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「ロマンシング サガ オーケストラ祭」レポート。シリーズ新旧ファンに向けた珠玉の20曲を演奏。新たな舞台公演の発表も
当日は昼と夜の2回公演にて行われ,新旧「ロマサガ」シリーズの名曲20曲がフルオーケストラにて演奏された。本稿ではその昼公演の模様をレポートする。
(講演概要)
「ロマンシング サガ オーケストラ祭(フェス)」
日時:2月16日(日)昼公演 開場 12:30 開演 13:30
場所:東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:内藤 彰
演奏:東京ニューシティ管弦楽団
ピアニスト:大嵜慶子
ヴァイオリンソリスト:真部裕
作曲・ゲスト:伊藤賢治
MC:結
【セットリスト】
<第一部>
M-1 オーバーチュア 〜 オープニングタイトル / 編曲:山下康介 【ロマンシング サ・ガ】
M-2 迷いの森 〜 下水道 メドレー / 編曲:岩城直也 【ロマンシング サ・ガ】
M-3 バトル1 〜 バトル2 メドレー / 編曲:山下康介 【ロマンシング サ・ガ】
M-4 遥かなる戦いの詩 / 編曲:亀岡夏海 【ロマンシング サ・ガ2】
M-5 帝都アバロン 〜 皇帝出陣 メドレー / 編曲:タカノユウヤ 【ロマンシング サ・ガ2】
M-6 バトル1 〜 七英雄バトル メドレー / 編曲:タカノユウヤ 【ロマンシング サ・ガ2】
M-7 プロローグ〜死食の脅威〜 / 編曲:山下康介 【ロマンシング サ・ガ3】
M-8 フィールド 〜 バトル1 メドレー / 編曲:岩城直也 【ロマンシング サ・ガ3】
M-9 アビスゲート 〜 四魔貴族バトル1 〜 四魔貴族バトル2 メドレー / 編曲:亀岡夏海 【ロマンシング サ・ガ3】
<第二部>
M-10 オーバーチュア / 編曲:伊藤賢治 【ロマンシング サガ ミンストレルソング】
M-11 巨人の里 〜 邪聖の旋律 メドレー / 編曲:タカノユウヤ 【ロマンシング サガ ミンストレルソング】
M-12 最終試練 〜 死への招待状 メドレー / 編曲:真部裕 【ロマンシング サガ ミンストレルソング】
M-13 クイーン誕生〜オープニングアクト / 編曲:山下康介 【SaGa THE STAGE 〜七英雄の帰還〜】
M-14 テンプテーション -RS Version- / 編曲:タカノユウヤ 【SaGa THE STAGE 〜七英雄の帰還〜】
M-15 愛の歌 〜 満ち足りた二人:ノエルとオアイーブ / 編曲:岩城直也 【SaGa THE STAGE 〜七英雄の帰還〜】
M-16 侯国の旗のもとに / 編曲:山下康介 【ロマンシング サガ リ・ユニバース】
M-17 頂を目指して 〜 Grave Battle メドレー / 編曲:真部裕 【ロマンシング サガ リ・ユニバース】
M-18 再生の絆〜Re;univerSe〜 / 編曲:亀岡夏海 【ロマンシング サガ リ・ユニバース】
<アンコール>
M-19 最終決戦! -ラストバトルメドレー from ロマンシング サ・ガ1〜3- / 編曲:山下康介 【ロマンシング サ・ガ1,2,3】
M-20 エンドタイトル / 編曲:真部裕 【ロマンシング サ・ガ3】
※敬称略,【】内は出典元タイトル
スタートはもちろん,ロマサガシリーズの幕開けと言える「オーバーチュア 〜 オープニングタイトル」。静かな旋律から,ファンにはおなじみのあの壮大なオープニングへと続いていく展開は,今回のコンサートの始まりにふさわしい。
オープニング演奏後の壇上にはMCの結さんと,作曲家の伊藤賢治氏が登場。今回のコンサートはロマサガシリーズに特化した内容であり,伊藤氏はフルオーケストラの演奏を聞いて「テンション上がる」と興奮気味に話す。また自身を含め6名がオーケストラアレンジを手がけていて,楽曲ごとのアレンジの違いも楽しんでほしいと述べた。
壇上の2人が次の曲を紹介すると,客席からはちょっとしたざわめきが。「迷いの森 〜 下水道 メドレー」は,一部では「世界一格好いい下水道」「抱かれたい下水道」などとも例えられ,伊藤氏のTwitterなどでもたびたび話題に上がる名曲である。安らかな「迷いの森」から続くメドレーはその例えを体現するような演奏で,「バトル1 〜 バトル2 メドレー」と同作の格好いい曲が続く展開に,客席からは大きな拍手が上がった。
続いては「ロマンシング サ・ガ2」の楽曲で,ハープと木管楽器の音色が美しい「遥なる戦いの詩」,壮大でヒロイックな「帝都アバロン 〜 皇帝出陣 メドレー」,そして,ホーンとピアノが盛り上げる「バトル1 〜 七英雄バトル メドレー」の3曲。
ロマサガシリーズといえばバトル時の曲も魅力の一つだが,意外にも伊藤氏は当初,バトル曲に苦手意識を持っていたそうだ。かつての上司だった植松伸夫氏からは「修行だと思って頑張れ。俺も書きたくないんだ(笑)」と言われていたという。伊藤氏におけるバトル曲は「リズミカルで,たぎるような曲」であり,それを自らたぎるような気分で書いているため,作るときは「いつもヘトヘト」だとも語った。
そしてコンサート前半の最後は,2019年秋にリマスター化されたばかりの「ロマンシング サ・ガ3」のパート。「プロローグ〜死食の脅威〜」の不安を煽るような演奏から,テンポのいい流れが心地いい「フィールド 〜 バトル1 メドレー」,そして「アビスゲート 〜 四魔貴族バトル2」でラストを迎える展開は,ゲームを追体験するような気分を味わえた。
休憩を挟んだ後半最初のパートは,「ロマンシング サガ ミンストレルソング」の楽曲でスタート。「ロマンシング サ・ガ」のリメイク作品でありながら,システムはもちろん楽曲まで完全新作ともとれる仕様で製作されたタイトルで,伊藤氏も「リニューアルするような意識で作った」と述べている。
「巨人の里 〜 邪聖の旋律 メドレー」では,会場に設置されたパイプオルガンによる演奏も入り,荘厳なメロディが会場を包み込んだ。
続いては2018年秋に公演が行われた舞台「SaGa THE STAGE 〜七英雄の帰還〜」にて使用された楽曲を演奏。「クイーン誕生〜オープニングアクト」は,ゲームとはまた違う雰囲気の導入から,次々と展開が変わっていく構成の演奏だ。
「テンプテーション -RS Version-」では,今回楽曲のアレンジも手がけているバイオリニストの真部裕氏が参加。バイオリンのソロをオーケストラが盛り上げる構成で,その演奏技術に客席からは大きな拍手が贈られた。
そして最後のパートは,現在スマートフォンにて展開中の最新作「ロマンシング サガ リ・ユニバース」(以下,ロマサガRS)から,サウンドを聴きながら楽しんでいる人にはなじみ深い「侯国の旗のもとに」「頂を目指して 〜 Grave Battle メドレー」。こちらもオーケストラ演奏だと,かなり違った雰囲気に聞こえたはず。そしてラストはタイトル曲の「再生の絆〜Re;univerSe〜」がコンサートを締めくくる壮大なアレンジで奏でられた。
アンコールではサガシリーズ総合ディレクターの河津秋敏氏が登壇。河津氏は壇上にて「今年も舞台をやります」と発表し,チケットが発売されたことも告知した。内容は「ロマンシング サ・ガ」及び「ロマンシング サガ ミンストレルソング」をベースとしたストーリーとなり,伊藤氏にも「仕事をしていただく」と依頼し,伊藤氏も「がんばります」と返答した。サガシリーズ30周年イヤーは今年もまだまだ続き,河津氏も今後も何かしら新たに発表していきたいと述べている。
最後の演奏となった「ロマンシング サ・ガ3」の「エンドタイトル」では,ピアノがステージ中央に移動され,伊藤氏が演奏に参加。やや緊張している様子もあったが,その中盤ではピアノソロを聞かせつつ,自らも間近でオーケストラのサウンドを楽しむようにリズムを取りながら演奏を終えている。
終演後には伊藤氏と河津氏,そして近年のサガシリーズプロデューサー市川雅統氏への囲み取材も行われた。
――コンサートの感想をお聞かせください。
市川氏:
前回のコンサートとはまた違ったアレンジの曲が多かったです。曲のイメージが前回とはがらりと変わっていながらも,ロマサガの世界をちゃんと体現していて,オーケストラの奥の深さを感じました。今回はメドレーで続く展開が少なかったぶん,1曲1曲をしっかり楽しめる構成でしたね。
河津氏:
今回は凄く聴きやすかったという印象があります。サガシリーズの場合,とくにバトル曲が中心になると圧迫感を感じる場合が多いんですが,今回の選曲はオーケストラの柔らかい演奏が多く,リラックスして聴けました。
伊藤氏:
型に則ったオーケストラコンサートとしての,一つのいい例を残せたのではないかという手応えがありましたね。全体的にみっちりしたプログラムだったので,個人的にはしゃべり足りなかったというのが,唯一の心残りではあります(笑)。
――伊藤さんは最後の演奏でピアノを弾かれましたが,オーケストラをバックに演奏された感想をお聞かせください。
伊藤氏:
久しぶりでしたね。以前は植松さんなどが企画を立てたコンサートで,そのときもアンコールの最後の演奏で,「トリか……」みたいな気持ちが蘇ってきました。最後なので本当に気が抜けない演奏でしたが,指揮の内藤さんやオーケストラの方々が自分に合わせてくれたありがたさもあったので,そういう意味ではやりやすかったです。
――本日演奏された中で,皆さんはどの曲が印象に残りましたか。
市川氏:
去年のロマサガ3のリマスターは結構難産だったタイトルなので,今回の「アビスゲート」のアレンジなどは,あらためて聴いて感動して泣きそうになりました。長さなども考えると,ロマサガのコンサートじゃないとできない曲だと思います。僕は元の曲が凄く好きだったので,リマスターのときは楽曲をまったく変えなかったんですが,ロマサガ3の一連の曲というのは変えてもよかったかもと思えるぐらい迫力がありました。
それとロマサガRSの曲は,「いつも聴いている曲が凄くなってる!」と思いましたね。
河津氏:
僕も「アビスゲート」の曲は,コンサートではなかなか選ばれないと思うので,アレンジが新鮮でよかったです。逆にいつも聴いている曲としては「皇帝出陣」とかは,今回もよかったと思います。
伊藤氏:
最近の思い出ということもあるんですが,舞台の「愛の歌」などは,自分の曲ながら結構きますね。世界観などもいろいろ思い出しながら聴いていました。
あとはロマサガRSのオープニングですね。これも自分の中でロマサガシリーズのオープニングタイトルとようやく並んで,独り立ちできたみたいなところがありましたね。
――今回のようなフルオーケストラでのコンサートが行われる一方,伊藤さんはライブではギターやドラムを入れたバンドでの活動も精力的に行われていますが,例えばオーケストラとバンドが融合したようなコンサート形式の構想などはありますか。
伊藤氏:
今のところはとくにないんですが,自分の作曲家30周年が来月始まりますので,自分なりの演出をやってみようというイメージはあります。具体的な話は,それをもうちょっと固めてからになると思います。
市川氏:
イトケンさんとはいろいろお話させていただいて,昨年11月にはロマサガRS1周年祭でロックスタイルのライブをさせていただいたんですが,今回も含め「来てくださることで感じられる面白さ」というものがあると思うんです。オーケストラとバンドの融合というのは,ホールの音響の都合などもあって難しいこともあるのですが,それぞれを楽しめる機会はこれからも増やしていこうと思っています。
――次の舞台に関してですが,ミンストレルソングがベースになっているとのことでしたが,公式サイトを見るとロマサガのビジュアルが使われています。となると,両者のハイブリッド作になるのでしょうか。
河津氏:
ストーリーのベースはミンストレルソングで広げているので,そこに基づいたキャラクターの設定が使われるという意味でのビジュアルですね。想定として主役は8人出てくる予定です。
市川氏:
ロマサガとミンストレルソングが合わさっているイメージでしょうか。ミンストレルソングのエピソードやキャラクターなども出てくる予定ですので,ロマサガRSなどでロマサガを知った方などにも楽しんてもらえると思います。
――伊藤さんは曲の準備はこれからですか。
伊藤氏:
ええ,まったく聞いていなかったので(笑)。ミンストレルソングがベースだということもさっき知ったぐらいで。個人的にはガラハドがどういう扱いを受けるかが気になりますね。
河津氏:
きっと(ミンストレルソングのように)ハゲてはいないんじゃないかな!(笑)。私も楽しみですね。
――ありがとうございました。
「ロマンシング サガ オーケストラ祭」公式サイト
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- ライター:稲元徹也
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