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    新作「アークナイツ」(明日方舟)の世界を創り上げているのはどんな人たち? Hypergryphの海猫氏と唯氏がゲームに込めた想いとは
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    印刷2019/10/29 18:00

    インタビュー

    新作「アークナイツ」(明日方舟)の世界を創り上げているのはどんな人たち? Hypergryphの海猫氏と唯氏がゲームに込めた想いとは

     中国Yostar社のCEO 姚蒙(Yao Meng)氏,Manjuu社の専務取締役社長 林 書茵(リン・シュイイン)氏に続いて今回お届けするのが,スマートフォン向け新作アプリ「アークナイツ」(中国名:明日方舟。iOS / Android)のデベロッパであるHypergryph社インタビューの内容だ。

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     インタビューに応えてくれたのは,UIや世界観の構築を担当しているプロデューサー 海猫氏と,キャラデザインやテキストなどクリエイティブ全般の監修を行うアートディレクター 唯氏である。Hypergryphを設立してから約2年後にリリースし,あっという間に中国でヒット作となった「アークナイツ」の生みの親たちは,一体どんな人物なんだろうか。

    海猫氏は「ドールズフロントライン」(旧名:少女前線)の元アートディレクターとして日本でもよく知られているだろう
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    ライトノベルの挿絵やソーシャルゲームのカードイラストなどを数多く担当している唯氏もその名を知る人は多くいるはず
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    “ケモミミ”が生えている理由はシンプル


    4Gamer:
     本日はよろしくお願いいたします。まずは会社の設立あたりからお聞かせいただきたいです。そもそも会社の設立と「アークナイツ」の開発はどちらが先にスタートしたんでしょうか。

    海猫氏:
     独特のゲームを制作したいとは会社ができる前から思っていましたが,振り返ってみれば,設立も開発も同時期にスタートしてますね。

    4Gamer:
     会社を立ち上げる時点ですでにYostarと絡んでいたんでしょうか。

    海猫氏:
     会社の設立前からYostarの一部スタッフとプライベートで長い付き合いがありまして。

    4Gamer:
     純粋な疑問なんですが,設立当時はYostarのほかに選択肢がなかったんですか?

    海猫氏:
     いえ,もちろんパブリッシャはいろいろなところを検討しました。それでもYostarは,業界の中でもユーザーのあいだでも評判が良かったので,組むことに決めたという感じです。

    4Gamer:
     HypergryphにはYostarの資本が15%入っていますよね。日本で15%っていえば,ほとんど発言力がありません。それなのにYostarとHypergryphはとても仲が良いですし,結びつきの強さを感じます。

    海猫氏:
     資本云々はそこまで気にしないかもしれません。ベンチャー企業は互いに信頼しつつ,実力を認め合って仕事ができたら良いという考えが根幹にありますね。

    4Gamer:
     なるほど。ゲームについても,さっそく聞いていきたいと思います。「アークナイツ」のビジュアルを見て誰もが真っ先に思うのは,なぜ“ケモミミ”が生えているのかという点です。これは単純に海猫氏の好みや趣味が反映されているんですか?

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    海猫氏:
     はい。自分の好みを反映しています。ケモミミが好きです。

    4Gamer:
     ケモミミが生えている理由は,ゲーム内ではどのように説明されているんでしょうか。

    海猫氏:
     まず「アークナイツ」の世界に私達のような普通の人間はいません。ゲーム内においては,ケモミミの生えている人種が普通の人間なんです。キャラにはそれぞれテーマとなった動物が存在していて,これはキャラの多様性をより深く表現するためでもあります。

    4Gamer:
     えっ,では主人公(プレイヤー)も私達のような普通の人間ではないんですか?

    唯氏:
     それは言えません(笑)。

    4Gamer:
     ええっ! では質問を変えて,主人公はどのような役割になるんでしょうか。

    海猫氏:
     ゲーム内では「ドクター」(博士)と呼ばれます。プレイヤーが感情移入しやすいように,顔のグラフィックスもないほど彼自身の情報は極力薄くしています。キャラ達にとっては戦場における知恵袋のような存在ですが,キーパーソンとして今後活躍させていこうかなとは考えています。

    4Gamer:
     その一方で「アークナイツ」のキャラ達はなぜ戦っているんでしょうか。

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    唯氏:
     生きるためです。

    4Gamer:
     それは資源や物資が乏しいから,奪い合うためにですか?

    唯氏:
     それも理由の一つにはなっています。キャラによって大義のためだったり,ただ面白いからという理由だったり,そのあたりは複雑な人間性を反映できるように描きたいと考えています。

    4Gamer:
     主人公のもとにキャラ達が集まってくるのはどういった理由からなんでしょうか。

    海猫氏:
     ゲームの世界で“鉱石病”という不治の病気に感染した者は,健常者達の社会から迫害され,とても弱い立場にあります。主人公率いる「ロドス」という組織が,表向きは製薬会社でありながらも,そんな感染者達を保護しているんです。

    4Gamer:
     ということは,主人公の仲間はみんな「ロドス」に逃げ込んできたキャラということですか?

    海猫氏:
     そうとは限りません。生き延びるために「ロドス」に来た人もいれば,この組織は面白い! と言って,興味本位から加入した者もいます。

    4Gamer:
     各キャラのサイドストーリー的なものは用意されているんでしょうか。

    海猫氏:
     各キャラにプロフィールが存在していて,好感度の上昇に応じてキャラ固有のストーリーが徐々に見られます。

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    4Gamer:
     例えば,主人公が最初に出会う少女「アーミヤ」はどんな子なのかを教えてください。

    唯氏:
     「アーミヤ」の見た目は可愛らしくて明るい女の子ですが,とても重い使命を背負っています。理想と現実のあいだで選択を狭まれており,複雑な悩みを抱えています。

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    4Gamer:
     なんだかお話を聞いていると,とにかく暗いんですが……。

    海猫氏:
     ゲームの世界観は自然災害が背景となっていますので,現実よりも厳しい環境にあります。そんな中,感染者を助けても意味がないかもしれないのに,とても理想的な考えを持つ「アーミヤ」は,その理想のために助けることを選び取れるというキャラです。

    唯氏:
     現実は残酷かもしれませんが,生きているという美しさも実感してもらいたいという想いを込めてシナリオも作っています。

    4Gamer:
     ストーリーにはちゃんと終わりがあるんですか?

    唯氏:
     エンディングは迎える予定ですが,まだプロットの段階なので,これからどうなるかは分かりません。

    4Gamer:
     それは変わる可能性があるってことですよね。

    海猫氏:
     できれば変えたくはないですね。

    4Gamer:
     ではどう描き切りたいかは制作者の中にキチンとあるんですね。

    海猫氏:
     必ずしもエンディングですべてを描き切れるとは限らないので,各チャプターで自分が表現したいものをプレイヤーに届けられたらいいなとは思っています。

    4Gamer:
     中国ではサービス前に何度かテストも行われていましたが,あれらのテストを経てどういったところを改善したんでしょうか。

    海猫氏:
     テストでは,タワーディフェンスというゲームシステムをいかに理解してもらえるかが課題の一つでした。タワーディフェンス経験者からすれば物足りなく,反対に未経験者からすると非常に難度が高いとされたので,そういった部分のバランス調整が大変でしたね。

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    4Gamer:
     タワーディフェンスがすごく苦手な人でも,時間かお金で解決できますか?

    海猫氏:
     時間やお金をかけることで,もちろんそれ相応の報酬は獲得できますし,難しいステージをクリアしやすくなるということはあると思います。ですがストラテジーゲームとして,より良い戦略を考え,何度もトライアンドエラーを繰り返し難関を突破することにこそ,本作の面白さはあると思います。

    唯氏:
     タワーディフェンスのいいところは,例えば攻略者の動画をそのままお手本にしても,クリアできるという点です。タワーディフェンスの経験/未経験,そして時間やお金を問わずゲームを楽しめるように工夫しているので,このゲームを遊べば誰でも幸せになれると思います。

    4Gamer:
     タワーディフェンス未経験者からすると,結構複雑なゲームシステムに思えるかもしれませんが,中国ではわりと平然と受け入れられているんですね。

    海猫氏:
     新規のシステムを今後追加するためにも,ちゃんとプレイヤーが分かるようにチュートリアルを用意しています。

    4Gamer:
     中国のプレイヤーはチュートリアルを見てくれるんですか?

    海猫氏唯氏:
     (互いに顔を見合わせながら)見ないですね……(笑)。

    4Gamer:
     すみません,実は私も結構飛ばすタイプの人間です。

    海猫氏:
     現状なるべくチュートリアルっぽくならないように仕込んでいます。

    4Gamer:
     それは嬉しいです! ストーリー上の演出であれば,つい飛ばさずにやっちゃいます。


    必ずしも暗い話というわけではありません


    4Gamer:
     ところで,いまおいくつなんですか。

    海猫氏:
     28歳です。

    4Gamer:
     28歳にしてそこまで表現力を追求されているんですね。

    海猫氏:
     友人とチームのおかげです。チームメンバーと考えが共通しているので,今できていることは周囲の助けがあってこそです。

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    4Gamer:
     何年くらい前からゲームを作っているんですか。

    海猫氏:
     大学院を卒業してからなので,4年前ですね。

    4Gamer:
     大学生の頃から「俺はゲームを作るんだ!」とお考えでしたか?

    海猫氏:
     ゲームを作りたいという夢は持っていましたが,当時は環境がそこまでよくありませんでした。そのためずっとイラストレーターとしてゲーム制作に関わっていました。

    4Gamer:
     ちなみに世界観と絵って,どっちを先に作るんですか。絵を描いてから世界観を作るのか,それとも世界観を作ってから絵を描くのか。

    海猫氏:
     同時に作っていますね。

    4Gamer:
     暗い話になりがちなのは,中国の皆さんが考えるリアルってのが,つらく悲しいものだからなんでしょうか。

    海猫氏:
     国というより,どちらかというと個人の環境が反映されています。子供の頃はすごく大きい理想を掲げていますが,成長につれて現実という壁にぶつかって,挫折を味わうことがほとんどです。そういったことが反映されていますね。

    画像集 No.030のサムネイル画像 / 新作「アークナイツ」(明日方舟)の世界を創り上げているのはどんな人たち? Hypergryphの海猫氏と唯氏がゲームに込めた想いとは

    唯氏:
     人生それぞれにいろんな色があると思うので,必ずしも暗い話だけではないです。明るい話も入っていて,さまざまな経験が反映されています。本当に映したいのは多様性なんです。

    4Gamer:
     なるほど。そもそも明日方舟というタイトルがダブル・ミーニングで,希望に満ちている,世界の終わりを示している,どちらの意味にも受け取れますよね。制作者的にはどっち寄りなんですか?

    海猫氏:
     最終的には希望が勝ちます。

    4Gamer:
     それを聞いて安心しました。


    あれ,やっぱり暗い話が好き?


    4Gamer:
     好きなゲームを聞かれたらどんなタイトルを挙げるんでしょうか。

    海猫氏唯氏:
     (口を揃えて)「ハーフライフ」です。

    4Gamer:
     なんかシブいものが好きですね……!

    海猫氏:
     私自身が欧米ゲームの影響を強く受けているというのもありますが,Valveのゲームが全般的に好きなんです。かなり暗い世界観なのにユーモアを見つけ出せるので,そういうところに惹かれるんですよ。

    唯氏:
     Valveの作品もかなり芸術性が高いです。

    4Gamer:
     言わんとされていることはなんとなく分かります。最近遊んでいるゲームはないんですか?

    海猫氏:
     最近は「ファイアーエムブレム 風花雪月」にハマっています。

    唯氏:
     私もです。

    4Gamer:
     中国の皆さん本当に遊んでいらっしゃいますよね。最初の学級はどれを選んだのかもついでにお聞かせください。

    海猫氏:
     黒鷲の学級(アドラークラッセ)です。

    唯氏:
     私も黒鷲の学級ですね。

    4Gamer:
     私も黒鷲の学級でした。

    海猫氏:
     私はほかにも小島監督の作品が好きですね。

    4Gamer:
     Valve作品,FE,小島監督作品と基本暗い話のものばかりじゃないですか!


    プレイヤーの要望と制作者の表現したいことが食い違ったらどうしますか


    4Gamer:
     中国でサービスが開始され,制作者としてはリリースできてホッとされているのか,それとも一層プレッシャーを感じていらっしゃるのか。心境的にはどちらでしょうか。

    海猫氏:
     一層プレッシャーを感じているほうです。

    4Gamer:
     現状,プレイヤーの皆さんの反響はどのように届いていますか。

    海猫氏:
     良い反応をいただいていますが,アップデートが遅い,ボリュームが少ないといった声も届いています。こちらも開発をスピードアップしつつ,あらかじめ新規の内容を予告するなどし,いろんな運営手段をとってプレイヤーに期待感を持たせている状態です。

    画像集 No.027のサムネイル画像 / 新作「アークナイツ」(明日方舟)の世界を創り上げているのはどんな人たち? Hypergryphの海猫氏と唯氏がゲームに込めた想いとは

    4Gamer:
     アップデートを望む声はやはりストーリーの続きが気になるからですよね?

    海猫氏:
     続きが気になる人もいますし,新しいキャラを見たい人もいますし,もっと育成をしたいという人もいます。

    4Gamer:
     アップデートのペースってどれくらいなんですか。

    海猫氏:
     現状は1か月半ごとで新規のキャラは4人くらい入りますが,これを毎月の頻度で行えるように調整しているところです。

    4Gamer:
     もうお時間のようなので,最後にもう一つだけ教えてください。プレイヤーの声と制作者側が表現したいことが食い違ったとき,どちらを優先するんですか?

    海猫氏:
     判断基準となるのは,プレイヤーのモチベーションが長続きするかどうか。長期的に考えてプレイヤーの体験をより良いものにできるかが一番大切だと思っています。この基準の前では,制作者側の考える正しいかどうかは関係なくなります。

    4Gamer:
     とても聞きたかったことがそのまま聞けました。日本でのサービスを楽しみにしています! 本日はありがとうございました。


    ―――2019年7月31日収録


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