新作「revisions next stage」の概要が紹介された「NEXON Mobile Media Day」をレポート。アニメ「revisions」の谷口悟朗監督も登壇

　ネクソンは2019年10月23日，同社の国内モバイルゲームに関するメディア向け説明会「NEXON Mobile Media Day」を都内で開催した。本説明会では，同社のモバイルゲーム事業および主要タイトルの動向と，2019年内にサービス開始を予定しているスマートフォン向け新作ゲーム「revisions next stage」（iOS / Android）の概要が紹介されたので，本稿でレポートしよう。

アニメ版の15年後を描くタクティクスRPG「revisions next stage」

　実際の進行とは順序が前後するが，まずは「revisions next stage」のプレゼンテーションからお伝えしていこう。
　本作は1月から3月にかけて放映されたアニメ「revisions リヴィジョンズ」を原作とするもの。このアニメはコミカライズやノベライズ，Vtuberなど多方面にメディアミックス展開しているが，その製作委員会にはネクソンも参入しており，企画始動時からゲーム化を視野に入れていたという。

プレゼンを行った「revisions next stage」運用チーム プロジェクトマネージャー 加藤友秀氏

　
　アニメ版はSF，パニック劇，群像劇の要素を含む「青春“災害”群像劇」を掲げて製作された。そのストーリーは，東京・渋谷の中心部が300年以上先の未来にタイムトラベルする「渋谷時空災害」に巻き込まれた主人公達が，「リヴィジョンズ」と呼ばれる未来人と戦いつつ現代に戻る手段を探すというもの。　


　今回紹介されたゲーム版では，渋谷時空災害から15年経過した2032年の世界を描いており，アニメ版とは異なるキャラクターが登場。メインストーリーはフルボイス仕様で，主人公・法月コウを筆頭に，各キャラクターのキャストにはそれぞれ著名な声優陣を起用している。またゲーム中のキャラクターには，Live2Dによる動きのある演出が施される。


　ゲーム版の舞台は，渋谷時空災害ののち15年の間にさまざまな国や地域で都市が消失するという事態が発生したが，各国の政府がさまざまな対策を講じた結果，平和が訪れた世界。
　しかし，またいつ災害が発生するか分からないため，リヴィジョンズに対抗できる人型機動兵器「ストリング・パペット」に搭乗する「パペット・マスター」の養成機関が存在する。主人公達は，この養成機関の出身という設定である。


　ゲームの進行は，メインミッションのストーリーに沿って発生する戦闘の目標をクリアしていくというもの。戦闘はターン制のタクティクスバトルで，敵と味方の相性やスキルの効果などを踏まえながら戦術を組み立てる必要がある。
　また戦闘の目標は基本的にリヴィジョンズの殲滅だが，その他の条件達成というケースもあるそうだ。


　ストリング・パペットには行動特性を示す「クラス」と，敵との相性を示す「カラー」の概念がそれぞれ3種類ずつ存在する。


　ゲームの主なコンテンツは，メインミッションに加え「カスタマイズ」「都市」「防衛ミッション」がある。
　カスタマイズは，ストリング・パペットの6つの部位にパーツを装着していくという内容で，パーツに応じて外見と性能が変化する。なお外見の変化は，戦闘中の演出にも反映される。


　都市には，ストリング・パペットの換装やパーツのアップグレード，キャラクター育成，発電などの機能を持つ施設がある。各施設のレベルを上げると，新たな機能がアンロックされたり，機能の利用効率が上がったりしていく。
　また防衛ミッションは，襲撃してきたリヴィジョンズから都市を防衛するという内容。効率よく防衛することにより，ミッション成功時により多くのポイントを獲得可能で，プレイヤー間で総獲得ポイントを競うコンテンツとなっている。

10月25日にリリース直前特別番組「リヴィTV」が公開されることなども紹介された

　会場では，アニメ版の監督を務めた谷口悟朗氏と，アニメーション制作を担当した白組のプロデューサー・井出和哉氏をゲストに迎えたトークセッションも行われた。
　トークでは，アニメ版について，ストリング・パペットの表現や被写界深度の設定がCGアニメならではのものになっていることや，ロボットアニメというよりも群像劇やパニック劇として描くためにキャラクターの表情にこだわったことなどが紹介された。

谷口悟朗氏

井出和哉氏

　また主人公・堂嶋大介は視聴者から「ウザい」「共感できない」と評されるケースが多いのだが，谷口氏によるとNetflixでアニメ版が一挙に全話公開されることを踏まえ，「この主人公が，この先どうなるのか」と興味を惹くように敢えてそう設定したという。
　加えて昨今流行りの，周囲の女性キャラ達が主人公に好意を抱く，いわゆるハーレム展開にすることもできなくはなかったが，アニメ版は世界展開を視野に入れていたため，まっとうなドラマ作りを心がけたそうだ。

　ゲーム版において，谷口氏は世界観の監修を担当。渋谷時空災害のあと，世界各国が「日本が未知の兵器を開発したのではないか」と疑いを持ち，国連を通して査察を申し込んだ，渋谷が時空災害の研究材料になっているといったアイデアを提供したという。

　一方，白組はゲーム版のオープニングアニメを担当。井出氏によると，ゲーム版のストーリーは主人公の法月コウとヒロインの水瀬月咲を中心に描かれていくため，2人を前面に打ち出しているとのこと。またストリング・パペットのデザインも，アニメ版の展開を踏まえて，少し変えているのだとか。

　
　また両氏はすでに開発中のゲーム版をプレイしているとのことで，井出氏はアニメ版とのキャラクターの描き方の違いを指摘した。それによると，アニメ版では渋谷が突如時空災害に見舞われるため，各キャラクターは基本的にパニックに陥っており，各自の素の性格をなかなか描けなかったが，ゲーム版では皆が時空災害とは何かを知っているため本来の姿を表現できているとのこと。井出氏は，とくに響みかのコミカルな側面がお気に入りだと話していた。

　谷口氏は，「主人公だけあって，法月コウがどんな状況でも使いやすい」とプレイフィールに言及。そのほかのキャラクターも基本的には使いやすいが，中村英知だけはすぐに倒されるそうで「私のプレイのせいもあるだろうが，もう少し何とかしたい」と語った。
　なおゲーム版のプロジェクトマネージャーを務めるネクソンの加藤友秀氏によると，以前の中村英知がかなり強かったため，調整した結果，今の状態になっているとのこと。今後も最善のバランスを目指して調整を重ねていくという。


　アニメ版とゲーム版の主人公の違いについて問われた谷口氏は，「いい意味で違うタイプ」とし，「法月コウのほうがリア充。内山昂輝君が演じた堂嶋大介とは違う主人公像を，花江夏樹君が確立してくれた」と，キャストの重要性を指摘した。
　また加藤氏は，アニメ版とゲーム版で主人公が同じ性格では面白くないので，敢えて変えたと説明。さらに響みかについても，基本的にはいじられキャラだが，ストーリーを進めていくうちに感動的なエピソードが登場することを明かした。

　さらに谷口氏は，ゲーム版の序盤で丁寧に説明がなされるため，アニメ版を観ていなくとも楽しめると発言。またプレイに関しても，何をすればいいかを直感的に理解できたり，少しストーリーを進めるだけで仲間が増えていったりと，ストレスなく遊べると感想を述べた。
　井手氏は，ストリング・パペットを強化していく点について「メカ好きにはたまらないのではないか」とし，「ストーリーも重厚で，主人公とヒロインがこの先どうなるか楽しみ」と語っていた。

　トークの最後には，谷口氏と井出氏が「revisions」のプロジェクトについて，アニメ版やゲーム版，ノベル，コミックなどどこから入っても楽しめる作りになっていることを改めて紹介。
　また加藤氏も「ゲーム版のリリースまで，まだ少し時間があります。この機会に，ぜひアニメ版を観てストーリーを理解しておくと，よりゲーム版を楽しめます」と話していた。

2019年度のモバイルゲーム事業は「メイプルストーリーM」で過去最高の売上に

　ネクソンのモバイルゲーム事業および主要タイトルの動向のプレゼンでは，最初に2019年1月から9月の期間中，新たに月間売上ランキングTOP100入りした25タイトルが示された。その内訳はIPタイトルが16，非IPタイトルが9，リリース後1か月でTOP50に入ったタイトルを見ると，IPタイトルが10，非IPタイトルは1となっており，ここ数年の傾向同様，アニメやコンシューマゲームなどのIPを使ったタイトルが強いことが読み取れる。

プレゼンを行ったネクソン モバイル事業本部 本部長 キム・キハン氏

　とくにネクソンでは，期間中新たにTOP100入りしたタイトルの中に，モバイルMMORPGが5つあることに注目しているという。MMORPGは同社の強みとなっている分野であり，有利な状況と捉えているそうだ。


　続いて，2019年のネクソンの国内モバイルゲーム事業の振り返りがなされた。2019年は「DarkAvenger X」（iOS / Android），「メイプルストーリーM」（iOS / Android），「ゴジラディフェンスフォース」（iOS / Android），「ArkResona」（iOS / Android）の4タイトルが順次リリースされた。
　そのうち「メイプルストーリーM」は，実績面において同社国内モバイルタイトル最高の出足を記録したとのこと。その結果，四半期ごとの売上において2019年第2四半期は過去最高を記録。また年度ごとの売上においても，2019年度は第3四半期の時点で最高売上を更新した。


　新規タイトルのうち「メイプルストーリーM」では，事前登録期にPC用MMORPG「メイプルストーリー」のプレイヤーに向けた施策を展開。その結果，App StoreとGoogle Play双方の無料ゲームランキング1位，App Storeのゲームセールスランキング4位，リリース後1週間で100万ダウンロード突破という実績を残した。


　またリリース後には，女優の池間夏海さんを起用したものなど全5パターンのテレビCMを放映。さらにゲーム内でも，人気のアニメIPとのコラボレーションをほぼ毎月開催したり，10月にはハーフアニバーサリーと題した一連の企画を展開したりしている。


　同じく新規タイトルの「ArkResona」は，リリース後1週間で30万ダウンロードを記録したが，事前登録期には主要キャラクターのキャストを当てるTwitterキャンペーンなど，キャラクターに主眼を置いた施策を展開。またリリース後には，キャラクターソングを収録したCDをプレゼントするキャンペーンも行っている。


　継続して運用しているタイトルのうち「OVERHIT」（iOS / Android）は，プレイヤーをサポートする「バディ」や新武器，新育成システム，高難度コンテンツなどを投入。また5月には1周年記念キャンペーンを行った。さらに8月には初音ミクとのコラボを実施した。

5月にリリースされたグローバル版「OVERHIT」が，韓国版を大幅に改修した日本版をベースにしたことも紹介された

　同じく運用中の「FAITH」（iOS / Android）では，新コンテンツの投入に加え，アップデート時のメンテナンス時間に本作の情報を紹介する小規模生放送「ふぇいちゃん みに」の配信をスタート。
　また8月に実施したアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」とのコラボ期間中は，実施直前と比較して最大1.9倍のDAU（1日あたりのアクティブユーザー数）を記録したという。

11月に1周年記念大型アップデート「覚醒」に向けて準備を進めていることも紹介された

「revisions next stage」公式サイト