プレイレポート
新しいマイクラはディアブロライクな“ハクスラ入門編”だ。「Minecraft Dungeons」プレイレポート
すでにダンジョンに潜りまくっているプレイヤーもいると思うが,本稿ではマイクラもハクスラも大好物な筆者がプレイレポートをお届けする。
「Minecraft Dungeons」公式サイト
“マイン”も“クラフト”もしない!
「Minecraft」の世界でハック&スラッシュ
ゲームをスタートすると,まずはキャラクターメイキングから始まる。これはプレイヤーキャラクターの外見を決定するだけのもので,能力に影響はない。また,ゲーム開始後でも変更できるので,まずは気軽に決めてしまって大丈夫だ。
「Minecraft」にはストーリーがなく,いきなりサンドボックスな世界に放り出され,家を作ったり地面を掘り始めたりと,プレイヤーの好きなようにゲームを進められることが魅力だ。一方,「Minecraft Dungeons」には明確なストーリーが用意されている。
仲間外れにされた村人が放浪の果てに,「支配のオーブ」を手に入れて力を持ち,「邪悪な村人の王」となってしまった。さらに支配のオーブの力によって,善良だった村人たちの一部は邪悪な村人と化し,各地に混沌をもたらし始める。プレイヤーは邪悪な村人たち,そしてその王を止めるために立ち向かう……というのがストーリーの導入部だ。
さまざまなモンスターが現れるものの,戦闘が主体ではなく,どこか牧歌的な雰囲気があった「Minecraft」の世界。しかし,「Minecraft Dungeons」ではその名のとおり,ダンジョン探索や冒険,戦闘が主体で,「Minecraft」が持つ“モノ作りの楽しさ”や“自由度の高さ”とは方向性が異なる,ハック&スラッシュ(ハクスラ)型アクションゲームになっている。
世界設定やビジュアルはともかく,ゲームシステムは「Minecraft」とは完全に別物で,ブロックを置いて何かを作ったり,地面や山を掘ったりするような要素は一切ない。それどころかジャンプもできず,プレイヤーは高い段差を登ることができない。視点こそ斜め見下ろし型だが,見た目は「Minecraft」なので,「Minecraft」に慣れている人ほど最初は操作性の違いに戸惑うかもしれない。
ゲームの流れとしては,拠点となる「キャンプ」から各ステージへと赴き,ステージのクリア目的を達成したら,またキャンプに戻ってくる。このサイクルを繰り返していく。
体力を全快にできるポーションは,デフォルトで使用可能だ。クールタイムが発生するものの,無限に繰り返し使用できるスグレモノなので,道中でポーションを探し求める必要がないのはありがたい。
キャラクターにはレベルが存在するが,レベルアップによって新しいスキルを習得するといった成長要素はなく,主に装備品で強化を図っていく。剣や斧,ツルハシといった「Minecraft」ではおなじみの武器群もあるが,攻撃の挙動はだいぶ異なり,さらにオリジナルの武器も登場する。両手に持って素早い攻撃を行う「鎌」,刺突攻撃を主体とする「ソウル ナイフ」,豪快な振り下ろし攻撃が魅力の「グレート ハンマー」など,いつか「Minecraft」にも逆輸入してほしいなぁ……と夢想してしまうほどに便利な武器も多い。
なお,2周目以降に登場する武器もあり,下のスクリーンショットにある「ガントレット」がそれにあたる。もちろん,このほかにもあるようだ。
現在持っている武器や防具より,上位の能力のものが手に入ると,当然不要になるものが出てくるわけだが,これらはアイテム画面の「回収」でエメラルドに換金可能。ゲームが少し進むと,キャンプに「鍛冶屋」と「行商人」が登場し,彼らにエメラルドを支払うことで,ランダムな武器やアーティファクトを入手できるようになる。
武器や防具には元から付いている能力のほか,「エンチャント」という特殊な能力が付与されている。どんな能力が付いているかはランダムで,プレイヤーがいずれか1つを選び,それを成長させていく方式だ。なお,一度選んだら,選び直すことはできない。
エンチャント能力を成長させるには「エンチャントポイント」が必要だ。これはレベルアップの際に1ポイントずつ手に入る。大量に手に入るものではないので,どれを成長させていくかは慎重に選びたいところだ。ただ,さらに良い武器や防具が手に入り,エンチャント能力を成長させたアイテムが不要になった場合は,これを「回収」することでエンチャントポイントも戻ってくる。
武器と防具のほかに,「アーティファクト」と呼ばれる特殊なアイテムも存在する。これは3つまで装備が可能で,移動速度が上がるものやマルチプレイで仲間を回復させるものなど,さまざまな種類が存在する。
アーティファクトにはポーションと同様,クールタイムが定められているが,使用回数の制限はない。たとえばHPを徐々に回復するエリアを発生させる「再生のトーテム」のクールタイムは25秒で,約2秒間だけ移動速度を上げる「俊足のブーツ」のクールタイムは5秒だ。
エンチャント能力は多岐にわたり,「その武器にとって都合の良い能力」が付いているかどうかは運次第だ。言ってしまえば,「Minecraft Dungeons」は“より良いエンチャントが付いている武器や防具,そしてアーティファクトを追い求めるゲーム”なのだ。
なお,アーティファクトは敵からドロップすることがあるが,ステージをクリアすると必ず1つ入手できるので,こちらで狙ったほうがいいだろう。
ここまで読んで,勘のいい人は気付いたかもしれない。「Minecraft Dungeons」はハクスラ型アクションゲームの中でも,かなりディアブロライクなシステムとなっているのだ。殺伐としない「Minecraft」の親しみやすいビジュアルと,個性豊かなモンスターたちを用いることで,“ディアブロライクゲームの入門編”としてデザインされている印象を強く受けた。
スロースターターだが中毒性は高い
新たな時間泥棒ゲーの登場……でも気になる点も
序盤は敵や武器,防具の数も少なく,マーカーで示される目的地へ向かって移動しつつ,敵を倒していくだけでサクサク進める。ゲームプレイのほとんどが,ただの移動に感じられ,正直なところ,あまり手応えが得られなかった。
しかし,ステージを4〜5つクリアしたあたりから,武器の種類が増え,面白い性能のアーティファクトが手に入るようになると,急激に面白くなってくる。序盤とは比べ物にならないほどの速度と量で攻めてくるモンスターに対して,いかにノーダメージで切り抜けるかという創意工夫が求められるのだ。ポーションが無限に使用できるとはいえ,それなりに長いクールタイムを要するため,大勢の敵に囲まれたり,弓矢の集中砲火を受けたりして,ほんの数秒で死亡することも珍しくない。慎重に立ち回り,効果的にエンチャントを活用することが重要だ。
3種類まで装備できるアーティファクトは,必ずしも異なるものを装備しなくてもいい。同じアーティファクトを2つ,3つと装備してもいいのだ。筆者のお気に入りは,攻撃力と移動速度を大幅に上昇させる「シロタマゴテングダケ」を3つ揃えること。効果時間が約9秒,クールタイムが30秒なので,順番に使っていけば,ほぼ常時効果を得られるというわけだ。
ハクスラの性質上,何度も同じステージに挑み,アイテムを狙うことになる。周回時間は気になるところだが,移動速度がアップするアーティファクト「俊足のブーツ」を複数装備して順番に使っていくことで,だいぶ解消できるだろう。
ただ,快適にはなるのだが,3つしかないアーティファクトの枠を移動だけで占めてしまうため,戦闘における攻撃や回復の面に不安が残る。この悩ましいセッティング事情は,まさにハクスラの醍醐味だ。気付けば,「Minecraft Dungeons」に大ハマリしてしまっている自分がいた。
本稿執筆時点で筆者は「1周目」をクリアしているが,ここまでに引っかかる点がないわけではない。
前述のとおり,不要な武器や防具,アーティファクトは「回収」してエメラルドに換金するしかないが,本家「Minecraft」には金床やエンチャントテーブルといったクラフト系アイテムがあり,せっかくならそれらを使って武器や防具をカスタマイズしたかったなぁ……と思ってしまう。
また,ステージが進むごとに自分の家に物が増えていくのだが,これにはゲーム内で何も示唆されない。いつの間にかコッソリと増えているので,ほとんど間違い探しのようでもある。実際,筆者はしばらく気付かなかった。
家の内装についても,せっかくならコツコツとインテリアに凝ったりしたかったなぁ……と妄想してしまう。
「Minecraft Dungeons」は最大4人同時に遊べるマルチプレイにも対応している。なお,現時点でオンラインプレイはフレンドのみ,しかも同一のプラットフォームでないとパーティを組めないので注意してほしい。今後の無料アップデートにて異なるプラットフォーム間のクロスプレイに対応する予定なので,早期の実現に期待したい。
オンラインマニュアルがない,アイテムを整理整頓する機能がない,といった細かい不満点もないわけではない。ただ,こうしたものもベースが良くできているからこその「惜しい」という感情から来るものであり,「Minecraft Dungeons」というゲームは間違いなく面白い。
筆者は1周目をクリアしたと書いたが,「Minecraft Dungeons」にはまだまだ謎の要素が隠されている。2周目以降で初めて訪れることが可能になる場所もあるのだが,現時点では何が何やらサッパリ。さらに上位の難度に挑めるようになったので,これをすべてクリアすると判明するのだろうか……。今後のアップデートやDLC※も予定されており,「Minecraft Dungeons」ワールドの展開は“これからだ”と考えていいだろう。
※7月には危険なジャングルが舞台となるDLC「Jungle Awakens」,今年の後半には凍てついた山頂を探検するDLC「Creeping Winter」の配信が予定されている。
「Minecraft Dungeons」はゲームシステムのベースがディアブロライクなので,当然ながら非常に中毒性が高い。それでいてシンプルにまとまっているので,「Minecraft」ファンにとっても遊びやすいはずだ。
この手のゲームをヘビィにプレイしている人にとっては,ライトすぎて物足りなさを感じるかもしれないが,これまでディアブロ系のゲームをやったことがないという人には“入門編”としてピッタリだと思う。
より高性能の装備品を求めて,延々と挑み続ける。それがディアブロライクであり,ハクスラだ。「Minecraft Dungeons」には“マイン”も“クラフト”もないが,いわゆる“アイテム掘り”という意味での“マイン”は,プレイヤーの前にずっと存在し続けている――。
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Mojang (C) 2009-2019. "Minecraft" is a trademark of Mojang Synergies AB
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