連載
レトロンバーガー Order 19:低身長だけど何かデカい狂乱殺人マシーンと「ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン」をもう二度三度編
ゲームといえば忍者です。常識ですね。
国内著名ゲームメーカーの大半が過去に忍者のゲームを作っていますし,格ゲーなら忍者キャラはつきものです。筆者も民明書房か何かの嘘八百ばかり並べ立てている本で「最初のゲームは忍者が修行のために作った」と書かれていたのを見た覚えがあったりなかったりするくらい,忍者とゲームは関係が深いものです。
そんな数多ある忍者ゲームの中でも,とくにタイトーの伝説的なタイトルといえば「影の伝説」……は,それはそれとして,やっぱり1988年にリリースされたアーケードゲーム「ニンジャウォーリアーズ」(以下,AC版)!
そして同作を大幅にアレンジして1994年にリリースされたスーパーファミコン用ソフトが「ザ・ニンジャウォーリアーズ アゲイン」(以下,アゲイン)!
さらにそれをリメイクしたのが,2019年7月25日に発売された「ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン」(PS4 / Nintendo Switch)!
というわけで,“今日のレトロゲーム”をフィーチャーしていくレトロンバーガー第19回は,「ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン」(以下,ワンスアゲイン)を紹介します。
まず「アゲイン」は,“独裁者バングラーを倒すための革命軍の作戦”という設定や,“忍者アンドロイドがターミネーター的にのっしのっしと歩いて敵をばっさばっさと切り捨てる”というコンセプトこそAC版と同様なものの,ベルトスクロールアクションの界隈で培われた「敵に接触してのつかみ&投げ」や「フィールド上のオブジェクトを武器にする」などの要素も取り入れて,全面的なリニューアルを施したタイトルです。
AC版ではプレイヤーキャラクターのクノイチとニンジャに性能差はありませんでしたが,追加キャラクターのカマイタチも含め,「アゲイン」ではキャラクターごとの個性がかなり強くなっています。AC版のファンには,こういった改変を好ましく思わない人もいるそうですが,ゲーム自体はかなり上々な出来栄えです。
奥行きのない1ラインのサイドビューアクションで,マップも平坦ですが,敵やオブジェクトが小気味よく配置されていて中だるみを覚えさせないのは,さすがナツメアタリの職人芸。某機動戦士アニメのファンにとって,同作のゲームを高いレベルに仕上げてくれるナツメ(旧社名)の存在は救世主のようなものでしたが,その手腕が遺憾なく発揮されています。
AC版と「アゲイン」,どちらが良いかというのは難しいですね。作られた時代もプラットフォームも会社も違くて,それぞれの環境でハイレベルな作り込みがなされているので,これらを比較するのはキーマカレーとグリーンカレーを比べるような話です。どっちもうまし。
「アゲイン」の難度はノーマルでも高めで,それは「ワンスアゲイン」でも同様。ただコンティニュー回数は最初から無制限,かつチェックポイントはエリアごとなので,割とゴリ押しでクリア可能です。コンティニュー時にキャラクターを再選択できるので,「どうしても先に進めない」という人は,シチュエーションに応じてキャラクターを変えるのもひとつの手ですね。
「ワンスアゲイン」ではグラフィックスが刷新されたり,2Pマルチプレイが可能になったり,AC版のBGMでプレイできるようになったりしているものの,やっぱり一番目を引く新要素は追加キャラクターですね。ゲームを1回クリアすると使用可能になるヤシャは伸縮する腕を使って戦うテクニカル系のキャラクターで……それにしても小さい身体に比べてデカいですね。いえ頭の飾りが。
公式サイトによると「隠密作戦用に開発された」とのことですが,ここまでデカくして支障はないのでしょうか。隠密どころか超目立ちますよね。いえ頭の飾りが。
「ニンジャウォーリアーズ」シリーズの忍者達は“狂った殺人マシーン”(AC版エンディングより)だそうですが,つまりヤシャは頭の飾りがデカい,前髪パッツンな低身長巨乳の狂ったムチムチ殺人マシーンですよ。レトロゲームマニアにとって,「東方見文録」や「アイドル八犬伝」などの怪作を高いレベルで作り上げてしまうナツメ(旧社名)の存在は闇の帝王のようなものでしたが,その手腕が遺憾なく発揮されています。
同じく新キャラのライデンは,素直にデカいですね。身長4メートル,体重32トンです。格闘が強力なのはもちろん,歩行砲台のブラスターモードに変形すれば105mm対戦車砲をぶっぱなせます。ゲームの忍者はあまり忍ばないものですが,その中でもトップクラスに忍んでいない忍者でしょう。
この「ワンスアゲイン」を手掛けたのは,ナツメアタリのスペシャル開発チーム・TENGO PROJECT。「ワンスアゲイン」は「WILD GUNS Reloaded」(PS4 / PC / Nintendo Switch)に続く,“リメイク第2弾”にあたるそうです。
公式サイトでは同チームの旧作として,「アゲイン」と「WILD GUNS」のほか3タイトルの名前が挙げられていますが,うち2タイトルはけっこう大きめなIPの版権モノ。もし“リメイク第3弾”があるとしたら,残りの1タイトルが現実的でしょうか? あるいは世の中には“IPモノとして開発されたけどキャラを変えてオリジナルとして出すことにした”というタイトルもあったりしますが……ウッ!? タイトー,ナツメ,奇々怪界……何か脳裏によぎるものが……最近複数のプラットフォームで出ていたような……。
まあ頭によぎった“雪ん娘”はさて置いて,あるいは単に第1弾,第2弾と謳っていないあたり,もしかしたら“リメイク第1弾”とは別に“新作第1弾”が企画されていたりするのでしょうか。何にせよ,ナツメアタリの救世主ぶりと闇の帝王ぶりに今後も期待です。
タイトーの「ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン」公式サイト
ナツメアタリの「ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン」特設サイト
- 関連タイトル:
ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン
- 関連タイトル:
ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン
- この記事のURL:
キーワード
(C)TAITO CORPORATION 1987, 2019 ALL RIGHTS RESERVED. (C)NatsumeAtari Inc.
(C)TAITO CORPORATION 1987, 2019 ALL RIGHTS RESERVED. (C)NatsumeAtari Inc.