インタビュー
1周年だし「プロセカ」2DMVの作られ方インタビュー。セガ×初音ミクを長年支える大坪鉄弥氏に,制作の流れを教えてもらおう
という主張を盾に,2021年9月30日にサービス1周年を迎えた,セガ×Colorful PaletteのiOS / Android向けゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(以下プロセカ)について,関係者に“2DMVの制作話”を聞きにいった。
2DMVとは作中の一部楽曲に使用されている映像のことで,プロセカのオリジナルユニットやバーチャル・シンガーが質感豊かにモデリングされた3Dモデル表現ではなく,外部の協力クリエイターがイラストを仕立て,楽曲とともに動画に仕上げたミュージックビデオを指す。
界隈的にも,もはや伝統芸能となった映像コンテンツである。
話をうかがったのは,セガの「初音ミク -Project DIVA-」シリーズで長らくディレクターを務め,プロセカではこれまで裏方として2DMVの制作進行を担当していたという,同社の大坪鉄弥氏。
特殊な立て付けだという,2DMV制作の流れとはこれいかに?
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」公式サイト
「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」ダウンロードページ
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気持ちよく仕事してもらうためのお仕事
4Gamer:
本日はプロセカの2DMV,さらに制作裏のお話を聞けるとのことで,よろしくお願いします。まずは簡単な自己紹介からいいでしょうか。
大坪鉄弥(以下,大坪氏):
はい,大坪鉄弥です。直近では「新サクラ大戦」のディレクターを担当していましたが,過去に「初音ミク -Project DIVA-」シリーズの家庭用版を中心にディレクターとして携わってきました。
プロセカでは,2DMVの制作進行のようなお仕事をやっています。
4Gamer:
プロセカの開発時期には「初音ミク Project DIVA MEGA39's」もあったはずですが,そのころはまだ新サクラ大戦のほうで指揮を?
大坪氏:
私はそのころ新サクラ大戦につきっきりで,MEGA39'sに関してもアーケードチームが担当していた作品でした。プロセカにも開発段階からではなく,昨年の夏ごろに「人手が足りないから手伝って!」と声がかかりまして,配信直前の時期に参加したんです。
もともとProject DIVAシリーズでクリプトンさん(クリプトン・フューチャー・メディア。おなじみ初音ミクの生みの親)とやり取りしていた経験もありましたし,初音ミク関連のノウハウもあったので白羽の矢が立ったのだと思います。
4Gamer:
これまでプロセカ関連では,表には出てきませんでしたよね。
大坪氏:
現在は裏方仕事が中心ですので,積極的に表に出ることはほとんどありませんね。Project DIVA時代もウチの林(※)や元セガの内海さんに任せっきりで,要請があれば出ていくことがあったくらいです。
※林 誠司氏。セガ所属。Project DIVA作品のプロデューサー
※内海 洋氏。元Project DIVAシリーズの統括プロデューサー
4Gamer:
根っからのゲームディレクターって感じの。
ちなみにプロセカが1周年ですが,心境はいかがでしょう。
大坪氏:
プロセカに合流したばかりのころは楽曲チームの手伝いをしていたんですけど,その後「2DMV」の担当に空きが出てしまったので,じゃあそっちを担当しましょうとなり,あっという間に1年が経っていました。
もうこの1年,慣れない運営制作で大変でしたね。コンシューマゲーム開発の忙しさの波とはまた違って,目の前の制作を進めながらも頭では「次の仕込みはどうしよう」と常に考えている状態です。
4Gamer:
大坪さんが運営型に携わるのは,プロセカが初ですか?
大坪氏:
運営型のゲームは初ですね。昨今ならではのリモートワーク業務で,プレイヤーさんの声に耳を傾け,着目し,それらをスタッフ同士で伝え合うという環境にもようやく慣れてきたところです。
4Gamer:
といった前置きに花を添えたところで,本題に移りましょう。
はじめに,プロセカの2DMVの特徴を教えてください。
大坪氏:
まずは前提として,楽曲には「既存曲」と「書き下ろし楽曲」の区分けがありますが,いずれもプロセカ用のオリジナル映像を作っています。既存曲の2DMV制作のほうも当初セガで担当していましたが,現在はColorful Paletteさん主導で作られています。
そして私のほうは,書き下ろし楽曲の2DMVの制作担当をしています。こちらは主に定期イベントの目玉楽曲として,キャラクターの心情やイベントストーリーを投影した曲に,映像を用意するものとなります。
4Gamer:
あー,そういう。ピントが合いましたが続きもどうぞ。
大坪氏:
2DMVは座組に流動性があるのも特徴で,“楽曲ごとに異なる個性”を求めるため,イラストレーターさんや動画制作者さんなど,外部の協力クリエイターさんらの色を押し出してもらうことにしています。
4Gamer:
既存曲の2DMVはつまり,クリエイターが作った世界観を「再解釈するもの」とすれば,書き下ろし楽曲の2DMVは「イベントのために作るもの」なんですもんね。生まれの発端からして,わりと別物だったのか。
大坪氏:
プロセカ側の対応には大きな差はないんですけどね。
例えるなら,既存曲が台本のある演目を演じるようなものとすれば,書き下ろし楽曲は演目の台本から考えていくようなものかもしれません。
4Gamer:
では,2DMVの企画から制作までの流れを教えてください。
大坪氏:
最初のきっかけとなるのは,Colorful Paletteさんが中心になって定める運営計画です。そこでは,どの月にどのユニットのイベントを提供するか,イベント用の書き下ろし楽曲は3DMVにするか,2DMVにするかなどの今後の方針が決められています。
僕の仕事は「書き下ろし楽曲の方向性はこうで,楽曲アーティストはこの方」といった企画案をもらってからはじまり,集まった情報を外部協力の映像制作会社さんに伝えて,イラストレーターさんの段取りを相談し,それらがまとまったらプロセカの関係各位に「こういう座組でどうでしょう」と共有する。そこまでが事前段階です。
4Gamer:
すでに親近感のある手間を感じますが,そこから先は。
大坪氏:
制作の座組が決まったら,次は資料集めです。最初は書類や文面の情報だけで,デモ音源すら存在しないので,音源やイベント衣装の資料があがってきたらイラスト素材やコンテなどの制作をはじめます。進捗は随時チェックしつつ,曲と映像が組み上がったものをColorful Paletteさんとクリプトンさんにも確認してもらい,設定観やキャラクター性にズレが生じないようにしながら制作を進めていきます。
映像が仕上がったら,楽曲の作家さんにも確認してもらい,問題ない状態になったら2DMVは完成です。あとは運営チームにデータをあずけて,ゲームへの実装を進めてもらいます。
4Gamer:
言葉にすると,複雑怪奇な管理業務ですねえ。
大坪氏:
まあ,実際のところは関係各所の情報を収集し,適切な交通整理をしていくイメージですね。関係者が多いのと,ほかの運営計画と同時進行しながらというのは大変な部分ですが。
4Gamer:
イメージだと,ゲームの分業制作にも似ている気はしますが。
大坪氏:
ゲーム作りと最も違うのは「遊びに関する試行錯誤がない点」でしょうか。映像も突き詰めればクオリティアップとかいろいろやることがありますが,2DMVは現状,ワークフローを変に行ったり来たりしないように進めています。僕としては「現場のクリエイターさんにできるだけ気持ちよく作ってもらう」というところに一番注意を払っています。
当然,違う苦労もあるにはありますが,ゲームと違って「面白くないから作り直し!」といったことは起こらないですね(笑)。
4Gamer:
大坪さんのような管理役は,物づくりにおいてやはり必要ですか。
大坪氏:
立場的に,アニメなどの映像業界における制作進行の方々のお仕事が近いかもしれませんが,この1年をとおしてその大切さが身にしみて分かりました。プロセカの関係各社にセガの各部署もそうですし,2DMVでは個人のクリエイターさん,彼ら彼女らをつないでくれる制作会社さんもいるので,橋渡し役は必要ですね。
そのなかで私はクリエイターさんと直接やり取りするわけではなく,主に社内と会社間の対応をしていますが,そこだけでも不確定要素はできるだけ早い段階で潰しておかないと事がスムーズに進みません。制作の余計なノイズになるものは早めに取り除き,やるべきミッションに注力できるように管理しています。
4Gamer:
まあゲームの現場だと,胸に秘めているエピソードは抑えてもらうとしても,それこそ管理問題の逸話には事欠かなそうですしね。
大坪氏:
そうですね(笑)。
ゲーム開発は要素が多く,作業も進捗も不安定になりやすく,想定外なことも起きてしまうものなので,やるべきことを整理してスタッフに余計な気を使わせないようにする術は,今の2DMV制作にも生きています。
ニジイロストーリーズとRAD DOGS,どっちが大変?
4Gamer:
インタビューの事前段階で,大坪さんの印象深い2楽曲として,ワンダショの「ニジイロストーリーズ」と,ビビバスの「RAD DOGS」を挙げてもらっていました。まずは前者のエピソードを聞かせてください。
大坪氏:
ニジイロストーリーズの2DMVは,私が担当になったばかりのころに作りました。こちらは書き下ろし楽曲ですが,作家のOSTER projectさんがイラストレーターのキクチミロさんと協力し,オリジナルMVも作られるとお聞きして,プロセカ側も協力できることがあるか相談しているうちに,内容面でお互いリンクさせてみましょうかという話になったんです。
4Gamer:
言葉を悪くすると,うまく乗っかれたと?
大坪氏:
そうなりますね。当時はまだいろんなことが手探り状態だったので,「こういう作り方もありなんじゃないか?」と考えたわけです。セカイ版のMVイラストを担当していただいた,たまさんも含め,みなさん界隈では有名な方々でしたし,面白い取り組みができた手応えもあります。
……が,これまた僕らのほうは予想外に大変でして(笑)。
4Gamer:
待ってました。どう大変だったのでしょう。
大坪氏:
2DMVは原則,ゲームに使うということで最低限の枠組みなどのオーダーはしますが,担当していただけるクリエイターさんに「こういうふうに作ってください」といった具体的な指示はしていません。
中身にまで互いに干渉しすぎると,できるものもできない可能性が高まるだけですので,安心してその人の色を出してもらうべく,そこの距離感を大事に保っていくスタンスでやってきました。
4Gamer:
クリエイター側もそのほうがよさそうですよね。
大坪氏:
そのうえで大変だったのは「OSTERさん側の制作があり,プロセカ側の制作があり,それらにまだ完成版がない書き下ろし楽曲,イラスト,映像が関わる」などの要因が重なり,制作の全体像が見えづらくなり,制作期間のすり合わせが複雑になりすぎたことでした。
もちろん,この件はクリエイターさん側がどうこうではなく,未熟な制作体制だった僕らの勝手な苦労だったと念を押しておきます。
4Gamer:
聞くだけでも気が滅入りそうな複雑さ……。
大坪氏:
制作手法が定まっていなかった当時ならではのドタバタでした。同じような取り組みであっても今なら違うやり方もあるでしょうし,プロセカ側だけで完結しないコンテンツの広げ方としても魅力的だと思うのですが,それでも本腰を入れて再挑戦するのが難しい手法の一つです。
プロセカ全体もこの1年で運営スタイルが最適化され,計画も綿密に組めるようになってきましたが,楽曲チームやライセンスチームなども日々仕事に追われて大変なのを知っているので,思いつきで動いて関係各所に余計な負担をかけないようにしたいですしね。
4Gamer:
このとき,こういう作り方は大変だという経験を得たと。
大坪氏:
前向きに言うなら,「ニジイロストーリーズみたいなことをやるには準備期間がどれくらい必要かを実感した」ってところでしょうか。
実際にできあがったものは,キクチミロさんが描いたオリジナル版の雰囲気とリンクしつつ,たまさんの個性を乗せたMVイラストによって,プロセカの魅力もうまく融合させられたすばらしい2DMVでしたし。僕としても思い入れの深い1作です。
4Gamer:
もう片方,「RAD DOGS」のエピソードはどうですか。
大坪氏:
RAD DOGSは制作初期に,映像チームから「2DMVにイベント衣装を取り入れたい」という要望が挙がってきました。それまでの2DMVは各キャラクターの基本衣装で制作していましたが,Colorful Paletteさんの運営チームに状況を確認したところ,実現できそうだったので挑戦しました。
RAD DOGSはアニメーションを導入した映像自体の出来もすばらしく,ファンの皆さんからも高い評価をいただけている楽曲であり,さらにイベント衣装を取り入れるきっかけとなった2DMVというわけです。
4Gamer:
イベント衣装が反映されていると,プレイしている側は映像を見るたび「ああ,あのときのイベント」と思い返すことができて,ゲームへの満足度は間違いなく高まると思っています。
とはいえ,取り入れる頻度は毎回とはいきませんよね?
大坪氏:
いきませんね。内容が充実する確かな取り組みではありますが,こちらも結局は「イベント衣装の制作予定」と相談しながら都度検討しています。プロセカ全体の制作スケジュールもある程度は定型的になってきて,Colorful Paletteさんのほうでも最大限の調整をしてくれていますが,制作関係に不都合はつきものなので,毎回万全とはいきません。
それにクオリティが高まるからと特定の要素に固執しすぎると,それらが後ろ倒しになったときの影響を確実に受けますし。
4Gamer:
なら,現状はどれほどの優先順位に位置づけているのでしょう。
大坪氏:
事前調査でいけそうだと分かったときに「できるだけやりたい」ものです。あくまで,やれることの引き出しの一つと位置づけています。
最大限調整しても無理ならすっぱり諦める。判断するタイミングが難しいケースもありますが,そこのジャッジが大切ですよね。
4Gamer:
2DMVのイラストや動画制作を担当するクリエイターは,大坪さんが指名するというより,映像制作会社のほうで決めているのでしょうか。
大坪氏:
いろいろなパターンがあります。制作会社さんから推薦される例,私のほうから「この人でどうでしょう」と提案する例などいろいろです。
それ以外にも,プロセカにとってフレッシュなイラストレーターさんに頼みたい,期間がタイトだからここはあの人の頼みたい! など,状況や条件によっても千差万別です。
4Gamer:
思案事項がいっぱいありそうですね。最適解はなくとも。
大坪氏:
「合う」「合わない」はあっても,最適解は存在しないですね。
4Gamer:
立ち入った話,これまで2DMVの依頼を断られたことは?
大坪氏:
多くはないですが,ダメだった例はあります。
声をかけるクリエイターさんたちは,全員が「プロ」とは限りません。なかには学生さんだったり,兼業でやっている方だったり,諸事情で連絡がつきにくい方もいたりします。実際,頼もうと思っていた方があとから都合が合わなくなったこともありますね。
4Gamer:
ここまでの話では言及していませんでしたが,2DMVの制作物は会社スタッフではなく,法人問わずの個人クリエイターにアウトプットを求めるわけですよね? そのうえで内容の具体的な指示もせずと。直球で言うなら「納品物の内容が保証されない作り方」に聞こえます。
といっても「その人の作品を知っているから,その人に作ってもらえた時点で完成品の色も保証される」といった考えでの一任だから問題ないのでしょうが,このあたりの品質の求め方はいかがでしょう。
大坪氏:
おっしゃるとおり,「この人にお願いすれば,こういう芸風の作品ができるだろう」という想像のもとで依頼していますし,そこには制作会社さんとの信頼関係もありますね。
書き下ろし楽曲の2DMVにはプロセカキャラクターも登場するため,バーチャル・シンガー側とは違う解釈や規定にのっとり,人物の表情や表現のリテイクをお願いすることはあります。ありますが,それでも大前提は“クリエイターさんに気持ちよくのびのびと,その人の個性をしっかり出してもらう”ことにあるので,僕らのトップダウンな指示で作ってもらうことはやはりしないです。
4Gamer:
そうしてできたものに「予想以上の出来だ!」と思うことは?
大坪氏:
言ってしまえば全部です。毎回,制作のアウトプットが出てくるたびにファン心みたいなものが刺激されるので,すべて楽しみにしています。楽曲にせよ,2DMVの制作中はデモ音源で聞き慣れていても,バーチャル・シンガーの楽曲もプロセカのユニット楽曲も,ミキサー(編曲)を済ますと完成度がガラッと変わりますし。
それに独自の色を出してもらうことは,その人なりのプロセカの新たな解釈にもつながります。世界観を逸脱しすぎないように調整はするものの,公式が押しつけで依頼しないからこそ,これまでのボーカロイド界隈の延長線上にある枠組みとして,プレイヤーさんだけでなくクリエイターさんにも受け入れてもらえるのだと思っています。
4Gamer:
とてもいい考えだと思います。すべて指示して,指示どおりにならなかったところでガミガミするよりも,信頼と信用のもとで「お任せで!」と頼めるのなら,社会人的にもいろいろイイですよね(笑)。
大坪氏:
そのとおりです(笑)。どんなやり方でも実際にかかるコストは存在しますが,できればみんなで気持ちよくお仕事したいですもんね。
「ray」「Hello,world!」の収録も
4Gamer:
上記楽曲やそのほかの例も含め,2DMVへの反響はいかがですか。
大坪氏:
分かりやすいものだと,やはりプロセカ公式YouTubeチャンネルで公開されている映像のコメントでしょうか。
私自身,そこで目にするコメントに逐一喜んだりしています。
4Gamer:
プロセカチャンネル自体,なんて言うのでしょう。バーチャル・シンガーの楽曲・映像を見せる場としてクリエイターの色が出ているからか,公式の押せ押せではない創作コミュニティな匂いがしますよね。
一方で,映像が凝るほど音ゲー的にゴチャゴチャになったりは?
大坪氏:
プロセカはそのあたりの整理がうまくできていて,映像がゲームを邪魔しない設計なんですよね。画面を揺らすなどの派手な演出は映像酔いを誘発してしまうので,最低限の調整はしているものの,僕ら映像側はそれほどゲームに遠慮して作ることはしていないです。本作は「ゲームが前面,その下に映像」という構造が厳格なので。
その点,Project DIVAは「ゲームと映像が融合している」ために,映像も乗っけたあとにリズムゲームの調整を毎回していたので,苦労が少ない今の作りはとてもいいですね(笑)。
4Gamer:
良くも悪くも,あちらは四方八方からですもんね(笑)。
大坪氏:
「キメのシーンでノーツが顔にかぶらないにしよう」とかのチーム内ルールもあったので,リズムゲームと映像を制作して,二つをかけ合わせてからあらためて最終調整していましたね。ああいう調整が必要だったら,プロセカも今のスケジュールは無理だったかもしれません。
4Gamer:
まあ失礼半分な話ですが,フルコンも目的になるプレイヤーだと,難度23くらいまでなら映像を見る余裕はあっても,難度25くらいからは自然とノーツ以外が目に入ってきませんしね。人体の不思議です。
大坪氏:
本気でリズムゲームの攻略に挑んでいる人なら,そういうものだと思います。プロセカもProject DIVAも,まずはゲームですから。
4Gamer:
それでは締めに向けて,1周年付近のお知らせはありますか。
大坪氏:
1周年施策はたくさんありますが,僕関連では10月の半ばごろ,新たに楽曲「ray」「Hello,world!」が収録されます
4Gamer:
おー,具体的な内容は?
大坪氏:
プロセカのユニットで歌唱する2曲を実装します。先日の生放送で告知があったように「ray」は3DMVで,「Hello,world!」は2DMVで現在各制作ラインが進行中でして,「Hello,world!」の2DMV制作を私のほうで取り仕切りました。
これまでのMVはイベント提供にひも付いての新曲公開時が主でしたので,既存曲での新規MV制作は初の試みとなります。映像も魅力的なものに仕上がっていますので,期待していてください。
4Gamer:
かしこまりました。では最後に,大坪さんの立場からのお考えでも構いませんが,外部クリエイターを起用する2DMVの制作は,プロセカなりのボーカロイド界隈への還元の精神からきているのでしょうか。
大坪氏:
初音ミクというボーカロイド業界における大きなアイコンをお借りしている身で,その魅力をより広めたいと関係各社,クリエイターの方々,そしてバーチャル・シンガーファンの皆さんにご支援いただいているので,大きなコミュニティに連なるものとして,いろんな人といろんなチャレンジをするべきだと,僕はその思いで2DMVを制作してきました。
プロセカでは楽曲やMVの公開時,それらを作ったクリエイターさんがSNSで「作りました! 見てください!」と互いに盛り上げられる良い関係が作れています。そういった部分でクリエイターさんに良い影響をもたらせているのなら,活動の一助になれていることをうれしく思います。
4Gamer:
プロセカがクリエイターに依頼することで,その人が法人格でなくとも,プロとしての仕事を与えられる構造が生まれます。界隈の創作者にそういった機会があるのは,とてもすばらしいことだと思います。
大坪氏:
さらにその先,プロセカをきっかけに活躍の場を広げていってもらえることができるなら,もっと喜ばしいですね。
僕自身,このインタビューの話を社内で聞かされたとき,まず思ったのは「僕よりも実際に作っているクリエイターさんに注目してほしい」でした。プロセカでは裏方に徹してきましたし,実際に制作物を作っているのもクリエイターさんや制作会社さんですので,プレイヤーの皆さんにはぜひ彼らにも注目していただいて,プロセカだけでなく,各クリエイターさんのファンにもなっていただきたいなと思っています。
4Gamer:
大坪さんの立場だからこそ見える,貴重なゲーム作りの現場のお話だったと思います。こちらこそ本日はありがとうございました。
今後,プロセカ側の伝えたい,あるいはファン要望のクリエイターにも話を聞ける機会がありましたら,そのときはお声がけください(笑)。
大坪氏:
そのときはぜひよろしくお願いします(笑)!
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