プレイレポート
ターン制バトルRPG「スターレネゲード」の日本語版をプレイ。敵の動きを分析して最善の選択を思考する,行動タイムラインによるバトルが特徴
※PCはDMM GAMES PLAYER版
Raw FuryからPC英語版や海外向けコンシューマ版が販売中のスターレネゲード(原題はStar Renegades)は,繊細なドット絵による美しいビジュアルや戦略性の高いバトルが特徴のターン制バトルRPGだ。プレイするたびにミッションの内容や敵,アイテムの配置が変化するシステムによって,ローグライクやローグライトと呼ばれる作品が好きなゲームファンから注目を集め,すでに配信中のSteamなどで高い評価を受けている。
4Gamerも,2019年6月に開催されたインディーズゲームの祭典「BitSummit 7 Spirits」で「BitSummit 7 Spirits MEDIA PARTNERS AWARDS」の4Gamer部門に選んでおり(関連記事),日本語版の展開を待っていたが,そんな本作の日本語版がついにリリースされるのだ。
そんな「スターレネゲード」のPC日本語版を発売に先駆けてプレイできたので,さっそく本稿にて紹介したい。
「スターレネゲード」公式サイト
敵の動きを確認して自身の行動を決めるバトルが特徴
まずは,スターレネゲードの世界観と,基本的なゲームの進め方について。舞台となるのが,多種多様な種族が共存する銀河系。この銀河系にある惑星の多くは,突如として現れた帝国軍(インペリアム)の圧倒的な軍事力よって支配されていた。プレイヤーは,帝国の支配から平和を取り戻すため立ち上がった反乱軍となり,さまざまな惑星を探索しながら帝国軍の将校たちとの戦いに挑むことになる。
帝国軍と反乱軍の戦いという設定や物語は“これぞスペースオペラ”といった印象で,それはグラフィックス面でも感じられる。ピクセルアートで描かれたキャラクターやメカの配色なども古き良きSF映画の雰囲気が出ていて,それらのデザインからは“あえて洗練していない”という美学を感じられる。
さらに,それらによって生まれた空気感やアートワークに“シンセウェイヴ”なBGMが絶妙にマッチしており,レトロなSFの世界観やビジュアルが好きな人にはたまらないものがあるだろう。
ドロイドの「J5T-1N」を操作して惑星マップを3日間(1日3ターン)で探索し,最後に「ベヒーモス」と呼ばれる大型の敵(ボス)と戦い,これを倒して次の惑星に進むのが,ゲームの基本的な流れだ。
最後の惑星にたどり着き,ラスボスを倒せばゲームクリア。ラスボスを倒すと新しい難度がアンロックされていくので,そのすべてをクリアしようとすると,かなりのボリュームとなりそうだ。
探索の舞台となる惑星は,その形状(マップ)や敵の配置,宝箱の中身などがプレイするたびに変化するので,周回プレイでも新鮮な気持ちでゲームに挑める。敵を発見したら,正面突破で突き進むか,それとも回避できるルートを探すか。ターン数による制限があることを踏まえながら効率よく探索できるルートを考え,的確な判断する力が問われるだろう。
探索で敵と接触するとバトルに突入する。このバトルが,さまざまな特徴を持つ本作のなかでも面白さのキモになっている部分だ。
基本的なシステムはターン制のコマンドバトルで,攻撃やスキルで「アーマー」や「シールド」を削って「ライフ」を減らし,ゼロにすることで敵を撃破していく。ライフの回復手段が限られているため,一手一手に気が抜けず,コマンドバトル好きにはたまらない緊張感ある戦いが楽しめるだろう。
なにより楽しいのが,タイムライン上に表示されている“敵が次に取る行動”を確認したうえで,自身のユニットをどう動かすか決められる点だ。
バトルの行動順を表す「行動タイムライン」は60秒のスケールで表示されており,特殊なスキルを使用した場合を除き,敵味方ともに1キャラクターごとに1度行動できる。
バトルを有利に進めるポイントになるのが,ヒットさせると敵を「よろけ状態」にして行動を遅らせる「ディレイ」が発生する特殊攻撃だ。この攻撃を使って相手の行動順番を遅らせ,さらにタイムラインの外に出して「ブレイク」状態にできれば,対象の敵の行動を止められる。
「よろけ耐性」という数値があり,無限に行動順番を遅らせることはできないため,使い方やタイミングに注意が必要だ。例えば“危険な全体攻撃を使おうとしている敵”がいれば集中攻撃して足止めし,その間に倒す……といったように,タイミングを見計らって使うよう心がければ,強敵との戦いにも勝利できるだろう。
バトルのバランスは,毎回ギリギリの戦いになるといった印象で,ライフを回復できる場面が限られている点においても“いかにダメージを受けずにバトルを終えるか”が重要になってくる。バトルのたびに自動回復するシールドをいかに活用するか。シールドが削られる前に勝利できるよう考え,戦いに挑もう。
ヒーローの特性をしっかりと把握し,後述するヒーロー間の友好度を意識してパーティを編成することも,勝利に欠かせないもののひとつだ。
最初は3人パーティだが,惑星を1つクリアするごとに編成できるパーティメンバーが1人ずつ増えていき,その際に新しいヒーロー1人を仲間になる。ランダムで登場する2人の候補から1人を選ぶ形となるので,現在のパーティメンバーや戦い方と相性のいいヒーローはどちらかを考えて選択し,仲間として迎えいれよう。
各惑星の最後には,ボスである強大な敵・ベヒーモスが待ち構えている。単体で登場するので的を絞って戦えるが,その一撃はかなり強力で,しっかり防御を固めながらディレイとブレイクで行動を抑えないと勝利は難しい。本作の“タイムラインを意識した戦い方”をしっかり実践しよう。
なお,ベヒーモス戦は1体に集中して戦えるため,最初のベヒーモス戦を“バトルの基本を学ぶ場”として活かせる。これに勝利すれば本作のバトルのコツを掴めるはずだ。
敵との戦いで敗北すると,一部のアイテムは引継がれるが,キャラクターのレベルがリセットされ,お金をすべて失った状態からのリスタートとなる。これによって,常に緊張感ある探索とバトルが楽しめるだろう。
スキル発動確率のようなランダム性はなく,先制攻撃でクリティカルが確定するなど,“プレイヤー自身が考えて動かしたもの”がそのまま結果となるので,うまくいったときの達成感や痛快さはたまらないものがある。弱点や耐性といった敵の特性も確認できるので,それらをソースに戦術を立てて完全勝利を目指そう。
日本のゲームファンに刺さりそうな,
ユニット育成やキャラゲー要素(?)も
ゲームを進めるうえで重要となるのが,探索やバトルで手に入るアイテムなどのリソースの管理と,それらを使用したヒーローの育成 / 強化,新たなヒーローのアンロックだ。
なかでも貴重なものとなるのが,ヒーローをレベルアップさせる時に必要となる「DNA」。ヒーローたちは一定のレベルでスキルを取得でき,そのスキルの効果によって戦い方は変わっていく。パーティメンバーをまんべんなく強くすることも大事だが,強力なスキルをもつ1人を優先して育てたほうがいい場合もある。ヒーローの育成は,パーティメンバーのパワーバランスや個性を見極めながら計画的に行おう。
「クレジット」を集めれば,惑星をクリアした際に選択できるショップで,バトルに有効なアイテムが購入できる。ショップに並ぶアイテムはランダムではあるが,装備することでアーマーやライフ,攻撃速度,よろけ耐性などがアップするアイテムが販売されているので,ヒーローの強さの底上げに活用するといい。
探索の1日が終わる際の「キャンプ」も,ヒーロー強化において欠かせない要素の一つ。ヒーロー固有のキャンプカードや探索で拾ったキャンプカードを使って,次のバトルのための回復や強化(バフ)ができるのだが,キャンプカードの使用の際にヒーロー間の友好度(好意)が高まり,関係が深まることでステータス向上やコンボといったスキルが使えるようになるのだ。
「テクノロジー」と「情報」は,次のゲームプレイにも引き継ぎ可能なリソースで,拠点で行う新しいヒーローや装備のアンロックに使用する。ともに戦う仲間が増えるヒーローのアンロックは,パーティメンバーの選択肢が増えることで戦い方の幅が広がり,さらに新鮮な気持ちで次のゲームプレイに挑める。周回プレイを楽しむ人は積極的に開放していこう。
世界観設定やピクセルアートのグラフィックスはもちろん,ゲームシステムにもいわゆる“JRPG”の雰囲気があり,仲間たちの絆が深まるとバトルの連携が強化される点も日本のゲームっぽく,思わずニヤリとしてしまう。登場人物の見た目やバックグラウンド,会話などから感じる“キャラクターモノ”としての要素も,日本のゲームファンに刺さる出来だ。日本語対応によって,それらのゲームの雰囲気をあますことなく堪能できるのが嬉しい。
ローグライクな“ランダム性”が何度もゲームを楽しめる要素となっている探索パートと,ランダム性なしで計算したとおり進む“確実性”が特徴のバトルパートが絶妙なバランスを生んでいる本作。バトルは分かりにくくて難しく感じるかもしれないが,コツがつかめるとどんどん面白くなっていくので,ぜひ“思考する楽しさ”に溢れた戦いを体験してほしい。良質な戦略ゲームが楽しみたい人はもちろん,銀河帝国へ反旗を翻したい人も(?),日本語版リリースを機会に「スターレネゲード」をプレイしてみよう。
「スターレネゲード」公式サイト
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Published in Japan by EXNOA LLC 2020 (C)Copyright 2020 Massive Damage Inc.. Developed by Massive Damage Inc.. Published by Raw Fury AB. All Rights Reserved.
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