プレイレポート
[TGS 2019]モノトーンの世界で自分の過去を探す。VRボート漕ぎも爽快な「Journey For Elysium」プレイレポート
東京ゲームショウ2019では,VR/ARブースに加え,インディーゲームコーナーにもいくつかのVRゲームが出展されていた。そんな作品の1つが「Journey For Elysium」だ。VRという最新技術を使いつつ,1990年代のアドベンチャーゲームのようなプレイ感を目指すことがコンセプトになっているという。
始まりは美しい海岸。主人公は謎の光によって崖へと誘われ,そのまま転落死してしまう。もちろん主人公とはプレイヤーのこと。VRで表現される転落はちょっと衝撃的で,プレイしていて肝が冷えてしまった。
主人公は死後の世界で目覚め,謎の声に導かれるまま旅に出る。死後の世界はモノトーンで表現されており,先ほどの海岸とは対照的。薄暗い中を一人で歩いて行くのはゲームといえど心細いもので,このあたりはVRならではの体験といえるだろう。
VRゲームで移動するとなると,気になるのがVR酔い(3D酔い)だが,本作では2つの移動タイプによる対策が施されている。1つは「Comfort Mode(快適モード)」で,プレイヤーがコントローラで行きたい場所を指定だけで瞬間的にテレポートできる。移動が描かれないので,VR酔いを起こしづらいというわけだ。
もう1つは「Immersive Mode(没入モード)」で,右コントローラのスティックで進みたい方向を指定し,左コントローラのスティックを倒すことで移動する。右コントローラを倒すと,カメラがそのまま動くのではなく,主人公の向きがシャッターを切る時のような小刻みな暗転を挟みつつ約30度ずつ変わるため,こちらもVR酔いへの対策になっていると感じられた。
主人公がたどり着いたのは小さな村。ここは主人公が生まれた場所で,過去に起こったシーンが不完全なシルエットとして現れており,足りないアイテムを探し出して完全なものとしていくのが目的となる。父が母にプロポーズするシーンでは,父の手にバラの花を握らせ,生まれたばかりの主人公がゆりかごに寝ているならば,あやすためのガラガラを傍らに置いてやる……といった具合だ。過去のシルエットやアイテムは,薄く輝く金色で表現されているので,モノトーンの中でも見やすい。印象的なアートスタイルと視認性を両立したという印象だ。
次に主人公は船で進むことになる。ここで印象的なのが,ボートを漕ぐという体験だ。両手でパドルを掴み,カヌー競技で見られるように左右交互に動かすと,ボートが前へと進む。右に曲がりたい時は左側を漕ぎ,左に曲がりたいなら右側を漕ぐ。そしてバックしたいときは両手の動きを逆にする……というように,なかなか本格的な動きでボートを操作する。水面も結構広く,漕げば漕ぐほどスピードは上がって気持ちが良くて,筆者はあちらこちらとボートを走らせてしまった。
公式サイトによると,移動する際に身体の動きが伴っている場合には,VR酔いが起こりにくいという。また,視点を上下させる浮力のシミュレーションは,激しいVR酔いを引き起こしたのでオミットしたというから,色々と工夫されていることが分かる。
本編において,ボート移動はゲームの重要な要素の一つになるとのこと。出展バージョンでは体験できなかったが,ボートの上から弓矢を射るようなシチュエーションもあるそうで,こちらも楽しみだ。発売は2019年第4半期が予定されており,続報にも期待したい。
「Journey For Elysium」公式サイト
4Gamerの東京ゲームショウ2019特設サイト
- 関連タイトル:
Journey For Elysium
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