「プロジェクトセカイ クリエイターズフェスタ2023」，Chinozo，秋奈，清水 藍が「Flyer!」の意味や想いを語ったトークステージレポート

　セガとColorful Paletteによるリズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ！ feat. 初音ミク」（iOS / Android）の2.5周年を記念したリアルイベント「プロジェクトセカイ クリエイターズフェスタ 2023」が，2023年6月3日と4日に秋葉原UDXにて開催された。


　本イベントでは，「プロセカ」に関わるクリエイター達による描き下ろしのイラストや，ユーザーから公募したイラスト，MVのカット解説などの展示をはじめ，CD・音楽グッズの即売会「プロセカ クリエイターズ マーケット supported by KARENT」，クリエイターと「プロセカ」の出演声優によるスペシャルトークステージが実施され，まさに“クリエイターとファンをつなぐ祭典”となった。

　本稿では，6月3日に行われたボカロPのChinozo氏と，小豆沢こはね（Vivid BAD SQUAD所属）役の秋奈さんによるスペシャルトークステージを中心に，当日の会場の模様をお伝えしよう。

「飛び立てば正解」それがクリエイターへの第一歩
Chinozo×秋奈×清水藍スペシャルトークステージ

写真左より，清水 藍さん，秋奈さん，Chinozo氏

　MCに清水 藍さん，ゲストにChinozo氏と秋奈さんが登場したトークステージは，まずChinozo氏がボカロPになったきっかけや経緯が話題となった。Chinozo氏によると，元々ギターが好きで弾いており，音楽を仕事にしたいと考えていたが，なかなかうまくいかなったそうだ。そんなとき，レンタルショップでいろいろなCDを借りたなかにたまたまボカロのアルバムがあり，久しぶりに聴いたところ「ボカロの曲すごいな」と感じたという。それをきっかけに“みきとP”氏や“はるまきごはん”氏といったボカロPにドはまりしたとのこと。ただ，ボカロPになりたいと思っていたというより，気付いたらボカロPになっていたのだと話した。


　秋奈さんもボカロ曲が大好きということで，最近ではサブスクで見つけた2000年代の曲を中心としたプレイリストを聴いており，それぞれの曲に紐付いた当時の思い出が蘇ってくると感慨深く話していた。

　序盤からややしみじみとしてしまったが，その雰囲気を切り替えるようにChinozo氏の「プロセカ」書き下ろし楽曲でもある「Flyer!」の制作裏話へと移る。まずは「Flyer!」という曲タイトルについて，Chinozo氏から命名の意図が語られた。

　それによると，元々テーマとしてVivid BAD SQUADが“伝説のイベント”と言われるRAD WEEKEND（ラッドウィークエンド）を超える夢を持っていたことを挙げ，こはねも超えると明言していたが，こはねならもっと優しい感じのほうがいいと考えた結果，“飛ぶ”というワードに行き着いたという。

　さらにChinozo氏は，この“飛ぶ”という表現を1人ではなく，気流を発生させれば皆も飛ばせるといった表現にし，こはねの強い想いでみんなを飛ばす。それが「Fly」。そして人という意味も込めて「Flyer!」と名付けたと語った。

　その話を受け，清水さんがVivid BAD SQUADのストーリーのなかで，こはねの言葉がきっかけになってメンバー全員の気持ちが動いたり，実際に行動へ移すことも多かったことを話すと，会場で聞いていたファンの多くが大きく頷いた。

　秋奈さんもタイトルに込められた想いを聞くのは初めてということで，喜びを言葉にしていた。また，秋奈さんはこの曲を最初に聞いた感想として，「ただただ，なんていい曲なんだ」と感動していたようだ。加えて，「Flyer!」はこはねがメインのイベントでの描き下ろし楽曲だが，Vivid BAD SQUAD全員で歌うことで完成する曲でもあるとも話していた。


　続いて歌詞の話題へ。キーワードとして“（上昇）気流”が出たことに対し，Chinozo氏はきっぱりと「これがキモです」と答えていた。歌詞のなかに「あの日夢見た夢が 最高の上昇気流」という部分があるが，Chinozo氏としては，こはねがメンバーと一緒にライブハウスのステージを見に行った際，「ステージに立ってみたい」と言ったことによって，RAD WEEKENDを超えたいと思ってはいたものの，ステージ側ではなく観客側にいたメンバーたちを一気にステージに上げたことが，こはねが起こした上昇気流のようだと感じ，歌詞を綴ったとのことだった。これには秋奈さんもストーリーにピッタリの言葉だったと大きく共感していた。

立場の違いによるボカロシーンの見え方などについては，言葉にできないが大きく変わっていると話していた

　話題が変わり，今度はChinozo氏の曲作りに。主にどんなときアイデアを思い付くのかという質問にChinozo氏は，「お風呂に入っているとき」と即答していた。また，最近はサウナにハマっているらしく，サウナでも曲のアイデア出しは多いという。

　そうして生み出された曲の1つでもある「Flyer!」。秋奈さんは収録当日，Chinozo氏も立ち会うとのことで，楽曲制作をしたChinozo氏に恥じないようにと力んでいたそうだが，いざ収録が始まってみると当のChinozo氏は「いやぁ，いいっすね」と秋奈さんを褒め倒していたという。

　どうやらChinozo氏は，楽曲収録現場に立ち会うのは初めてだったこと，曲はボカロの声で作られていたので，この収録時に氏は人間の声――“生歌”を聞くこととなり，そのギャップに大きく驚き，感動したそうだ。


　次は，“小豆沢こはね”というキャラクターの演じ方について，秋奈さんに質問が投げかけられた。こはねは，可愛らしさと格好良さのバランスが難しく，曲によってそのさじ加減が異なるため，現在も試行錯誤が多いとのことだった。

　トークステージ終盤では，清水さんよりクリエイターや声優を目指す人達に対するアドバイスを求められたChinozo氏と秋奈さん。Chinozo氏は「とにかくやってみる。踏み出す一歩が大事」と，思っていても行動に移せない気持ちを理解したうえで，それでもとりあえずやってみることが大事だと話した。そのなかで，曲作りの最初の一歩である曲のテーマについて話が及ぶと，吐き出せないネガティブな感情や普段言葉にできないことも，曲にすることでポジティブなイメージになったり，ボカロが歌うことで聞き手も共感しやすくなったりすると語っていた。


　続いて秋奈さんは，声優を目指す人達に向け，自分の個性を大事にしてほしいと話した。以前，秋奈さんは太く声量のある声で歌うことが格好良いと思っており，そういった歌声になりたいと考えていたが，自分の声に近いキャラクターを演じた際，周囲から「とてもいいね」と称賛されたことで，自分が思い描いていたことが必ずしも正解ではなく，自分の持っている個性を見つめることも大事だと気付かされたという。最初は誰かの真似をしながらでも，徐々に自分の持つ個性や強みを見つけてあげてほしいと話した。

　トークステージの最後は「何かを飛び越えたいと思っている人へ，背中を押すような一言」ということで，Chinozo氏は「飛び立てば正解」と本ステージを象徴するひと言を届ける。これを受けて秋奈さんが，何とこはねの声で「飛び立てば正解！」のフレーズを歌唱！　会場は大きな拍手で包まれた。
　こうして，普段聞くことができない内容ばかりのスペシャルトークステージは，終始和やかな雰囲気で終了した。

　ここからは，イラスト展やクリエイターズマーケットなどの会場展示を写真で紹介していこう。イラストや音楽など，いろいろな部分でクリエイターとファンがつながるイベントだと感じられた。

イラスト展は時間ごとに入場制限もかかっていた。長蛇の列ができるほどの盛況ぶり

イラスト展内は，通路両サイドの壁沿いにイラストがずらり。その数はクリエイター，ユーザー合わせて100点以上

どのイラストもプロセカ愛を感じる力作ばかり

「プロセカ」収録曲のMVについて，1曲につき4カットほどピックアップして，動画制作者が自らカットの解説を記載しているMVカット解説展示

全員集合のフォトスポットに加え，各ユニットごとのスポットも用意されていた。アクリルスタンドやぬいぐるみなど，グッズを手に記念撮影をする人で賑わっていた

トレーディングカードゲーム「ヴァイスシュヴァルツ」のカードも展示

メッセージボードも設置されており，最終的には「プロセカ」に対する熱いメッセージがボードいっぱいに書かれていた

グッズ売り場も大盛況で常時長蛇の列ができていた

グッズ売り場の横では，「プロセカ」初のボードゲーム「セカイの宝箱」の体験コーナーが展開されており，こちらも賑わいをみせていた

「プロセカ」に楽曲を提供するクリエイターによる音楽即売イベント「クリエイターズマーケット supported by KARENT」も，入場列が途切れることがないほどの盛況

入場制限があり，短時間だったものの，クリエイター本人との会話を楽しむ姿や，購入したCDなどにクリエイターがサインをする姿など，クリエイターとファンのコミュニケーションが随所で見られた

会場内では，イベントスポンサーでもあるイヤホン・ヘッドホン専門店のe☆イヤホンも出展。試聴ブースでは来場者の相談を受けながら，おすすめのイヤホン・ヘッドホンを紹介していた

「プロジェクトセカイ クリエイターズフェスタ2023」特設サイト

「プロジェクトセカイ カラフルステージ！ feat. 初音ミク」公式サイト

「プロジェクトセカイ カラフルステージ！ feat. 初音ミク」ダウンロードページ

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