このゲームの読者の評価
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性格とAIが完全に一致する本物のキャラクター達 90 - 投稿者:ビタミン男爵(男性/40代)
- 投稿日:2020/05/04
- 良い点
- ・異常なまでのテンポの良さ
本作は人狼シミュレーターであり、実際のゲーム内容もほぼ人狼そのものとなっています。人狼といいますと、通常はかなり重いゲームであり、気軽にプレイしたり、ましてや何度も周回できるようなゲームではありません。
しかし本作の人狼は信じられないほどのハイテンポで進みます。これは、UIの異常なまでの快適さもさることながら、徹底してコンパクトかつ機能的にまとめられたキャラクターのセリフと、お互い言いたいことだけ言ったら、グダグダと議論を重ねることなくスパッと投票に入る、というシステムに支えられています。
・快適の極致に達したUIレスポンス
本作のUIレスポンスの快適さは圧倒的です。ゲーム史上どころか、コンピュータソフトウェア史上でも類を見ないほどのレスポンスの良さと快適さを誇ります。ロードがないのは当然として、ほんのちょっとした待ち時間すら皆無です。あらゆる画面がボタンを押した瞬間に即座に出現します。サクサクという言葉ですら表現できないほどの快適さです。
・機能性とキャラクター性を両立したセリフ
各キャラクターのセリフは非常に機能的で、「〇〇を疑っている」「XXを信用している」「様子見をしている」など状況が明快です。これらのセリフから、各キャラクターの関係性を分析し、少数派のグループ(=グノーシア(人狼)がいる可能性が高い)を割り出していくのが基本の流れとなります。
ここで素晴らしいのが、非常に機能的であるにも関わらず、各キャラクターの個性を十分に表現しきったセリフです。セリフだけでキャラの人となりが容易につかめるようになっており、それでいてコンパクトにまとめられており、かつ人狼ゲームとしての機能性も失っていません。驚くほどに完成されたセリフです。
・キャラクターの性格とAIの行動が完全に一致
昨今のゲームでは、キャラクターの設定上の性格や能力と、ゲーム上での性能がまるで一致しないということが少なくないというか、むしろそれが通常です。性能についてはゲームバランスを考えると致し方ない面もあるものの、劇中のキャラクターとバトルにおけるキャラクターの乖離が激しすぎるために、そのキャラクターを使っている or そのキャラクターと戦っている 気になれないゲームがほとんどです。
しかし、本作では、キャラクターの設定上の性格や能力と、実際のゲーム上での行動が完全に一致しています。「頭が良く合理的だが、口調のキツさから他人から嫌われやすい」設定のキャラクターは、ゲーム内でも本当にそういう行動を取ります。さらに(発言内容は合理的であるにも関わらず)他のAIキャラクターから嫌われまくるという現象すら発生します。
その反対に「アホだが素直で嫌われにくい」という設定のキャラクターもおり、こちらもゲーム内で本当にその通りの行動を取ります。そして、アホなことを言っているにも関わらず他のキャラクターから嫌われにくいということも実際に起こります。アホということは騙しやすさということでもあり、プレイヤーからすればぶっちゃけいいカモだったりします(笑) ・・・ときおりさすがにアホ発言すぎて疑われるってこもあるので油断はできませんが。
逆にとても手強いのが「アホなのにやたら直感が鋭い」という設定のキャラクターで、こいつは議論の方向性をぶった切って突然真実を指摘してくる(もちろん外れることもある)厄介なキャラクターです。こちらがグノーシア(人狼)側で、周りを騙しきっているときにいきなり疑われると焦りますし、逆に人間側で勝利を革新している時にいきなりハズレ直感で場をかき乱されるのも溜まったものではありません。
ややネタバレになってしまいますが、本作には「とてもクズで、常に人を見下しているにも関わらず、いざ自分が冷凍睡眠(処刑)されそうになると土下座で許しを請うてくる本物のクズ」という恐るべきキャラクターもおり、これが実際にゲーム内で通ってしまうことすらあります。人狼として考えたらありえないことなのですが、ここまで徹底してキャラクターの設定と行動が一致するゲームは唯一無二であると言って良いでしょう。
・合理的な推理だけでは読めないゲーム性
理屈で考えると相手の正体が早々に判明してしまうこともあるのですが、だからといって勝てるわけではないのが本作です。上記で述べたように、本作のAIキャラクターはそれぞれの個性が強烈であり、必ずしも合理的な行動を取るわけではありません。これが絶妙なゆらぎを本作にもたらしています。
グノーシア(人狼)がしぼりこめたとしても、そいつに投票させるのはそれほど簡単ではありません。そいつの行動の矛盾を指摘してやっても、「そいつが好きだからかばう」「プレイヤーが嫌いだから反発する」「プレイヤーの言ってることが理解できないので逆にプレイヤーを疑う」などなど、非常に人間的というか、困った行動にでるキャラクターが少なくありません。このおかげで、ややもすれば単調作業になりかねないゲームが、毎回展開が異なる、非常にスリリングなものとなっています。
・秀逸な世界観とストーリー
本作はSF的な世界観をもつアドベンチャーゲームでもあります。というか、むしろこちらがメインです。人狼という特異な設定を(多少の強引さは感じるものの)うまくSFストーリーに当てはめており、延々と人狼をプレイさせられるというゲームプレイに違和感がありません。
メインストーリーも秀逸な出来栄えです。序盤からいい感じに伏線が張られ、物語の進行とともにしっかり回収されていきます。どのキャラクターも変わったバックグラウンドをもっており、しかもそれらはいい感じにメインストーリーに関わってきます。真エンディングも良く出来たもので、メインストーリー中の様々な問題が、ストーリー中で明かされた伏線をいい感じに活用して解決されるもので、とても満足感のあるエンディングとなっています。
- 悪い点
- ・何も出来ないときは何も出来ないというゲーム性
良いところで書きましたように、プレイヤーが真実を見抜いていたとしても、AIキャラクター達がそれに同意して動いてくれるわけではありません。人狼というゲームの性質上当然のことではあるものの、プレイヤーはどうすればいいのかわかっているのに、AIキャラクター達が全く賛同してくれないために、何も出来ずに敗北するしかないという状況が何度も発生します。
とくにスキルが少なく、それでいて人数の多い、序盤の終盤あたりで発生しやすく、これが何度も発生すると、真面目に推理することがバカらしくなってきてしまうこともあります。
・中盤の中だるみ
人狼ゲームの異常なテンポの良さとは裏腹に、メインストーリーの進行のテンポはそれほど速くありません。かつ、メインストーリー進行のフラグ立ては直感的とは言いがたく、中盤ではフラグを探しながら延々と人狼ゲームを周回することになります。
・非常に防御的なゲームプレイ
本作のキャラクターのAIが非常に個性に優れていることは前述した通りです。しかし、所詮は携帯ゲーム機の中で実現可能なレベルのAIにすぎず、高度なやり取りが可能なわけではありません。端的に言えば、本作では非常に防御的なプレイしか出来ません。
グノーシア(人狼)がわかったとしても、他AIを説得して投票させるのは(特にスキルが揃わないうちは)困難です。下手な発言を繰り返すと、こちらが嫌われて、冷凍睡眠(処刑)の対象にされてしまうことすらあります。しかし、何も発言しないとそれはそれで疑われるという要素もあります。
したがって、自分から議論をコントロールしていくというよりも、他キャラクターの発言にのっかって、ヘイトを集めない程度に無難な発言をしていくというプレイが求められます。グノーシア(人狼)側である場合にはそれっぽいプレイになりますが、人間(村人)側である場合、もやもやするプレイになってしまうこともあります。
・終盤の作業化
逆にスキルが充実する終盤では、他キャラクターの行動をコントロールすることが容易になってくるため、作業的なプレイになります。メインストーリーのクリアには100回以上の周回が必要なため、ずっと不安定なプレイではクリアが辛く、致し方ない面もあるのですが・・・ - 総評
- レビューを忘れていたので遅ればせながらのレビューです。高評価を聞きつけて押し入れからVitaを引っ張り出してきてプレイしたゲームですが、評判に違わぬ一品です。人狼というゲームシステムと、それを活かすための世界観、そしてそのためのキャラクター達、全てが見事に噛み合っています。
人狼という、コンピュータゲームの題材にはしにくそうなテーマでありながら、本作のゲームプレイは人狼ゲームのエッセンスを見事に抽出しきっています。非常に割り切ったシステマチックな仕様にすることで、コンピュータゲームとしてのテンポの良さを実現しながら、強烈なキャラクターの個性をAIとしてそのまま再現することで、人狼ゲームらしい人間同士のヘイト管理までも再現しきっています。この点においては間違いなく唯一無二のゲームです。
また、UI操作のレスポンスは異常なまでに素晴らしく、ゲームという枠を超えて、コンピュータアプリケーション史上トップクラスです。快適さにつけられる点数は最大5点ですが、できれば本作ではそれを上回る6点をつけたいですね。
しかし、テンポが良いとはいえ、100回以上も人狼を繰り返すのは辛いところです。しかし、本作はメインストーリーが秀逸なため、その辛さもそれほどは感じません。またメインストーリーとゲームプレイの一体感も見事です。世界観、ゲームプレイ、キャラクター、を切り離してしまっているゲームが多い中で、この一体感は圧倒的であると言えるでしょう。
残念なのは、メインストーリーのフラグが立てづらく、イベントがなかなか発生しないため、不毛な周回を繰り返さなくてはならないことでしょうか。本作にはかなりの数のイベントが仕込まれていますが、それでもフラグ立ては難しく、10回近く人狼をこなしてもなにも起こらないこともあります。もっと大量のイベントがあったり、もっとイベントが発生しやすかったりすると理想的でした。 - プレイ時間
- 20〜40時間
グラフィックス サウンド 快適さ/運営 熱中度/ストーリー ボリューム 4 4 5 5 5 -
ADVという括りなしにゲームとして傑作 90 - 投稿者:モビィ(男性/40代)
- 投稿日:2019/07/22
- 良い点
- ■多彩なフォロー要素で繰り返しプレイなのに飽きない
本作は登場人物の中に潜んでいるグノーシア(人狼)を
話し合いと多数決によって見つけ、冷凍処置する。
これをひたすら繰り返すゲームです。
しかし、周回するほど登場キャラが増えたり、
登場キャラ固有のスキルで状況をひっくり返したり、
何故この状況が生まれたかという物語が進んだり、
それ以外にも試合結果でレベルがあがり
好きなステータスを上げることで、
相手のウソを破りやすくなったり
自分の意見で他の人物を扇動できます。
とにかく周回する理由が用意されているので
ストレスを感じずに周回出来ます。
■裏で進んでいくメインストーリー展開も秀逸
いきなり宇宙船の中でセツという人物によって
起こされ、銀の鍵というアイテムを渡されて
人狼ゲームに巻き込まれていく。
なぜグノーシアは人間を襲うのか
延々と同じ日を繰り返すのはなぜか
突然増える登場人物は何者なのか
そして主人公は何者なのか
全てが繰り返しの中で明らかになり
それを乗り越えた先に素敵な終わりが待っています。
■難しいようで簡単なトロフィーコンプ
本作のトロフィー条件は、何周ループしたとか
初めて何役になったとか簡単なものではなく、
登場人物のプロフィールを全部解放するとか、
不利な条件で勝利するとか難解なものが多いです。
しかし、エンディングまで行けば7割は完了、
ゲームの前提をひっくり返せる機能も解放されるので
プラチナ獲得まであっというまに達成できます。
なので難しいようですごく簡単にトロコンできます。
- 悪い点
- ■現状、PSVITA(TV)でしか遊べない
本作最大のネックはこれだとおもいます。
これだけの名作をVITAだけに止めておくのは
勿体ないと思います。
■状況エディットができるまでに飽きる可能性がある
だいたい20周(3時間)ゲームを繰り返したあたりで
開始状況を自分で設定できたり、ストーリーが進む
配置を自動で設定して貰えたりできます。
しかし、それまでは与えられた状況で
ひたすら人狼ゲームさせられるので、
「あ、こんなゲームなのか」と覚めてしまうかも。
■証拠もない推理が嫌いな人には合わない
本作は論理で相手を看破するのではなく、
他人から不興を買わないように出しゃばらず
犯人に投票がいくように扇動したり、
話の流れに乗るというゲームです。
推理ゲームを期待している人には
事件が起こらないのに犯人捜しをする展開、
具体的な論で相手を論破できないシステムが
気に入らない人には合わないかもしれません。
- 総評
- 172周(35時間)でプラチナ獲得しました。
人によっては150周とか250周と
達成までにバラツキがあるようです。
ADVというジャンルに抵抗がある人にも
ステータス強化で状況に有利になれる
RPG要素もあるのでオススメできます。
困難の先に素敵な終わりが待っているので
ぜひ最後までやり抜いてください。 - プレイ時間
- 20〜40時間
グラフィックス サウンド 快適さ/運営 熱中度/ストーリー ボリューム 3 5 5 5 5
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