連載
俺のコラボカフェ:Menu 023 スパゲッティをひたすら叩き続けるホラーゲーム「SPAGHET」のスパゲッティを,プロが本気で再現
4Gamerをご覧の皆さん,こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。いつもご覧いただきありがとうございます。この連載で何度かチャレンジしていますが,今回は「ゲームに登場する料理のレシピをガチで研究する」というテーマでやっていこうと思います。
というわけで,料理が出てくるゲームを日々探していますが,このたびすごいゲームを発見しました。それは,Steamで配信中の「SPAGHET」というゲームです。動画投稿サイトやSNSでも話題になったこともあるので,知っている人もいるかもしれません。
このゲームは,名前の通りスパゲッティをテーマにした作品ですが,料理ゲームではありません。ではなにかというと,「自分を殺すために迫りくる怪物を回避しつつ,スパゲッティを叩いて温度を保つ」ゲームです。クリア条件はありません。ゲームオーバーになるまでの時間の長さを競うというルールです。あえてジャンル分けするのであれば「耐久タイムアタックアクションホラー」といったところでしょうか……,意味が分からないと思いますが,とにかくそういうゲームなんです,本当に。
それにしても,そのスパゲッティは誰が何のために作ったのか……そして主人公はなぜそこにいるのか,怪物は何者なのか,スパゲッティを叩くとなぜ温度が上がるのか,温度が下がるとなぜ殺されるのか,謎が謎を呼ぶ不思議な設定のゲームです。
この連載もかなりシュールだと思いますが,ゲームの世界にはさらに上をいく作品がたいくつもあるものですね。世界は広い。
このゲームのスパゲッティを見ても,かつてこの連載で作ってきた料理のように「食べてみたい!」とはならないかもしれませんが,プロの料理人でありコラボカフェ職人である私の矜持で,高い再現度かつ食べてもおいしいスパゲッティにしてみましょう。
というわけで,まずは主役の(?)スパゲッティについて検証していきます。一見,日本人にもおなじみの「ミートソーススパゲッティ」に見えるかもしれませんが,よく見ると少し特徴があります。
まず,麺の外側には若干焦げ目のようなものがついています。これは茹で上げたあとに焼いているのかもしれませんね。パスタの本場,イタリアではあまり使われない手法ですが,これはこれで,焼きそばのように香ばしくておいしそうです。
さらに,ソースはよく見るとトマト以外の具材が入っていないように見えます。なので"ミートソース"ではなく単純な"トマトソース"なのでしょう。鮮やかなレッドが暗い部屋の中で一際目立ち,なんとも言えない不気味さを醸し出していますね。
今回は「見た目はそうでもないけれど,食べたらすごくおいしい」という難しいメニューですが,丁寧に作っていきましょう!
■材料
パスタ 150g
カットトマト 1缶
玉ねぎ 1玉
バター 5g
ニンニク 1片
コンソメ 5g
塩 2g
実食
どうでしょう。なかなかの再現具合ではないでしょうか。ポイントは,パスタを茹でるときにはしっかりと塩を入れてしょっぱいお湯で茹でることです。そうすることでパスタに味がつくだけではなく,デンプン質の糊化が遅くなるためコシのある触感になります。
ソースはトマトだけでもしっかりとしたうま味を出すために玉ねぎとニンニクのエキスを抽出し,ゆっくりと加熱することで酸味を少なく仕上げています。なので,見た目以上にしっかりと美味しいスパゲティになりました。ですが,残念ながらいくら叩いても熱くはならないので,冷めて殺される前に食べきってしてしまいましょう。
今回のメニューはいかがでしたでしょうか? 実際に作った人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。あわせて,感想や作ってほしいメニューなどの意見もどうぞ。今回のレシピは「COCOCOROチャンネル」で動画の配信はありませんので,このレシピを見て作ってみてください。今年も1年間,記事をご覧いただきありがとうございました。また来年会いましょう!
■■大西哲也(クッキングエンターテイナー)■■
あるときは,東京都,西調布にある「料理うまいBAR COCOCORO」のシェフ,またあるときは,「COCOCOROチャンネル」のYouTuber,しかしてその実体は……,料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する,クッキングエンターテイナーだ! そんな大西氏にスパゲッティについて聞いてみたら,「コストパフォーマンスも良く,調理も簡単でバリエーションも豊富。COCOCOROチャンネルには様々なパスタのレシピ動画があるので,手軽にQOLを上げたい人は要チェックです」と宣伝で締められました。
※次回の掲載は2021年1月23日を予定しています
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