プレイレポート
新作アクションRPG「BLUE PROTOCOL」CATをプレイ。アニメ調で描かれた美しく広大な世界は“α”らしからぬ完成度で期待が持てる作品だ
Unreal Engine 4によって描かれる美しいグラフィックスや,アニメ調のキャラクターたち。そして,何より久しぶりに登場した国産のPC向けオンラインゲームということで,注目している読者も多いだろう。
今回はCATということもあり,実装されているコンテンツや機能などはごく一部で,また様々な仕様に制限は掛かっていたが,「BLUE PROTOCOL」の魅力に触れることができた。本稿では,その内容をお伝えしよう。
なお,今回はα版であるため,ゲームの内容は今後変更される可能性がある点に注意してほしい。
※スクリーンショットはすべて開発中のもの
※取材および記事,スクリーンショットの掲載については,バンダイナムコオンラインの許諾を得ている
アニメ調のキャラクターを自在に作成。選べるクラスは4種類
最初に,キャラクタークリエイトから本作の魅力を紐解いていこう。
プレイヤーキャラクターは惑星レグナスの冒険者だ。カスタマイズできる項目は,クラス,性別,体格,顔,髪型,衣装,ボイスなど多岐にわたる。キャラクリエイトが苦手という人向けに,何種類かのプリセットも用意されているので,それを利用してもいいだろう。
衣装選択画面は,初期の服装をパーツごとに選択できる。ここで選ばなかった服装は,ゲーム内で入手できるのであまり神経質にならなくてもいいだろう。メイク中のキャラは右下のボタンでポーズを変えたり,衣装表示をオフにすることもできるので,それらを切り替えて満足のいくキャラクターをクリエイトしたい |
ボイスは3種類から選択できた |
CATで選択できた職業は,イージスファイター,ツインストライカー,ブラストアーチャー,スペルキャスターの4種類。
イージスファイターは片手剣と盾を持った近接攻撃クラスで,盾で敵の攻撃を真正面から受け止めることができる。敵のヘイトを上げる攻撃スキルを多数持ち,いわゆるタンクのような働きもできる。
ツインストライカーは,片手斧の二刀流という一風変わった近接アタッカーだ。範囲攻撃スキルを多数持っている。
ブラストアーチャーは,弓による遠距離物理攻撃を得意とするクラスだ。攻撃距離が長く,後方から威力のある攻撃を放つことが可能だ。その半面,敵に近寄られると戦いづらい。
スペルキャスターは,エングラム(魔力のようなもの)で炎,氷,雷を操り,強力な攻撃を行うクラスとなる。装備は杖で,ブラストアーチャーほどではないが攻撃距離と範囲に優れ,後衛職として活躍する。
本作では,全クラスがHPを回復するヒールスキルと,倒れたキャラクターの蘇生手段を持っている。そのためか,いわゆる“ヒーラー”的なクラスが存在しない。CAT版では明確な“ロール”はなく,全員がアタッカーであり,ヒーラーでもあるわけだ。
また,CATではクラスチェンジ機能の開放がゲーム序盤で発生した。これは冒険の拠点となる「開拓局」内にいるNPCに話しかけることで簡単に行える。
アニメ調で描かれた美麗なグラフィックスは圧巻。幻想的な風景を求めてどこまでも旅をしたくなるほどだ
神々が住む楽園だったと伝えられる惑星レグナスを舞台に,プレイヤーは神々の残滓や失われた技術を追い求めて冒険に旅立つことになる。ゲームを開始すると拠点となる都市「交易都市アステルリーズ」に降り立ち,ここから冒険者としての第一歩を踏み出していく。
プレイして感じられるのは,とにかくグラフィックスが美しいことだろう。それもCG的な美しさではなく,アニメのようなグラフィックスは,これまでのオンラインゲームにはあまりなかったものだ。公式サイトでアピールしている“「操作できる」劇場アニメ級のグラフィックス”というのも納得できる。
本作はサンドボックス制のオープンワールドではなく,街やフィールドを区切るような形のエリア制がとられている。CATでは街はもちろんのこと,各エリア内に複数のプレイヤーが入場でき,狩りや採取などを行うことができた。
CATでは,メインクエストをこなして冒険を進めながら,サブクエストで経験値やルーノ(ゲーム内マネー),装備を手に入れるという内容だった。クエストは,フィールドで特定のモンスターを狩ったり,採取を行うほか,後述するダンジョンを攻略したりと多彩な内容だ。
ノンターゲッティングバトルで自在に動いてスキルを決めろ! フィールドでの戦闘はちょっと難度高め?
フィールドやダンジョンに出現するモンスターとの戦いは,移動と回避,通常攻撃と各種スキルを組み合わせて行う。スキルは,レギュラースキル,タクティクススキル,ヒールスキルといったように効果によって呼び方が分かれており,そうしたカテゴリごとに設定できるアイコンの枠も決まっている。キーボードでプレイする場合は,従来のRPGキーアサインよりもFPS寄りのボタン配置となっており,少し慣れが必要かもしれない。
バトルシステムは基本的にノンターゲッティングとなっていて,操作は「キーボード+マウス」と「ゲームパッド」から選択できる。本稿はキーボード+マウスでのプレイレポートだが,アクション性が高いのでゲームパッドを選択するのもいいだろう。
イージスファイターとツインストライカーの通常攻撃は最大で4連撃。3連撃めまでに方向キーを入力すると,通常攻撃とは違う派生攻撃を放つことができる。ブラストアーチャーとスペルキャスターには派生攻撃がなく,画面中央の照準に敵を合わせて遠距離攻撃を行う。照準を気にして戦うと視野が狭くなりがちなので,なるべく引いた画面で戦いたいところだ。
プレイヤーキャラクターにはHPのほかにST(スタミナ)が設定されていて,これを消費して回避やジャンプが行える。この2つがモンスターの攻撃を避ける最大のポイントだ。ただ,回避には一瞬の無敵時間があるようだが移動距離が短く,避けたつもりでもモンスターの攻撃が当たることがあり,少しハードな印象がある。
ノンターゲッティングであることを活用し,回避スキルよりも移動しながら攻撃,またはモンスターの攻撃を誘引してそれを避ける,といった戦い方が有効だった。
モンスターをロックオンして戦うこともできるが,場合によってはデメリットになることがある。左右移動するとロックしたモンスターを中心に円を描くように動くことになるのだが,とくに近接戦闘クラスの場合はモンスターとの距離が近いため,攻撃を回避しきれないことが多いのだ。また,複数のモンスターを相手取るときにはロックしていないモンスターを見失いやすいので,ロックオンに頼らない戦闘技術を磨きたい。
一方,ブラストアーチャーとスペルキャスターの遠隔攻撃クラスは,メリットもデメリットもある。デメリットは近接攻撃クラスと同様に,ロックしたモンスターを中心に移動することになるので,移動や回避に制限ができてしまうことだ。メリットとしては一度ロックオンしてしまえば,遠距離から攻撃を叩き込みやすい点にある。遠隔攻撃クラスは,モンスターの戦闘スタイルや交戦距離に応じてロックオン/オフを使い分けるとよさそうだ。
遠隔攻撃クラスについては,ロックオンの対象をスキルだけに限定して,通常移動をそのままできるようにしたり,CATでは確認できなかったが,ブラストアーチャーは弱点を狙撃できるらしいので,一人称視点に切り替えられるようにしたりといった検討をしてほしいところ。
フィールド上のモンスターの数は,フィールドの広さに比べて多いとは言えないが,リポップが早いので,それほど困ることはない。だが,これがアクティブモンスターだと話はガラリと変わる。
モンスターがプレイヤーをターゲットする距離が異様に長く,結構離れたところを歩いていても簡単に襲われてしまう。おまけに,離れた場所にいるモンスターがリンクしてきて,あっという間に劣勢に立たされたかと思いきや,倒される場面も結構あった。複数に囲まれて1体ずつ倒したとしても,リポップが早いので再度囲まれることもあり,レベルに差がないとしのぎきれないことも多いのだ。
なんとか逃げ切れば……と思っても,逃げた先でまた襲われたりする。そして,目的地に着く前に無念の死を遂げることもしばしばだ。「なんでその距離からこっちが視認できるの!?」と愚痴りたくなるほどだったので,モンスターサーチ距離とリンク範囲の調整を切に願いたい。
パーティーでインスタンスダンジョンを攻略!
フィールドでは苦難の連続となる戦闘だが,本作ではインスタンスダンジョンで戦うこともある。クエストの進行によって開放されるインスタンスダンジョンには入場に必要な最低レベルが設定されていて,それを満たしていないと入場できない。ダンジョンをクリアすれば,クエストと同様に経験値やルーノ,ときにはレアなアイテムも手に入る。
本作のダンジョンは,1〜6人で入場できるタイプで,オートマッチングでパーティメンバーを集められる。ロールの概念がないため,マッチングで集まったプレイヤーのクラスが偏っていることも珍しくない。とはいえ,実質的に全員がアタッカーでヒーラーでもある本作では,少なくともCATではまったく問題なく攻略できた。
CATでプレイできたダンジョンは,道中に2体の中ボスが出現し,さらに最終エリアに登場するボスを撃破するとクリアとなった。中ボス以上になると道中のザコモンスターとは違い多彩な攻撃手段を持っており,とくにボスは高威力の範囲攻撃なども使用してくるため,回避や回復が攻略の鍵となる。
パーティプレイでは,ブラストアーチャーとスペルキャスターはフィールドよりもダンジョンのほうが戦いやすい。ギミック的にモンスターが出現することもあるが,予期しない襲撃がないのでフィールドで狩りをするよりも安全かつ多くの経験値が得られる。レベルアップを図るのならインスタンスダンジョンに入り浸るといいだろう。もしマッチングで遠隔攻撃クラスのみとなっても,溢れる火力で押し切れるはずだ。
ダンジョンのほかに多人数でプレイできるバトルコンテンツとして,緊急ミッションがある。これは特定エリアに,通常よりも強いモンスターが出現し,それを時間内に討伐するというものだ。一人でも倒すことはできるが時間がかかるので,ミッションのアナウンスを聞いて集まってきたプレイヤーと協力して倒そう。
CAT2日めからは,広い草原に現れた巨大なドラゴンのようなモンスター「彷徨える逆鱗」を撃破するという緊急ミッションがゲーム内で広くアナウンスされた。
彷徨える逆鱗戦は,いわゆるレイドモンスター討伐を意識したかのようなミッションで,2日めに遭遇した筆者は現地で合流した数人と共闘したものの倒すことができず,3日めに十数人のプレイヤーと協力してようやく倒すことができた。
途中,ゴブリンなどのザコモンスターや,彷徨える逆鱗を少し小さくしたデミドラゴン2体が追加されたりして大変なことになったが,なんとか討伐に成功。何の情報もなく手探りで,多くのプレイヤーと協力して得たレイド戦の勝利は,まさにオンラインゲームの楽しさを再確認させてくれるものだった。
スキルとアビリティでキャラの個性を引き出す。衣装を自由に着替えておしゃれもできる
最後にキャラクターの成長と育成関連について記しておこう。
まず装備だが,イージスファイターは片手剣(と盾),ツインストライカーは斧,ブラストアーチャーは弓,スペルキャスターは杖といった,各クラス専用の武器のみを装備できる。CATでは初期装備以外は購入することはできず,街にある「クラフトマシン」で製作して入手するようになっていた。
次にクラススキルだが,本作ではキャラクターのレベルアップに合わせて,クラス固有のスキルを覚えていく。CATでは自動で覚えたスキルがショートカットに登録されていたが,コマンドメニューではスキルをセットするUIがある。おそらく,CAT以上にレベルが上がれば,同じ系統のスキルを複数覚えることができ,どのスキルをセットするかを選択できるのだろう。
スキルと同様に,レベルに応じてアビリティも習得する。アビリティは,いわゆるパッシブスキルのようなもので,キャラクターのパラメータをアップするものや回避距離を伸ばすもの,各スキルの効果をアップするものまで効果は様々だ。3つまでセットできるので,どれをセットするかでプレイヤーの個性が出せそうだ。
また,本作固有のシステムとして「バトルイマジン」が登場する。バトルイマジンは,モンスターを倒すと稀に手に入る「イマジン」を装備できるというもの。装備したバトルイマジンが持つ「イマジンスキル」として使用可能になる。また,バトルイマジンを装備するとキャラクターのパラメータもアップするので,入手は難しいが手に入ったら装備しておきたい。
バトルイマジンは2つまでセットできる |
セットしたバトルイマジンはショートカットに登録され,キーを押すと出現し,攻撃を行う。キャラクターの左にいるのがランドフォックスのイマジンで,喚び出すと敵に一撃を加えて去っていく |
最後に紹介するアタッチメントは,RPGにおける兜や鎧,籠手に相当する装備品だ。これらは全クラス共通の装備品で,クラスチェンジをしてもそのまま装備し続けることができる。CATではクエスト報酬でのみ入手が可能だったが,クラフトマシンで製作できないので,いずれはショップなどで購入することができるのではないだろうか。
なお,アタッチメントはプレイヤーの外見に影響を及ぼさない。キャラクターの見た目は,衣装を変更することで変えられるので,見た目はプレイヤーの好きなものでいい。なお,衣装は開拓局内にある「GC(グローリーコイン)交換所」で,GCと引き替えに入手できた。キャラクリエイト時に選択できる衣装は交換レートが低いので手軽に入手できるが,それ以外の衣装はかなり高いので,結構なGCを集めることになりそうだ。GCは,ルーノなどと同様にクエスト報酬として入手できる。
オンラインゲームがサービスの数か月前にクローズドβテストを実施することはままあれど,CATを実施することはそうそうない。そして大抵の“αテスト”はサービスには程遠い時期に行われる。その内容も,まさしくテストというような感じであることが多いが,本作のCATは開放されたエリアこそ多くないものの「もうここまで遊べるのか」という完成度だった。実はサービス直前のβテストでしたと言われても,納得する参加者は多いのではないだろうか。
何より目を引くのが,アニメ調の美麗なグラフィックスだ。公式サイトで謳われているように劇場クラスのアニメの背景やキャラクターが,そのままのクオリティで動かせるのは,ゲーム世代,アニメ世代にはなによりのご馳走だろう。
個人的には,アニメで描かれた「.hack」シリーズの“The World”や,「ソードアート・オンライン」の“Sword Art Online”がそのままオンラインゲームとなるなら(ひとまずVRであるかどうかは別として),こういう感じではないのかという印象だ。
街のショップなどの機能の大半は封印状態となっており,多数のコンテンツが未開放だった。公式サイトでもアクションシーン以外の内容はほとんど公開されておらず,オンラインゲームとしての実力は未知数のままだ。それでもCATでプレイした感覚や,ファンタジックな世界でありながら,未来から来た少女との邂逅などSFのようなストーリー展開も示唆されているPVを見ると,個性的なグラフィックスと相まってオンリーワンの魅力を持ったオンラインゲームとして大いに期待したくなる。
サービス開始時期どころか,今後の予定が一切明かされていないのは残念だが,さらなるクオリティのアップを果たして,オンラインゲームファンを唸らせる作品になることに期待して,続報を待ちしたい。
「BLUE PROTOCOL」公式サイト
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