プレイレポート
[gamescom]禁酒法時代のシカゴで犯罪帝国を築き上げるストラテジー,「Empire of Sin」がプレイアブル展示。ブレンダ・ロメロ氏へのインタビューも掲載
「Empire of Sin」公式サイト
Steam「Empire of Sin」ストアページ
「Empire of Sin」は,1920年に施行されてから1933年に廃止されるまでの13年間,アルコール飲料の製造と販売が禁止された「禁酒法時代」がテーマだ。キリスト教的な観点から,社会が浄化されると信じられ,「高貴な実験」とも呼ばれた禁酒法だが,密造酒を製造・販売する犯罪組織が裏社会で大きな資産を築くきっかけにもなった。
プレイヤーはシカゴの街へやってきた流れ者となり,ほかのマフィア勢力とさまざまな駆け引きを繰り返しながら,シカゴの裏社会を牛耳るドンを目指す。
主人公には,有名なアル・カポネを筆頭に,暗黒街でアイリッシュ系犯罪組織を率いていたダイオン・オバニオン,アフリカ系アメリカ人社会のリーダーだったダニエル・マッキー・ジャクソンといった実在の人物のほか,魅惑的な容貌で相手を魅了する女性ゴールディ・ガーヌーなど,架空の人物も加えられており,それぞれに特殊能力やボーナスが用意されている。
今回筆者がプレイしたアル・カポネの場合,コンバットスキルとしては,乱射モードで周囲の敵を一掃する「Rain of Fire」があり,またボーナスとしては売春宿の経営と密造酒の生産性向上,さらに,イタリア系のマフィアであれば良好な関係を保ちやすい外交ボーナスがあった。
試遊はチュートリアルの途中で終了という短いものだったが,とりあえず自分の拠点を築くために「スピークイージー」という酒場を襲撃して自分のものにするところから始まった。戦闘はターン制で,周囲の家具や柱などを盾にしながら,数人の敵を倒していく。酒場の乗っ取りに成功すれば,警護を増やしたり内装を整えたり,シカゴ市民に口コミで宣伝したりするといった感じに分かれた,いくつかのカテゴリーに投資できる。それぞれのカテゴリーには,5段階のレベルが用意されていた。
乗っ取った酒場の外に出ると,そこには銃撃戦を聞きつけた2人のキャラクターが待っており,仲間になりたいと申し出てくる。女性キャラクターのマリア・ロドリゲスと,ベイビーというあだ名の巨漢,ブルーノ・ディオの2人だ。プレイヤーは最大16人のキャラクターを配下に置くことが可能で,それぞれのキャラクターを右クリックすると,「会話する」や「雇用する」といったメニューが選べる。
見下ろし型視点のゲームグラフィックスは,路面が雨で濡れたようなディテールも描かれているが,マウスのスクロールボタンでズームアウトすると,シカゴ全景が白と灰色の模型のように表示されるのが面白い。この状態で配下のキャラクターをグループ化して,目的地のアイコンをクリックすれば,自動的にそこに移動してくれるという操作方法だ。プレイヤーが最初にいるのはリトル・イタリーの一角で,シカゴ全体は非常に広大という印象だ。
アル・カポネはその後,酒工場も手に入れるが,もともとの所有者だったアイリッシュ系マフィアのロニー・オニールという人物に呼び出される。ボスとボスが会話するシーンは,テキストのみながら,会話を選択して進める「シットダウン」と呼ばれる専用モードになっており,筆者の場合は,結局物別れに終わり,戦闘モードに突入した。上記のRain of Fireでオニールの部下達と戦っている間に,マリアとブルーノが建物に乗り込んできて,本拠となるオフィスを手に入れるという流れになっており,試遊はこのあたりで終了した。
ブレンダ・ロメロ氏インタビュー
「Empire of Sin」のデモをプレイしたのち,Romero Gamesのリードデザイナーであるブレンダ・ロメロ(Brenda Romero)氏にゲームの詳細を聞く機会を得たので,お伝えしよう。ご存じの読者も多いと思うが,ロメロ氏は「FPSの父」として知られるジョン・ロメロ(John Romero)氏の妻であり,自身も1981年にゲーム業界入りしたベテラン開発者として,「Wizardry 8」(2001年)や「Tom Clancy's Ghost Recon: Commander」(2012年)などの開発に携わってきた経験を持つ。2013年には,ゲーム業界で長らく活動してきた功績が認められ,Game Developers ConferenceのGame Developers Choice Awardsで,「ライフタイム・アチーブメント賞」を授与された。
ジョン・ロメロ氏と結婚したのは2012年で,その後,2人でアイルランドにわたって地元の才能を発掘しつつ,スタジオを率いている。
4Gamer:
今回は有名なアル・カポネでプレイしましたが,主人公のキャラクターは何人くらい用意されるのですか。
ブレンダ・ロメロ(以下,ロメロ)氏:
イベントでは4人がアンロックされていますが,最終的には,それぞれに面白いバックグラウンドを持ったキャラクターが14人登場することになります。当時のアメリカは社会的,人種的,階級的に複雑な社会でしたから,さまざまな立場の人を描きたいのです。何人かのキャラクターは,ゲームをクリアすることでアンロックするような形にしたいとも考えています。
4Gamer:
プレイ中,ブルーノとマリア・ロドリゲスの2人のキャラクターが仲間に加わりましたが,どの主人公を選択しても,この2人が加わることになるのですか。
ロメロ氏:
そうではないパターンもいくつか用意していますが,ブルーノとマリアは複雑なバックグラウンドを設定した,興味深いキャラクターに仕上がっているんです。こうしたキャラクター達を我々はRPC(リソースプレイヤーキャラクター)と呼んでいるのですが,RPCは14の勢力に60人分用意されていて,プレイヤーはその中から16人のRPCを雇い,それぞれの能力に応じて兵士にしたり,酒場やカジノなどを経営させたりするわけです。
4Gamer:
キャラクターメニューをチェックすると,アンダーボス(幹部)に昇格させるというオプションもあるようでしたが。
ロメロ氏:
ええ。現時点では詳しく発表していないのですが,幹部に昇格させると,戦闘時に「最初に攻撃を与えることができる」といったアビリティが加えられたりします。ただし,責任が増える分,給与も増額しなければなりません。また,RPCの中には仲間の昇格を快く思わないキャラクターもいて,怒って組織を飛び出したり,最悪の場合はライバルギャングに仲間入りしてしまうこともあるんです。それぞれのバックグラウンドや嗜好性,人間関係をしっかり用意していますので,プレイヤーの皆さんが選んだ勢力やプレイの進行によって異なるドラマが生まれてくるわけです。
4Gamer:
マリアとブルーノが深く描かれているとのことですが,具体的にどのような人物なのですか。
ロメロ氏:
少しネタバレになりますが,マリアとブルーノを一緒に行動させることで,2人は恋に落ちます。テストでは,ブルーノが戦闘で殺されてしまったためにマリアが狂乱状態になり,すでに倒れている敵に向かって多数の銃弾を撃ち込むといった,我々が予想もしていない展開も起きています。それぞれのRPCに感情が生まれ,それが「Empire of Sin」のストーリーを非常にユニークなものにしていくことの好例ではないでしょうか。中にはマリアに別の恋人ができたり,その恋人が浮気するといったことも起きています。ゲームを進めていくと人間関係が非常に複雑になっていくのです。
4Gamer:
なるほど。ところで戦闘は,ターン制でしたね。
ロメロ氏:
ええ。マリアのように勝ち気で突進を好むキャラクターもいますが,ターン制の戦いでは,家具や壁の角などをカバーとして使うことが非常に重要になります。今回のチュートリアルのように,相手勢力の建物に乗り込んで戦うだけでなく,誘拐や救助など,さまざまなパターンの戦いも用意していますので,楽しみにしていてください。
日本語の対応も行われる「Empire of Sin」は,2020年春の発売が予定されている。頭を使って戦略的に進めていくターン制の戦闘に加えて,外交や交渉,60人のRPC達が織り成す物語にも期待できそうだ。日本のストラテジーファンにとって,気になる新作になるだろう。
「Empire of Sin」公式サイト
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(C)2020 Paradox Interactive. (C)SEGA. All rights reserved. Developed by Romero Games.
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