［インタビュー］「ディアブロ IV」シーズン4「武装再錬」では，敵を倒して手に入れたアイテムをさらに強くする。永遠の領域にも実装される

　「ディアブロ IV」（PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One）では2024年5月15日からシーズン4「武装再錬」がスタートする。今回の目玉はアイテム関連の刷新だ。アイテムを強化・カスタマイズできる新システムの追加や，「ヘルタイド」の拡充など，大きな変革が訪れる「ディアブロIV」世界について，合同インタビューが行われたのでその模様をお伝えする。

敵を倒して手に入れたアイテムをさらに強く。「武装再錬」は全てのプレイヤーが楽しめるものに

　アクションRPG「ディアブロ IV」では一定期間ごとに新システムが登場するシーズン制での運営が行われている。2024年5月15日から始まる，シーズン4「武装再錬（Loot Reborn）」は，そのタイトルの通り，アイテム関連のシステムが一新され，手に入れた武装を再び練り上げるカスタマイズが目玉となる。

　特殊な素材「焼戻秘伝書」を使って，アイテムにランダムな特性を付与できる「焼戻」や，ワールドティア4の祖霊のドロップアイテムに付く強力なレア特性「大いなる特性」，特性を強化する「名工品制作」と，これに用いる素材を入手できる時間制限ダンジョン「名匠の奈落」といった新システムが登場し，装備を強化していける。
　また，特定地域に強力なモンスターが出現するお馴染みのイベント「ヘルタイド」も強化され，さらに強くなったモンスターとスリリングな戦いを楽しめるという。

　中でも影響が大きいのが焼戻をはじめとした武装の強化・カスタマイズで，こちらは永遠の領域（非シーズン）にも実装される。つまり「ディアブロ IV」の全プレイヤーとキャラクターが楽しめるアップデートというわけだ。

シーズン4ではアイテムを強化できるようになった。下画像が強化後で，新たな特性が付与されている。以下，スクリーンショットは英語版のもの

　そんなシーズン4を控えた2024年4月26日にメディア合同インタビューが行われた。これまでのインタビューでお馴染みのアソシエイトゲームディレクター，ジョセフ・ピエピオラ（Joseph Piepiora）氏に加え，この日はリードシーズンデザイナーのデリック・ヌニェス（Deric Nunez）氏も登場。気になるところを聞くことができた。

「ディアブロIV」アソシエイトゲームディレクターのジョセフ・ピエピオラ氏（左）と，リードシーズンデザイナーのデリック・ヌニェス氏（右）

――先日，シーズン4の内容を先んじて体験できるパブリック・テスト（関連記事）が行われました。「ディアブロIV」では初の試みでしたが，プレイヤーの反応はいかがでしたか？

ジョセフ・ピエピオラ氏：（以下，ピエピオラ氏）
　パブリック・テストでは良いフィードバックを沢山得られました。
　例えば，名工品制作についてはフィードバックを受けていくつかの改善を施すことになっています。一つは「名工品制作を行う際のアニメーションが長すぎる」という声で，こちらはスキップできるようにします。

　もう一つは名工品制作の強化についてです。強化が一定ランクに達した際，ランダムに1つの特性が大きく強化されるのですが，これについて失敗を無くしています。パブリック・テストではクールダウンに関する特性が人気で，これが強化されるまで名工品制作を繰り返す例が多く見られました。ここに失敗の要素があると，いままで注ぎ込んだ素材が無駄になったうえに，使えないアイテムができてしまうことになります。我々はそうした思いをして欲しくなかったので，失敗自体を無くしたというわけです。つまり，アイテムはずっと強化され続けると考えていただいて構いません。

「名工品制作」ではアイテムの特性を強化できる

　また，名工品制作や焼戻に使う素材の中でも，レアアイテムから入手できるものの数が足りないというフィードバックもありました。こちらに関してはいろいろな機会で入手できるようにする予定です。
　焼戻で付与される特性の中には，かなり強力なものが存在しています。例えばバーバリアンがダスト・デビル（竜巻）を呼び出せるようになる特性は，画面を埋め尽くすほどの竜巻が出て何も見えなくなってしまっていました。こうした「ユニークだけれどゲームの進行に支障があるビルド」については修正しますが，面白みの部分はそのままにしつつ調整を進めなければならないと感じています。
　調整の結果，いままでできていたことができなくなったという風にはしないということですね。この辺りについては，2024年5月3日に行われる配信でもお話ししますので，楽しみにしていて下さい。

――シーズン4のテーマと，遊び方の方向性について教えてください。

デリック・ヌニェス氏：（以下，ヌニェス氏）
　アイテム関連のリワークを行うだけでなく，今までのシステムを一新するのがシーズン4です。例えばヘルタイドは既存のシステムですが，どれだけ効率よくゲームを進めてもらえるかをポイントに，より遊びやすいものとなりました。
　ヘルタイドで入手したアイテムとにらめっこする時間を短くして，モンスターを倒して新しいアイテムを手に入れる流れを円滑にしたいという狙いです。
　シーズン4のヘルタイドがなぜ強化されたかについては，シーズン専用のアクティビティ「狼の呼び声」で「鉄狼団」関連のストーリーと絡めて説明しています。ここでキャラクターは名声を18段階にアップグレードしていき，そのたびに強いアイテムが得られるようになっています。なお，名工品制作や焼戻については，シーズンだけでなく永遠の領域でも利用可能です。

ピエピオラ氏：
　ヘルタイドの強化については，シーズン2の「血の収穫^※」がかなり好評だったことがきっかけになっています。好評だったこの要素を今後の「ディアブロIV」にどう生かすかと考えた時，ヘルタイドに結びつけられるんじゃないかと思ったんです。
　今回のヘルタイドでは血の収穫のようにさまざまな敵が一気に襲いかかってきますし，アイテムも沢山ドロップします。そして，いろいろな所に小さなアクティビティがあるんです。シーズンから得られたフィードバックでゲームをより良くしていきたいという構想を実現できたので，嬉しいですね。

※血の収穫：特定エリアでヴァンパイアが出現し，特殊なクエストやアイテムを得られる

――焼戻システムの概要と狙いについて教えてください。

ピエピオラ氏：
　焼戻はアイテムにランダムな特性を付与できるというもので，焼戻効果が書かれた焼戻秘伝書が必要です。付与できる効果はさまざまなものが存在しています。
　例えば火球を発射するスキルをダブルキャストの特性が付いた状態で使えば，火球は2個発射されます。また，ネクロマンサーでプレイしている際に「コープスエクスプロージョン」の範囲を広げるようなこともできます。特性の中には特定スキルに作用するものもあり，ローグが投げるグレネードを変化させることも可能です。特性を追加することで，今までのビルドをひと味変わったものにできるんです。

「焼戻秘伝書」があれば，「焼戻」でアイテムに特性を付与できる

　シーズン4におけるアイテム関連の修正は，直感的にアイテムの良さが分かるようにするというコンセプトに基づいたものです。これまでだと「敵が遠くにいる時に発動する」「敵が流血している時に発動する」など，アイテムに付与された効果が細分化されすぎていました。沢山のアイテムを手に入れたとしても，どれがいいものなのかじっくり見ないと分からなかったんです。シーズン4では，どのアイテムが強いのか直感的に分かりますから，焼戻でどんな特性を付けたらいいかを考えるのが楽しくなってくるんじゃないでしょうか。

焼戻は，焼戻秘伝書に記された特性の中からランダムなものが付与される

――新ダンジョンである名匠の奈落はどういったものになるのでしょう？「ディアブロIII」の「グレーターリフト」のようなものなのでしょうか？

ピエピオラ氏：
　時間に追われながら進むという点では，グレーターリフトに似ているところはあります。この楽しさを「ディアブロ IV」に取り入れたかったのが名匠の奈落です。
　大きな違いは名工品制作の素材を集められるところとギミックにあります。名工品制作については，深く潜るほどにより良い素材がより多く手に入りますから，アイテムを強化してどんどん深く潜り，さらに強化していくという流れになりますね。
　ギミックの中には，今までにも出現した強化版ボスのエコーが一瞬だけ出現し，攻撃をして消えるというものがあります。ティア100〜200の間は難しく感じられるんじゃないでしょうか。名匠の奈落では，これまでで最強クラスとなるレベル200ボスである「トーメントの残響」の召喚に使う素材を得られますので，こちらも目的の一つとなるでしょう。

シーズン4における「力の古文書」と焼戻秘伝書のUI

――シーズン4で低レベル帯の遊びはどう変わるのでしょう？

ヌニェス氏：
　低レベル帯における大きな変化はヘルタイドでしょうか。これまでのヘルタイドは高難度のワールドティア3以降でしか発生しませんでしたが，今後はワールドティア1や2でもプレイできます。ヘルタイドでは焼戻に必要な焼戻秘伝書が手に入りますので，アイテムカスタマイズの一部を体験できるというわけです。ただ，名工品制作はワールドティア4のみとなっています。

ピエピオラ氏：
　シーズン4ではレベルアップも早くなっています。シーズン3では「ある程度まで進めると次に必要となる経験値が多くなり，レベルアップが止まったように感じられる」といったフィードバックがありました。そこで，シーズン4においては，ワールドティア2で得られる経験値を＋25％から＋50％に増やしています。
　また，ユニークアイテムも，これまでのワールドティア3以降ではなく，ワールドティア1や2でもドロップするようになりました。品質自体は高難度で得られるものより低くなりますが，ユニークアイテムでビルドを変えていく遊びは低レベル帯でも体験していただけることになります。

――今後のアイテムは，カスタマイズしての強化とドロップ狙いのどちらがメインになっていくのでしょう？

ピエピオラ氏：
　この質問に対する答えが，シーズン4の中核を成しています。アイテムを見つける旅……我々は「アイテムジャーニー」と呼んでいるんですが，敵を倒してアイテムを手に入れて強くなること，これこそがアクションRPGの真髄だと考えています。アイテムジャーニーを強化するのが，これまでよりも＋50％の効果を持つ大いなる特性です。今後はできるだけいい特性が付いたアイテムを探し，名工品制作で鍛えていくのが最終的な目的となります。それ以外のアイテムも鍛えるための素材にすることが可能ですので，アイテムがドロップした時の喜びがなくなることはありません。

――シーズン4で久々に復帰するというプレイヤーに向けて，注目のポイントを教えてください。

ヌニェス氏：
　新しくなったヘルタイドを体験してほしいですね。ワールドティア1からプレイできますし，ミニイベントやミニボスもかなり追加されています。例えば，「脅威レベル」はヘルタイドで戦っていると上昇し，モンスターの強さや奇襲の頻度が増していくという，今までになかった遊びです。

新たな「ヘルタイド」では，「祟られし心臓」を手に入れて儀式を行うと，強力な「血の乙女」が出現する

ピエピオラ氏：
　それぞれのクラスについても，いろいろな変更が加えられており，プレイ感や手応えが変わるほどの調整となっています。例えばネクロマンサーならスケルトンが変わっており，プレイスタイルが変化しているといった具合です。ぜひゲームに戻っていただき，クラスがどう変わったのかを感じてほしいですね。我々はいつも「一番良いディアブロを提供したい」と考えて新シーズンを始めています。シーズン4の一番良いディアブロを，ぜひプレイしてみてください。

「ディアブロ IV」公式サイト