インタビュー
「FFBE 幻影戦争」3周年インタビュー。アムネリス実装やグラセラ人気,開発時は“幻影戦争じゃなかった”という裏話も
今月は3周年記念として,最大300連分の無料10連召喚キャンペーンをはじめ,「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」コラボで“セフィロス”と“ユフィ”を実装するなど,さまざまな施策が行われる。
そこで今回,FFBEシリーズの仕掛け人である広野 啓氏に加え,運営プロデューサーの中井和秀氏,運営ディレクターの小倉悠吾氏にインタビューしてきた。ついに実装される謎の女性「アムネリス」や,ファン人気が高いグラセラの行く末,開発時の裏話も盛りだくさんだ。
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思えば大きな路線変更もあった3年間
4Gamer:
幻影戦争の3周年おめでとうございます。今日はお三方ということで,まずはそれぞれの役割についてあらためて教えてください。
広野 啓氏(以下,広野氏):
あらためまして,幻影戦争プロデューサーの広野 啓です。
私は「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」(以下,FFBE)」を含む,シリーズプロデューサーも務めています。
中井和秀氏(以下,中井氏):
運営プロデューサーの中井です。
僕は去年のサービス2周年を機に「運営プロデューサー」に就任しまして,おもにユーザーコミュニケーションやコミュニティでの施策全般,皆さまのお声を運営に反映する,といったことを担当しています。
小倉悠吾氏(以下,小倉氏):
運営ディレクターの小倉です。私は開発段階から約4年半,ゲーム全体の運営・開発方針やストーリーまわり,ゲーム内のクリエイティブの決定事項に携わってきました。
4Gamer:
3周年ではついに,幻影戦争の世界の真相を匂わせ続けていた謎の女性「アムネリス」が実装されるということで。
こちらはどのような経緯で登場させることにしたのでしょう。
広野氏:
アムネリスの存在は,もともとはFFBEに登場させるつもりだった大陸「アードラ」(幻影戦争の舞台)にひも付いていて,昔から構想はありました。「ギルガメッシュ」とも深く関わりがある人物です。
4Gamer:
アムネリスはギルガメッシュと意味深な関係ですよね。
広野氏:
時間軸としては,幻影戦争はFFBE本編の約1000年前という設定ですので,劇中のアードラにいるキャラクターたちは,FFBEとの直接的なつながりをほとんど持ちませんが,アムネリスとギルガメッシュは,この2作品にそれぞれつながりのある人物として描いてきましたからね。
4Gamer:
一方,ギルガメッシュは早期に実装されましたが,アムネリスは3周年までおあずけとなり,「ようやく」な印象があります。
中井氏:
アムネリスがずっと“謎の女性”という名で描かれていたからです。ギルガメッシュとの関係性は見えているものの,劇中での動向からしてまだまだ謎めいた立ち位置だったところ,物語の事情も加味して,このタイミングでようやく登場させようとなったわけです。
広野氏:
幻影戦争はリリース時点で,ストーリー第1部の内容を終幕まで決めていたんですが,当時プレイヤーの皆さまから「物語が分かりにくい」という声が寄せられていたのと,結末に至るまでに話が膨らんできてしまったのとで,登場を先延ばしにしていたんです。当初なんて,インタールードもアナザーストーリーも作る予定がなかったくらいですし。
小倉氏:
ストーリー第1部は群像劇として,さまざまな登場人物の視点で物語を追っていったのですが,視点の切り替えが多く,またシーンごとの時系列も前後したり,単純に場面転換も多くなっていたりして,プレイヤーの皆さまに分かりづらさを与えてしまったんです。
広野氏:
一気に遊ぶと把握しやすいものの,幻影戦争のストーリーは毎月2回更新でしたし,細かいことを忘れてしまうんですよね。
総じて物語作りが複雑だったんですよ。
小倉氏:
そういう,今は誰の場面で,どこでなにをしているのかが分かりにくいうえに,世界観の風呂敷も広げていたので,第2部からは皆さまの意見を踏まえて“場面転換を控える方針”にしました。その結果,「ストーリーが読みやすくなった」という声をいただけるようになりました。
広野氏:
実際,ストーリー制作の路線変更は幻影戦争の大きなターニングポイントとなって,我々自身も大きく手応えを感じられましたし。
中井氏:
僕はリリース後にアサインされた身なので,アムネリスに関しては「謎の女性」というワードが出たころからの付き合いですが。
そういった状況でも人気投票を実施すると,票の入れ先に「謎の女性」がないと,少なくない数の人たちから「謎の女性いないじゃん!」という意見をもらって,彼女の人気の高さを実感していました。
それほど高人気な謎の女性でしたが,急に誰かさんがまるで予定していないのに「アムネリス」という名を皆さんの前でポロっと言ってしまい,名前が広まってしまったんですよね(笑)。
広野氏:
口の軽い人がいたもんです。
中井氏:
そんなわけで,期待に応えるべくアムネリスを3周年のタイミングで実装することになりました。単純に,ようやく劇中でも活躍させられる段階にきたので,動向に合わせての展開でもあります。
4Gamer:
アムネリスに関するインタールードも,人気の高さから描かれることになったんでしょうね。彼女やギルガメッシュはFFBEともつながる重要人物でしょうが,出自に関して話せることはあるのでしょうか。
広野氏:
幻影戦争の舞台はFFBEの約1000年前,アムネリスやギルガメッシュがアードラにいるのは本来辻褄が合いませんが,なぜか2人がそこにいる。その理由は劇中に登場する「古代の遺物」がヒントになります。
遺物は現状,アードラでは加工も破壊もできず,装飾して活用することしかできない,オーバーテクノロジーの物体として描かれていますが,そんな遺物や2人が突如として過去の世界に現れた。
この点を覚えておくと,今後の考察がしやすいかもしれません。
4Gamer:
アムネリス以外にも,人気の火が着いたことで,想定以上に風呂敷を広げてしまったキャラクターなどはいましたか。
広野氏:
やっぱり「グラセラ」ですよねえ。彼女は登場前から好評をいただいていましたけど,実装後も熱が落ち着くでもなく,ずっと人気でい続けるという非常に珍しい人気キャラクターですので。
中井氏:
人気投票では何度も1位を獲得してます!
広野氏:
第3部の冒頭でマシュリーの結婚式を描き,運営側としても「ヒロインはマシュリーです!」と公言しているんですが,それでもグラセラ人気はまったくおとろえることなく続いているようで(笑)。
もはや,マルチバースでも作って“グラセラを正妻としたIFの物語”を書かなきゃならないかと思っているくらいです。ただ,ほかにも「シュテルが王位を継承したら?」といった構想も面白そうなので,そのうちIFルートに絞ったショートストーリー群とかもやってみたいです。
4Gamer:
現状,正史上のグラセラの行く末を気にしている人は多そうです。
広野氏:
とりあえず,新キャラクターとグラセラをくっつける,といったことはしないつもりです。それをするなら王家中心の戦争時代という舞台を生かして,現実の歴史に則して(主人公の)多妻制にしますよ。
とは言いつつ,グラセラの今後についてはすでに決まっていて,第4部で“彼女にまつわる展開”を描いていくつもりです。
4Gamer:
ほかにも3周年だからこそのお話はありますか?
広野氏:
幻影戦争の制作で意識したのはやはり「タクティクスオウガ」と「ファイナルファンタジータクティクス」です。
ですから当初は,そういった作品へのリスペクト要素を「プレイヤーさんに気付いてもらえればうれしいな」と思っていましたし,幻影戦争のさまざまな小話に関しては,10周年を迎えたときにでもあらためて明かしたいと画策しています(笑)。
中井氏:
現状のストーリーラインは第3部で一区切りをつけるので,第3部終了時点で明かせることもあるかもしれませんけどね。
広野氏:
あっ,3周年だから言えることだと,タイトル名の成り立ちですね。
実はこの作品,もともとは“幻影戦争”といった日本語表記をいっさい使うつもりがなくて,グローバル展開も意識していたことで,タイトルはシンプルに「VISIONS WARS」にする予定だったんです。
4Gamer:
「Civil War」のような?
広野氏:
そうそう,「IRON MAN」とか「Doctor Strange」とか。
マーベル作品のシンプルな名付けのイメージです。
※映画「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」「アイアンマン」「ドクター・ストレンジ」など,シンプルなイメージの意
4Gamer:
それがまさかの「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」に。
広野氏:
ええ,海外スタッフから「VISIONS WARSはダサい」とバッサリ言われて(笑)。受け取り方の感性が違ったんでしょうね。
そこで再考し,まずは「WAR OF THE VISIONS」になりました。これは「ロード・オブ・ザ・リング」や「ゲーム・オブ・スローンズ」など,先達の人気長編ファンタジー作品に「OF THEの熟語が付いてるじゃん」とあやかったものです。ただ,英名だけだと今度は日本市場で分かりにくいとなり,最終的に幻影戦争の4文字熟語などを追加したという。
4Gamer:
当初から海外意識が強めだったんですね。ビジュアルなどのデザイン的には,日本向けな印象がけっこうありましたが。
広野氏:
そこも実は方向転換があって,幻影戦争は開発当初,線の少ない海外アニメーションのようなデザインにする予定で,物語のシリアスさを,柔らかいデザインで緩和しようとしていたんです。
そしてモック版まで作ったある日,皆葉英夫さん(CyDesignation代表取締役。幻影戦争のキャラクターデザイン担当)から「これどうですか」と,レインのイラストを見せてもらう機会があって。
そのときのレインがあまりにすばらしく思えたので,開発途中でキャラデザインを総取っ替えすることにしたんですよね。
4Gamer:
それはまた,一大決心でしたね。
広野氏:
幻影戦争の企画時,皆葉さんには一度お声がけした経緯があって,そのときはスケジュール的に難しそうな反応だったんです。
でも,イラストの雰囲気がうちのアートディレクターも含めて満場一致で「これだ!」だったので,どうにかお願いすることになりまして。おかげさまで今の幻影戦争があるんです。
4Gamer:
続いて,3周年施策についても教えてください。
中井氏:
アムネリスの実装をはじめ,「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」とのコラボや「最大300連分無料10連召喚」など,過去最高の豪華キャンペーンを行います。
今回の周年は“みんなでお祝いする”をコンセプトに,現在プレイしてくださっている方々はもちろん,幻影戦争から離れていた方々もそう,新規プレイヤーの方々であれば“最大500連無料”と大奮発していきますので,周年をきっかけに遊んでもらえたら幸いです。
小倉氏:
「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」の見どころとしては,追加エピソードの主人公「ユフィ」はもちろんですが,とくに「セフィロス」がすごいです。
彼の造形やモーションには特別に力を注ぎました。
中井氏:
例えば,幻影戦争の戦闘ユニットは「HPが0になったとき,叫びながら倒れる」のが一律の戦闘不能モーションですが,セフィロスが地面に倒れるイメージはFFVII Rファンにもないはずでしたから,彼だけは特別に「戦闘不能時に,地面に膝をつくだけ」だったりと,謎めいた雰囲気に見合うように細部を別規格で作り込んであるんです。
しかも,セフィロスはコラボユニットとしてはサンクレッド以来の“コスト100ユニット”ですので,ゲーム攻略的にもさまざまな使い道があると思います。
4Gamer:
それでは最後に一言ずつメッセージをください。
中井氏:
幻影戦争のリリースから先,世の中の情勢もだいぶ移り変わってきましたが,今後は親善大使などを通じてさらに盛り上げていきます。またコミュニティの方針としても“プレイヤーの皆さま同士がつながっていけるお手伝いをしつつ,そこに運営が関わっていく”といったやり方を模索中です。今後とも,皆さまと一緒に盛り上がっていけたらうれしいです。
小倉氏:
3年間,幻影戦争を遊び続けてくださっている皆さまには感謝しかありません。これからもゲームを楽しんでもらえるよう尽力しますので,厳しい声ともども,励みにしてがんばっていくつもりです。
引き続き,どうぞよろしくお願いいたします。
広野氏:
本当にあっという間の3年間でした。幻影戦争のリリース時は,世間がソーシャルディスタンスの時代に突入し,情勢的にプレイヤーの皆さまとの距離感をつかむことができず,リアルの声を聞いたり,運営チームの思いを伝えたりも困難で,歯がゆいことが多々ありました。
しかし,その情勢も徐々に変わりつつあるので,この3周年をきっかけに新たなつながり方として,幻影戦争について皆さまと,あるいは皆さま同士が語り合える機会の提供なども考えていきます。
本作から離れている方々が戻ってきやすい,かつ遊び続けてくださっている方々にもっと楽しんでもらいやすい,より良いゲーム体験をしっかりと提供していきますので,今後ともよろしくお願いいたします。
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