4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。様々なゲームをテーマにした料理を,プロの料理人が本気で作って勝手に発表する「俺のコラボカフェ」が始まりました。今回もよろしくお願いします。
新しいゲームが発表になるたびに,何か料理が出てこないかと常にアンテナを張っている私ですが,「
食用系少女 2 美食内戦」Nintendo switch版の発売を,4Gamerの
記事で知りました,4月28日リリースで今は予約を受付中です。
前作「
食用系少女 -Food Girls-」のタイトルを見たときには,ホラー要素を含むギャルゲーではないかと思いましたが,まったくそんなことはなく,台湾で小さな飲食店店長を務める少女たちをコンサルティングする,「経営シミュレーションアドベンチャー」でした。登場する少女たちにはそれぞれモデルとなる料理が設定されており,容姿や性格もなんとなく料理のイメージに当てはまるところもあって魅力的です。いわゆる「擬人化」ものですね。
彼女たちとのコミュニケーションパートはもちろん,経営シミュレーションゲームとしてもかなりリアルに描写されていると感じました。私も飲食店を経営して約6年になりますが,飲食店経営は料理の腕だけが大切なのではなく。接客やマーケティングはもちろん,地域や他店と協力しあう人間性やコミュニケーション能力,日々のトラブル対応や人材育成力も必要です。どれも実際にやらなければ身につかない能力なので,私も事前にこのゲームで楽しくシミュレーションしておけば,もう少し楽だったかもしれません。
さて,「食用系少女 2 美食内戦」はシステムやストーリーもパワーアップし,新しいキャラクターが多数登場します。その中でも今回は「牛肉麺」の「クミ」と「キヨミ」に注目してみましょう。
牛肉麺は台湾ではとてもポピュラーで,屋台はもちろん,家庭でも作られる料理のようです。日本でも最近徐々に知名度を高めているように感じます。日本のラーメンにも近いのですが,少しサッパリとしたスープで,ベトナム料理の「フォー」にもちょっと似ています。エスニック好きの女性にも人気がありますね。
醤油ベースでピリ辛の「紅焼(ホンシャオ)」と塩ベースの「清燉(チンドゥン)」に分けられ,紅焼がクミ,清燉がキヨミということになっています。なるほど,強気で直情的な姉が紅焼。恥ずかしがり屋で内向的な妹が清燉ということですね。ギャルゲーとしても王道の設定を料理のイメージと当てはめるとは,見事です。
世界観をより深く楽しむためにも,どちらか選んで作ろうと思ったのですが困りました。料理もキャラもどちらも大好きです。非常に迷いましたが,日本のスーパーでも手に入る食材で,皆さんにも作りやすいのは紅焼のほうだという結論に至り,レシピを開発しました。ご覧ください。
■材料(2人前)
牛肉切り落とし 100g
稲庭うどん 2玉
青ネギ(刻み) 10g
しょうが(刻み) 2g
にんにく(刻み) 5g
八角 1花
豆板醤 小さじ1/2
サラダ油 30ml
水 750ml
紹興酒 50ml
しょうゆ 80ml
砂糖 15g
うま味調味料 2g
・トッピング
パクチー,高菜漬け 適量
フライパンにサラダ油,ネギ,しょうが,八角,豆板醤を入れて弱火にかける
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香りが立ってきて,ネギが少し焦げてきたら,水,紹興酒を入れて強火にし,沸騰させる
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弱火にし,牛肉を1枚ずつ入れ,色が白っぽく変わったら取り出す
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しょうゆ,砂糖,うま味調味料を入れてもう一度沸かし,浮き出てきたアクを取り5分ほど煮込む
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稲庭うどんを茹で,スープ,具材を盛り付けて完成
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実食
我ながらかなり美味しそうにできました。早速食べてみましょう。これは……好吃(ハオツー)!
本場の牛肉麺は牛バラ肉のかたまり,牛骨,牛すじで出汁を取るのですが日本では入手しづらいので,薄切り牛肉で少し出汁を取り,その風味をうま味調味料で増強しました。あえて薄切りの牛しゃぶをチャーシューのように使うことで,よりサッパリと食べられる麺料理に仕上がりました。
元々は四川料理の影響も受けているということで,豆板醤と花椒の辛さと痺れも刺激的で美味しく,紹興酒と八角の香りのザ・台湾料理とうまく融合しています。少しだけ酢やナンプラーを足しても深みのあるスープになりそうです。
稲庭うどんは台湾の麺に製法なども似ているらしいのですが、思った以上に相性が良かったです。材料はほとんどスーパーで手に入りますし、ぜひ作って食べて、ゲームの発売を待ちましょう。
今回のメニューはいかがでしたでしょうか? 実際に作った人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。前作の「魯肉飯」を作った記事も合わせてぜひご覧ください。それでは、またお会いしましょう! したっけ!
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■■大西哲也(クッキングエンターテイナー)■■
あるときは,東京都,西調布にある「料理うまいBAR COCOCORO」のシェフ,またあるときは,「COCOCOROチャンネル」のYouTuber,しかしてその実体は……,料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する,クッキングエンターテイナーだ! 大西氏が通う台湾料理点のシェフは「本格台湾料理を提供したいのに,日本人は馴染みのある麻婆豆腐や餃子しか求めていない……」と残念そうに話していたという。少しずつ認知されつつあるものの,ゲームがヒットして,もっと日本に台湾料理の文化が広まるといいですね。
※次回の掲載は2022年4月23日を予定しています