インタビュー
群像劇RPG「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」リリース後インタビュー。堅実なスタートが切れた心境と,今後の展望を制作陣に聞いた
ゲーム外では声優ヴォーカルユニット「Kleissis(クレイ・シス)」を立ち上げて,その楽曲やライブでタイトルの世界観を伝えるなど,独自の展開も行われている。
そんな「アルカ・ラスト」のリリースから約3週間が経過した頃,4Gamerでは原作&メインキャラクターデザインの河野純子氏,原作&企画原案の小牟田 修氏,フジゲームス総合プロデューサーの赤井誠一氏,ディレクターの内田大樹氏にインタビューを実施する機会があった。その内容を本稿でお届けしよう。
「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」公式サイト
「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」ダウンロードページ
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「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」インタビュー。“終わり”を描く重厚な世界観を,フジゲームス独自の多面展開で多くのプレイヤーへ届ける
フジゲームスが2019年夏にリリース予定のスマホ向けRPG「アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実」。豪華クリエイター陣の参加でも注目を集める本作だが,今回開発のキーマンたちへインタビューを実施し,タイトルの魅力をたっぷりと語っていただいた。
堅実なスタートを切った「アルカ・ラスト」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
河野純子氏(以下,河野氏):
よろしくお願いします。原作とメインのキャラクターデザインを行っています。河野と申します。
小牟田 修氏(以下,小牟田氏):
原作・企画原案の小牟田です。
赤井誠一氏(以下,赤井氏):
“総合”と不思議な名前がついている総合プロデューサーの赤井です。
内田大樹氏(以下,内田氏):
「アルカ・ラスト」の開発ディレクターの内田です。役割としてはいろいろとあるんですが,原作のシナリオを「もう少しこうしましょうか」と調整したり,ゲームの企画や内容を現場のプランナーと詰めていったり。イラストもそうですね。
4Gamer:
リリースから約3週間が経過しましたが,発売が一つの区切りとなるコンシューマとは違い,アプリではむしろリリースからが本番といったところかと思います。現在の率直な心境をお聞かせください。
河野氏:
率直なところでは,大きな事故がなくてよかったなと思います。思いどおりにいった部分,いかなかった部分はそれぞれありますが,原作者としては一歩引いて,ほぼいちプレイヤーとして向かい合っているので,プレイを楽しんでいます。
小牟田氏:
初期リリース分が済んで,ひと段落はしましたよね。
河野氏:
ドキドキしていた部分は,だいぶなくなったかなと。
小牟田氏:
初日に長期メンテのような事態にはならずによかったなと思います。あとは,初回リリース分のリソースがかなり大きかったと思うんですが,きちんと入れられたので,とてもホッとしています。
4Gamer:
そうした事態にならないよう細心の注意を払っていらっしゃったとは思いますが,それでも実際にリリースしてみないと分からない部分も多かったんでしょうか。
赤井氏:
そうですね。1年前からKleissisでの取り組みや「エイコーさん」といったテレビ番組でさまざまな展開をしてきたので,オンスケジュールでリリースできたのはよかったなと思います。話題性を出しつつ,大きな問題もなく予定どおりにリリースできました。
とはいえ苦渋の決断でそぎ落とした機能ですとか,どうしても入れられなかった要素はありますので,そこは悔しくもあるんですが。おおむねキチンとできてよかったなと思います。
内田氏:
僕もやはり大きな事故がなかったのはよかったと思います。それからクライアントのパフォーマンスといいますか,ローディングなどで感じるストレスは抑えられたかなという印象ですね。
もちろん,もっとコンテンツ量を増やしてからリリースしたほうがよかったかもしれないといった反省点もあるので,これからのアップデートでカバーしていければと思います。
ストーリーが気になるからこそのジレンマも改善
4Gamer:
さっそくプレイヤーからは,さまざまな意見も寄せられているかと思います。こうした反応の中で,意外だった部分はありますか?
赤井氏:
AP(※)に対する反応は,ちょっと予想外でしたね。かなり配布したつもりだったんですが……。
※いわゆる“スタミナ”に相当するポイントのこと。
小牟田氏:
APが尽きて遊べないという声ですね。
河野氏:
マイペースな人は余裕があるんですけど,熱心に遊ぶ人ほど足りなくなってしまうんですよね。
小牟田氏:
アプリの一般的なRPGと比べて,リリース初期に実装したストーリーの量が多かったと思うんです。でもそうして先が用意されていれば,プレイヤーとしては全部見たくなりますよね。
河野氏:
先を気にしていただけるのは,すごくありがたかったんですけど……。
小牟田氏:
さすがに1日2日で全部やろうとしたら,APが足りなくなってしまうんですよ。もともと1日程度ではプレイし切れない想定で作っていて,シナリオが尽きないように多めに投入したんです。でも,やっぱり先があればそこまで進んでくれる方も多くて。
河野氏:
逆に言えば,続きを気にして先に進んでもらえた点は嬉しいところです。
小牟田氏:
そうですね。シナリオを読むのが好きな方が遊んでくださったのはすごく嬉しいです。
4Gamer:
マイペースに遊んでいると,むしろAPがカンストしてしまって,少しもったいないと思うくらいでした。
小牟田氏:
いっそのことリリース時のストーリーは「漆黒編」までにしておけばよかったかもしれません。
赤井氏:
スキップチケットが便利だったので,そことのバランスが反省点ですよね。スキップチケットがあれば使いたくなるけど,でもAPがなくて使えない。それでAPが足りないといった印象になってしまったのかなと。
内田氏:
スキマ時間で簡単にプレイできるような設計にした一方,やれることがすぐに終わってしまうのは現状の課題ですね。
いわゆるソーシャルゲームのシナリオって,そこまで熱狂しないというか,ほどほどの楽しさを長続きさせていくようなトレンドがあったかと思うんです。だからこそ個人的には,もっと先が読みたくなるものを作ったつもりだったので,そこがAPに関しては裏目に出てしまいました。
4Gamer:
本作は「黄昏編」をすべてクリアして,そこでやっと破壊者の使命や世界の構造がなんとなく掴めるというか。スタートからかなり攻めた内容だったので,続きを気にするなというほうが難しいです。
赤井氏:
そこはもう河野さんの采配ですよね。
河野氏:
でも,これでも導入部分はだいぶ分かりやすくしていただいたんですよ。当初はもっと早く本題に入ってしまっていたので。
小牟田氏:
初稿ではまだまだ展開が早くて,少し分かりにくい部分もあったと思います。
赤井氏:
そのあたりは,かなり白熱した話し合いをしましたね。
河野氏:
チュートリアルから序盤に関してはかなり手を入れていただいて,今の姿になりました。
赤井氏:
最初はどうしても,プレイヤーが置いていかれているような印象があったんですよ。そのあたりの議論も相当やりました。その結果,今の形に落ち着いた感じです。
内田氏:
もともと「黄昏編」はチュートリアルでしたよね。その次から本番というイメージでしたが,チュートリアルは短いほうがいいだろうからと短くして,その代わりに世界全体の難度を下げて,すんなりクリアできるようにしていたんです。そのため,次の「漆黒編」から難易度が急に上がってしまったように感じる構造は反省すべき部分ですね。育成で足止めを食らうんですが,そこでAPが足りないという状況を招いてしまいました。
赤井氏:
初期リリース分は「黄昏編」「漆黒編」「凍土編」「灼熱編」の4つです。以降は鋭意制作中となっており,現状この4つの世界でバランスをとっているので,プレイしている方には途中で難度が急に上がるように感じるかもしれません。これは制作側でも認識していまして,改善しなければいけないと痛感し,申し訳ないと思っております。
遊びの幅が広がるアップデートを順次実施
4Gamer:
とはいえアップデートも随時行われ,徐々にAPなどのバランスは改善されてきていますよね。現時点でプレイヤーから寄せられている要望への対応についても,具体的にお話しいただきたいです。
内田氏:
まず実践したものとなりますが,「闘技場の難度が高い」という意見があったので,こちらは難度を下げています。同じく「試練の塔」というバトルコンテンツも,3フロアのうち2フロアまでは比較的スムーズにいけるように設計し直しました。
赤井氏:
ストーリーや,そのほかのバトルコンテンツでも,プレイに詰まってしまったという壁を取り払っているイメージですね。ストーリーはそう簡単に追加できませんので,まずはバトルコンテンツが遊びやすくなるように対応しました。
4Gamer:
試練の塔は,開放された段階で挑んでもまったく歯が立ちませんよね。もう無理だと投げだしてしまいたくなりました。
赤井氏:
そうなんですよね。そこをきちんと遊んでもらえるようバランスを調整しました。
小牟田氏:
白銀の塔(Hard)の3フロアはキツイですね。
内田氏:
そうですね,厳しくなってきますね。
4Gamer:
そうした壁を乗り越えることが目標やモチベーションにもなりますが,一方でプレイヤーの感情としては「せめて最初くらいはすんなりクリアさせてほしい!!」というのが正直なところです。
小牟田氏:
急に複数パーティが必要になりますから,そこも大変ですよね。
赤井氏:
先ほどから話に出ているAPだけでなく「コロ」(ゲーム内ゴールド)が不足するというお声もありますが,こちらは8月30日開始の初のゲーム内イベント(関連記事)で手に入れてもらえる設計にする予定なので,徐々に改善されると思います。APは経験値とイコールのため,過剰な配布はバランスを損ないかねませんから,まずはAPを使用せずに遊べるコンテンツを用意して,ゲームの体感時間や満足度を高めていければいいなと企画しているところです。
4Gamer:
単純にAPを配布するのではなく,別の方向で解消を目指しているんですね。
赤井氏:
「APが足りないから育成が進まない!」というのがストレスになっていると思うんですが,APがなくても育成が少しずつ進められれば,ご不満を抱かせてしまっている点がある程度は解消されるかと思っています。
また,APをたくさん手に入れてしまうと上限LVが引き上げられ,経験の書やコロも多く必要になるので,バランスを考えながら提供していきたいと思っております。
4Gamer:
キャラクターのスキル性能に関してはいかがでしょうか。
内田氏:
我々もプレイヤーのみなさんがどんな性能を求めているのかいろいろと考えているものの,声をいただければ,とても参考になります。組み合わせがかなり複雑ですからね。
闘技場で遊んでいると「なんでこんな組み合わせで強いんだ!?」という編成の人がいるんですよね。例えば前面に盾役を置いて,後方は打たれ弱いキャラクターで揃えているのに,スキルが発動すると一気に形勢逆転されてしまうんですよ。
赤井氏:
そこは,このゲームの面白さの本質ですよね。深く理解していただいた方が,さっそく闘技場で活躍されていらっしゃいます。
河野氏:
戦力的にはそう強くなさそうなのに,すごく強い人がいますよね。
小牟田氏:
人数の多い絆スキルのほうが,効果が高いじゃないですか。発動されたら一発逆転されてしまうので,こちらは出させないように潰したいんですけど,うまい人だとそれをきちんと防いでくるんですよ。3000くらい戦力差があったはずなのに負けてしまうこともありました。
赤井氏:
本作の物語は群像劇として打ち出していますが,システムもそうなっているんですよね。キャラクターとの関係性が勝敗を左右するんです。「これをやっておけば勝てる」といったお決まりの戦略性で勝負が決まらないというのは,ゲームとして面白いポイントかと思います。
そうですね。このキャラクターがいれば勝てるという設計にはなっていないので,あるシーンでは活躍できなかったけど,別のシチュエーションでは脚光を浴びるとか,そういった部分はよくできたと思います。引き続きみなさんから「このキャラクターをもっと目立たせたい!」というご意見をぜひいただきたいです。
4Gamer:
Twitterではカルーアの公式アカウント(@arca_last)のほか,カノンの公式サポート(@arcalast_ikemen)でプレイヤーの攻略をフォローもされていますね。それぞれの反応はいかがですか。
赤井氏:
もともと公式からもコミュニケーションを図っていこうということで,事前登録から「届いたものに対して,きちんと答える」というスタンスでやっています。ゲーム内に出てくるキャラクターのカノンのほうはゲームで詰まった人たちを積極的にサポートしていて,カルーアと使い分けながら,お客様にきっちり応えていこうという方針です。
小牟田氏:
ちょっとした質問にも,かなり細かく丁寧に答えてますよね。
赤井氏:
あまりやりすぎはよくない部分もあるかもしれませんが,プロジェクト全体の方針としては「プレイヤーと向き合おう」と掲げているので,Twitterでもしっかりやっていきたいですね。
小牟田氏:
役割分担もできていますよね。カノンが攻略系,カルーアはファンと接するみたいな。
4Gamer:
なるほど。そのほかにプレイヤーにもっと利用してほしいと思う機能はありますか?
赤井氏:
「書庫」機能はぜひ活用してほしいですね。「凍土編」以降はとくに攻略も難しくなりますから,ストーリーをまとめてしっかり読んでいただければ「そういうことか!」と話がよく分かると思いますし。書庫には仲間や敵も記録されているんですよ。コンシューマライクといいますか,しっかり作っている部分ですね。
内田氏:
エネミー図鑑は面白いと思いますね。
4Gamer:
ありがとうございます。それでは今後の展望についてもお聞かせください。
赤井氏:
定期的にイベントを開催して,より群像劇としてキャラクターの深掘りを行っていきたいですね。それにプラスしてAPがなくても遊べるようにして,もっと遊びを提供したいです。
それと,闘技場でもいろいろな組み合わせで強くなるという遊びは実現できていると思うんですけど,その先ですよね。プロデューサーレターでもお伝えしましたが,ほかのプレイヤーとも緩やかなつながりで協力プレイをする……レイドバトルのようなものかどうかは検討中ですが,例えばプレイヤー同士で協力したり競い合ったりするような,また一味違う遊びの提供は行っていきたいですね。
イベント&キャラクターストーリーで
さらに物語を奥深く描く
4Gamer:
ストーリーを楽しんでいるファンが非常に多いと思いますが,キャラクターや内容についてはどのような反応が集まっていますか。
「イロンデール」は人気が出ると嬉しいなと思っていて,初回の実装分の「灼熱編」,その次となる「東方編」でさらに脚光を浴びるような計画を立てていたんです。今のところみなさんから好きになってもらえているキャラで嬉しいですね。
赤井氏:
ビジュアルも素敵ですし,世話役ということで親しみがあるとは思いましたが,こんなに反響があるとは。とくに「黄昏編」での「クロウ」とのコンビは,キャラクター性の組み合わせが面白かったようですね。
小牟田氏:
「イロンデール」は,少し陰のあるところもありますしね。河野がある程度は意識した部分でしたけど,思った以上に人気が出ましたね。
河野氏:
狙った部分をそのとおりに受け止めていただいたのは,嬉しかったですね。「イロンデール」は「東方編」の出身ですから,ここでさらにクローズアップされます。もう少し彼の謎が分かるようになっていますよ。
小牟田氏:
主人公を喰ってしまうくらいの内容ですよね。
赤井氏:
真の主人公になってしまうかもしれませんね(笑)。
4Gamer:
「イロンデール」はある意味,裏の主人公のような印象もあります。
河野氏:
演じていただいたKENNさんにも,収録時にはそういう感じでお願いしますとお話しをしました。
4Gamer:
これまで「イロンデール」が何をしてきたのかも,非常に気になるところです。
河野氏:
まさに,そのあたりが「東方編」で語られるので,楽しみにお待ちいただければ。
主人公は7人の破壊者なんですが,彼らって純粋な人間ではないんですよね。召喚されて,戦って。一方で「イロンデール」は人間側の主人公というような位置づけですね。
4Gamer:
破壊者たちって英雄像そのままというか,立ち止まったりしませんよね。だからこそ,何かを抱えている様子の「イロンデール」に親しみというか,人間味を感じる部分があります。
赤井氏:
破壊者ってすごくドライなところもありますからね。
小牟田氏:
ですね,少し視点がズレているというか。
赤井氏:
「イロンデール」目線での物語も読みたいですよね。ちょうど話題に出た「東方編」ですが,7つの世界の中でも非常に“キー”になります。鋭意制作中なんですが,これまでの世界よりもボリュームがあるんですよ。
河野氏:
1.5〜2倍くらいありますかね。
赤井氏:
プロローグと本編のように前後編で分けようかとか,「イロンデール」の描き方も含めてやりたいことがたくさんあって,まとめて読みやすくしたいと考えている最中です。できるだけ早く,みなさんにお届けしたいとは思ってるんですけど。
4Gamer:
アプリですと,少しずつ章を更新していくのが通例ですが,本作はできることなら世界のストーリーを最後まで一気に見たくなりますよね。時間がかかっても全部一気に実装してほしいと思う気持ちもありますし,でも少しでも早く先が見たいと思う気持ちもあり……。
赤井氏:
今まさに,そうした部分を含めてベストな形を模索しています。まとめてだと実装までの時間が空きすぎてしまいますし,少しずつ出していったほうがいいのか,それでも一気に出したほうがいいのかを検討しています。
内田氏:
それと,今の時点だと「灼熱編」が終わった人しか読めないじゃないですか。ここまで進めたら「東方編」を読めてもいいようにするとか,レベルデザインも含めて考えています。
赤井氏:
例えば「凍土編」が終わったら「灼熱編」も「東方編」も行けるようになるとか。
小牟田氏:
「東方編」は「灼熱編」まですべて読んでいなくても,内容は通じると思うんですよね。
河野氏:
基本的に世界1の黄昏編〜世界5の東方編くらいまでは,どこから始めてもいいような設計になっているんですよ。終わりに近づく世界6降灰編からというのは難しいんですけど。
小牟田氏:
そもそも当初は,好きな主人公を選んでプレイできるという仕組みを考えていたんですよ。
河野氏:
システムさえ許せば,というところですね。とはいえ,いろいろあって現在の仕様になったのですが。。
4Gamer:
あとから始めると,今まさに盛り上がっている最新のストーリーになかなか触れられないというのも歯がゆい部分ですからね。本作は世界ごとにストーリーが完結していますから,ある程度自由に選択できると嬉しいです。
小牟田氏:
キャラクターについても,プレイヤーさんが本当に深掘りしてくださっていますね。「あのキャラクターのネタが,このキャラクターのストーリーに仕込まれているんだ!」と気づいてくださる方もいらっしゃるんですよ。
河野氏:
そうですね。
小牟田氏:
本作は群像劇として,キャラクター同士のつながりを意識しています。ですから特定のキャラクターには別の一面を見せるなど色々と仕込んでいるので,キャラクターのストーリーを見ていると,どんどん掘り下げていけるんです。
赤井氏:
メインストーリーでは本当に少ししか出番がなくて,これに意味があるのかと思われる方がいるかもしれませんけど,実はキャラクターストーリーで「なぜここに出てきたのか」といった部分が補完できるようになっています。
河野氏:
本当に,すごく読み込んでくださっている方がいるんですよね。「うわーすごい,全部読んでくれている!」って。
赤井氏:
すでに,かなり考察も進んでいますよね。
小牟田氏:
こちらとしても描きたかったものですから,そうした楽しみ方をしていただけるとありがたいですね。ソロプレイのRPGのように,じっくり寄り道すると深掘りができるゲームになっています。
4Gamer:
そうした部分にプレイヤーが気づいてくれるのはありがたいですね。
そうですね。あと違う世界で同じキャラクターを出すというのは,個人的にやりたいと思ったんですが,みなさんに同じ存在として認めてもらえるのかな,どうかなと思って。「きっといけると思います!」とお話ししてはいたんですが,みなさんも「これはそういうもの」として受け入れてくださっていたので,そこはホっとしています。そうした部分も含めていろいろなキャラクターを育てていただけると嬉しいです。
小牟田氏:
「トライゾン」のスクリーンショットだけ集めている人とかもいましたね。「漆黒編が1番好き」だそうで。
4Gamer:
同じキャラクターでも,どの世界のキャラクターが好きなのかでまた分かれそうなのが面白いですね。
小牟田氏:
話の盛り上がるポイントになるかなと思います。
河野氏:
本当に違うキャラクターと思われてなくてよかったと思います。
4Gamer:
メインストーリーなどのわずかな出番だと分かりにくいかもしれませんが,きちんと接していくと,外見こそ違えど同じキャラクターなんだなというのは体感できると思います。
現状はMirrativeでの生放送やTwitter,プロデューサーレターを中心に情報発信をされていますが,今後もこちらがメインとなるのでしょうか。
赤井氏:
そうですね。プレイヤーのみなさんの声に対しては随時発信していきたいので。このほか,大掛かりなアップデートをする際は生配信もやりたいと思います。
4Gamer:
プロデューサーレターで毎月イベントストーリーについて触れられていましたが,こちらはどのような内容になるのでしょうか。
初めてのイベントでは「黄昏編」のメインストーリーに出てきた「セリカ」というレジスタンスのプレイアブル化と,なぜレジスタンスに入ったのかというサイドストーリーをセットでお届けするものになっています。
新しいキャラクターが出るのと同時に「黄昏編」の本編の深掘りができるようになっていますね。「一方,その頃にはここでこんなことがありました」みたいな視点で,あらためて世界を楽しんでいただければ,また違った味わいが生まれるんじゃないかなと思っています。
赤井氏:
描かれなかった群像劇の補足というか,本編が伏線だらけなんですよね。限られた分量ではなかなか描き切れないので,回収されていない部分にフォーカスしたというイメージです。
内田氏:
ストーリーに散りばめられた伏線はまだまだあるので,少しずつイベントなどで出していけば,群像劇の面白さを伝えられるんじゃないかなと思います。
4Gamer:
今後も本編の補足のようなものが主軸になるんでしょうか。
内田氏:
初回はそのテーマを選びましたが,季節ものや,キャラクターたちがワイワイしているストーリーも入れていきたいと思っています。プレイヤーのみなさんの反応も見つつ,色々と提供していきたいですね。
小牟田氏:
メインストーリーがシリアスですからね。
河野氏:
だからこそキャラクター同士のクスっとできる絡みとか,そういうものがあってもいいのかなと。キャラクター同士の交流はすごく望まれていると思うので,ぜひ描いていただきたいと個人的にも思っています。
4Gamer:
プレイヤーとしてはイベントの報酬も気になるところです。可能な範囲で教えてください。
内田氏:
新キャラクター「セリカ」と「マティアス」が登場するので,イベントにある程度参加しているとそのうちの「マティアス」が報酬として入手できます。もう1キャラクターは召喚に出てきます。ボスを倒すと,かなりウマい感じで育成素材が手に入るようになっています。
赤井氏:
このイベントをがんばっていただければ,詰まってしまっているキャラクターの育成につなげられるという設計にしています。まだバランスは悩んでいるところですが,イベントを進めればちょうどいいと思ってもらえる提供量になるよう必死に考えさせていただきました。
リリース直前に1周年を迎えたKleissisの手応え
4Gamer:
ゲームのリリース直前の7月20日には,Kleissisの1周年単独ライブも行われましたね。
赤井氏:
すごく濃いファンの方に支えていただいて,ありがたいと思っています。ライブもすごく盛り上がっていましたし,Kleissisとしてはいいスタートを切れているというのが1年経ってみての感想ですね。
4Gamer:
今後ゲーム内で曲を聴いた方がライブにも興味を持つかと思いますが,どのような雰囲気なのでしょうか。
いわゆるアイドルのライブのような雰囲気ではありませんね。ヴォーカルユニットとして,「アルカ・ラスト」の世界観を歌で伝える,曲でしっかりコンテンツを表現することに主軸に置いています。客層も,作品をしっかりと好むような方々が多いような印象です。
小牟田氏:
男性ファンが多いかと思ったんですが,自分が思っていたより女性のファンも多かったですね。
4Gamer:
みんなで騒いで楽しもうという方向性のライブよりも,独自の世界観を大切にされているイメージですね。ライブの中では朗読劇も行ったそうですが。
赤井氏:
ゲームのリリース前に朗読劇というのは,なかなかチャレンジングな試みではあったんですが,キャストも声優さんですしね。世界観をしっかり構築しているのがKleissisのテーマでもありましたから,結果としては朗読劇を取り入れてよかったと思います。
4Gamer:
では,Kleissisからゲームを知ったファン,ゲームからKleissisを知ったファンそれぞれに注目してほしいポイントをご紹介ください。
赤井氏:
Kleissisから入ってゲームをプレイした方には,ゲームと言わずにリリースした曲,歌詞,音楽性を含めて,ゲームをプレイすると「ああ,そういうことか!」とリンクするのが面白いと思います。
逆もしかりで,ゲームのプレイヤーはKleissisをまだ知らない方も多いでしょうが,その歌詞の意味を考えるとストーリーとすごく密接しているので,ぜひラプラスの間で曲を聴いて,いい曲だなと思っていただきたいです。
4Gamer:
Kleissisの公式サイトでは,「ミオ」役の元吉有希子さんが「Program Note」として歌詞や楽曲の紹介をされていますね。
小牟田氏:
音楽の専門的な部分と,ゲームの世界観を深く掘り下げてくださっていますよね。
赤井氏:
Kleissisのメンバーも全員ゲームをプレイしていますし,理解と深掘りがきちんとできているのが,面白い試みだと思います。
小牟田氏:
曲と,世界観と,歌詞と,それを表現する人たちがすごく密接ですよね。さらにキャラクターボイスも担当されてますし。
赤井氏:
Kleissisのファンの方からは,もっとボイスがほしいと言われているんですが……。
小牟田氏:
彼女たちはシナリオの関係上,活躍がかなり終盤になるんですよ!
河野氏:
そこでいろいろと絡んでくるので,そこまで楽しみにしていただきたいです。
4Gamer:
ファンとしてはもっと話しているところが見たいと思われるでしょうが,立場的にあまり出番が多くても不思議な感じがしてしまいますしね。
河野氏:
Kleissisも人間とは違う感じなので……。このあたりの詳しいお話しは終盤になります。
小牟田氏:
終盤はびっくりする展開になると思います!
河野氏:
あまり言うわけにはいきませんけど,曲もきちんとリンクできるようになっているはずなので,楽しみにしていてほしいです。
赤井氏:
曲はもう「東方編」や「降灰編」まで作っていますからね。ゲームよりもずいぶん先行しています。
小牟田氏:
曲の歌詞から,次の世界をいろいろと想像していただければ。
4Gamer:
分かりました。もうお時間のようですので,最後にプレイヤーへのメッセージをお願いいたします。
サービスとしてまだ足りてない部分ですとか,お客様にストレスがかかってしまう部分もありますが,これからコンテンツを追加して,面白い要素をどんどん入れていく予定です。これからゲームがより面白くなるのは間違いないと思っていますので,ぜひ期待してお待ちください。
引き続きアップデートの情報もどんどん出していって,プレイヤーのみなさんにお知らせしていければと思います。
赤井氏:
ゲームはゲームで面白くなりますし,Kleissisもより絡ませていきたいなと考えています。1+1が3や4になるようなプロジェクトにしていきたいと思いますし,広げていくのが僕の仕事だと思うので,そのあたりは今後もしっかり考えていきますので,ぜひ期待してください。
小牟田氏:
原作としては,すでに「東方編」はフジゲームスさんへお渡しして,「降灰編」や「輪廻編」の作業や終盤の完結に向けた作業に入っています。運営は内田さんを筆頭にこれからどんどん盛り上げてくださると思いますので。
内田氏:
僕もいちプレイヤーとして,どんな結末になるのかすごく楽しみですよ。
小牟田氏:
こちらも「降灰編」「輪廻編」を進めていくとともに,原作としてもKleissisとの関係を広げていきたいと思っています。
河野氏:
そのあたりは原作としてやれることがないか,いろいろと考えています。
小牟田氏:
メインシナリオとして1本書いてはいますけど,やはり語り切れない部分もありますし。
河野氏:
そもそもなぜこの世界ができたのかとか,ゲーム外の部分も補完できるのならやってみたいですね。そういう機会があればですけど。
小牟田氏:
それをどういう形で出すか。小説なのかコミカライズなのか。
赤井氏:
アニメという手もありますよね。
河野氏:
そういう形でやれたらいいですね。原作はサービスが始まったものに対してはいちプレイヤーとして遊ばせていただくので,よろしくお願いいたしますという感じなんですよね。まだ模索しているところなので,ご希望があればぜひ伝えていただければ。
赤井氏:
「イロンデール」絵画展とかですか(笑)。
河野氏:
ファンアート展みたいなものもいいですね。こんなに盛り上がるとは思ってなかったですし,意外なキャラクターのイラストもあって面白いですね。
4Gamer:
ファンアートも非常に盛り上がっていますし,そうした企画が実現していくのか今後も楽しみですね。本日はありがとうございました。
──2019年8月19日収録。
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