インタビュー
「イドラ ファンタシースターサーガ」開発チームインタビュー。1年間にわたる改修&改善の歩みと,2年目に向けての展望を聞いた
今回4Gamerでは,プロデューサーの田中俊太郎氏とディレクターの陳 智政氏に,1年間で描かれてきたメインストーリーの手応えや,各種アップデート状況などをうかがいつつ,2年目への意気込みを聞いた。
丁寧かつ着実に土台作りを進めた1年目
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは1周年を迎えての感想を聞かせてください。
田中俊太郎氏(以下,田中氏):
1周年を迎えてさまざまなアニバーサリーキャンペーンを実施しているんですが,これを機に始めてくれるプレイヤーさんが非常に増えています。ハーフアニバーサリーの際も大きく盛り上がったのですが,このタイミングでまた大きな反響があって嬉しく思っていますし,手応えも感じているところです。
陳智政氏(以下,陳氏):
最近はプレイヤーの皆さんから,「システム改修やバランス調整で以前より遊びやすくなった」という声を多くいただいてまして,まさに遊びやすさの改善を積み上げられた1年になったなと。
田中氏:
どんどんコンテンツを増やすのではなく,今あるものからちゃんと良くしていくことを心がけ,その取り組みが少しずつ実を結んできたのかなと思います。
4Gamer:
システム改修やバランス調整に加えて,ストーリーもかなり大きく動いていた印象を受けます。
田中氏:
ちょうど1年前に「ファンタシースター」シリーズの30周年記念作品として「イドラ」を発表した際は,“剣と魔法の世界”が舞台ということで,プレイヤーの皆さんには戸惑いもあったと思います。ストーリーの中でシリーズ同士のつながりなどを少しずつ描いていくうちに,次第に「変わってきたな」と思ってもらえたことが非常にうれしいですね。
「ロウ」と「カオス」という2勢力が巻き起こすドラマや,ヒロインのステラや主人公のユリィのお話はだいぶ進んできており,「続きが楽しみ」「ジャスパーとローザリンデの関係性はどうなるんだろう」といったお声をいただき,いろいろな部分に興味を持ってもらえていると感じています。
陳氏:
ストーリーに関しては,スマホ向けタイトルとしては短いスパン(1か月〜1か月半ごと)で,フルボイスの内容を追加しているにもかかわらず,突破率が非常に高く,ストーリーに対する熱量がすごいんですよ。
また,SNS上の感想や,ファン感謝祭イベントでのアンケートなどを拝見する中で,物語の章を追うごとにプレイヤーさんがどんどん引き込まれていっているようで,作り手としては非常に嬉しい限りです。
4Gamer:
現在のメインストーリーは佳境に差し掛かっているイメージですが,今後の展開についてはどうでしょうか。
田中氏:
ストーリーの進行度としては7〜8割といったところですね。本作でのダークファルスの正体が少しずつ見えてきたことで,今後は本格的な決戦へとシフトしていきます。果たして「イドラ」のダークファルスはどんなビジュアルなのか,という点にもぜひご期待ください。スマホでできる表現の限界に挑戦しています!
4Gamer:
楽しみにしています。話は少し変わりますが,配信開始から現在にいたるまでさまざまなアップデートがありましたよね。
陳氏:
1年という短い期間ながらいろいろありました。大きな転機となったのは,ハーフアニバーサリーでの「アリーナバトル」ですね。これまでは,より強いキャラクターを集めてパーティの戦力を高めていくのがメインだったのですが,「アリーナバトル」の実装でキャラクターのスキルやエレメンタルブラストの多様性や,「シンボル」の組み合わせにフォーカスが当たり,自分ならではのパーティを構築して,ほかのプレイヤーと競い合えるようになったのは大きな変革だったと思います。
田中氏:
そういったやりこみ要素を増やす取り組みもあったのですが,「イドラ」のアップデートの大きなテーマとして“ストレスなく快適に遊んでもらうこと”を掲げており,ハーフアニバーサリー後にはゲームバランス調整やUIの改修などに手を加えていきました。本作のプレイヤーさんには「PSO2」と並行でプレイしている方も多いと思うので,「イドラバトル」にクイック出撃を実装するなど,限られた時間の中で効率よく遊んでもらえるような工夫を施しました。
4Gamer:
濃密な1年間だったかと思いますが,運営の中で印象に残っていることや苦労したことなどがあれば教えてください。
陳氏:
私はキャラクターごとの「列伝」が印象深いですね。本作では「運命分岐」を行うとキャラクターの性能や見た目が変化するうえに,キャラクター個別のストーリーである「列伝」の展開も大きく変わります。ドラマが多彩な分,制作には苦労したのですが,見ていただくことでキャラクターにより愛着が湧くようような仕上がりになっているので,ぜひ目を通してもらえると嬉しいですね。
田中氏:
私としては,「PSO2」をはじめとしたシリーズ作品との連携が見えてきたところですね。5章あたりからシリーズとつながりのある遺物が見つかり始めて,最近では「PSO2」のマトイも登場して……。そういったつながりを,「イドラ」のお話にバランスよく織り交ぜていく部分にはかなり気を遣いました。ストーリーの拡がりにあわせて,今後もシリーズ作品とのつながりを持つキャラクターには定期的に登場してもらう予定です。
各コンテンツの反響とプレイ状況は?
「ディスティニーボーナス」は賛否両論
4月末に実装された「アリーナバトル」の反響と,その後のアップデート状況はいかがでしょうか。
田中氏:
「アリーナバトル」には競い合う要素だけでなく,いろいろな人が遊びやすくなるよう,「ラッキーチャンス」を実装しました。これによって参加率もだんだん上がってきており,初〜中級者の方が「アリーナバトル」を遊ぶきっかけになったかなと思います。
陳氏:
初期に比べるとアリーナで活躍するキャラクターに変化が出ていますし,さまざまな戦略ができあがってきている印象です。とはいえ,まだまだバランスや遊びやすさには改善の余地があると思っていますし,今後も調整を続けていきます。
田中氏:
バランス調整は“どこまでいっても完成はない”という心持ちで常に手を加えていくつもりです。
陳氏:
“遊びやすさ”にもつながりますが,1周年を機に,「アリーナバトル」に任意の試合数を1試合にまとめてプレイできる「オールインプレイ機能」を実装します。「今日は忙しくて6試合分プレイする時間がない」というようなときも,この機能を使えば1試合で6試合分のコインを獲得できるので,ぜひ活用してほしいですね。,また,マッチングの改善や,パーティランクSSやSS+の追加もする予定です。
田中氏:
我々の想定を上回るスピードで皆さんが成長していった結果,現状ランク上位が団子状態になってしまっているので,上位ランク帯をさらに細分化して適切なマッチングをするのは急務ととらえ,12月上旬のアップデートでこれらの改修を実装予定です。。
4Gamer:
4月の大型アップデートの際には「イドラバトル」を改善したいというお話もありましたが。
陳氏:
「イドラバトル」に関しても,マッチングの調整を現在進めています。また,大勢の方に短時間で遊んでいただけるようクイック出撃機能を実装し,10月のアップデートでは新たなランク帯を追加しました。ただ,ハーフアニバーサリーの際に触れた“遊びの深みを出す”という点はまだ改善の余地があると認識しているので,今後の改善にご期待いただければと思います。
田中氏:
クイック出撃を実装してから,プレイヤーさんの参加率がかなり増えたんです。そういう意味では,コンテンツの特色である“イドラ”になってほかのプレイヤーと戦うことが,かなり受け入れてもらえたのかと思っています。新しい“イドラ”が追加されるとやはり使用率がグッと上がりますし,相手にする“イドラ”の種類が増えてきたことでプレイヤーさんにも楽しんで頂けているのかなと。
4Gamer:
9月上旬に追加された「ディスティニーボーナス」は賛否両論あるようですね。
田中氏:
発表したときもそうでしたが,実装したときも多くのご意見をいただきました。元をたどると「ディスティニーボーナス」は,配信開始から半年以上が過ぎて「キャラクターの成長深度をもっと深めたい」という要望に応えつつ,欲しいキャラクターをピンポイントで入手するのが難しい点をフォローするのが目的でした。
同じタイミングでステップアップガチャやキャラクターの限界突破を助ける「プラチナドール」を用意したのもそのためです。キャラクターの成長難度と入手難度を同時に緩和し,「手に入れやすく、成長はさらに深く」を主旨として,「ディスティニーボーナス」の実装に踏み切りました。
「ガチャで目当てのキャラが引けなくて続けるモチベーションがなくなる」というのは,プレイヤーさんにとってもつらいですし,我々もそこで「イドラ」から離れてほしくない。そこで,これら一連の施策を行ったというわけです。
バトルバランスに関しても,キャラクターを強化するには限界突破が有効で,「ディスティニーボーナス」は+αの位置付けとなっています。また「アリーナバトル」では,ステータスの“素早さ”が重視される傾向がありますが,キャラクターのスキルや「シンボル」を上手く使うことで限界突破や「ディスティニーボーナス」による性能差を埋められるようなシチュエーションもあります。スキル戦術や「シンボル」の組み合わせなども含めて,「イドラ」のバトルを楽しんでいただければと思います。
4Gamer:
このほか,システム面の改修などについてはどうでしょうか。
陳氏:
トピックとしては,2019年8月に実装した「イドマグ」ですね。「マグ」自体はシリーズ代々の要素ですが「イドラ」ならではの形に昇華したものになっています。一見コアな要素にも見えるのですが,「イドマグ」の可愛さから多くのライトプレイヤーのみなさんも手にとってくださっています。
田中氏:
「イドマグ」というコンテンツへのプレイ率は高く,「毎日ログインしてゴハンをあげる」というサイクルにつながっていると思います。今は1周年イベントでかわいらしい女の子の「イドマグ」も登場していますが,まだ実装したてで入手機会もそんなに簡単ではないにもかかわらず,多くの方が育成に注力してくださっていますね。
陳氏:
1周年を記念して登場したラッピーのような,シリーズにゆかりのある「イドマグ」などもいますので,これからもバラエティ豊かなイドマグを増やして行ければと考えています。
田中氏:
そのほか,クイック出撃などの新機能以外にも,例えば“再戦ボタン”の追加であったり,戦闘中のスキップ機能の改善であったり,地味ながら快適に遊ぶための助けになるような改修は今後も続けていきます。
1周年アニバーサリーでは最大300連ガチャ無料
さらなる広がりを目指して2年目へ
4Gamer:
あらためまして,現在開催中の1周年アニバーサリーキャンペーンについて,簡単にご紹介いただいてもいいでしょうか。
田中氏:
お陰さまで1周年を迎えまして,記事掲載時点では記念イベントの真っ最中かと思います。30日間にわたる10連ガチャ無料キャンペーンなど,これから「イドラ」を始めるには絶好の機会ですし,一度離れてしまったという方も,1年間の積み重ねで快適に遊べるようになった「イドラ」にまた触れてもらえたら嬉しいですね。
陳氏:
1周年を機にいくつかイベントも始まっていまして,現在は「ポポナとゆく!『イドラ』一年記」が開催中です。こちらのクエストアイテムを集めれば,新たな「イドマグ」のラッピーや,「1周年アニバーサリーメダルガチャ」を回すためのアイテムなどを手に入れられます。1周年アニバーサリーメダルガチャでは,これまでの期間限定イベントに登場したキャラクターも景品になっていますので,取り逃しがある方もぜひこの機会に挑戦してみてください。
田中氏:
期間中はメインストーリーでの獲得経験値も10倍ブーストがかかっており,行動力消費なしで遊べます。一気に最新の章まで読み進めることができますよ!
4Gamer:
行動力消費なしで10倍ブーストはすごいですね……。さて,11月上旬には「PSO2」内にて「イドラ」とのコラボイベントも開催されましたね。
陳氏:
本作のアートディレクターの陸浦が,もともと「PSO2」チームでアートワークを担当していたこともあり,かなり「PSO2」プレイヤーの“ツボ“を押さえたコスチュームやポージングが実装できたかと思います。このほか,コラボで追加されたロビーアクションを使って,プレイヤーの皆さんがスクリーンショット撮影など,思い思いの形で楽しんでくださっていたのも印象的でした。
田中氏:
陸浦のイラストはポージングが独特で,「PSO2」内で「イドラ」のコスチュームを着ていなくても,ロビーアクションを見れば「『イドラ』のポーズじゃん!」というのがわかるんですよ(笑)。
陳氏:
今後も機会があればコラボを続けていきたいですね。また現在「PSO2es」でもコラボを展開中でして,「イドラ」でのジェネやステラなどのチップが「PSO2es」内に登場しているので,イドラの世界観を合わせて楽しんでみてください。
「PSO2」コラボをはじめ,広報係のポポナも大変精力的に活動されていますね。
田中氏:
本当にポポナには広報係としても,それ以外の場所でも大活躍してもらっています(笑)。最初は手探りな部分もありましたが,最近は慣れてきたようで,素というかポポナらしさが出てきていますね。「PSO2」コラボでロビー画面に登場したポポナも,デザインやコスチュームといった部分で好評いただいています。ポポナ本人が「PSO2」でアークスのみなさんと触れ合うイベントを開催したのですが,おかげさまで多くの方にお集まりいただき大好評でした。
陳氏:
素のポポナを出せば出すほど,プレイヤーの皆さんにも受け入れられていっていますよね(笑)。
4Gamer:
最後に,今後の本作の展開や2年目に向けての意気込みなどをお願いします。
陳氏:
プレイヤーの皆さんからは,「運命分岐前のイラストが好きだから戦闘で使いたい」という声も多くいただいています。ある程度お時間はいただいてしまうかもしれないのですが,何らかの対応ができないか検討を始めている段階です。
田中氏:
分岐前のビジュアルが好き,でも強さを求めるならばどちらかに分岐させなければ……というジレンマを解決できるようにしたいですね。
陳氏:
加えて,「アリーナバトル」に続く新たなやりごたえのある新コンテンツも検討中です。それらを含めて2年目,3年目と積み重ねていけるように開発を進めていきますので,今後ともよろしくお願いいたします。
田中氏:
私からは,まず無事に1周年を迎えられたことについて,遊んでくださっているすべてのプレイヤーの皆さんに感謝の気持ちをお伝えしたいです。より多くの方に「イドラ」を遊んでもらえるように,そして現在遊んでくださってる方に少しでも長く続けてもらえるようにすることが我々の使命だと思っていますので,もっともっとたくさんの人に広がっていく施策を考え,実施したいと思います。個人的には,ゲーム外での展開にもチャレンジして,「イドラ」に触れる機会を増やしていきたいですね。
佳境に差し掛かったメインストーリーも,クライマックスであるダークファルスとの決戦を含めて,遊んでくださった方が絶対に満足いただけるような仕上がりになっていると思いますので,楽しみに待っていてください!
4Gamer:
本日はありがとうございました。
――2019年11月14日収録
「イドラ ファンタシースターサーガ」公式サイト
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