer:
顔役も兼任せずに,伊藤さんは「三國志 覇道」を続けると。
ゲームの遊び方については似たようなものでしょうか。
伊藤氏:
「三國志 覇道」はグローバルで人気の高い戦略シミュレーションゲームを参考に開発しましたが,「信長の野望 覇道」はまた違う設計です。企画当初はそれこそ「覇道のシステムをそのまま乗せよう」くらいの案もありましたが,覇道の良さを残しつつ,「信長の野望」の魅力を詰め込み,似た感触だけど違う遊びにするための工夫を凝らしています。
4Gamer:
それぞれ,別の遊びで両立させていくんだと。
伊藤氏:
ええ。「三國志 覇道」は引き続き,私が陣頭に立って開発・運営に専念します。「信長の野望 覇道」も別の開発チームの手で,これからよりよいゲームに仕上げられ,配信に向かって調整されていきます。
そのうえで覇道同士,運営で得られたノウハウは共有して,それぞれ生かしていくつもりです。現時点でも両作で共通しているシステムやルールの仕様はけっこうありますし,「三國志側で挑戦したコレが評判よかったから,信長側に搭載しよう」や「信長側の制作中に生まれたものがよかったから,三國志側に逆輸入しよう」もあるでしょう。
4Gamer:
「三國志」と「信長の野望」。コーエーテクモゲームスの看板タイトル同士が二つの覇道を目指すわけですが,今後の意気込みのほどは。
伊藤氏:
「信長の野望 覇道」では,「三國志 覇道」で培った運営ノウハウを踏襲し,皆さんの期待を裏切らない姿勢を示していきます。手を抜かず,なにかあれば即検討,不具合があれば即対応,ときにはネガティブな要素で皆さんにご迷惑をおかけしてしまうこともあるかもしれませんが,そこでしっかりと学び,次に生かすスタンスを見せていきます。
それとあらためてですが,「三國志 覇道」はこれからも展開をゆるめるつもりはありません。「信長の野望 覇道」の配信後は,ぜひどんなゲームかと遊んでいただきたいですが,そのうえでこちらに戻ってきてくれた人たちにはさらなる成長を見せていきますので,皆さん三国と戦国ともども,これからもどうぞよろしくお願いします。
4Gamer:
……で,口にしてると気になってきましたが,「信長の野望 覇道」が出ちゃうと,もう“覇道”の一言だけでは,どっちのタイトルを指しているのかアベコベになっちゃいそうですね(笑)。
伊藤氏:
そうですね(笑)。
タイトルに関しては関係各位で吟味しましたけど,シブサワ・コウ(襟川陽一氏)に「(信長の野望)覇道でしょ」と言われ,開発も「ですよね」と,これしかないだろうと思っての命名でした。
4Gamer:
まあ,一番分かりやすいですもんね。
伊藤氏:
それに名称を別にしてリリースしたところで,プレイヤー間では「これ覇道のテイストがあるよね」と言われることが明白ですし,であれば真っ向から覇道と名付けるのがベストだろうと判断してのことです。
ただ,告知面での略称やハッシュタグなどは勘案しつつも,私の意向としては「三國志 覇道は元祖だから“覇道”と呼び続けたい」としているので,信長覇道だったり,ノブ覇道だったり,主に信長側に工夫してもらうつもりです。それもまた後発タイトルの使命ですし。
4Gamer:
なら,覇道と言ったら今後も「三國志 覇道」だと。
伊藤氏:
ええ,そうなれるよう,引き続きがんばっていきます。
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