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印刷2022/10/18 13:55

イベント

ロマ佐賀列車に乗って冒険の旅に出よう。ラッピング列車や唐津市・佐賀市でのマンホール巡りが楽しめる「ロマンシング佐賀2022」現地レポート

 スクウェア・エニックスと佐賀県は,RPG「サガ」シリーズとのコラボ企画「ロマンシング佐賀2022」の県内イベントを,2022年10月8日にスタートさせた。この当日,スクウェア・エニックスと佐賀まで行ってきたので,現地の模様をお伝えしていこう。

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「ロマンシング佐賀2022」公式サイト


 「ロマンシング佐賀」(以下,ロマ佐賀)は,サガシリーズの25周年を記念して2014年に始まった企画であり,最初は東京都・六本木のカフェスペースからのスタートだった(関連記事)。当時は,佐賀県の観光連盟の担当者がスクウェア・エニックス自体を知らなかったそうだが,“サガ”と“佐賀”を掛けた駄洒落から始まったコラボも,毎年続けていくことでどんどん規模が大きくなり,昨年は佐賀県内の3つの温泉地を舞台にした「SaGa風呂(サガフロ)」がテーマとなっていた(関連記事)。

 そして8年目となる今年は,「ロマンシング佐賀列車」が最大の見どころとなっている。ラッピング列車自体は2015年に行われているのだが,今年は規模が違う。「この線の列車に乗れば,たまにロマ佐賀仕様が来る」みたいなレベルではなく,「全部ロマ佐賀」なのである。
 具体的には,JR唐津線とJR筑肥線(山本〜伊万里)を定期列車として走行する全16車両がラッピングされている。そのラッピングも,16車両すべてが異なるデザインになっており,さらに列車の左右のデザインもそれぞれ別モノというこだわりっぷり。現地に行っても,すべての面を実物で見るのはまず無理というレベルだ。駅のホームにいると,右にも左にもラッピング列車という状態になることがあり,かなりのインパクトがある。

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 加えて,沿線17駅の駅名標に,シリーズのキャラクターと各駅の名所・名物がドット絵で描かれるほか,オリジナルデザインの駅待合ベンチが,佐賀駅,小城駅,多久駅,唐津駅,伊万里駅に設置される。さらには,佐賀駅と唐津駅のホームに流れる駅メロディもロマ佐賀仕様になるなど,列車での旅が“冒険”になること間違いなしだ。
 JR唐津線とJR筑肥線を中心に2日間乗り放題となる周遊きっぷも販売されているので,ぜひ利用しよう。

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「ロマ佐賀列車 周遊きっぷ」は専用のケース付き。きっぷには「ロマ佐賀は続くよ,どこまでも」と書かれている
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 また,今年の展開の中心地となる唐津のJR唐津駅には,ロマ佐賀列車をテーマにしたイベントスペース「ロマ佐賀ステーション」が2023年2月28日までオープンしている。ここでは,1/5スケールのロマ佐賀列車の模型が展示されているほか,カプセルトイ(コラボ駅名標のキーホルダー)も入手可能だ。

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 10月8日には,唐津駅でロマ佐賀列車の出発式も行われた。この式には,サガシリーズ総合ディレクターの河津秋敏氏,プロデューサーの市川雅統氏,そして佐賀県知事の山口祥義氏,JR九州の代表取締役社長執行役員である古宮洋二氏,さらには沿線の佐賀市,唐津市,伊万里市,小城市,多久市の市長も参加。ロマ佐賀の取り組みが非常に大きなプロジェクトになったことが感じられる。

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 山口知事は,今回のテーマが冒険であることに触れ,これからロマ佐賀列車で町々に行き,その先に何があるのか,どんな人と出会うかに思いをはせるのは,冒険の旅であるとコメントしていた。同時に,企画を実行している側にとっても冒険であり,いろいろなことが思いついてワクワクしているそうだ。もともと,全車両のラッピングはどうかと言ってみたのは山口知事だそうだが,思っていた以上の規模で達成されたことに,スクウェア・エニックスへの感謝を述べた。

毎日「ロマンシング サガ リ・ユニバース」にログインしているという山口知事。集まった市長達そっちのけでプレイヤートークをする場面も
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 河津氏は,もう一度ラッピング列車をやれるとは思っていなかったそうで,しかも2両のみだった前回から8倍の規模になったことに驚いているようだ。これから,ロマ佐賀列車を通勤・通学で地元の人に利用してもらえ,さらに観光やレジャーで県外の人にも乗ってもらえることに対して,こんなに良いことはないと喜びを表していた。

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 古宮氏によれば,これまでJR九州ではさまざまなラッピング列車が実施されてきたが,エリア全体がひとつにまとまるのは今回が初めてだという。今回のラッピング列車のうち,白い車両は45〜50年ほど走っており,いつ買い換えようかと思っていたが,あと20年は使わなければと冗談まじりに話していた。実際,今回のラッピング列車は,運行期間がアナウンスされておらず,長期にわたって走る予定のようだ。

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 出発式の後は,唐津駅のロマ佐賀ステーションの開所式も行われた。ロマ佐賀の企画が動き出して,市川氏がプライベートで佐賀を訪れたときに初めて来たのが唐津市であり,ずっと何かしたいと思っていたそうだ。8年かかったが,ようやく唐津市とのコラボが実現し,嬉しく思っているという。佐賀コラボはゲーム内でも大勢に楽しまれており,今回のコラボは佐賀に訪れる良いきっかけになるのではないかと期待を寄せていた。

市川氏から唐津市市長へ,コラボマンホールが贈呈された
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ロマ佐賀ステーションの壁にメッセージを書く江島史織氏。ロマ佐賀のロゴを最初のコラボのときから担当している佐賀出身の書家で,自身もロマサガファンだ
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ロマ佐賀ステーションでつながるフリーWi-Fi「な なにをする きさまLAN」。Wi-Fiまで奪い取られるのか……
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 さて,先にも述べたが,今年のコラボの中心となるのは唐津市である。今年は新たなコラボマンホールが唐津市を中心に設置されているのだ。
 唐津市で見られるのは,ロックブーケ,アルベルト,かみ,ジェラール,せんせい,ファイアブリンガー,詩人の7個。駅前や商店街の入り口,唐津城に浜辺など,全体的に場所が良く,唐津観光と同時にマンホール巡りが楽しめる。
 なお,ジェラールが設置されている唐津城は,観光スポットとしてぜひ押さえたいが,入館できる時間が決まっている。すぐ裏手のせんせいが設置されている西の浜も,気持ち良く散歩できる時間に行ってもらいたいので,足を運ぶ際はスケジュールを組んでおくといいだろう。

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海沿いに建つ唐津城。取材陣は時間の関係で中に入れなかったが,皆さんはぜひ観光していこう
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西の浜は風が気持ち良く,晴れた日に散歩したい。せんせいマンホールを見た河津氏のコメントは「汚水もとかす」
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 唐津市の観光スポットとしては,曳山(ひきやま)展示場も挙げられる。列車やマンホールに赤い魚が描かれているが,これは毎年11月2〜4日に開催される唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」の曳山の1つだ。曳山は14台あり,これがすべて展示されているのが曳山展示場となる。
 すぐそばにロマ佐賀グッズを取り扱っている「ふるさと会館アルピノ」があるので,ついでにお土産も見ておきたい。

大な曳山がズラっと並ぶ展示場。来月はこのすべてが町を彩ることになる
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今年のロマ佐賀グッズ。イチオシはやはり「アビスゲート醤油皿」と「ロマンシング サバ」だろうか。ロマンシング サバは,唐津市と九州大学の共同研究で生まれた完全養殖のマサバ「唐津Qサバ」である。公式で「これもいきもののサバか‥‥」とか言っているが,そりゃサバだよ
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 そして唐津のグルメと言えば,やはり呼子のイカだろう。有名なのはイカの活造りで,飲食店の生け簀に入ったイカが,透き通った刺身となって出てくる。新鮮で歯ごたえのある刺身を堪能した後は,残った部分を大盛りの天ぷら(このあたりは店によるそうだが)にして楽しめる。筆者は呼子に初めて来たのだが,あまりにもウマいので,仕事ではなく個人的にもう一度来たいと思っているぐらいだ。残念ながらロマ佐賀列車のルートからは外れていて,バスなどを利用しないと行くのは難しいが,唐津に来たなら本当にオススメなのでぜひ。

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呼子のイカ。ワケ分からんぐらいウマい。これを目当てに佐賀旅行しようと思うぐらいウマい
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何度も佐賀に足を運んでいる市川氏にオススメの佐賀グルメを聞いたところ,佐賀牛とカニとのこと。こちらは唐津駅の近くにある,めちゃくちゃキャラの濃いシェフが迎えてくれるステーキ専門店
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 唐津駅からロマ佐賀列車に1時間ほど揺られると,佐賀駅に到着する。今年は唐津市だけでなく,佐賀市にも新しくクローディア,ビューネイ,イスカンダールのマンホールが設定されている。これまでの佐賀市のマンホールは駅の南側だったが,今回は北側だ。2023年春に完成予定のSAGAアリーナを始め,整備中のエリアなので,このあたりは来年以降に来るとより見応えがあるかもしれない。

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 今年は合計で10個のコラボマンホールが追加されたわけだが,これまでのものを合わせると,佐賀県内には27個存在することになる。ここまで来ると,さすがに「せっかく佐賀まで来たから全部見ていこう!」みたいな数ではない。初めてロマ佐賀観光をする人は,唐津市で一泊,ロマ佐賀列車を使って佐賀市で一泊,昨年コラボのメインとなった温泉地で一泊という感じで,余裕を持ったスケジュールにするといいと思う。
 なお,コラボ温泉地となった武雄,嬉野,古湯へは,ラッピングバス「SAGA風呂バス」が2023年2月28日まで運行している。温泉地だけでなく,佐賀空港から佐賀駅までの区間でも運行しているので,こちらもぜひ利用しよう。

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 以上のように,今年のロマ佐賀は大きな規模で実施され,これまでのコラボで残っているものも合わせると,佐賀県内の広範囲で楽しめるものとなった。来年はいったいどうなるのかを楽しみにしつつ,最後に河津氏と市川氏のコメントを掲載して本稿の締めとしよう。

4Gamer:
 ラッピング列車の実物を見ていかがでしたか?

河津氏:
 存在感がすごいですよね。止まっているときと走っているときの印象も違いますし,乗っているときにほかの列車とすれ違ったときの感覚も違います。これは生で見ないと分からないのではないでしょうか。

市川氏:
 実物がすごいというのは,以前のラッピング列車で分かっていたのですが,今回はコラボ車両が2両つながったり,ホームの左右が埋め尽くされるみたいな経験ができて,もう現実感がありません。
 デザインをデータで見ているときは,地元に合うのかが心配でした。最初は三邪神や四魔貴族のデザインもあったんですが,夜に見るとちょっと怖いのでナシにしたぐらいです(笑)。

4Gamer:
 今回のコラボは,大規模な列車ラッピングということで,昨年以上に地域に根付いていくようなものに感じました。

市川氏:
 そうなっていただけたら嬉しいですし,これだけの企画が成立しているのは,地域の沿線の方々にご協力いただいているからこそだと思います。地元の人に愛される企画として,これからも続けていきたいですね。

4Gamer:
 今年でもう8年になりますから,10周年ももうすぐですね。今回は各市長が集まる出発式になりましたが,ここまで規模が大きくなると,来年,再来年と,どこまで行くか予想がつきません。

市川氏:
 なんだか漫画みたいですよね。今回は,地元での列車の写真コンテストなども行われていて,少しずつ一企業のプロデューサーの企画から手離れしているように感じています。これをきっかけに,地元の人や鉄道ファンから興味を持っていただければ嬉しいですし,なんか面白いことをやっていると思ってもらえるだけでもありがたいです。
 来年に向けた次の企画の検討は始めていて,どうやったら地元の方々やゲームのファンが喜んでくれるかを考えています。幸いマンホールなど残っているものがあるので,これらを利用して今後につなげていきたいですね。

4Gamer:
 来年も楽しみにしています。また佐賀でお会いしましょう。

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