プレイレポート
骨太な新作JRPG「最果てのバベル」先行プレイレポート。魅力的な世界設定と物語が想像力を刺激する
シナリオに野島一成氏(代表作「ファイナルファンタジーVII」「Dragon's Dogma Online」など),サウンドに崎元 仁氏(代表作「ファイナルファンタジーXII」「伝説のオウガバトル」など),コンセプトアートにINEI(コンセプトアートのスペシャリスト企業)と,名立たるクリエイターを起用し,その独創的な設定やストーリーで注目を集める本作。今回,開発版をプレイする機会を得られたので,インプレッションとともにゲームの概要をレポートしよう。
「最果てのバベル」公式サイト
外界と隔絶された階層都市“バベル”から
自由を手にした少年が今旅立つ
本作は,“ストーリーを楽しむこと”にかなりのウェイトが置かれたタイトルだ。ジョブによるキャラクター強化や陣形システム(詳しくは後述)によって戦略性の高いバトルを実現しているため,PvPなどのマルチプレイモードが盛り込まれても面白そうではあるが,今回遊べた範囲では,ソロプレイで物語を進めていく“王道RPG”という印象を受けた。
高い岩壁に囲まれた森の奥深くにそびえる巨大な階層都市“バベル”。文明を失いかけた人間が住み着き,ゆるやかに死に向かいつつあるとされるその街の高層部(隔離層)に,17歳の少年ライは暮らしていた。生まれたときから部屋に閉じ込められ,一度も“外”の賑わいに触れずに育ったライの胸裡には,“自由”への強い憧れがあった。
塔紀1119年――ライはとある事件をきっかけに部屋の外へ飛び出し,1人の少女と出会う。隔離層の“鳥籠”に幽閉されていた少女マイリージャとの出会いは,ライに世界を翔ける翼を与えた。そして二人は,己を待つ運命へ向けて羽ばたき始める。
本作の舞台はどのような歴史を抱えた世界なのか。人々が押し込められた階層都市バベルとは一体どんな建造物なのか。そして,主人公ライやマイリージャはなぜ隔離されているのか。導入部で詳細が語られることはなく,多くの謎をはらんだまま物語は始動する。プレイヤーはほとんど情報を持たずに作品世界に放り込まれるのだが,謎が多いからこそ想像はとめどなく広がり,これから先,壮大なストーリーが展開されるのだろうと期待を抱かされる。
■クエストを解決するごとに広がる冒険の世界
主人公ライが仲間とともに世界を巡る物語の本編は,“メインストーリー”のクエストを達成することで進行する。メインストーリーは一本道で,塔内や森などのフィールドには凶暴な敵が出現。一行は探索とバトルを経て成長し,個々/全体の戦闘力が増すにつれて行動範囲が広がっていくという,オーソドックスなスタイルのRPGだ。
無駄のないチームプレイで勝利をつかめ!
時間無制限のコマンドバトル
バトルは,フィールド移動中にランダムエンカウントで発生し,ターン制のコマンド選択形式で攻防がくり広げられる。時間制限は設けられていないため,ゲーム,RPG初心者でもじっくりと戦略を練りながら戦えるだろう。
■敵を“ブレイク”してラッシュをかけろ!
敵にはHPゲージのほかに“ブレイクゲージ”が設定されている。ブレイクゲージは攻撃を当てるごとに溜まり,ゲージが満タンになるとその敵は“ブレイク”状態になる。ブレイクした敵は,こちらの攻撃によって受けるダメージが通常より増加するのだ。
これが本作のバトルの特徴であるブレイクシステムで,とくにHPが多いボスクラスとの戦いでは,相手をいかに効率よくブレイクし,ブレイク中にどれだけラッシュをかけられるかが勝利のポイントになる。
キャラクター/パーティの戦力を決めるのは
“ジョブ”の組み合わせと“陣形”の選択
パーティに組み込めるすべてのキャラクターは,ジョブを3つまで装備することができる。ジョブはキャラクターの能力を底上げしたり,スキルを使えるようにしたりするもので,装備品のように自由に付け替えが可能。その組み合わせによって,能力やスキルのカスタマイズが行えるのだ。
装備を変更するだけで能力/スキルをガラリと変えられる本作のジョブシステム。キャラクターの強化手段としては手軽で自由度が高く,それゆえに,キャラクターやジョブが増えれば増えるほど頭を悩ませることになりそうだ。全体的な性能は低いがオートスキルが優秀なのでSupport用にキープ,といった賢い“やりくり”も可能で,何よりもプレイヤーの才覚が試される要素と言えるだろう。
■“陣形”を切り替えてキャラクターの個性を引き出そう
パーティを構成する4人のフォーメーション(配置)は,プリセットの陣形から選んで決める。陣形で注目すべき点は3つで,“物理ダメージ倍率”と“敵からのターゲット率”,そして“陣形特性”だ。その陣形にするだけでメンバー全員が何らかの恩恵を受けられる陣形特性はとくに重要。特性の内容は陣形によってまるで異なるため,ボス戦など重要なバトルの前にはどれがベストかをその都度判断するといいだろう。
陸の孤島として森の奥にそびえる高い塔。“死”の兆候として塔内部に頻発する異変。階層都市を支配する不透明な政治。何らかの理由で外界と隔離された少年と,彼が出会う“鳥籠”の中の少女――。
冒頭から怒涛のごとく押し寄せるミステリアスな展開がプレイヤーを惹き付ける本作は,“物語の力”で真正面から勝負を挑む骨太な国産RPGだ。ライたちの冒険がバベルの闇に光を当てたとき,きっと大きな驚きと感動がもたらされるだろう。まだ導入部に触れただけだが,そんな予感や期待を抱かせてくれる“つかみ”と“引き”の上手さが感じられた。
ターン制コマンドバトルと,そこに戦略性を与える“ジョブ”や“陣形”などのシステムもとっつきやすく,誰もが想像力をフル稼働して冒険世界に没頭できる“大作”に仕上がりそうだ。
「最果てのバベル」公式サイト
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