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「ポケットモンスター」の事業戦略発表会をレポート。睡眠のエンターテイメント化や,最新作と連携するクラウドサービスなど,新企画が目白押し
最初に触れられたのは,現在映画が公開中の「名探偵ピカチュウ」について。同作は2019年5月3日の公開を皮切りに世界で大ヒットしており,2019年7月12日公開のポケモン映画「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」に向けてさらなる盛り上がりに期待がかかる。
またこの映画の原作となったニンテンドー3DSの「名探偵ピカチュウ」が,Nintendo Switchで発売されることも発表された。3DS版では途中で終わっていた物語が,ついに完結する。
続いてはポケモンのグッズを販売する直営店舗「ポケモンセンター」について。単なるグッズ販売だけではなく,ファンが集まる楽しい空間を提供するために,ソフト・ハードの両面からサービスを展開する総合施設として,国内のみならず海外にも出店している。4月には,シンガポールのチャンギ国際空港に「ポケモンセンターシンガポール」がオープンしたばかりだ。
ポケモンセンターの次の挑戦として,2019年秋に開業予定の渋谷PARCOに「ポケモンセンターシブヤ」をオープンすることが明かされた。店舗コンセプトは「ポケモンと最新技術の調和」だ。他社との協業により,ポケモンファンが来るだけで楽しい空間を作っていきたいと,ポケモンセンター代表取締役社長の上郷頼臣氏は説明していた。店舗のイメージは,ポケモンセンターの中でも珍しい,黒を基調としたスタイリッシュなデザインで,入口にはミュウツーが設置される予定となっている。
またこの渋谷PARCOには,任天堂の直営店「Nintendo TOKYO」も出店予定で,両店舗によるコラボ企画も進行中とのことだ。
次に登壇したのは,NetEaseのワン・イー氏だ。氏は,「ポケモンクエスト」の中国版を配信することを発表した。グローバル版の内容に加え,PvPやソーシャル機能を追加したものになるという。
続いてはゲームフリーク常務取締役の増田順一氏が登壇。ゲームボーイの時代から現在までシリーズが続き,さらに「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ」や「Pokémon GO」といった新機軸のタイトルのリリースにより,ここ数年でポケモンを取り巻く環境は大きく変わったと増田氏は述べる。
その一方で,歴代タイトルの通信機能を利用すれば,お気に入りのポケモンと共にソフトやハードを超えて一緒に冒険もできるというのも,シリーズの特徴の1つだ。
そこで,多様化したポケモンの世界が1か所に集まる場所を作り,そこを起点にさまざまなソフトとポケモン,そして人をつなぐサービスとして,「Pokémon HOME(ポケモンホーム)」を2020年初旬にローンチすることを発表した。
「すべてのポケモンが集まる場所」をコンセプトとしたこのサービスは,Switchとスマートフォン向けのクラウドサービスとして開発中で,さらにニンテンドー3DSで提供中の有料ポケモン預かりサービス「ポケモンバンク」とも連携する。過去シリーズから最新作の「ポケットモンスター ソード・シールド」,そして「ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ/ Let's Go! イーブイ」や「Pokémon GO」と連携することも決定しており,将来的には集めたポケモンと遊べるコンテンツなども予定しているという。
「Pokémon HOME」には交換機能を実装し,スマートフォンによっていつでもポケモン交換が可能となる。またインターネットを介しての世界中のプレイヤーとの交換や,その場に集まった複数のプレイヤーによる同時交換も実装される予定だ。
そして次の展開は映像から披露された。世界中のプレイヤーが歩く様子を映したその映像に「ポケモンは,歩くことをエンターテインメントにした」というメッセージが流れ,彼らが眠ったところにピカチュウが現れるというものだ。
現実世界を歩くことをテーマとした「Pokémon GO」に続いて,ポケモンが新たに着目したのが「睡眠」である。ここで,人間が生きるうえで大きな時間を費やす睡眠をエンターテイメント化するという「Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)」が発表された。本作は,ポケモンとSELECT BUTTONが2020年のリリースを目指して共同開発しており,「朝起きるのが楽しみになるゲーム」をコンセプトにしているという。
また睡眠を遊びに活かす企画は,任天堂やNianticとも検討中とのこと。壇上では任天堂のハードウェア開発部の丸山和宏氏が,新デバイス「Pokémon GO Plus+(ポケモンゴープラスプラス)」を披露した。これは「Pokémon GO Plus」や「モンスターボールPlus」に続くデバイスで,「Pokémon GO Plus」としての機能を継承しつつ,睡眠時に枕元に置くことで,内蔵の加速度センサーで睡眠時間を計測し,それをBluetoothでスマートフォンに転送する機能が備わっている。
またNianticも,「Pokémon GO」での歩くことに備えて休息を取ることも重要だと考え,健康的なライフスタイルの増進を念頭に検討を進めているという。またこの発表に合わせて本日より,「Pokémon GO」に寝ているカビゴンが出現するイベントが実施中だ。
次の発表は,DeNAがスマートフォンでサービス予定の「Pokémon Masters(ポケモンマスターズ)」について。ゲームフリークの杉森 健氏からの「歴代のポケモントレーナーが活躍するゲーム」という提案からスタートしたプロジェクトで,同氏が手がけるメインビジュアルには,歴代シリーズのポケモントレーナーとそのパートナーとなるポケモンが描かれ,会場で披露されたゲームの映像でも,彼らがボイス入りで活躍する様子が見られた。
プラットフォームはiOSとAndroidで,2019年内のリリースを予定。詳細は6月に発表されるそうだ。
最後に石原氏は,当日の登壇者が着用していたアパレル「ポケモンシャツ」について触れた。これはポケモン151種のデザインの生地を使ったシャツを,公式サイトからカスタマイズして注文できるというサービスで,現在はアジアのみを対象としているが,将来的に欧米をはじめとする世界に向けて販売地域を拡大すると発表した。
発表会終了後には,来場者からの質問に石原氏が返答した。とくに多かった質問は「Pokémon Sleep」の内容についてで,これに対しては「1日何時間,どの時間帯に寝たかということを計測し,翌朝にスマートフォンを確認すると,ちょっと嬉しいことが起きている」ということ以外は内緒とのこと。また「Pokémon Sleep」は,「Pokémon GO」とは連動しないと明言し,「Pokémon GO Plus+」がなくても楽しめると述べている。
また睡眠時間が関係するということで個人情報の取り扱いはどうなるのか,そして睡眠が関わると子供のプレイヤーが睡眠時間を削って遊ぶことになったりしないのか,という懸念の質問も上がった。前者については,これまで以上に情報の取り扱いには細心の注意を払うことを約束し,後者については「睡眠時間を削って必至に遊ぶような内容とは真逆のものを目指している」という。子供達が快適な睡眠を取り,楽しい目覚めができるようなものとなるそうだ。
「Pokémon HOME」に関して,クラウドサービス上で何かゲームがプレイできるのか,という質問には,まずはできるだけ多くのポケモンを集結させるということに注力し,集めたポケモンで何かしらの遊びができるようになるのは,次の段階の挑戦になると返答。2020年のローンチの段階では,「ポケモンバンク」の延長線上のようなサービスを第1段階として実現していくとのことだ。
- 関連タイトル:
ポケモンマスターズ EX
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